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震災後のいま、原発依存からの脱却、経済の復興と発展、地球温暖化対策が大きな課題となっている。「自然エネルギーは原発の代替にならない」「これ以上の省エネの余地はない」「温暖化対策は経済発展をさまたげる」等の懐疑論もあるが、制約を転じて発展に変える発想が必要である。ドイツやデンマークなど諸外国や国内先進地である北海道の事例を紹介・検証しながら、理想と現実を繋ぐロードマップを提示する。
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Posted by ブクログ
グリーン・エコノミー - 脱原発と温暖化対策の経済学を読みました。 震災後のいま、大きな争点となっている原発依存からの脱却と再生可能ネルギーの拡大は「自然エネルギーは原発の代替にならない」「これ以上の省エネの余地はない」「温暖化対策は経済発展をさまたげる」等の懐疑論もあり日本では実を結んでいない現...続きを読む状があります。しかし、一方で日本と同じように少子高齢化がすすむドイツはEU経済の牽引役となっており、それを支えているのはグリーン・エコノミーの考えに沿った、脱原発と再生可能エネルギーの拡大による雇用対策・イノベーションの創出といった、経済発展と環境対策の統合政策です。日本ではともすればきれいごととされてしまいがちな経済発展と温暖化対策の両立を考えるきっかけとなる本です。 > ドイツ政府は国を上げて再生可能エネルギーの拡大を進めており全体の電気の消費量 > を2020年度までに10%削減、再生可能ネルギーによる電力の割合を35%以上 > に上げる計画である。この成果として現時点で再生可能エネルギーの割合は20%を > 超える結果となっている。 この政策の要となっているのは2000年4月1日から電力基本法を基にした「再生可能エネルギーに優先権を与えるための法律(通称・再生可能エネルギー法=EEG」です。EEGの最大の特徴は再生可能エネルギーによる電力を送電線に取り込むことの義務化と固定価格による全量買い取りです。再生可能エネルギーによる電力の買い取り価格は、電力料金に上乗せされて消費者が支払うこととなっています。長らく、ドイツの電気料金は再生可能エネルギーによる電力の割合が高まるについて、電力価格が上昇する傾向にありましたが、2015年は再生可能エネルギーの買い取り予備費が増加してきたこと等の理由により、始めて賦課金が低下に転じました。賦課金の負担額の低下の恩恵により、電力の卸売価格は前年よりも低下しました。ドイツでは再生可能エネルギーのコストが下がり、電気料金の安定化と、究極的な目標としての再生可能エネルギーと既存の電気コストが等価か安価となるグリッドパリティの達成の兆しが見えてきたといえます。EEGによる賦課金はエネルギーバランスの是正を図るための当面の投資という側面があることからドイツ政府は将来的に廃止を予定しています。 ドイツでは温暖化対策と環境技術革新政策・エネルギー政策・雇用政策および社会保障政策が統合して進められており、その出発点は、1990年台から行われている「エコ税制改革」です。これは石油や石炭などの化石燃料に対し課税する環境税を導入し、温暖化対策をすすめながら、同時に社会保障と社会保障関係への税金を減らすものです。また、雇用対策では再生可能エネルギー、環境関連物品の輸出、環境関連サービス、への従事者の増加。先進的な温暖化対策への取り組みは、温暖化を緩和するための技術イノベーションに対応するため、ドイツの競争力を強めることにつながっています。2015年下ら2030年までの気候変動対応技術は20万人の追加雇用を生み出す見通しとなっています。 一方で日本では将来の電力構成を再生可能エネルギーとする考えにはなっていません。日本では「自然エネルギーは原発の代替にならない」「これ以上の省エネの余地はない」「温暖化対策は経済発展をさまたげる」等の懐疑論をもありますが、ドイツの例を見る限り、温暖化対策と経済発展の両立は可能です。また、世界的にもアメリカのグリーン・ニューディール政策の例や中国の環境対策の例もあり、国策としての再生可能エネルギーの拡大はトレンドとなっています。 また、日本もかつて非常に厳しい制約がかえって技術革新を産んだ経験をもっていることから、先進的な環境対策は国際競争力強化のための源泉であると考え、進んで実施すべきであると考えます。 >日本の環境対策技術として、世界的に見てもトップクラスといえるのは、自動車の >排気ガス排出削減技術であろう。アメリカのマスキー法をきっかけに1970年代 >に行われた自動車排出ガス規制は、自動車の性能を向上させ、輸出競争力を強めたと >いう評価が多い。(P102) 日本においても温暖化対策としてもさることながら長期的なイノベーションの創出・国際競争力の強化として、温暖化対策と経済貼っての両立のための戦略とそれに伴うインフラ設備、政策統合、エネルギー部門の抜本的な再編成を行うべきと考えます。
洞爺湖サミットを機に北海道大学が立ち上げた「持続可能な開発低炭素社会」を元にまとめられた労作です。大震災と原発事故を折り込み、いま人類に出来る取り組みとは?を問いかけます。 地球温暖化、二酸化炭素主犯説を元に書かれていますのでそこの議論も必要かと思います。しかし、盛り込まれている情報の多さは刮目すべ...続きを読むきレベルです。
2011年3月11日に至るまで、そしてさらにその後の大震災を踏まえての「エネルギーと環境」に関する様々な議論をまとめた書。新書ながらよくまとまっている。ただしこれからの政策策定に関する提言の部分は真新しさもなく、別段面白くない。エネルギーと環境という議題に、申し訳程度経済学を絡めたようなお話だった。
これも日経新聞の書評にあった。物足りないところが残念。 再生可能エネルギー普及の妨げになっていると言われているのが、電力系統が不安定になるというもの。本書では、欧州ではすでにそれなりの割合を占めていることを再三強調していたが、どのように克服しているのかをぜひ解説して欲しかった。 「環境保全は経済...続きを読む的に引き合う」は本書の主な主張ポイント。これを言う人も多いが、反対に、経済活動に悪影響を及ぼすとする説を持つ人も多い。本書でぜひ解説して欲しかったのは、環境規制が環境技術への経済的貢献を果たすのはわかるが、それがマイナスを補って余りあるのか、という点である。本書でもエネルギー集約的な産業には軽減措置が必要という中途半端なことを言っているあたり、説得力を欠く。 「日本は『乾いた雑巾を絞る』状況か」これは大いに議論されてよい問題だ。本当のところどうなのか、様々な観点からぜひ議論してもらいたい。
脱原発に限らない、地球環境問題についての経済学。今までの議論を整理した本。(あまりしっかり読んでいないのです)
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