松田美佐のレビュー一覧
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ネタバレ本書を読んで興味深かった点をいくつか下に記す。
①「朝鮮人来襲説」
関東大震災後、日本にて流布したうわさ。最初は「朝鮮人が放火している」という話からはじまったそうだが、つぎには「井戸に毒を投げこんでいる」という内容に飛躍、さらに「朝鮮人が襲ってくる」というふうに変化した。このうわさに日本各地で自警団が組織され、最終的には「自衛」と称して朝鮮人やそれらしき人が虐殺されるに至った。とくに、朝鮮人が「井戸に毒を投げこんでいる」といううわさは、中世にユダヤ人が迫害され虐殺された際に蔓延したものとまったく同じ文句である。
②うわさの公式
ゴードン・W・オルポートとレオ・ポストマンの共著『デマの -
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ネタバレ戦時中に流行ったうわさや、
70年代にはみんなが知っていた口裂け女のうわさ、
銀行破たんのうわさから、当て逃げ集団のうわさ、
ワンギリで大金の請求がくるといううわさなどなど、
一度は耳にしたことのある、
そして、もしかすると、
いまでもそれは本当だったのだ、
と記憶しているようなものまでを扱って
うわさを見ていくような本です。
全6章からなっており、
最後の6章目は現代に入ってからの、
込み入っていて、そして身に覚えのある身近なうわさの
メカニズムを解いていくような内容になっています。
とはいえ、うわさの起こる動機など、
うわさが生じるときの精神分析的な解析は行われていません。
精神学的とい -
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うわさといっても、芸能ネタから風評、都市伝説等色々とある。そんな中、そもそもうわさとは何処から始まり、どうやって広まっていくのかを具体的な事例を挙げながら説明している。
現在は昔と違い、インターネットやメールといったものがあるため、風評被害含めてあっという間に広がり、あっという間に収束する特徴がある。また、なるほどと思ったのが、この広がりはパニックが原因ではなく、念のため知らせるや念のためやっておくといったどちらかといえば善意から発生している。しかし、その内容は各個人の考えが入ることで歪曲したものとなっている。
だから話がどんどんデカくなっていくのだろう。
こういったうわさの見極め方につい -
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≪目次≫
第1章 うわさの影響力
第2章 うわさを考えるー「古典」を繙く
第3章 都市伝説の一世風靡ー1980~90年代
第4章 人と人をつなぐうわさ・おしゃべり
第5章 メディアとの関係ーネットとケータイの普及の なかで
第6章 ネット社会のうわさー2010年代の光景
≪内容≫
「古典」的な研究から現代のネット社会までを見通した「うわさ」の概説書。非常に教科書的でわかりやすい。
通常の「うわさ」に対する悪い印象(関東大震災時の朝鮮人暴動ネタなど)だけでなく、東日本大震災時のボランティアの話など、が斬新だったし、「うわさ」とコミュニケーションとの関係(対人関係の潤滑油的要