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デマ、流言、口コミ、風評、都市伝説・・・・・・。多様な言葉を持つうわさ。この「最古のメディア」は、トイレットペーパー騒動や口裂け女など、戦後も社会現象を巻き起こし、東日本大震災の際も大きな話題となった。事実性を超えた物語が、人々のつながり=関係性を結ぶからだ。ネット社会のいまなお、メールやSNSを通じて、人々を魅了し、惑わせるうわさは、新たに何をもたらしているのか――。人間関係を噂から描く意欲作。
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Posted by ブクログ
うわさや風評被害はメディアの特性に大きく関係していた。 2014年出版なので、少し古い感はあるけど、うわさ・流言の特質はとてもよくわかる。 たくさんの参考文献を紹介しながら、わかりやすく書かれていた。 デマやうわさに惑わされないには、自分ごととして考えられる想像力。 新型コロナで混乱している今に...続きを読むぴったりの本だった。
情報とうわさの決定的な違いが分かった。情報は伝達することで授受することが目的だが、うわさは伝達そのものが目的。良くも悪くも伝達という行為で人はつながっていたい。だからそこにうわさというものが存在する。
うわさの発生や影響力など。事例やデータが多め。2014初版 合理的な行動が引き起こす予期せぬ結果、興味深い。
思っていたよりもライトな本だった。 個人的には、 『教養主義の没落』のようなヘビーさを勝手に想定していたので、 こんなもんか、 という気分だ。 しかし、 うわさとSNSとの関連が論じられている本はおそらく(存在したとしても)数少ないだろう。 一読する価値はあったと思う。
うわさといっても、芸能ネタから風評、都市伝説等色々とある。そんな中、そもそもうわさとは何処から始まり、どうやって広まっていくのかを具体的な事例を挙げながら説明している。 現在は昔と違い、インターネットやメールといったものがあるため、風評被害含めてあっという間に広がり、あっという間に収束する特徴があ...続きを読むる。また、なるほどと思ったのが、この広がりはパニックが原因ではなく、念のため知らせるや念のためやっておくといったどちらかといえば善意から発生している。しかし、その内容は各個人の考えが入ることで歪曲したものとなっている。 だから話がどんどんデカくなっていくのだろう。 こういったうわさの見極め方については、正直、冷静に耐性を持って対応するしかないとのこと。なぜなら、うわさは人間同士のつながりを持たせ、関係性を構築する重要な用件の一つだから。
噂というと悪いイメージが強かったけど、本書は噂の良い側面と悪い側面の両方を取り上げていて面白かった。人の悪口や自己顕示欲を満たしたいがためのホラ話など、悪意のある噂が拡散する反面、役に立つ情報を他人にも教えてあげたいという善意からくる噂もあり、そうした噂が人々の関係性を新しく生んだり、既存の関係性...続きを読むをより強固なものにしたりと、プラスの働きをすることもあるというお話に納得。噂の本質を見極める判断力を持ちつつ、人間関係を円滑にするための良い噂を上手に利用して、これから過ごしていけたらいいと思う。
≪目次≫ 第1章 うわさの影響力 第2章 うわさを考えるー「古典」を繙く 第3章 都市伝説の一世風靡ー1980~90年代 第4章 人と人をつなぐうわさ・おしゃべり 第5章 メディアとの関係ーネットとケータイの普及の なかで 第6章 ネット社会のうわさー2010年代の光景 ≪内容...続きを読む≫ 「古典」的な研究から現代のネット社会までを見通した「うわさ」の概説書。非常に教科書的でわかりやすい。 通常の「うわさ」に対する悪い印象(関東大震災時の朝鮮人暴動ネタなど)だけでなく、東日本大震災時のボランティアの話など、が斬新だったし、「うわさ」とコミュニケーションとの関係(対人関係の潤滑油的要素)なども気がつかなかった話だった。
フランスの社会学者ジャン-ノエル・カプフェレはうわさを「もっとも古いメディア」と呼んだ。ネットというツールの生まれた今、人々を惑わすうわさは、新たに何をもたらすのか。
本書を読んで興味深かった点をいくつか下に記す。 ①「朝鮮人来襲説」 関東大震災後、日本にて流布したうわさ。最初は「朝鮮人が放火している」という話からはじまったそうだが、つぎには「井戸に毒を投げこんでいる」という内容に飛躍、さらに「朝鮮人が襲ってくる」というふうに変化した。このうわさに日本各地で...続きを読む自警団が組織され、最終的には「自衛」と称して朝鮮人やそれらしき人が虐殺されるに至った。とくに、朝鮮人が「井戸に毒を投げこんでいる」といううわさは、中世にユダヤ人が迫害され虐殺された際に蔓延したものとまったく同じ文句である。 ②うわさの公式 ゴードン・W・オルポートとレオ・ポストマンの共著『デマの心理学』によれば、うわさの強さ(流布量)=当事者に対する問題の重要さ×そのうわさについての証拠のあいまいさ、という公式が成り立つという。著者は、この公式が掛け算となっていること、すなわちどちらがかけてもうわさは成長しないことに注目する。 うわさを科学してみるというべきか、たかがうわさなれど、冷静に分析するとじつにおもしろい社会現象である。いつの時代にもうわさはあり、歴史には明記されず仕舞いがほとんどだが、事件の背後にはかならずうわさがある。目にはみえないが大きな影響力をもつこの媒介物に視点をおくことで、いままで表面的にしかみえなかったものがより立体的に理解できるようになるかもしれないという期待感をもった。 ③うわさはときとして真実を語る 清水幾太郎は『流言蛮語』にて、言論統制下のために顕在化が禁じられた世論が流言蛮語として流出するとする。対して、体制化にとって不都合な情報が「うわさ」とされることもあることを指摘する。こうなると、うわさはときとして真実の叫びにもなる。 ④うわさは人と人との関係を結ぶ 著者は、共通の話題として、関わり合いの薄い人とでもうわさ話なら話がつづくという。気持ちの共有への欲求が、うわさ拡散の原動力となる。本書によれば、戦時下や災害時にうわさが流れやすいようだが、極対極となる際にうわさがはたす役割は大きいように思う。うわさは人をまとめる力があるが、そのうわさには仮想敵が存在する場合が多い。ユダヤ人しかり、朝鮮人しかり、だれかが自分たちの不幸を招いているというようなうわさがそれだ。うわさはよくもわるくも、社会の鏡となって人の心を映すようである。 ⑤「連絡可能な知り合い」 若者を中心として、連絡先に登録されている件数が実際の友人数より圧倒的に多いことについて、著者は「連絡可能な知り合い」の増加ととらえ、「ケータイが電話以上に手軽で維持したい”つながり”=関係性を維持するために用いられていた」とする。著者の見解をあやまっているとは考えないが、はたして実際につながる連絡先はいくつあるだろうか。実際に連絡をしたことがある人はそのうちの何人なのだろうか。わたしも若者のひとりとして体感していることなのだが、連絡先の件数、SNSの友人数ほどあやしいものはない。ここで考察すべきなのは、なぜそうまでしてたくさんの連絡先を登録し、それを維持しようとするのかということではないか。著者は、うわさの肯定的な要素として、人と人とのつながりを生むことを説くが、そのつながりこそが若者をある種の強迫観念に晒す凶器になりうる場合もあるだろう。 以上、著者によって紹介された例や古典の名著などはどれも興味深く、より深く知りたいと思った。
戦時中に流行ったうわさや、 70年代にはみんなが知っていた口裂け女のうわさ、 銀行破たんのうわさから、当て逃げ集団のうわさ、 ワンギリで大金の請求がくるといううわさなどなど、 一度は耳にしたことのある、 そして、もしかすると、 いまでもそれは本当だったのだ、 と記憶しているようなものまでを扱って う...続きを読むわさを見ていくような本です。 全6章からなっており、 最後の6章目は現代に入ってからの、 込み入っていて、そして身に覚えのある身近なうわさの メカニズムを解いていくような内容になっています。 とはいえ、うわさの起こる動機など、 うわさが生じるときの精神分析的な解析は行われていません。 精神学的というよりは、心理学的で社会学的な性格の論考でした。 著者はケータイなどのコミュニケーションについて、 学識に優れているひとらしく、 インターネット以後のコミュニケーションについての解説が、 わかりやすく深かったです。 たとえば、メールの非同期性と記録性といった面から、 メールの情報を伝えるメディアとしての性質、 そして、メールでのコミュニケーションの性質をあかるみに出し、 そういった面から、うわさの発生の仕方、 伝達の仕方などを解いていく。 インターネットの場合でも、 その記録性や、増殖性、などを見ていって、 うわさの伝達、発生、終息までを解いていきます。 そういうところは一番おもしろかったです。 ただ、本書の大半は、インターネット以前のうわさについてのものでもあり、 そこらあたりに物足りなさを感じる人もいるかもしれない。 しかし、うわさというのは、ただ情報を伝えるばかりではなく、 ひととのコミュニケーションのネタとして役立つ面があったり、 「おわりに」で書かれているように、 ___ 情報であると同時に、事実性を超えた「物語」である。 ___ ということでもあるようです。 本書半ばでは、 コミュニケーションは、道具的な面と自己目的的な面とがあると 教えてくれるところがあります。 道具的な面とは、情報の伝達としての役割を意味し、 自己目的的な面とは、情報の中身など実はどうでもよくて、 なにか言葉を交わし合うこと自体、その行為に意味があるということでした。 この自己目的的な面については、 T・カポーティが『草の竪琴』で書いた言葉、 (これはこのブログで何度か紹介していると思います) ___ 話の内容というのはさして大切なものではないんです。 大切なのは、信頼をもって話し、共感を抱いてそれを聞く、 そこにあるんですよ」 ___ が、如実にその意味するところを表現しています。 また、本書では、うわさとともに、 終盤では風評被害についても扱っています。 0と1という分け方でリスクをみるのではなくて、 0と1のあいだのグラデーションでリスクをみるという あいまいさに対する耐性が大事だという結論で、 興味のある方はぜひ読んでほしいところです。 デマ、都市伝説、ゴシップ、流言…。 いまなお、そしてきっとずっと未来まで、 そういったものがつきないのが、 人の世なのかもしれません。 こういう本を読むことで、 ちょっと引いた感覚で、 これからは口コミの話題に触れるようになれるかもしれない。 翻弄されすぎないために、知っておきたいこと、 ですよね、この分野って。
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