作品一覧 2020/04/28更新 うわさとは何か ネットで変容する「最も古いメディア」 試し読み フォロー コロナ直撃 世界激変 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> 松田美佐の作品をすべて見る
ユーザーレビュー うわさとは何か ネットで変容する「最も古いメディア」 松田美佐 うわさや風評被害はメディアの特性に大きく関係していた。 2014年出版なので、少し古い感はあるけど、うわさ・流言の特質はとてもよくわかる。 たくさんの参考文献を紹介しながら、わかりやすく書かれていた。 デマやうわさに惑わされないには、自分ごととして考えられる想像力。 新型コロナで混乱している今に...続きを読むぴったりの本だった。 Posted by ブクログ うわさとは何か ネットで変容する「最も古いメディア」 松田美佐 本書を読んで興味深かった点をいくつか下に記す。 ①「朝鮮人来襲説」 関東大震災後、日本にて流布したうわさ。最初は「朝鮮人が放火している」という話からはじまったそうだが、つぎには「井戸に毒を投げこんでいる」という内容に飛躍、さらに「朝鮮人が襲ってくる」というふうに変化した。このうわさに日本各地で...続きを読む自警団が組織され、最終的には「自衛」と称して朝鮮人やそれらしき人が虐殺されるに至った。とくに、朝鮮人が「井戸に毒を投げこんでいる」といううわさは、中世にユダヤ人が迫害され虐殺された際に蔓延したものとまったく同じ文句である。 ②うわさの公式 ゴードン・W・オルポートとレオ・ポストマンの共著『デマの心理学』によれば、うわさの強さ(流布量)=当事者に対する問題の重要さ×そのうわさについての証拠のあいまいさ、という公式が成り立つという。著者は、この公式が掛け算となっていること、すなわちどちらがかけてもうわさは成長しないことに注目する。 うわさを科学してみるというべきか、たかがうわさなれど、冷静に分析するとじつにおもしろい社会現象である。いつの時代にもうわさはあり、歴史には明記されず仕舞いがほとんどだが、事件の背後にはかならずうわさがある。目にはみえないが大きな影響力をもつこの媒介物に視点をおくことで、いままで表面的にしかみえなかったものがより立体的に理解できるようになるかもしれないという期待感をもった。 ③うわさはときとして真実を語る 清水幾太郎は『流言蛮語』にて、言論統制下のために顕在化が禁じられた世論が流言蛮語として流出するとする。対して、体制化にとって不都合な情報が「うわさ」とされることもあることを指摘する。こうなると、うわさはときとして真実の叫びにもなる。 ④うわさは人と人との関係を結ぶ 著者は、共通の話題として、関わり合いの薄い人とでもうわさ話なら話がつづくという。気持ちの共有への欲求が、うわさ拡散の原動力となる。本書によれば、戦時下や災害時にうわさが流れやすいようだが、極対極となる際にうわさがはたす役割は大きいように思う。うわさは人をまとめる力があるが、そのうわさには仮想敵が存在する場合が多い。ユダヤ人しかり、朝鮮人しかり、だれかが自分たちの不幸を招いているというようなうわさがそれだ。うわさはよくもわるくも、社会の鏡となって人の心を映すようである。 ⑤「連絡可能な知り合い」 若者を中心として、連絡先に登録されている件数が実際の友人数より圧倒的に多いことについて、著者は「連絡可能な知り合い」の増加ととらえ、「ケータイが電話以上に手軽で維持したい”つながり”=関係性を維持するために用いられていた」とする。著者の見解をあやまっているとは考えないが、はたして実際につながる連絡先はいくつあるだろうか。実際に連絡をしたことがある人はそのうちの何人なのだろうか。わたしも若者のひとりとして体感していることなのだが、連絡先の件数、SNSの友人数ほどあやしいものはない。ここで考察すべきなのは、なぜそうまでしてたくさんの連絡先を登録し、それを維持しようとするのかということではないか。著者は、うわさの肯定的な要素として、人と人とのつながりを生むことを説くが、そのつながりこそが若者をある種の強迫観念に晒す凶器になりうる場合もあるだろう。 以上、著者によって紹介された例や古典の名著などはどれも興味深く、より深く知りたいと思った。 Posted by ブクログ うわさとは何か ネットで変容する「最も古いメディア」 松田美佐 情報とうわさの決定的な違いが分かった。情報は伝達することで授受することが目的だが、うわさは伝達そのものが目的。良くも悪くも伝達という行為で人はつながっていたい。だからそこにうわさというものが存在する。 Posted by ブクログ うわさとは何か ネットで変容する「最も古いメディア」 松田美佐 うわさの発生や影響力など。事例やデータが多め。2014初版 合理的な行動が引き起こす予期せぬ結果、興味深い。 Posted by ブクログ うわさとは何か ネットで変容する「最も古いメディア」 松田美佐 思っていたよりもライトな本だった。 個人的には、 『教養主義の没落』のようなヘビーさを勝手に想定していたので、 こんなもんか、 という気分だ。 しかし、 うわさとSNSとの関連が論じられている本はおそらく(存在したとしても)数少ないだろう。 一読する価値はあったと思う。 Posted by ブクログ 松田美佐のレビューをもっと見る