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米国の政治哲学者ジョン・ロールズ(1921~2002)。1971年刊行の『正義論』において、独創的な概念を用いて構築した「公正な社会」の構想は、リベラリズムの理論的支柱となった。「平等な自由」を重視する思想はいかに形成されたか。太平洋戦線における従軍体験、広島への原爆投下の記憶がロールズに与えた影響とは。最新資料から81年の生涯を捉え直し、思想の全体像を解読。その課題や今日的意義にも迫る。
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Posted by ブクログ
政治哲学。これまで何の違和感もない単語だったが、これを読むといかに座りの悪い組み合わせであるかがわかる。理想を突き詰める哲学と、現実社会においてある種の妥協を要請する政治。ただ政治も確固とした哲学を土台としたものでなければ安定性を欠いてしまう。ロールズはこの難しいバランスを哲学的な方法でバランスさせ...続きを読むた。ただ、それも限界がある。運の平等性を追求していけば、やがて結果の平等につながり、共同体成員の承認が得られなくなる。最後は「まぁこれなら多少自分に不利でも納得できるかな」と言う感覚的な落とし所を探ることになる訳で、政治への哲学の受け入れは八分目くらいに留めておかないと、いつかおかしな方向に進んでしまう。ロールズのアイデアを突き詰めて行けば共産主義になるわけだが、理念を追い求めすぎると失敗する。逆に「今だけ、カネだけ、自分だけ」の功利主義(=自民党政治)もいつか限界が来る。いや、既に限界を超えているかも知れない。 とにかく国政から地方自治体に至るまで、政治を生業にしている人はすべからく読んだ方が良い。
正義論や政治的リベラリズムを紐解くのは荷が重いなか、功利主義以外の妥当な政治哲学のオプションとして外せないジョンロールズを一旦俯瞰することができた。 読んでみると、上記に該当するロールズの試みは特に正義論という感じであり、射程の長い基礎理論として、分析哲学的道具立てからアプローチしているように思え...続きを読むる。 他方、実際の政治的複雑さは当然にシンプルな前提から導出される正義論の範疇には収まらず、以後の著作で射程を限定したなかで立憲デモクラシーを擁護することになったと解される。 リベラリズムというイデオロギーの擁護(もちろん、リベラリズムがその性質上特定のイデオロギーの擁護を所与とせず、ロールズ流に言えば「合理的理性」により多元的な価値観のなかの共通する部分を以って正義となすのだとは承知するとして)に特に関心のない私にとっては、本書で説明されるロールズがたとえいかほどにアクチュアルだと説かれても、正義論より後のロールズには強い関心を持てなかった。
個別事例に功利主義を直接適用することは、カテゴリーミステイク(行為功利主義) 個々の事例を意味づける制度やルールの評価にこそ功利主義は有効(規則功利主義) ロールズにとってあるべき社会とは、個人を超えた有機体や、個人をパーツとする機会ではなく「公正なゲーム」とのアナロジーで捉えられる。 各人に自...続きを読む己実現のチャンスを公正な仕方で与える場合、社会は理にかなったものになる ロールズは功利主義の擁護者から批判者に 「無知のヴェール」 「コミットメントの負荷」 「功利主義は諸個人のあいだの違いを真剣に受け止めていない」 どのような善の構想を持つ人であっても受容可能な「公正としての正義」 実際の市民が正義のルールを自分自身の価値観にもとづいて支持すること「正と善の合致」 市民が備えるべき道徳的能力 「合理性」=特定の価値観を持ち、それを修正し、合理的に追求する能力 つまり合理性を持つ市民は、外部からの命令に縛られるのではなく、自分で自分の生き方を選ぶことができる。 「道理性」=「正義感覚」への能力、すなわち他者を配慮して公正な社会的協働のルールを受け入れる能力であり、これによって市民は平等な存在になる 「運の平等主義」=各人が自分で選択した事柄については各人の責任を問うことができ、逆に各人が選択したのではない事柄については責任を問うことができない。したがってそれに起因する不利は社会が保障すべき ロールズの政治哲学全体をみちびく方法論 「反照的均衡」=一定の前提から導かれた「原理」と「熟慮された判断」を相互に照らし合わせ、互いの間に食い違いがないかどうかを検討し、それらの均衡を探るもの 正義の構想は既に完結したものとして提示されるのではなく、さらなる問題発見と修正にひらかれたものとして位置付けられている 自由の優先性の論証は、原初状態の当事者がそれを選択するだろう、ということによって示されていた。 すなわち、無知のヴェールを被っているため、当事者は「経済的利益がとても大きいが基本的自由が侵害されている社会」ではなく、「経済的利益ぐそこまで大きくないが基本的自由が保障されている社会」を合理的な好きなの推論によって選択するだろう。 しかしこれは必ずしも成り立たない。 近代化や社会的発展が十分すすんでいない状況では、後者ではなく前者のような社会を選択することが合理的であるかもしれないから。 まずは「富国」しかるのちに「民権」 政治権力とは、共通善のために公平に行使されるべき公共的権力である ロールズの考える秩序だった社会においては、カント的な価値観のみが完全に認められるということになる。 つまり、カントの言う自律(正しい道徳に常に心から従って行為すること)を支持できるような人だけが正と善の合致を実現できる。これは明らかに多様な価値観の肯定というそもそもの前提に矛盾する 市民は一群の「政治的価値」を共有することによって、「包括的価値」へのコミットメントにおいては互いに分たれながらも、安定した政治社会を築き、維持することができるというものである。 ロールズのいう「政治的リベラリズム」とは、多元的な価値観のいずれかに依拠するのではなく、さまざまな価値観からまさしく多元的に支持されうる政治的価値にもとづいて制度を編成し生じうる抗争を扱う思想と実践をさす。 「政治的リベラリズム」と「平等主義的リベラリズム」が擁護される政体を「立憲デモクラシー」と表現する
『正義論』のとこまで読んだけどたいへん立派だと思う。ロールズについていままで読んだなかで一番すっきりしている。
ロールズの考え方の全体像をザクッと把握することができたように思います。 「ヒロシマから50年」読み直してみようと思います。
自由で平等な社会とはどんなものなのか、今一度確認したいと思い読みました。 「自由で平等な市民であり続けたければ、われわれは私的生活へ総退却するわけにはいかない。」という言葉が印象的でした。 公的、社会的な問題に対して我々一人ひとりが問題意識を持ちながら議論し続けることが重要であると認識しました。
みんな大好き無知のヴェールで有名なロールズだけれども、その生涯はほとんど知らなかった。リベラル・コミュニタリアン論争の印象に比して若い頃は神学を修めていたというのは意外だったけれど、従軍含めた戦争体験を通じて神の完全性を掲げるキリスト教から離れたというのは納得。 相対主義からの決断主義が跋扈する時代...続きを読むに公正や社会的正義というものを正面から論じたということの意義は、格差の拡大が進む現代人においてますます大きくなっているように思う。 ボードゲーマーとしては無知のヴェールあたりの議論がボードゲームデザインの話にも通ずるというかこの辺からもう少し親しみやすい論じ方を自分なりにできないものかと思う
ロールズ ・正義論は3つの原理の明確な優先順位で構成されている。これがあらゆる人/社会にとって前提にできるかが問題になった。 1.自由な平等の原理(ただし、あらゆる自由ではなく、道徳的能力実現の要請と過去の歴史から選ばれた限定列挙された自由) 2.公正な機会平等の原理 3.格差原理 これには、本質...続きを読む的な矛盾がある。多元的な善を構想することが目的なのに、唯一の正義を必要としてしまう。 この問題について、唯一の正義を前提にするためカントの議論に深化していったのが初期、政治的転回で政治的の問題として、かさなりあうコンセサスにシフトしていったのが後期という説明はクリアで分かりやすかった。 万民の法でも、同じように各国が満たすべき法をいくつか挙げているようなスキームになっているが、やはり、なぜそれが前提にできるか、それぞれの項目を見ても 西欧中心主義に感じるところで、合意が得られにくいように感じるので同じ問題を抱えていると思われた(西側諸国の協定としてなら有効そうだが、万民ではない) まとめのなかで、ロールズの理論は理想世界の議論で現実にやくにたたないといったものもあるようである。 もちろん、このように影響が大きかった理論が、(単純に現実社会で)役に立たないというのは乱暴に思うが、 ロールズの問題意識は、現代的なグローバルを意識した一般性というより、 平等や公正がいまよりも未熟であった50年代のアメリカを対象(アメリカにおける正義の構想)なのではないかという指摘はなるほどと思った。 ーーーーーーーーー 社会の基盤となる正義について、普遍的な視点から探った正義論の前半から、社会の成員の重なり合うコンセサスとして合意可能な正義を探った、政治的リベラリズムを含む後半を、社会で合意される正義を巡る共通のテーマであることの視点から解説してあり、たいへん分かりやすい。サンデル、等についてロールズの問題意識を軸に自身の理解や議論の位置づけができる。
2023.04.17 予想通り、難しかった。一回で、一冊で理解できるような代物ではないので、色々とアプローチしたいと思う。
ロールズについて全く知らない人にとっては訳が分からないかもしれない。大学生で初めてロールズという名前を聞いた学生ならばなおさらである。 しかし、ロールズの著書を読んで理解できず、ロールズについて少しは知りたいという人にとっては役に立つと思われる。
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