中公新書作品一覧

  • 天誅組の変 幕末志士の挙兵から生野の変まで
    4.0
    尊皇攘夷の大義を掲げ、幕府に立ち向かった志士たちの蜂起は、時勢を見誤った暴挙だったのか。明治維新前夜の短くも熱い戦いを描く。
  • 沖縄のいきもの 1000を超える固有種が暮らす「南の楽園」
    5.0
    青い空、サンゴ礁の海――豊かな自然が広がる沖縄には、珍しい生き物がいっぱい! 県鳥のノグチゲラはキツツキなのに、なぜ地面をつつくの? 瑠璃色に輝くきれいなゴキブリがいるって本当?なぜ一度海に沈んだ宮古島に、海水が苦手なサワガニやカタツムリがいるの? イリオモテヤマネコはどうやって小さな西表島で生き延びてきたの? 沖縄、宮古、八重山、大東……島々の個性的な生き物たちを魅力たっぷりに紹介。
  • 森林に何が起きているのか 気候変動が招く崩壊の連鎖
    5.0
    2019年、オーストラリアで史上最大級の森林火災が発生。5ヵ月間で17万平方キロメートルもの国土が焼失した。近年、温暖化の影響による森林の「異変」が世界中で観測されている。大規模火災が相次ぐのはなぜか。森林破壊がもたらす経済的影響は。豊かな自然を守るため、何をすべきなのか――。本書は、森林生態系のメカニズムから、日本の里山の持続可能な保全策まで、森林科学の知見を第一人者が解説。実効的な気候変動対策を論じる。
  • 近代日本外交史 幕末の開国から太平洋戦争まで
    5.0
    1853年にペリーが来航し、日本は開国へと向かう。明治維新後、条約改正や日清・日露戦争、第一次世界大戦を経て、世界の大国となった。だが1930年代以降、満州事変、日中戦争、太平洋戦争に突入し、悲惨な敗戦に終わる。日本は世界とどう関わってきたのか。破局の道を回避する術はなかったのか。国際秩序との関係を軸に、幕末の開国から太平洋戦争まで、日本外交の歩みをたどる。近年の研究をふまえた最新の通史。
  • 行動経済学の処方箋 働き方から日常生活の悩みまで
    3.6
    日々の暮らしや仕事の課題、さらには大きな社会問題まで、その解決策は行動経済学にある。急速に普及したテレワークで生産性を上げるには? 新型コロナウイルス感染症対策と経済活動を両立させる方策とは? 偏見や思い込みへの対応は? 最低賃金の引き上げは所得向上につながる? 目の前に立ちはだかる大小の課題に、私たちが何気なく行ってしまう〝非〟合理な選択に、最新の経済理論を駆使して処方箋を示す。
  • 帝国日本のプロパガンダ 「戦争熱」を煽った宣伝と報道
    3.7
    日清戦争に始まり、アジア太平洋戦争の敗北で終わった帝国日本。日中開戦以降、戦いは泥沼化し、国力を総動員するため、政府・軍部・報道界は帝国の全面勝利をうたい、プロパガンダ(政治宣伝)を繰り広げた。宣伝戦はどのように先鋭化したか。なぜ国民は報道に熱狂し、戦争を支持し続けたのか。錦絵、風刺画、絵葉書、戦況写真、軍事映画など、戦争熱を喚起したビジュアル・メディアから、帝国日本のプロパガンダ史を描きだす。
  • ミュージカルの歴史 なぜ突然歌いだすのか
    3.8
    物語、台詞、歌で構成される舞台、ミュージカル。ヨーロッパの歌劇と大衆的な娯楽ショーをルーツに、一九世紀アメリカで誕生した。本書はその本質を音楽に注目して探る。ティン・パン・アレーのブロードウェイへの音楽供給から、一九二〇年代のラジオの流行、統合ミュージカルの成立、六〇年代のロックの影響、八〇年代に隆盛するメガ・ミュージカル、そして2.5次元へ。歴史を辿りつつ「なぜ突然歌いだすのか」という最大の謎に迫る。
  • 転身力 「新しい自分」の見つけ方、育て方
    4.3
    人生100年とも言われる長寿化の現代、長期雇用の揺らぎ、コロナ禍の影響などで、生き方や働き方が大きく変わりつつある。だがそれは、誰もが人生二毛作、三毛作を楽しめる豊かな時代でもある。求められるのは、可能性を信じ、自分を変えるための「転身力」だ。「将来のリスクに備えたい」「収入は減っても好きな仕事で食べていけたら」「生涯現役で働きたい」といった思いに寄り添い、豊富な実例をもとにヒントを提示する。
  • 戦国日本の軍事革命 鉄炮が一変させた戦場と統治
    4.0
    16世紀中頃、戦国日本に伝来した鉄炮。砲術師・鉄炮鍛冶・武器商人により国内に広まると、長槍や騎馬隊が主力だった戦場の光景を一変させた。さらに織田信長は検地によって巨大兵站システムを整え、鉄炮の大量保有を実現。鉄炮や大砲を活用する新たな戦術を野戦・攻城戦・海戦に導入し、天下統一へと邁進した。軍隊や統治のあり方をも変えたこの「革命」が豊臣秀吉、徳川家康と引き継がれ、近世を到来させるまでを描く。
  • ジョン・ロールズ 社会正義の探究者
    3.8
    米国の政治哲学者ジョン・ロールズ(1921~2002)。1971年刊行の『正義論』において、独創的な概念を用いて構築した「公正な社会」の構想は、リベラリズムの理論的支柱となった。「平等な自由」を重視する思想はいかに形成されたか。太平洋戦線における従軍体験、広島への原爆投下の記憶がロールズに与えた影響とは。最新資料から81年の生涯を捉え直し、思想の全体像を解読。その課題や今日的意義にも迫る。
  • 歴史修正主義 ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで
    4.3
    ナチによるユダヤ人虐殺といった史実について、意図的に歴史を書き替える歴史修正主義。フランスでは反ユダヤ主義の表現、ドイツではナチ擁護として広まる。1980年代以降は、ホロコースト否定論が世界各地で噴出。独仏では法規制、英米ではアーヴィング裁判を始め司法で争われ、近年は共産主義の評価をめぐり、東欧諸国で拡大する。本書は、100年以上に及ぶ欧米の歴史修正主義の実態を追い、歴史とは何かを問う。
  • 政界再編 離合集散の30年から何を学ぶか
    4.1
    1993年に細川政権が発足し、日本政治は政界再編の時代に突入した。非自民勢力の結集は新進党で一度挫折するが、二度の合流で伸長した民主党は2009年に政権交代を果たす。しかし政権崩壊後、民主党は四分五裂し、「第三極」も低迷。自公政権のもと「一強多弱」に陥った。大同団結しなければ選挙に勝てず、政党が拡大すれば路線対立が激化する――。ジレンマを乗り越え、「政権交代可能な日本政治」実現の道を示す。
  • ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと
    4.4
    やがて訪れる死や衰弱は、誰にも避けられない。自分や親しい人が苦境に立たされたとき、私たちは「独りでは生きていけない」と痛感する。ケアとは、そうした人間の弱さを前提とした上で、生を肯定し、支える営みである。本書は、ケアを受ける人や医療従事者、ソーシャルワーカーへの聞き取りを通じて、より良いケアのあり方を模索。介護や地域活動に通底する「当事者主体の支援」を探り、コロナ後の課題についても論じる。
  • 競馬の世界史 サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで
    3.8
    中東生まれのアラブ馬を始祖とし、イギリスで誕生したサラブレッド。この純血種は名馬エクリプスの登場で伝説化され、欧米から世界中に広まった。ダービーなど若駒が競い合うクラシックレースが各国で始まって人気を博し、二十世紀以降、凱旋門賞をはじめとするビッグレースが創設された。観衆の胸を躍らせた名勝負の舞台裏では、人と馬のいかなる営みがあったのか。優駿たちが演じた筋書きのないドラマを世界史としてたどる。
  • 古代日本の官僚 天皇に仕えた怠惰な面々
    4.3
    壬申の乱の勝者である天武天皇以降の日本は、律令に基づく専制君主国家とされる。だが貴族たち上級官僚とは異なり、下級官僚は職務に忠実とは言えず、勤勉でもなかった。朝廷の重要な儀式すら無断欠席し、日常の職務をしばしば放棄した。なぜ政府は寛大な措置に徹したのか。その背後にあった現実主義とは。飛鳥・奈良時代から平安時代にかけて、下級官僚たちの勤務実態を具体的に検証し、古代国家の知られざる実像に迫る。
  • 定年後のお金 貯めるだけの人、上手に使って楽しめる人
    3.9
    人生100年時代と言われるが、長生きはリスクでもある。自分の老後資金で本当に足りるのか――。『定年後』の姉妹編である本書では、著者が長年実践してきた「財産増減一括表」の作成を推奨。家計の管理と見直しのポイント、資産運用の基本的考え方など、お金にまつわる課題について具体的な指針を示す。さらには、本当にやりたいことに出費を惜しまず人生を楽しむべきと提言。お金と生き方・働き方の関係を問い直す。
  • 政令指定都市 百万都市から都構想へ
    3.6
    かつて政令指定都市といえば、横浜や京都など日本を代表する「華やかな百万都市」を意味した。しかし市町村合併推進のため、従来のイメージからほど遠い都市が次々移行した結果、その数は二〇に達した。一方、近年の経済的停滞により税収は激減し、老朽化した施設や生活保護への対応が重荷となっている。「大阪都構想」などの改革で大都市は甦るのか――。歴史や統計、インタビューから、日本の大都市統治を問い直す。
  • 大御所 徳川家康 幕藩体制はいかに確立したか
    3.0
    関ヶ原の決戦を制した徳川家康は征夷大将軍となり、江戸幕府を開いた。その職をわずか二年で秀忠に譲るが、駿府城に移ったのちも実権を掌握。多彩なブレーンを活用して、御三家の創設、諸大名や朝廷の統制、対外関係の再構築など、政権基盤の強化に努めた。他方では最大の脅威である豊臣家を滅亡へと追い込んでいく。大坂の陣終結の翌年に没するまで十一年にわたった大御所政治を辿り、幕藩体制成立の過程を明らかにする。
  • 人種とスポーツ 黒人は本当に「速く」「強い」のか
    3.6
    オリンピックの陸上男子100m決勝で、スタートラインに立った選手56人は、ここ30年すべて黒人である。陸上以外の競技でも、彼らの活躍は圧倒的に見える。だが、かつて彼らは劣った「人種」と規定され、スポーツの記録からは遠い所にあった。彼らは他の「人種」に比べ、本当に身体能力が優れているのか――。本書は、人種とスポーツの関係を歴史的に辿り、最新の科学的知見を交え、能力の先天性の問題について明らかにする。
  • 日米地位協定 在日米軍と「同盟」の70年
    4.6
    日米地位協定は、在日米軍の基地使用、行動範囲、米軍関係者の権利などを保証したものである。在日米軍による事件が沖縄などで頻発する中、捜査・裁判での優遇が常に批判されてきた。冷戦後、独伊など他国では協定は改正されたが、日本はそのままである。本書は、協定と在日米軍を通して日米関係の軌跡を描く。実際の運用が非公開の「合意議事録」に基づいてきた事実など、日本が置かれている「地位」の実態を描く。
  • 戦国武将の実力 111人の通信簿
    3.6
    豊臣秀吉を筆頭に、家柄や血筋によらず、己の腕と才覚で出世の階段を駆け上った戦国武将たちがいた。だが一時の威勢を失い、負け組に転落した例は少なくない。彼らの明暗を分けたものは何か。本書では、戦国史研究の第一人者が統率力・教養・実行力・企画力・先見性の能力値を大胆に採点。武将たちの真の実力を明らかにする。時代の扉を開いた北条早雲から戦乱に終止符を打った徳川秀忠まで、総勢一一一人の戦国武将名鑑。
  • 公卿会議―論戦する宮廷貴族たち
    4.3
    天皇家を支えた貴族層のうち、大臣らトップクラスを公卿という。律令制の導入以降、国政の重要案件については、公卿たちが集まり、会議を行って方針を決めた。現在の内閣の閣議に相当する。藤原道長の頃に定まった宮廷政治のあり方は、院政の成立、承久の乱、建武の新政などを画期として変化を遂げながらも、南北朝時代まで続いた。貴族の政務の実態を解説し、日本の合意形成プロセスの原型というべき公卿会議の変遷をたどる。
  • 三条実美 維新政権の「有徳の為政者」
    4.5
    三条実美(1837~91)は、過激な攘夷派公家、七卿落ちで知られる。維新後は右大臣・太政大臣として新政府の頂点に立つが、政治手腕に乏しく、無能という評価すらある。だがそのような人物が、なぜ維新後18年間も、大久保利通や伊藤博文ら政治家を従え、難局に対処できたのか。本書は、時代の寵児として脚光を浴びた青年期から、苦難の長州・太宰府時代、新政府内での役割など、その生涯を丹念に追い、実像に迫る。
  • 地球の歴史 上 水惑星の誕生
    4.5
    1~3巻924~968円 (税込)
    地球は太陽系の数ある惑星のなかで唯一環境が安定した「水惑星」である。生命が生まれ、進化を遂げることができたのはなぜか。上巻では一三八億年前の宇宙誕生=ビッグバンから説き起こし、銀河系や太陽系、そして地球が分化する過程を追う。灼熱のマグマの海だった地球は、マグマの冷却や大陸の分裂・合体を繰り返しながら、厚い大気の層と穏やかな海を持つに至った。全三巻でたどる地球四六億年の旅がここに始まる。
  • 通貨の日本史 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで
    4.0
    都の建設のため国産銭が作られた古代、中国からの輸入銭に頼った中世、石見銀山の「シルバーラッシュ」が世界経済をも動かした戦国時代、財政難に苦しめられた江戸の改革者たち、帝国日本の通貨政策……。無文銀銭が登場した7世紀から現在まで、通貨をめぐる歴史はエピソードに事欠かない。通貨政策に大きな影響を与えてきた庶民の事情にも着目しながら、その歩みをたどる。今も昔も私たちを悩ませる、お金をめぐる通史。
  • ウニはすごい バッタもすごい デザインの生物学
    4.0
    ハチは、硬軟自在の「クチクラ」という素材をバネにして、一秒間に数百回も羽ばたくことができる。アサリは天敵から攻撃を受けると、通常の筋肉より25倍も強い力を何時間でも出し続けられる「キャッチ筋」を使って殻を閉ざす――。いきものの体のつくりは、かたちも大きさも千差万別。バッタの跳躍、クラゲの毒針、ウシの反芻など、進化の過程で姿を変え、武器を身につけたいきものたちの、巧みな生存戦略に迫る。
  • 公明党 創価学会と50年の軌跡
    3.9
    国政選挙で常に700万票以上を獲得、強固な政治勢力である公明党。結党当初は、仏法民主主義など独自の主張をしたが、言論出版妨害事件を契機に方向転換する。1990年代には非自民連立政権、反自民の新進党にも参加した。だが99年に自民党の連立政権に参画。以後、右傾化を強める自民党に反発しつつも、歩みを一にする。本書は、巨大な支持母体・創価学会を背景に持つ特異な政党の軌跡を辿り、その構造にメスを入れる。
  • 代議制民主主義 「民意」と「政治家」を問い直す
    4.5
    有権者が選挙を通じて政治家を選び、政治家が政策決定を行う。これが代議制民主主義の仕組みである。議会の発展、大統領制と議院内閣制の確立、選挙権の拡大を経て定着したこのシステムは、第二次世界大戦後に黄金期を迎えた。しかし、経済成長の鈍化やグローバル化の影響を受け、今や世界各国で機能不全に陥っている。代議制民主主義はもはや過去の政治制度なのか。民意と政治家の緊張関係から、その本質を問い直す。
  • ビル・クリントン 停滞するアメリカをいかに建て直したか
    4.7
    1993年、46歳の若さで、戦後生まれ初の米国大統領に就任したビル・クリントン。2期8年の任期中、民主党政権ながら福祉削減を厭わず中道主義を追求。財政と貿易の「双子の赤字」を解決し好況に導く。また国際紛争解決に積極的に関与し、冷戦後の新たな国家関係を模索。米国を繁栄に導いた。本書は、次々とカネとセックスのスキャンダルにまみれ、弾劾裁判を受けながらも、多くの実績を残し、今なお絶大な人気を誇る彼の半生を追う。
  • 植物はすごい 生き残りをかけたしくみと工夫
    3.9
    身近な植物にも不思議がいっぱい! アジサイやキョウチクトウ、アサガオなど毒をもつ意外な植物たち、長い年月をかけて巨木を枯らすシメコロシノキ、かさぶたをつくって身を守るバナナ、根も葉もないネナシカズラなど、植物のもつさまざまなパワーを紹介。動物たちには真似できない植物のすごさを、「渋みと辛みでからだを守る」「食べられる植物も毒をもつ」「なぜ、花々は美しく装うのか」などのテーマで、やさしく解説。
  • アイルランド紀行 ジョイスからU2まで
    3.2
    北海道より少しだけ広い島国だが、魅力を表す言葉は果てを知らない。それがアイルランド。ケルト文明の地、スウィフト、ワイルド、イェイツ、ジョイス、ベケット、ヒーニーらによる世界文学の生地、ヴァン・モリソンやU2が歌い上げる音楽の島、「虐げられてへつらう者たち」、英国からの独立闘争の国――。一木一草に至るまで言葉が刻まれているこの土地を、達意のエッセイと美味しい訳文でまるごと味わい尽くす。
  • 教養としての宗教入門 基礎から学べる信仰と文化
    3.8
    宗教とは何か――。信仰、戒律、儀礼に基づく生き方は、私たち日本人にはなじみが薄い。しかし、食事の前後に手を合わせ、知人と会えばお辞儀する仕草は、外国人の目には宗教的なふるまいに見える。宗教的儀式と文化的慣習の違いは、線引き次第なのである。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から、仏教、ヒンドゥー教、そして儒教、道教、神道まで。世界の八つの宗教をテーマで切り分ける、新しい宗教ガイド。
  • 理科系の作文技術(リフロー版)
    4.0
    物理学者で、独自の発想で知られる著者が、理科系の研究者・技術者・学生のために、論文・レポート・説明書・仕事の手紙の書き方、学会講演のコツを具体的にコーチする。盛りこむべき内容をどう取捨し、それをどう組み立てるかが勝負だ、と著者は説く。文のうまさに主眼を置いた従来の文章読本とは一線を劃し、ひたすら「明快・簡潔な表現」を追求したこの本は、文科系の人たちにも新鮮な刺激を与え、「本当に役に立った」と絶賛された。2016年には紙の書籍がついに100万部を突破した、不朽の文章入門。
  • 鉄道技術の日本史 SLから、電車、超電導リニアまで
    4.3
    イギリスの指導のもと、明治の初めに産声を上げた日本の鉄道。山がちな国土に狭軌という悪条件を克服する過程で、高速性、快適性、安全性を向上させ、1964年の東海道新幹線開業によってついに世界トップの水準に躍り出た。日本は現在、超電導リニアの技術で諸外国をリードし、かつて指導を受けたイギリスに高速電車網を構築している。本書では、明治から平成まで、多岐にわたる鉄道技術の進歩に光を当てる。
  • 日本陸軍とモンゴル 興安軍官学校の知られざる戦い
    4.0
    一九三〇年代に満洲の地で、日本陸軍が関与し、モンゴル人へ軍事教育を施す目的で作られた興安軍官学校。日本の野心と中国からの独立を目論むモンゴルの戦略が交錯する中から生まれた場所だ。本書は軍事力により民族自決をめざすモンゴル人ジョンジョールジャブや徳王らの活動、軍官学校生らが直面したノモンハン戦争から敗戦にいたる満蒙の動向などを描く。帝国日本に支援され、モンゴル草原を疾駆した人びとの物語。
  • 朝鮮王公族―帝国日本の準皇族
    4.3
    1910年8月、日本は大韓帝国を併合した。最大の懸案だった皇帝一族の処遇については、王族・公族の身分を華族より上に新設し、解決を図った。1945年8月の敗戦まで、男子は軍務に就くなど、皇族同様の義務と役割を担う。異民族ながら「準皇族」扱いされた彼らの思いは複雑であり、日本に忠誠を尽くす者、独立運動に関与する者など多様であった。本書は、帝国日本に翻弄された26人の王公族の全貌を明らかにする。
  • 「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて
    4.3
    日中・日韓関係を極端に悪化させる歴史認識問題。なぜ過去をめぐる認識に違いが生じるのか、一致させることはできないのか。本書では、韓国併合、満洲事変から、東京裁判、日韓基本条約と日中国交正常化、慰安婦問題に至るまで、歴史的事実が歴史認識問題に転化する経緯、背景を具体的に検証。あわせて、英仏など欧米諸国が果たしていない植民地支配責任を提起し、日本の取り組みが先駆となることを指摘する。
  • 聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで
    3.7
    非日常的な空間である聖地―。観光地として名高い聖地には、信仰心とは無縁の人々が数多く足を運んでいる。さらに近年では、宗教と直接関係のない場も聖地と呼ばれ、関心を集めている。人は何を求めて、そこへ向かうのか?それは、どのような意味を持つのか?サンティアゴ巡礼や四国遍路、B級観光地、パワースポット、アニメの舞台など、多様な事例から21世紀の新たな宗教観や信仰のあり方が見えてくる。
  • 物語 ベルギーの歴史 ヨーロッパの十字路
    4.4
    ビールやチョコレートなどで知られるベルギー。ヨーロッパの十字路に位置したため、古代から多くの戦乱の舞台となり、建国後もドイツやフランスなどの強国に翻弄されてきた。本書は、19世紀の建国時における混乱、植民地獲得、二つの世界大戦、フランス語とオランダ語という公用語をめぐる紛争、そして分裂危機までの道のりを描く。EU本部を首都に抱え、欧州の中心となったベルギーは、欧州の問題の縮図でもある。
  • うわさとは何か ネットで変容する「最も古いメディア」
    3.5
    デマ、流言、口コミ、風評、都市伝説・・・・・・。多様な言葉を持つうわさ。この「最古のメディア」は、トイレットペーパー騒動や口裂け女など、戦後も社会現象を巻き起こし、東日本大震災の際も大きな話題となった。事実性を超えた物語が、人々のつながり=関係性を結ぶからだ。ネット社会のいまなお、メールやSNSを通じて、人々を魅了し、惑わせるうわさは、新たに何をもたらしているのか――。人間関係を噂から描く意欲作。
  • 言語学の教室 哲学者と学ぶ認知言語学
    4.2
    「雨に降られた」はよくて「財布に落ちられた」がおかしいのは、なぜ? 「西村さんが公園の猫に話しかけてきた」の違和感の正体は? 認知言語学という新しい学問の奥深い魅力に目覚めた哲学者が、専門家に難問奇問を突きつける。豊富な例文を用いた痛快な議論がくり返されるなかで、次第に明らかになる認知言語学の核心。本書は、日々慣れ親しんだ日本語が揺さぶられる、“知的探検”の生きた記録である。
  • 先進国・韓国の憂鬱 少子高齢化、経済格差、グローバル化
    3.5
    自国製品が世界を席巻し、経済的に大きく躍進した韓国。しかし、急激な発展によって他の先進国以上に多くの課題を抱え込んだ。少子高齢化、貧困問題、社会保障制度の未整備……。韓国が直面する問題に対して、金大中、盧武鉉、李明博ら革新、保守それぞれの歴代政権は、いかなる結果をもたらしたのか。そして朴槿恵の舵取りによって、この国はどこに向かうのか。指導者と政策を通し、隣国の姿を浮き彫りにする。
  • 大阪―大都市は国家を超えるか
    4.2
    停滞が続く日本。従来の「国土の均衡ある発展」は限界となり、経済成長の“エンジン”として大都市が注目を集めている。特に東京に比べ衰退著しい大阪は、橋下徹の登場、「大阪都構想」により、国政を巻き込んだ変革が行われ脚光を浴びた。大都市は、日本の新たな成長の起爆剤になり得るのか――。本書は、近代以降、国家に抑圧された大都市の軌跡を追いながら、橋下と大阪維新の会が、なぜ強い支持を得たのかを追う。彼らは歴史的“必然”であり、彼らもまた歴史の一齣でしかないと、制度面からその限界を指摘する。第35回サントリー学芸賞受賞作
  • 経済覇権のゆくえ 米中伯仲時代と日本の針路
    4.0
    リーマン・ショックを皮切りに、世界を揺るがした金融危機。それはアメリカ経済覇権の終焉と、来たるべき米中逆転の予兆なのか――。本書は、戦後の世界経済をめぐる興亡を「経済覇権」という視点で読み解く。アメリカ覇権の下で出発した戦後の国際経済秩序は、アメリカの衰退と日本の挑戦、そして中国などBRICS諸国の躍進を経て、米中が勢力伯仲する時代に入りつつある。この難局に日本がとるべき針路を探る。
  • パリのグランド・デザイン ルイ十四世が創った世界都市
    4.0
    フランスが世界に誇る「花の都」パリ、そしてヴェルサイユ宮殿。これらを形作ったのは、ルイ十四世の治世に花開いた「グランド・デザイン」の思想だった。当時のフランスは、世界を席巻していたバロックに背を向け、徹底した計画志向の下でニュータウンを建設し、パリの街並みを整備し、ついにはヴェルサイユ宮殿を造営した。駆け引きに満ちた宮廷政治と、個性豊かな建築家たちの物語を通して、近代都市の源流に迫る。
  • 心理学とは何なのか 人間を理解するために
    3.7
    「髪をいじるのは会話が退屈だから?」…人の性格や本音を明らかにするのが心理学だとも言われるが、それは違う。心理学は、私たちがどのように世界を認識し意味を読み取り行動しているか、つまり「こころ」の働きの仕組みを追究する学問である。フロイトの夢解釈、アヴェロンの野生児、ケーラーの実験など、代表的な事例を丹念に解説し、心理学がどのような人間像を作り上げようとしてきたのか、その理論と体系を概説する。
  • グリーン・エコノミー 脱原発と温暖化対策の経済学
    3.6
    震災後のいま、原発依存からの脱却、経済の復興と発展、地球温暖化対策が大きな課題となっている。「自然エネルギーは原発の代替にならない」「これ以上の省エネの余地はない」「温暖化対策は経済発展をさまたげる」等の懐疑論もあるが、制約を転じて発展に変える発想が必要である。ドイツやデンマークなど諸外国や国内先進地である北海道の事例を紹介・検証しながら、理想と現実を繋ぐロードマップを提示する。
  • 日本語作文術 伝わる文章を書くために
    3.9
    読みにくい日本語では、誰にも読んでもらえない。説得力のある、わかりやすい文章をどう書くか。短文を意識すること、語順や読点に敏感になること、段落の構成や論証の仕方に気を配ること。そして、起承転結ではなく、「結」起承「展」。これだけで、文章の説得力はぐんとアップする。本書では、作文に役立つ「使える定型表現」のリストも大々的に披露。日本語力を、生きていく上での強力な武器とするための指南書。
  • 「戦争体験」の戦後史 世代・教養・イデオロギー
    4.6
    アジア・太平洋戦争下、三〇〇万人以上犠牲者を出した日本。この「戦争体験」は、悲劇として語られ、現在では反戦・平和と結びつくことが多い。だが、戦後六〇年のなかでそれは、実は様々な形で語られてきていた。本書は、学徒兵たちへの評価を中心に、「戦争体験」が、世代・教養・イデオロギーの違いによって、どのように記憶され、語られ、利用されてきたかを辿り、あの戦争に対する日本人の複雑な思いの変遷をみる。
  • 諸子百家 儒家・墨家・道家・法家・兵家
    3.9
    春秋戦国時代、諸国をめぐって自らの主張を説いた思想家たち。彼らの思想は、その後の中国社会の根幹を形づくったのみならず、日本をはじめ東アジアにおいても大きな影響力を持った。一九九〇年代には大量の古代文献が発掘され、これまで謎とされてきた事柄も解き明かされつつある。新知見をふまえ、儒家(孔子・孟子)、墨家(墨子)、道家(老子・荘子)、法家(韓非子)、兵家(孫子)などの思想と成立の過程を平易に解説する。
  • 経済大国インドネシア 21世紀の成長条件
    3.8
    リーマンショック後の二〇〇九年秋、欧米の格付け会社が、インドネシアの持続的成長能力と財政的安定を評価し、国債の格付けを引き上げた。以来、インドネシアの有望性は世界が注目するところとなる。二億四〇〇〇万近い人口と豊富な資源を背景とした潜在的な国力は、二〇〇四年、ユドヨノ政権になって以降の政治的安定によって、さらに強固な成長要因となっている。中国、インドに続く"アジアの大国"のこれからを展望する。
  • 教育と平等 大衆教育社会はいかに生成したか
    4.1
    戦後教育において「平等」はどのように考えられてきたのだろうか。本書が注目するのは、義務教育費の配分と日本的な平等主義のプロセスである。そのきわめて特異な背景には、戦前からの地方財政の逼迫と戦後の人口動態、アメリカから流入した「新教育」思想とが複雑に絡まり合っていた。セーフティネットとしての役割を維持してきたこの「戦後レジーム」がなぜ崩壊しつつあるのか、その原点を探る。
  • 宦官 改版 側近政治の構造
    3.5
    中国の歴史において宦官のはたした役割は実に大きい。清朝の歴史家は、各王朝ともその衰亡の原因が宦官にあったことを指摘する。過去四千年にわたる専制君主と表裏一体をなして生きながらえた宦官の研究は、単なる好奇心を越えて、中国史の重要な課題の一つである。宦官とはなにかから説きおこして、宦官のもっとも活躍した漢・唐・明代を中心に、それぞれの、時代を背景にした特色を指摘する。毎日出版文化賞受賞。
  • 大平正芳 「戦後保守」とは何か
    3.8
    戦後、「保守本流」の道を歩み、外相・蔵相などを歴任、一九七八年に首相の座に就いた大平正芳。その風貌から「おとうちゃん」「鈍牛」と綽名された大平は、政界屈指の知性派であり、初めて「戦後の総決算」を唱えるなど、二一世紀を見据えた構想を数多く発表した。本書は、派閥全盛の時代、自由主義を強く標榜し、田中角栄、福田赳夫、三木武夫らと切磋琢磨した彼の軌跡を辿り、戦後の保守政治の価値を問うものである。
  • 歌う国民 唱歌、校歌、うたごえ
    3.8
    日本人の心の原風景として語られることの多い唱歌だが、納税や郵便貯金、梅雨時の衛生などの唱歌がさかんに作られた時期がある。これらは、ただひたすらに近代化をめざす政府から押しつけられた音楽でもあった。だが、それさえも換骨奪胎してしまう日本人から、歌が聞こえなくなることはなかったのである。唱歌の時代から「うたごえ」そして現代までをたどる、推理小説を読むような興奮あふれる、もう一つの近代史。
  • 電車の運転 運転士が語る鉄道のしくみ
    4.2
    時速100キロ以上の速さで数百トンの列車を率いて走行し、時刻通りにホームの定位置にピタリと停める…。このような職人技をもつ運転士は、何を考え、どのように電車を運転しているのだろう。また、それを支える鉄道の仕組みとはどのようなものだろう。JRの運転士として特急電車から貨物列車まで運転した著者が、電車を動かす複雑精緻なシステムと運転士という仕事をわかりやすく紹介する。
  • ジャガイモの世界史 歴史を動かした「貧者のパン」
    3.7
    南米生まれのジャガイモは、インカ帝国滅亡のころ、スペインに渡った。その後、フランスやドイツの啓蒙君主たちも普及につとめ、わずか五百年の間に全世界に広がった。赤道直下から北極圏まで、これほど各地で栽培されている食物もない。痩せた土地でも育ち、栄養価の高いジャガイモは「貧者のパン」として歴史の転機で大きな役割を演じた。アイルランドの大飢饉、北海道開拓、ソ連崩壊まで、ジャガイモと人々をめぐるドラマ。
  • シュルレアリスム 終わりなき革命
    4.0
    シュルレアリスム(超現実主義)は、第一次世界大戦後のパリで生まれ、世界に広まった文化運動である。若い詩人、文筆家、画家が導いた。戦争、共産主義、ファシズム、無意識、エロス、死、狂気などアクチュアルなテーマに取り組んで、近代文明の刷新をもくろむ。個人の壁、国境の壁を超えて多様な生の共存をめざしたその革命精神は、情報と物に充足する利己的な現代人に、いまだ厳しい批判を突きつけて、生き続けている。
  • 雑草のはなし 見つけ方、たのしみ方
    4.0
    庭の片隅で、都会の歩道のコンクリートの隙間で、雑草はひっそりと生きている。名も知らない草も多いが、子孫を残そうと懸命に生きる戦略には驚かされるものも多い。ハハコグサとチチコグサの花はどう違う?葉の小さいオオバコがなぜ「大葉子」なのか?ツキミソウはどうして夜に咲くのか?春夏秋冬の雑草の見つけ方、見分け方を一つひとつ写真と文章で紹介し、植物の生き方のふしぎを解き明かす。カラー130点。
  • 小村寿太郎 近代日本外交の体現者
    3.7
    幕末に結んだ欧米列強との不平等条約の改正を目指し、一九〇〇年代に日英同盟、日露戦争、韓国併合を推進した外相・小村寿太郎。日向国飫肥藩の下級藩士に生まれた小村は、病弱で一五〇センチに満たない身長、非藩閥出身と恵まれない出自ながら、第一回文部省留学生としてハーバード大学に留学。抜群の語学力と高い交渉能力を身につけ、日本を「一等国」に引き上げた。帝国主義と国際協調の間を巧みに動いた外政家の真実。
  • 古事記の起源 新しい古代像をもとめて
    3.6
    古事記は、八世紀に編纂された日本最古の書物のひとつである。しかし古事記は突然出現したのではない。縄文・弥生期から連綿と続く、無文字時代の神話がその源にあった。著者は、無文字文化の「生きている神話」「生きている歌垣」が今なお残る中国長江流域の少数民族文化を調査し、神話の成立過程のモデルを大胆に構築。イザナミやヤマトタケルの死、スサノオ伝承、黄泉の国神話、糞尿譚などを古事記の深層から読み直す。
  • アメリカと宗教 保守化と政治化のゆくえ
    3.9
    アメリカは、二億人を超えるキリスト教徒を抱え、その八割が「天地創造」を信じ、教会出席率・回心体験でも群を抜く保守的な宗教大国である。一九七〇年代以降、宗教右派が政治に参入し、レーガンの大統領当選に貢献するなど、表舞台に登場。二一世紀以降、ブッシュ、オバマは宗教票を無視できなくなった。本書は、世俗への危機意識からリベラル派が衰退し、保守化・政治化していく過程を中心に、アメリカの宗教の実態を描く。
  • 北方領土問題 4でも0でも、2でもなく
    3.8
    「北方領土問題」は、日本とソ連の戦後処理をめぐる交渉のプロセスのなかで生まれ、一九五六年の日ソ交渉においても、これを解決することができず、平和条約の締結に至らなかった。以来五〇年、事態が進展しないなか、中国とロシアの間で、同じく第二次世界大戦に由来する国境問題に終止符が打たれた。本書は、この係争地を互いに「分け合う」という政治的妥協に至る道筋を検討し、日ロ間への具体的な応用を探るものである。
  • ハワイの歴史と文化 悲劇と誇りのモザイクの中で
    3.7
    ハワイ――世界中の観光客を魅了する太平洋の美しい島々。十八世紀以来、欧米、そしてアジア諸国から多くの移民が来島し、定着・活動してきた。しかし、異人種、異文化との接触が、ネイティヴ・ハワイアンに苛酷な歴史を強いてきたことも忘れてはならない。本書は、日本との交流に光をあてながら、楽園イメージの奥に横たわる、もう一つの現実を浮かび上がらせ、ハワイ文化の力強い流れを描き出すものである。
  • 経済学の哲学 19世紀経済思想とラスキン
    4.5
    経済と環境保護。分裂し、対立するかのような両者が折り合う思想は可能なのか。このきわめて現代的な問題は、すでに19世紀に提起されていた。産業革命が隆盛を誇るロンドンで、哲学者ラスキンが環境と弱者を犠牲にする経済学に怒りを感じ、新しい経済学の枠組みを構想したのだ。本書は、同時代の経済学者との格闘に光を当てながら、この先駆的な思想を辿る。ありうべき価値体系とは何か。よりよい社会への道を探る。
  • キリストの身体 血と肉と愛の傷
    4.1
    キリスト教にとって大切なのは、身体ではなく精神、肉体ではなく霊魂ではなかったか。しかし、キリストの身体をめぐるイメージこそが、この宗教の根幹にあるのだ。それは、西洋の人々の、宗教観、アイデンティティの形成、共同体や社会の意識、さらに美意識や愛と性をめぐる考え方さえも、根底で規定してきた。図像の創造・享受をめぐる感受性と思考法を鮮烈に読み解く、「キリスト教図像学三部作」完結篇。図版資料満載。
  • インドネシア 多民族国家という宿命
    4.1
    インドネシアでは、三〇〇の民族集団から構成される二億の国民が、四〇〇の母語を使用して生活している。一見平和な風景からは、穏健で寛容な秩序が保たれているように見えるが、多様な混沌を統御するために暴力と暴力がぶつかり合ってきたという厳しい現実もある。本書は、第二次大戦後の独立時に起因する問題が、六人の大統領の時代を経過しながら、どう変質して今に至っているかを、丁寧にリポートするものである。
  • 信長と消えた家臣たち 失脚・粛清・謀反
    3.4
    信長は天下統一の過程で多くの配下の者を粛清した。反逆が疑われる者は無論のこと、抜擢に応えられなかった者も容赦なく切り捨てた。なぜ信長は周囲の理解を超えた過酷な処分を行ったのか。一方、趨勢が明らかにもかかわらず、結果的に少なくない数の武将が反旗を翻したのはなぜなのか。着々と進む天下統一の裏で続いていた信長と家臣、そして恭順した大名たちとの駆け引き。その生々しい局面から、信長の戦略と素顔に迫る。
  • ケネディ-「神話」と実像
    3.6
    一九六一年、四三歳で米大統領に就任し、三年後、凶弾に倒れたジョン・F.ケネディ。名家に生まれ、海軍士官、下・上院議員として活躍し、一気に頂点に登り詰めた彼は、理想を追い求めた政治家として「神話」化されている。だがその一方で、家族、宗教、女性、病魔といった問題に常に苛まれていた。本書は、虚弱だった成長期から繙き、米ソ冷戦下、政治家としてどのように時代と対峙し、生きようとしたか、その実像を描く。
  • イラク建国 「不可能な国家」の原点
    4.3
    サッダーム・フセインを放逐し、イラクに救済者として降り立ったアメリカは、民主主義という福音がこれほど無力とは思っていなかったろう。なぜ戦後復興は泥沼に陥ったのか。宗派や民族の対立、いびつな国土という混乱の種は、イラク誕生時すでに蒔かれていた。一九二一年、暴発した排外運動を封じ込めようと、苦肉の民政移管でこの人工国家を生み出したガートルード・ベルの苦悩を軸に、イラクが背負う困難を照らし出す。
  • 日本書紀の謎を解く 述作者は誰か
    4.0
    七二〇年に完成した日本書紀全三十巻は、わが国最初の正史である。その記述に用いられた漢字の音韻や語法を分析した結果、渡来中国人が著わしたα群と日本人が書き継いだβ群の混在が浮き彫りになり、各巻の性格や成立順序が明らかとなってきた。記述内容の虚実が厳密に判別できることで、書紀研究は新たな局面を迎えたといえる。本書は、これまでわからなかった述作者を具体的に推定するなど、書紀成立の真相に迫る論考である。
  • 社会変動の中の福祉国家 家族の失敗と国家の新しい機能
    3.5
    高齢化、少子化、そして女性の社会進出によって、家族に揺らぎが生じている。失われた家族の機能を代行しうるものとしては、地域社会やNPOとともに、やはり国家が不可欠である。本書は社会構造の多元性を確認しつつ、福祉、環境、社会資本を統合的にとらえる「総合的福祉国家政策」を提唱。社会的市場経済のドイツやコーポラティズムのスウェーデンなどの事例を参照しながら、日本の伝統を生かした福祉政策を考察する。
  • 天皇誕生 日本書紀が描いた王朝交替
    3.6
    神武以来、連綿と続く万世一系の皇統の歴史を綴った書物として尊重されてきた『日本書紀』。戦後はそれに徹底的な批判が加えられ、王朝交替という、万世一系とは対立する古代史が提唱されるに至った。本書は『日本書紀』の神武天皇から武烈天皇までの物語を精細に読み解き、その叙述を貫く主題・構想や歴史認識を鮮やかにあぶり出す。律令制国家として新生した日本が描こうとした天皇と国家の歴史とはいかなるものか。
  • 戦略的思考の技術 ゲーム理論を実践する
    3.8
    自分の利害が、自分の行動だけでなく、他人の行動によってどう左右されるか、という状態が戦略的環境である。その分析ツールがゲーム理論であり、ビジネス交渉はもちろん、恋人とのかけひき、朝なにを着るかといったことまで、私たちは他人の行動を織りこみつつ戦略を立て、実行している。本書は身近な題材をふんだんに使い、コミットメント、シグナリングなどゲーム理論のキーワードを解説しながら読者の戦略的思考を磨く。
  • 変貌する子ども世界 子どもパワーの光と影
    3.5
    「子ども」たちが変わってしまったといわれている。しかし、変化したのは彼らそのものではなく、戦後の半世紀で激変した社会、ひいては「子ども―大人関係」なのではないだろうか。戦後のベビーブームはかつてない数の子どもを生みだし、前例のない文化が彼らを取り巻き、育てた。学校教育、医療、テレビ、漫画、お菓子など、戦前世代と戦後世代を隔てるさまざまなことを丁寧にたどり、新しい「子ども観」と「子ども―大人」関係を探る。
  • がん遺伝子の発見 がん解明の同時代史
    3.8
    80年代になってがん研究は様変わりした。原因別のメカニズムがあると考えられていたがんは、今やがん遺伝子という共通のメカニズムで説明できるようになった。生命にとって大事な遺伝子が次々に変異を重ね、行き着いた一つの悲しい結末、それががんなのだ。がん遺伝子と抑制遺伝子の発見をめぐって熾烈な競争を繰り広げる研究者たちのドラマと、徐々に明らかになるがんの本態を、自らのがん体験をふまえてヴィヴィッドに描く。
  • 両班(ヤンバン) 李朝社会の特権階層
    3.0
    韓国では今日も、儒教の「教え」が日常生活の隅ずみまで深く浸透している。朝鮮・韓国で朱子学の受容を担ったのは両班階層であった。両班は官僚・知識人として李朝時代を通じ京師と地方の支配エリートであった。しかし両班は法制的手続きを経て制定された特権階層ではない。彼らは社会的慣習を通じ周囲から両班としての資格を認定された、相対的で主観的な階層であった。ではその資格とは? 両班の形成過程と儒教的伝統の実態を描く。
  • 魯迅 阿Q中国の革命
    4.3
    帝国主義列強に侵略され、半封建社会であった清末から民国時代の旧中国には、様々な「馬{マー}々{マー}虎{フー}々{フー}」(欺瞞を含む人間的な「いい加減さ」)が存在した。そうした「馬々虎々」は支配者によって利用され、旧社会の支配体制を支えていた。魯迅は中国民衆を苦しめてきた悪霊支配を憎み、その支配を助長する土壌を憎んだ。彼は中国社会にいまなお存在する「馬々虎々」を中国(民族)の死敵と見なし、終生それと真正面から闘いつづけた文学者である。
  • 続・神々の体系 記紀神話の政治的背景
    -
    記紀の制作主体を藤原不比等とみる大胆な仮説をもとに、前著で考察の対象となった記紀神統譜の基本構造と不比等の政治的役割について、その照応関係を多面的に解明する。そして記紀神話が奈良朝の藤原氏の権力の正統化にいかに適合していたかをきわめて説得的に論述。律令国家成立の社会史ならびに思想史を背景に、定説化した記紀の体系性とイデオロギー的性格を捉え直し、そこに律令国家のデザインとその独自性を読みとろうとする。
  • 物語 中東の歴史 オリエント五〇〇〇年の光芒
    3.8
    キリストを生みムハンマドを生んだ中東は、歴史上の転換点となった数々の事件の舞台であり、まさに世界の富と知の中心だった。ソロモン王とシバの女王の知恵くらべ。新興イスラーム勢力のペルシア帝国への挑戦と勝利。ムスリム商人による商業の隆盛と都市文化の繁栄。「蛮族」十字軍や、モンゴル帝国による進攻とその撃退。しかし、やがて地中海世界は衰退し、中東は帝国主義の蹂躙する所となる…。ドラマティックな歴史をたどろう。
  • 国際関係論 同時代史への羅針盤
    3.9
    戦争と革命の世紀、二〇世紀は轟音を響かせて転換しつつある。国家そのもののあり方とともに、国家間の関係もまた問われているのである。国際関係論という学問は、政治・経済・文化などが交錯する場である国際関係に生ずる問題を解明し、現代史の深部の潮流を捉えて未来を展望することを目指す総合的社会科学である。歴史の転換期に立つ現在、この学問は世界を見据える羅針盤となるであろう。巻末に詳細な基礎文献案内を付す。
  • 織田信長合戦全録 桶狭間から本能寺まで
    3.6
    家督を継いだ十九の年より本能寺に没するまで、織田信長は四方の敵と戦い続けた。初期には、劣勢を覆した桶狭間の戦いのように少数精鋭の部隊を自ら率いて戦い、後には、浅井・朝倉氏攻めや対本願寺戦のように、羽柴秀吉らの部将を配して多方面にわたる戦線を同時に指揮した。際だった戦巧者ぶりを示す戦略や戦術への考察も併せ行い、天下統一の基礎を作った信長のすべての戦いをたどる。
  • 定年待合室
    4.5
    上司の逆鱗に触れ「定年待合室」へ追いやられた、大手百貨店の敏腕営業マン大和田は、家族のためにと50代で早期退職した矢先に妻を喪い、生きる気力を失う。 そんななか、ふとしたきっかけで「人助け」に手を貸し始めるのだが、そこで出会った人々もまた、職場や家族でそれぞれの鬱屈を抱えていた……。ベストセラー『定年後』(中公新書)の著者・楠木新氏が「定年後の道筋のヒントを指し示す、リアルな物語」と大絶賛!
  • 古田織部 美の革命を起こした武家茶人
    3.8
    織田信長に仕えて調略の才を発揮した古田織部は、のち羽柴秀吉に従って天下取りに貢献。他方で茶の湯を千利休に学んで高弟となる。利休死後、特異な芸術センスで桃山文化に多大な影響力を及ぼし、公武にわたる広範な人脈を築いた。だが、大坂夏の陣で豊臣方への内通を疑われ、幕府から切腹を命じられる。その死の背景に、徳川政権の盤石を期す家康の思惑はなかったか――。美の世界に革命をもたらした稀有の茶人の実像に迫る。
  • アダムとイヴ 語り継がれる「中心の神話」
    4.0
    『旧約聖書』に登場する、最初の人間アダムとイヴ。二人の名前は「禁断の木の実」「楽園追放」などのキーワードとともに語られ、日本人にとっても馴染み深い。しかし彼らの物語から生まれた、文化、思想、文学・美術作品の多様さは、私たちの想像を遥かに超えるものがある。本書では、美術史的な解説・解釈にとどまらず、アダムとイヴが歴史上いかに語られ、いかに現代社会に影響を及ぼしてきたかを探っていく。
  • 旧約聖書の謎 隠されたメッセージ
    3.6
    「天地創造」をはじめとして、旧約聖書に描かれた物語は現在、その多くが神話と見なされている。だが、他方で「バビロン捕囚」のように、世界史の教科書で史実として扱われているものもある。本書では「ノアの方舟と洪水伝説」「出エジプト」「ダビデとゴリアトの一騎打ち」など七つの物語を取り上げ、その史実性を学問的に検証。物語に込められたメッセージをも読み解き、聖書が秘めた豊かな世界へと読者をいざなう。
  • 感染症の中国史 公衆衛生と東アジア
    3.7
    一九世紀末、列強に領土を蚕食されるなか、中国では劣悪な栄養・衛生状態、海外との交流拡大によって、感染症が猛威を振るう。雲南の地方病であったペストは、香港や満洲に拡大し、世界中に広がることになる。中国は公衆衛生の確立を迫られ、モデルを帝国日本に求める。本書は、ペスト、コレラ、マラリアなどの感染症被害の実態、その対応に追われる「東亜病夫」と称された中国の苦悩とその克服に挑む姿を描く。
  • 法と社会 新しい法学入門
    4.2
    社会においては個人の行動を規制し、秩序を維持していくことが不可欠であるが、これは主として「社会化」および「社会統制」という過程を通じて行なわれる。本書は、法を社会統制のための特殊な技術とみる立場からその社会的機能を論じ、法と他の文化領域――言語、神話、宗教、道徳などとの関係を明らかにする。古代社会や未開社会における社会秩序の問題にも考慮がはらわれており、従来の書とはやや異なった法学入門である。
  • 災害の日本近代史 大凶作、風水害、噴火、関東大震災と国際関係
    3.5
    東北大凶作、関東大水害、桜島大噴火、東京湾台風、そして関東大震災……。百年前の日本は、戦争だけでなく、自然の猛威により膨大な被災者を出していた。この時期は、世界各地でも巨大災害が続発。諸外国との支援をめぐる交渉が活発化し、“一等国”となった日本はその対応に迫られていた。本書は、巨大災害の実態から、対応、復興、影響、国際関係まで、民衆と国家の双方の視点から記していく。戦争で語られがちな日本近代のもう一つの現実を描く。
  • 「徴用工」問題とは何か 朝鮮人労務動員の実態と日韓対立
    3.3
    2018年秋、韓国最高裁は「徴用工」訴訟で韓国人被害者への賠償を日本企業に命じた。日本の最高裁でも、韓国の高裁でも原告敗訴だったが、なぜそれが一転したか――。本書は、日本統治下の朝鮮人労務者の実態から、今なぜ問題が浮上したかまでを描く。この問題は、歴史的事実、総動員体制、戦後処理、植民地主義、歴史認識、国際法理解、司法の性格など多岐にわたる。それらを腑分けして解説、日韓和解の糸口を探る。
  • 六国史―日本書紀に始まる古代の「正史」
    4.8
    奈良時代から平安時代にかけて編纂された歴史書「六国史」。七二〇年に完成した日本書紀から、続日本紀、日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三代実録までを指す。天地の始まりから平安中期の八八七年八月まで、国家の動向を連続して記録した「正史」であり、古代史の根本史料である。本書は、各書を解説しつつ、その真偽や魅力を紹介。また、その後の紛失、改竄、読み継がれ方など、中世から現代に至る歴史をも描く。
  • 明治維新と幕臣 「ノンキャリア」の底力
    4.0
    明治維新は、西郷隆盛・大久保利通・木戸孝允ら薩長土肥の志士が中心となって成し遂げたというイメージが強い。進取の気風に富む西南雄藩が、旧態依然たる江戸幕府に取って代わったのは、歴史的必然だったとさえ捉えられている。だが本当に幕府は無為無策で、すぐれた人材を欠いていたのか。本書は、行政実務に精通し、政権交代後も継続登用された中・下級の旧幕臣たちに光を当てるものである。明治維新への新たな視座。
  • 幕府海軍 ペリー来航から五稜郭まで
    3.6
    ペリー来航などの「西洋の衝撃」を受け、1855年に創設された幕府海軍。長崎海軍伝習、勝海舟らによる咸臨丸の太平洋横断航海、幕長戦争などを経て近代海軍として成長してゆく。鳥羽・伏見の戦いにより徳川政権は瓦解し、五稜郭で抵抗を続けた榎本武揚らも敗れて歴史的役割を終えるが、人材や構想などの遺産は明治海軍へと引き継がれた。歴史研究者・現役海上自衛官の二つの顔を持つ筆者が、歴史と軍事の両面から描く。
  • 不倫―実証分析が示す全貌
    3.9
    既婚者が配偶者以外と性交渉をもつことを指す「不倫」。毎月のように有名人がスクープされる関心事だが、日本では客観的な研究がほとんどない。本書では、気鋭の社会学者と経済学者が大規模調査を敢行。実験的手法や海外の先行研究も活用して実態に迫る。経験者は何%か。どんな人が不倫しやすいのか。どこで出会い、いかに終わるか。家族にどんな影響があるか。誰が誰をバッシングするのか。実証分析により解き明かす。
  • 「美味しい」とは何か 食からひもとく美学入門
    3.0
    あるものを「美しい」「醜い」など評価するとき、私たちは何を考えているのか。評価を下す基準となる「センス」とは。こうしたことを考える学問が美学だ。本書は絵画や音楽ではなく、身近な食事からその扉を開く。「美味しい」「まずい」という評価は人それぞれ? レビューサイトの情報があると、純粋に食事を楽しめない?美食の感動は言葉にすべきじゃない? インスタントラーメンは芸術か? やさしくも奥深い美学入門。
  • 肝臓のはなし 基礎知識から病への対処まで
    4.3
    現代の日本人は、四~五人に一人の割合で、肝機能に異常があるとされる。「沈黙の臓器」である肝臓の異変に気づかぬまま、慢性の病で死に至る場合も多い。本書では、健康診断以外で意識しづらい肝臓について、基礎知識をイチから解説。飲酒やダイエットとの関係、健診項目の見方、主な肝臓病と最新の治療などを、医学史の流れをふまえつつ紹介する。健康な毎日のために知っておきたい、人体最大の臓器をめぐる医学講義。
  • 資本主義の方程式 経済停滞と格差拡大の謎を解く
    4.4
    順調に成長を続けた日米欧経済はなぜ長期停滞や格差拡大に陥ったのか。従来の経済学ではうまく説明できない。本書ではお金や富の保有願望=「資産選好」に注目し、経済が豊かになるにつれて人々の興味が消費から蓄財に向かい、経済構造が大きく変貌した経緯を解明。高度成長期を支えた従来型の金融緩和や構造改革、減税やバラマキ、教育方針が、今では無意味か逆効果であることを明らかにし、低成長時代の経済政策を提言する。
  • 江戸―平安時代から家康の建設へ
    4.0
    徳川家康が入城し、将軍の本拠地として大都市へ変貌した江戸。その始まりは平安時代末、秩父平氏一族の江戸氏が拠点を置く低湿地だった。太田道灌の江戸城築城、戦国大名北条氏の支配を経て、入府した家康の大工事によって、城と町は発展を遂げる。江戸の繁栄はいかにして築かれたのか。本書では新知見をふまえ、中世から近世への変遷過程を解明。平安時代の寒村から、豪華絢爛な都市が成立するまでの500年を描き出す。
  • サウジアラビア―「イスラーム世界の盟主」の正体
    3.9
    1744年にアラビア半島に誕生したサウジアラビア。王政国家、宗教権威国、産油国の貌を持つキメラのような存在だ。王室内の権力闘争や過激主義勢力との抗争、石油マネーをめぐる利権により、内実はヴェールに包まれている。中東の新興国はいかにして「イスラーム世界の盟主」に上りつめたのか。宗教・経済・女性問題は克服できるか。イスラームの国家観と西洋近代の価値観の狭間で変革に向かう、大国の実像を描き出す。
  • 北条義時 鎌倉殿を補佐した二代目執権
    3.9
    北条義時は十八歳で突如、歴史の表舞台に立たされる。義兄の源頼朝が平家追討の兵を挙げたのだ。義時は頼朝の側近として鎌倉幕府の樹立に貢献。頼朝没後、父時政に従い比企氏ほか有力御家人を排斥する。さらには父を追放して将軍補佐の執権職を継ぎ、甥の将軍実朝と姉政子を支えて幕政を主導。後鳥羽上皇と対決した承久の乱で鎌倉勢に勝利をもたらした。公武関係の変遷を辿り、武家優位の確立を成し遂げた義時の生涯を描く。

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