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日々の暮らしや仕事の課題、さらには大きな社会問題まで、その解決策は行動経済学にある。急速に普及したテレワークで生産性を上げるには? 新型コロナウイルス感染症対策と経済活動を両立させる方策とは? 偏見や思い込みへの対応は? 最低賃金の引き上げは所得向上につながる? 目の前に立ちはだかる大小の課題に、私たちが何気なく行ってしまう〝非〟合理な選択に、最新の経済理論を駆使して処方箋を示す。
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Posted by ブクログ
日本の時事的な話題や社会問題について、行動経済学を用いた考え方を知ることができる本。個人的に経済学というとなんとなく敬遠してきてしまっていたが、とても読みやすく、面白かった。 特に、人文学や社会科学を税金を使って大学で教育・研究する意味については、こんなことまで行動経済学で説明するのか!という驚きと...続きを読む同時に非常に腑に落ちた。
新型コロナウイルス感染症対策分科会に参加していた経済学者の方のご著書。文化人類学者の磯野真穂さんの「コロナ禍と出会い直す」にて紹介されており、興味を持って手に取った。内容は一般的な行動経済学の入門書といったもので、一部コロナ対策についても言及がある。コロナ禍における政府の対応および私たち市民の反応に...続きを読むついての反省や振り返りにもう少し重きを置いていたほうが、より読み応えがあった様に思う。 人々は自由にさせておけば放っておいても合理的な選択をするであろうと考える伝統的経済学と異なり、人々は様々なバイアスや計算能力の限界により非合理的な選択をしうると考える行動経済学は、合理的な行動をするためのアドバイスに満ちており、「役に立つ」学問と言える。法学や経済学、理系の学問に比して、人文学や社会科学は「役に立たない」と言われがちで、公的資金を投下して振興すべきでないという議論がしばしば立ち上がる。 経済学では、税負担をもとに政府が行うべきこととして、①行動に正の外部性があること、②所得再分配を目的とするか、借り入れ制約があることの二つが定義されているという。金水敏氏によれば、人文学は「人生の岐路に立たされたときにより良い意思決定ができる」という意味で「役に立つ」。個人がより良い選択ができるようになることは、社会全体のより良い選択につながるため、「公共選択の改善」という外部性があると言うことができる。また、個人の選択ミスから発生する社会問題や犯罪を減らしたり、社会保障の必要性を減らす意味で、「財政支出の削減」という外部性があるとも言える。 今までどちらかというと、学問を「役に立つ/役に立たない」という基準で測ること自体がナンセンスだと思っていたが、税金を使って研究のための人件費や設備費を賄う以上は、説明責任があり、そこにも経済学は「使える」のだなぁと感心した。 行動経済学は流行りの学問で、本も何冊も読んできたが、人間の直感的な印象や判断がいかに脆弱であるかを毎回思い知らされるし、物事をいろんな側面からじっくり考えることの重要さや、「いろんな側面」から見るための視点を私たちに与えてくれる。
時勢柄、コロナ禍にややウエイトが置かれているが(逆に言うとそれだけ行動経済学の視点で議論できる事例が多いのだろうが)、様々な事例を行動経済学の観点から議論している。 行動経済学そのものについて解説しているわけではないが、基礎知識が無くても十分理解できるだろう。
コロナ禍終盤の2022年の本なので、コロナ絡みの章が半分程。どうしても興味が薄くなってしまったが、それだけ身近な話題に行動経済学をどう生かし得るか、という面では分かりやすくはあった。 リモート会議はブレストには向かないが、多くの案からベストの案を選ぶには適している、という実証研究の結果は、感覚とは...続きを読む合う。 最終章の神社仏閣に関する考察では、神社は地縁、仏閣は血縁を強化することを通じて、ソーシャル・キャピタルを高める点では共通だが、神社は居心地の良さがひとの流動性を低め経済に悪影響を与える面があることが観察されている一方、仏閣はひとへの信頼全般を高め、信用経済の拡大に貢献し得る、という違いがある点、とても意外な違いだった。
伝統的な経済学では、人びとは合理的に行動しているので経済がうまく回らない時にだけ政府が介入すればよいと考える。一方、必ずしも人びとが合理的に行動しないのであれば、行動経済学を用いてよりより意思決定の支援をすることができる。 本書は、著者がコロナ新型コロナウイルス感染症対策分科会の委員を務めた経験から...続きを読む、感染予防の対策を引き合いに行動経済学の立場からよりよい行動への処方箋を提示する。行動経済学の知見を政策に活かす実地の取り組みなどを垣間見ることができ、興味深い。
大学の教養で経済学を学んだのは随分昔だが、現実をそんな数式にして、何が判ってたつもりになってんねやろ、と思って、なんも役に立たん学問と思ってしまったのは事実だ。 が、経済に関わる人が、非合理的な存在であって、それを理解して具体的に対策に活かしていこうという行動経済学。 これは面白い。 認知心理学と...続きを読むか社会学とかの研究結果も当然反映しているというか、反映せざるを得ない。 本としては大上段でもなく、具体的な事象にどう対応するかっていうところを語ったり、コロナ対応、テレワーク、最低賃金の引き上げの効果など、まさに今話題になっていることも行動経済学の視点で説明する。 なかなかに面白い。
心理学+経済学=行動経済学ってこと。人間が合理的判断をするとは限らないことを踏まえた学問で、言われてみればその通りってことが多い。 特に「デフォルトの状態を変えれば解決につながる」はその通り。難しいけどね。最終章で人文科学や社会科学の意義について「反事実的思考力を養う」とするのは説得力があるよね。
ダン・アリエリーの、実験満載の「行動経済学」本に慣れてたから、そういった具体的なエピソードの日本版を、もう少し書いて欲しかったかな。
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