小説作品一覧
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4.0自分はなぜ生きているのか、自分はなぜ死なないのか、逡巡の中にいるすべての人へ。私がずっとデビューを待ち望んでいた新人の、ユーモアと青臭さと残酷さと優しさが詰め込まれた快作です。ーー金原ひとみ 夏休みが終わる直前、山田が死んだ。飲酒運転の車に轢かれたらしい。山田は勉強が出来て、面白くて、誰にでも優しい、二年E組の人気者だった。二学期初日の教室。悲しみに沈むクラスを元気づけようと担任の花浦が席替えを提案したタイミングで教室のスピーカーから山田の声が聞こえてきたーー。教室は騒然となった。山田の魂はどうやらスピーカーに憑依してしまったらしい。〈俺、二年E組が大好きなんで〉。声だけになった山田と、二Eの仲間たちの不思議な日々がはじまったーー。 歴代メフィスト賞受賞者推薦コメント 死んでも終わらない山田の青春に、ぼくらは笑い、驚き、泣く。 (第21回受賞)佐藤友哉 くだらないのに楽しい。けれど、ほろ苦くて切ない。青春とは、山田である!! (第49回受賞)風森章羽 最強を最強と言い切れる山田こそが最強で最高。 (第53回受賞)柾木政宗 こんな角度の切り口があったのかと驚かされ、こんな結末まであるのかと震えた! (第59回受賞)砥上裕將 自分には経験がないはずの男子校での日々が、妙な生々しさで蘇ってきました。 (第61回受賞)真下みこと ダサくて、眩しくて、切なくて。青春の全てと感動のラストに、大満足の一作。 (第62回受賞)五十嵐律人 校舎に忘れてきた繊細な感情を拾い上げてくれるような物語でした。 (第63回受賞)潮谷 験
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4.3選挙に弱い政治家は、 誰かの言いなりになるしかない。 だからーー。 強くなりたい。 国会のマドンナ“お嬢”が遺書を残し自殺した。 敵対する野党第一党の“憤慨おばさん”は死の真相を探りはじめる。 議員・秘書・記者の覚悟に心震える、政治✕大逆転ミステリ! 野党第一党の高月馨は窮地に追い込まれた。 敵対関係にありつつも、ある法案については共闘関係にあった与党議員・朝沼侑子が自殺したのだ。 「自分の派閥のトップも説得できていなかったの? 法案を通すつもり、本当にあったの?」 死の前日の朝沼への叱責が彼女を追い詰めたのではないかと批判が集まり、謝罪と国対副委員長の辞任を迫られてしまう。 だが、長年ライバル関係を築いてきた高月には朝沼の死がどうも解せない。 朝沼の婚約者で政界のプリンス・三好顕太郎に直談判し、共に死の真相を調べることに
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3.0
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3.8仲良し5人組が、1人ずついなくなる。「私は悪くない」から始まる「エゴミス」! いわゆる「HSP」であるヒトミは、その繊細な性格のせいで損ばかりしてきた。大学時代からの親友4人を見て劣等感をくすぐられ、また惰性で付き合う彼氏やアルバイト先の人間関係などに辟易していた。ある日Kポップにハマってしまった彼女は、無垢なアイドル達のきらびやかな笑顔を見て、自分もすべてを捨てて渡韓しようとする。 女性5人それぞれが自らの「生きづらさ」を語るが、いつの間にか他人への浅はかな羨望、嫉妬といった黒々とした感情が渦巻き...... 「Cocoon」シリーズの作者が贈る、全く新しい「生きづらさ」文学。
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3.721世紀前夜にアメリカで大ヒットしたゲーム「ヴィハーラ」。 新作が出るたびに人々を熱狂させ、夢中にさせた国民的ゲームの裏側にいたのは、一人の孤独な男、ジョン・アイヴァネンコ。 友人は少なく、幼い頃からプログラミングと音楽に親しみ、たった五年生のときに「ヴィハーラ1」をつくりあげた。 その彼がアメリカンドリームを掴むまでに一体何があったのか、そしてそれでも拭い去れなかった孤独の影にあったものとは。 やがて「国歌」とまで謳われるほど膨れ上がった「ヴィハーラ」音楽の作曲者。 その生涯を描いた一遍をはじめ、13篇を収録。 宮内悠介のつくりあげる世界は、美しいだけでなく温かい。 笑いと涙、驚きに満ちた短編集。
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3.9筆という卵が生み出すのは、武者か美女か、それとも鬼か。東海一の文化人と、松平定信の交流が心を揺さぶる。──直木賞受賞第一作! かつては寛政の改革を老中として推し進めた松平定信は、60を過ぎて地元・白河藩主の座からも引退した。いまは「風月翁」とも「楽翁」とも名乗って旅の途次にある。その定信が東海道は日坂宿の煙草屋で出会ったのが栗杖亭鬼卵。東海道の名士や文化人を伝える『東海道人物志』や尼子十勇士の物語『勇婦全伝絵本更科草子』を著した文化人だ。片や規律正しい社会をめざした定信に対し、鬼卵は大坂と江戸の橋渡し役となる自由人であり続けようとした。鬼卵が店先で始めた昔語りは、やがて定信の半生をも照らし出し、大きな決意を促すのだった……。
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4.2小説の向こうに絵が見える! 美しき水墨画の世界を描いた物語 水墨画とは、筆先から生み出される「線」の芸術。 描くのは「命」。 20万部を超えたメフィスト賞受賞作『線は、僕を描く』に続く、水墨画エンターテイメント第二弾! 主人公・青山霜介が、ライバル・千瑛と湖山賞を競い合った展覧会から2年が経った。 大学3年生になった霜介は水墨画家として成長を遂げる一方、進路に悩んでいた。 卒業後、水墨の世界で生きるのか、それとも別の生き方を見つけるのか。 優柔不断な霜介とは対照的に、千瑛は「水墨画界の若き至宝」として活躍を続けていた。 千瑛を横目に、次の一歩が踏み出せず、新たな表現も見つけられない現状に焦りを募らせていく霜介。 そんな折、体調不良の兄弟子・西濱湖峰に代わり、霜介が小学一年生を相手に水墨画を教えることになる。 子供たちとの出会いを通じて、向き合う自分の過去と未来。 そして、師匠・篠田湖山が霜介に託した「あるもの」とはーー。 墨一色に無限の色彩を映し出す水墨画を通して、霜介の葛藤と成長を描く、感動必死の青春小説!
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3.5子どもは救いであり希望。母でいることは罰。 函館にある医療刑務所分院に努める勤める金子由衣(かねこゆい)が受け持つことになったのは、不摂生の塊のような妊婦・敏江だった。お腹の我が子を心配するよりニコチンを欲する態度に驚き呆れながら、不幸な境遇から抜け出せなかった彼女の人生を思うと複雑な気持ちになるのだった。敏江は難産の末、重い障害を抱えた女児を出産する。すぐにNICUに移され懸命な治療が行われたが敏江は気に留めることもなかった。そんな敏江が数日後死亡する。リスクだらけの身体なので、何が起きてもおかしくはなく、司法検視の結果も問題はなかった。しかし、その数日後、「死にたい」が口癖の緑内障受刑者、明美が死亡した。死因が敏江と似ていることから、院内に緊張が走る。自殺なのか? 敏江の死と関係はあるのか?
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3.0
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3.6立て続けに起きた無差別殺人が裏で富裕層が教唆するゲームならば? 格差と貧困、SNSでの誹謗中傷、スマホ依存……。 『震える牛』『血の轍』『ガラパゴス』の著者が現代の歪みを露わにする社会派警察ミステリ 21歳の理子は金銭面で厳しい生活を送ってきたが、ある女性と出会い、人生が好転する。彼女に誘われてラウンジで働き、高い評価を受け、新規の店を任されることになった。充実した暮らしぶりをSNSにアップロードする一方で、その飛躍を妬む者も増えていく。百貨店で閑職に追いやられ、しまいには墓穴を掘ってクビになった小島もその一人だ。そんななか、世間では無差別殺人事件が立て続けに起きる。模倣犯なのか。警視庁サイバー犯罪対策課の長峰はインターネット上で一連の事件の奇妙な共通点に気づく。折しも、小島の理子への嫉妬心はやがて殺意に変わっていって――。
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4.1わたしたちのしたこと。しなかったこと。これは、いまを生きるあなたのための物語。 『きみはいい子』『わたしをみつけて』『世界の果てのこどもたち』など、 話題作を生み出し続ける著者、4年ぶりの新作! 2016年本屋大賞3位、 『世界の果てのこどもたち』には書かれなかったもうひとつの真実。 満洲・新京で暮らす女学生、ひろみ。 「尽忠報国」「一億玉砕」「五族協和」、そう信じていた―― 永遠に失われた、もう、どこにもない国。 あの場所で見たこと、聞いたこと、 そして、わたしに託されたことを、わたしは忘れない。 終戦間際の満洲を、圧倒的な事実に基づき描く。 これは、いまを生きるあなたのための物語。
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3.5
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3.8私の罪を裁いて欲しかったーー。 警察でも、裁判所でもなく、あなたの手で。 「ある罪」によって繋がった仲間たちを描いた慟哭の長編ミステリー。 世の中のはみだし者の幼馴染み3人は、十五年後の再会を約束する。 かつてやり残した「宿題」を終わらせるために。 商社に勤める結城隼は、ロンドンへの勤務を命じられる。 東京での最後の出社日、送別会もなくまっすぐ家に帰ると玄関でひとりの少女が待っていた。 中学卒業以来一度も会っていない、幼馴染の娘だった。 彼女の頼みは、行方不明になった母親を探すこと。 タイムリミットは、ロンドンへ旅立つまでの五日間。 少女と共に、故郷である神戸に向かうがーー。
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3.9両親の死の真相を探るため、引きこもり生活を脱し警察官を志した19歳の沖野修也。 警察学校在学中、ある能力を使って二件の未解決事件を解決に導いたが、推理遊び扱いされ組織からは嫌悪の目を向けられることになってしまう。 そうした人々の目は皆、暗がりの中で身構える猫のように赤く光って見える。それこそが、沖野の持つ「特質」だった。 ある日、単独行動の挙句、公安の捜査を邪魔したことで、沖野は副所長室に呼び出され聞きなれない部署への異動を命じられる。 「内閣府国際平和協力本部事務局分室 国際交流課二係」。 そこは人知れず、諜報、防諜を行う、スパイ組織だった--。 日本を守る暗闘に巻き込まれた沖野は、闇に光る赤い目の数々と対峙していくことになるのだが……。 スパイ小説のシンギュラリティとなる記念碑的作品、ついに刊行。
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4.2『あめつちのうた』 著者の最高傑作! 「拳銃も持てない」「逮捕もできない」そんな最弱の守護神! トラウマを抱えた4人の警備員が守るもの。 「人間としてのプライド」 「最低限の生活」 「それは、もちろん正義」 「守りたいものなんて、とうになくしました」 人生に迷った者だけが見つけた答えとは? 6年前、3億円盗難事件を引き起こし、信用が失墜したサクラ警備保障株式会社。佐久良社長は経営立て直しの中過労で亡くなり、現在は息子の光輝と基輝が跡を継いでいる。父は何を守ろうとしていたのだろうか。そして、俺は何を守ればいいのだろうか。答えの出せない弟の基輝は、人事部次長として面接をすると最後に「あなたは何をまもりますか?」と尋ねるようになった。 過去、保護観察処分を受けながらも父のコネを使って警備員となった男。交通誘導をしている高齢男性。万引きGメンだったときの失敗がトラウマとなっている女性。戦死した画家の絵にとらわれている小説家。 4人の日々を見つめ、自分を顧み、基輝がたどり着いた守ることの意味とは――。 もう一度問います。 「あなたは何をまもりますか?」
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3.8「最悪だ。もう逃げ場がない」三人三色の人生が転落しながら絡み合う、絶叫的ミステリー。 【話題作『悪い夏』『正体』を超える切迫感!】 仕事は順調、東京でシングライフを謳歌する30代女性が始めた不穏な恋愛。下校中、不良に堕ちた元級友に再会した、とある北関東の高校生。老朽化したラブホテルを継ぐが経営不振に陥った静岡県在住の中年男。 刹那な現代をサバイブしながらも、孤独を胸底に抱える者たちの欲望に駆られた出会いは、彼らをまっさかさまに谷底に突き落とす。 圧倒的な言葉の迫力! 予測不可能な滅茶苦茶な展開の数々。絶望の淵で思わず涙腺が緩む。 岩谷翔吾(THE RAMPAGE・ブックレビューサイト「岩谷文庫」執筆) 「いい気味」か「かわいそう」か? 彼ら自身が招いた命からがらの転落劇。滅茶苦茶なんだけど最低じゃない! ―吉田大助(書評家) 予想外の読後感! 転落人生の奇蹟の交錯が閉塞感に風穴を開ける、これぞ染井マジックというべき快作。 ―宇田川拓也(ときわ書房本店)
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3.8町田康さん推し! 言葉に幅があり、しかもそれが的確に使用されている。辛辣な個性とその周囲を無情に描いていてよい。 (文藝賞選評より) 現役慶応大学院生であり、漫画『踊るリスポーン』の著者・三ヶ嶋犬太朗が鮮烈の文芸デビュー! 「捨てられたものを拾うのは泥棒ではない」と嘯き、女装をして女子トイレに侵入し、捨てられた生理用ナプキンを盗む百枝菊人。女装がバレたら心の性別をたてに被害者ぶろうと思っていたところ、同じ学校の明石睦美に目撃される。彼女は百枝が自分と同じく、性別に違和感を抱いていると思い急速に接近してきた。無理解と偏見がマイノリティを利用し、共感と愛情が暴力を肯定する……。表題作「赤泥棒」に加え、文藝賞最終候補に選ばれた「青辛く笑えよ」、「普通」を唾棄する高校生が才能の塊と出会い自我を崩壊させる「寄食のダボハゼ」をおさめた短編集。
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4.0人生の折り返し点を過ぎた男たちが、平凡な地方の町を侵食する欲に塗れた悪事に立ち上がる、一発逆転のリベンジゲーム。 どんなお話?)鄙びた港町にある銭湯、みなと湯は地元で暮らす昭和世代にとっての密かな憩いの場だ。第一線を退き地元の支局に異動してきた新聞記者の弘之、老朽化した風呂釜修繕の金策に走る銭湯主人の邦明、暴力団を首になった釜焚き係の吾郎、儲からない骨董屋の跡を継いだ富夫らは、それぞれ人生に諦念を抱きながらも日々そこで交流を深めていた。彼らの前に突然現れたのは、不審死したみなと湯の銀行融資担当・丸岡の元婚約者・礼美。彼女は丸岡の死の真相と銀行の悪行を四人に訴える。 【本読みの達人たちから大絶賛ぞくぞく!】 しなしなのアラ還オヤジたちが巨悪との勝ち目薄き闘いに挑む。人生を取り戻していくその姿は勇気の塊。なんて愉快なおじさん小説!―文筆業 門賀美央子 こんな俺たちにも命がある。そう簡単にふみ潰されてたまるかよ――そんな呟きが聞こえてくる、見事な人間賛歌だ。―ミステリー評論家 杉江松恋 「人生の終焉が見え始めた男たち」が、本当に初めて見たもの。とんでもない「幸福の王子」に胸熱必至!―書評家 藤田香織 闇に迫れるのは、正攻法か、裏の手か。力なき庶民の巨悪への挑戦を、きめ細かく描いた著者の筆致に感服した。―ミステリー評論家 千街晶之 目を覚ましたならず者たちによる、あっと驚く逆転劇が素晴らしく小気味よい。―ミステリー評論家 吉野仁 うわあ、してやられた。「老い」は何かを諦めた時から始まるのだ。正攻法と搦め手を駆使し巨悪に挑む男たちの姿が眩しい!―ミステリー評論家 西上心太 今のままでいいのか、と強く問いかけられた。これは後悔を抱えたすべての人へ贈る、悲しくも力強い逆転のミステリだ。 ―書評家 大矢博子 優れた社会派ミステリー。だけど、それだけじゃない。この物語、裏がありすぎる。―文芸評論家 細谷正充 著者の地元を舞台に設定した汚職禍を、果敢にミステリーに仕立て上げる作家魂を尊敬します。―担当編集 人生のたそがれ時を迎えた男たちに贈る応援歌。どんなにかっこ悪くても、最後までジタバタするべし。―著者
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3.5
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3.81941年12月8日未明、日本軍はハワイオアフ島の真珠湾軍港を奇襲攻撃、太平洋戦争が始まった。さらに同日未明、当時イギリスの植民地だった香港攻略作戦を開始した日本軍は18日に香港島へ上陸、25日、イギリスは全面降伏。以降、香港は3年8ヵ月にわたって日本の統治下に置かれた―― 元ロンドン駐在の外交官・谷尾悠介、イギリスから香港へ流れ着いて通信社で働くリーランド、香港の貿易商・黄。日本軍が占領する直前のイギリス領香港で出会った国籍の異なる三人。酒と広東料理とシェイクスピアを愛する男達が、それぞれが秘密を抱えながらも奇妙な絆で結ばれていく。過酷な時代の狂風が吹き荒れる中、国家と個人はどう向き合えばいいのか。谷崎潤一郎賞・ドゥマゴ文学賞のダブル受賞作『名誉と恍惚』を凌ぐ、傑作長篇。
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3.7
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4.1この仕事は、誰かがやらなければいけない。 目の前の患者を救うことを、分け隔てなく。 函館にある医療刑務所分院に努める金子由衣(かねこゆい)は、2年目の矯正医官。医療刑務所では、患者である受刑者の平均年齢も高く、凶悪な罪を犯した者も基礎疾患などを抱え医師の助けを必要としている。一方で不調を訴え刑務作業逃れをしようとするものも多い。受刑者の過去の罪と患者としての現在の状況を毎日のように目の当たりにし、贖罪とは何かを考える由衣だったが、当直の晩、糖尿病を患っていた前科四犯の受刑者が亡くなった。これは医療事故か、あるいは殺人事件なのかーー。
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3.8私たち、38歳。全てが順風満帆にすすんでいる、はずだった。 出産によって「マミートラック」に追いやられてしまった凛。 シングルマザーとして、発達障害の子供を抱え貧困から抜け出せずにいる響子。 週刊誌のサブデスクまで上り詰めがらも、不妊治療がうまくいかない美華。 月一回のランチ会で愚痴をこぼすことでストレスを解消していた私たち。 いつの間にか「本当の悩み」は避けるようになっていた―。 相手を見下すことでしか自分の人生を肯定できない「私」は心が汚れているのだろうか。 「女」、「妻」、「母」。 役割を背負わされ、反発しながらも生き抜く、三者三様の戦い。
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3.95冠獲得ミステリ『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、発売即重版10万部突破『invert 城塚翡翠倒叙集』に続く、シリーズ3作目! 反転、再び。 あなたは探偵の推理を推理することができますか? 嵐の山荘に潜む若き犯罪者。そして翡翠をアリバイ証人に仕立て上げる写真家。犯人たちが仕掛けた巧妙なトリックに対するのは、すべてを見通す城塚翡翠。だが、挑むような表情の翡翠の目には涙が浮かぶ。その理由とはーー。ミステリランキング5冠『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、発売即重版10万部『invert 城塚翡翠倒叙集』に続く待望の第3作目。犯人視点で描かれる倒叙ミステリの金字塔! invert in・vert 【他】…を逆さにする,ひっくり返す,…を裏返しにする; 〈位置・順序・関係を〉反対にする;〈性質・効果などを〉逆転させる; inverted detective story: 倒叙推理小説
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3.8第10回静岡書店大賞小説部門 第1位! フジテレビ系ドラマ木曜劇場「忍者に結婚は難しい」原作! 伊賀市、甲賀市公認の本格忍者小説! 互いの正体を知らずに結ばれた二人 離婚寸前の夫婦に託されたのは、日本の命運!? 「ルパンの娘」シリーズ著者横関大が送る、現代の忍者活劇! 伊賀と甲賀。消えたはずのライバル忍者一族は、令和の今も人知れず暗躍していた。手裏剣術などの古き伝統を守りつつ郵便ネットワークを牛耳る大組織・伊賀、麻酔銃やドローンなどを積極的に活用する少数精鋭の実力派集団・甲賀として。 お互い忍者だと知らずに結婚した悟郎と蛍。燃え上がったのは最初だけで、悟郎の男尊女卑的役割分担に辟易した蛍が三行半(みくだりはん)をたたきつけようとしていた。 ある日、伊賀系の大物政治家が暗殺された。現場を去るあの後ろ姿は見慣れたあいつ? 忍者ラブコメディー開幕!
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3.5運命の車輪は回り始める。日本を揺るがす“危険な積み荷”とともに。 江戸川乱歩賞作家が時代の闇に挑むノンストップ・サスペンス! 終戦時の満州、そして五輪開催直前の東京。二つの「昭和」を貫いて走り始めた機密列車の後ろ暗い任務とは。 楔になろうとした男たちの、捨て身の作戦とは。 終戦間際の混乱で親を失った三人の戦災孤児。関東軍の機密物資を日本に運んだ2人の陸軍中尉。 焼け野原から復興へーーオリンピックを目前に急ピッチで東京の整備が進む中、日銀の現金輸送担当者が線路に転落死を遂げた。 事として処理されるはずだったその死を合図に、二度と交わるはずのない人生が再び交差する。 そして、運命の列車は走り始める。 俺たちは駒だ。だが、駒だって逆らう。
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5.0夫と死別し、神とは何かを求めてパリに飛び立った私。極限の信仰を求めてプスチニアと呼ばれる、貧しい小さな部屋に辿り着くが、そこは日常の生活に必要なもの一切を捨て切った荒涼とした砂漠のような部屋。個人としての「亡命」とは、神とは、宗教とは何か。異邦人として暮らし、神の沈黙と深く向きあう魂の巡礼、天路歴程の静謐な旅。 著者を敬愛する芥川賞作家石沢麻依による解説を巻末収録。 "……私は、内部からパアッと照らしだす光の中にいた。生まれて以来、何処にいても、居場所でないと感じつづけた、わけが、わかった。わかった、わかった。と、何かが叫んでいた。逆なのです、わたしたちすべて、人間すべて、あちらからこちらへ亡命してきているのです。あちらへと亡命するのではなく、この亡命地からあちらへ帰っていくのです。かつて、そこに居たのですから。”──本文より 芥川賞作家石沢麻依さん大推薦! 待望の文芸文庫化。 「『亡命者』は私にとっても思い入れの深い作品です。初めて読んだ時は、それまでの作風との違いに困惑したものの、最後のページにたどり着く頃には、深い白と青の光景に言葉を失くしました。入れ子構造の巡礼世界に、こんな領域まで言葉がたどり着けるのか、と畏れも感じた覚えがあります。そして、現在、自分がドイツにいることにより、個人としての「亡命」とは何なのかを考えさせられています。」
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4.5「その他」の側から世界を見る 翻訳大国日本。多くの外国文学が翻訳され、読まれている。その中には日本では学習者が少なく、「その他」とくくられる言語によるものも含まれる。 しかし、「その他」だといって存在感が小さいわけではない。インディペンデントな文学賞として知られる「日本翻訳大賞」の第1回大賞の2作品は、韓国語とチェコ語による作品だった。いずれも「その他」に分類される作品が、読者からも、翻訳者からも多くの評価を得たこと自体が、このカテゴリーの奥深さのあらわれではないだろうか。 では、「その他」を生み出しているのはどのような翻訳者たちなのか? 日本では馴染みの薄い言語による文学を、熱意をもって紹介してきた九人の翻訳者が、その言語との出会いや学習方法、翻訳の工夫、そして文学観を語るインタビュー集。 序文・斎藤真理子 鴨志田聡子(ヘブライ語) 星泉(チベット語) 丹羽京子(ベンガル語) 吉田栄人(マヤ語) 青木順子(ノルウェー語) 金子奈美(バスク語) 福冨渉(タイ語) 木下眞穂(ポルトガル語) 阿部賢一(チェコ語)
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3.9コロナが蔓延し、テレワークが当たり前になった世の中。 高い家賃を払って都会に住み続けるよりも、自分の好きな釣りのできる田舎に引っ込もう。 そんな目論見は最初こそうまくいったけれど、徐々に目につくのは点在する空き家ばかり。 ウイルスも地方の問題もこの機に一気に解決だ! <内容紹介> 新型コロナウイルスが蔓延したことで始まったテレワーク。趣味の釣りを楽しめる三陸へ引っ越した主人公の晋作は当初こそ仕事と趣味を満喫していた。ここは食べ物もおいしく楽園だ――。しかし、徐々に自分の住む地域で起きている空き家問題など、楽園だと思われた三陸にも問題が山積みだと気づく。 そのとき、あるマッチングをすればウイルスも地方に横たわる問題も、全部一挙に解決できると気づくのだが。
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4.0不思議な郷に迷い込んだ俺。 ココは変だ、住民は変だ、俺もなんか変だ。 やがて俺は力を得て夜半獣と呼ばれるのだった。 血と暴力と愛の郷 上槇ノ原へようこそ! 気付けば無人の車両に乗っていて、わけもわからず上槇ノ原へとたどり着いた省悟。 癖のあるどこか愛くるしい住民達と共に生活をするうち、省悟は郷にとってなくてはならない存在となった。 ある日、省悟は上槇ノ原と下槇ノ原の抗争に巻き込まれてしまう。 古より続く上下抗争だった。 そんななか省悟は「夜半獣」として圧倒的な力を得ると共に、村民から敬われる存在となり……。 夢か現か、異世界での戦争が始まった。
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3.5横溢する暴力と身体、無垢なる魂の軌跡。「やさしく恋するみたいに他の人体を壊す」 元同級生あべくんからのメールにあった文章から着想したシーンをつないで、 商業作家はあべくん自身の人生を小説にしようとする。 父による母殺傷事件、両親がころしころされていたあべくんはやさしく恋するみたいに他の人体を壊す。 殴られても反発するようによろこぶ身体。やさしさや暴力で愛撫し合い痛みをこらえるようによろこぶ身体。 物語にかえろうとするから人生はつらく、日常が重すぎてひとをころしたくなる。 恋人をころして自分も死んだところで折り返し、あべくんの物語は無限に再生を繰り返す。 小説家があべくんなのかあべくんがかれなのか、やがてふたりの境界は曖昧になり、問い自体が意味を失う。 言葉を与えられていない領域に光をあて小説は紡がれ、大量虐殺の記憶が時空を架橋しやがて物語は侵蝕される。 ――世界文学に接続する芥川賞作家の真骨頂・新境地。―― 鴻巣友季子さん絶賛!読書量と強靭な知性に瞠目! “すべてのポートレイトは画家の自画像であり、すべての小説は自伝を目指すと言う。おそらくすべての小説はどこかしら、一人称の失恋なのだ。” “小説でなにかを「再現」することは、過去のよみがえりのように見えて、未然の予告なのだ。すべてのフィクションは自伝を目指し、すべての自画像は他人の顔をしている。” “かきあうこと、傷しあうこと、死にあうこと。「かれ」と「私」、その人称空間のよじれは経験と真実味との落差そのものだ。落差から、小説は来る。”――鴻巣友季子(翻訳家)
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3.0群像新人文学賞から現れた、揺らぐ時代の表現者。第63回群像新人文学賞優秀作を受賞した「四月の岸辺」と、それに連なる飛躍作「導くひと」を収録する第一作品集。 「四月の岸辺」評より―― 「この小説でしか表せなかったなにかが読まれてほしい、この先を書いてほしいと思った」柴崎友香氏 「マイノリティであっても非マイノリティと同様に平穏な日常生活もある様子を丁寧に描きつつ、マイノリティ同士でもどちらかが加害者になってしまう瞬間を厳しく捉えた、たいへん頼もしい小説」松浦理英子氏 「導くひと」評より―― 「信心とは洗脳の牢なのか、篤信と狂信の境は。入れ子構造を折々に反転させる語りが固定観念を揺さぶる。デビュー作からの大脱皮だ」鴻巣友季子氏(朝日新聞「文芸時評」2021年4月28日) これは、つづきの物語。 「四月の岸辺」:三人の従姉妹たちと暮らす「私」は、スカートをはいて通った小学校を卒業し、ぶかぶかの詰襟を着て中学校に通い始めた。みずからを「森の子ども」と呼ぶクラスメイトの少女と、ささやかな交流が始まるが――。 「導くひと」:テロ事件を起こした教団を離れ、東京からひとり山梨の集落に移住した男は、子ども時代を「森の共同体」で過ごしたという青年と出会う。彼の眼はあまりに澄んでいた――。
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3.0「凡庸さは金になる。それがいけない。何とかそれを変えてやりたいと思い悩みながら、何世紀もの時間が無駄に過ぎてしまった」――28年間の会社員生活を終え自由の身となった小説家。並外れた美貌を持ちながら結婚に破れた女優。「鳥獣戯画」を今に伝える高山寺を興した高僧明恵。父親になる三十歳の私。恋をする十七歳の私。時を超え、主体を超え、物語は旋回していく。語りの力で何者にもなりえ、何処へでも行くことができる小説の可能性を、極限まで追い求めた谷崎賞作家最大級の野心作「鳥獣戯画」。単行本未収録の傑作短篇「我が人生最悪の時」を併録。自筆年譜付きの決定版。
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3.9松村宗棍(まつむら・そうこん)は13歳の頃、友だちをいじめる少年たちを打ち倒した。それによって高名な武術家・照屋(てるや)に武の才を見出され、彼に弟子入りする。元服を迎えて首里王府の役人となるが、強さが評判を呼んで、国王に御前試合への参加を命じられる。思いがけず琉球屈指の強豪たちに挑むことになり――。国王との交流、「最強」の妻との出会い、好敵手との決闘、猛牛との闘い、弟子の自害……様々な出来事に直面しながら、彼は本当の強さを追い求めていく。しかし、琉球王国崩壊の足音が聞こえ始めていた……。幕末、琉球王国が滅びゆく時代に、国王の武術指南役を務めた松村宗棍。強さとは何かを追い求め、琉球空手の礎を築いた男の生涯を描く、著者入魂の長編。
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3.0
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4.3
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4.0『沈黙』から『深い河』にいたる代表的純文学長篇小説の源泉ともいえる短篇の数々――遠藤周作には、代表的長篇小説が多くあるが、それぞれの長篇には、源泉となる短篇作品がある。その遠藤文学の核となる13の名短篇を集めた。「シラノ・ド・ベルジュラック」「パロディ」「イヤな奴」「あまりに碧い空」「その前日」「四十歳の男」「影法師」「」「母なるもの」「巡礼」「犀鳥」……遠藤周作の文学・人生・宗教観がすべてわかる短篇集。 ※本書は、『遠藤周作文学全集 第6~8巻』(1999年10~12月 新潮社刊)を底本としました。また『天国のいねむり男』は全集・文庫など未収録作品です。
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3.0関東大震災の混乱のなか亀戸事件で惨殺された若き労働運動家は瑞々しくも鮮烈な先駆的文芸作品を遺していた。 知られざる作家、再発見 関東大震災の混乱のなか亀戸事件によってわずか三十四歳で非業の死を遂げた労働運動家・平沢計七。 彼は少年時から鉄道会社の大工場で労働現場に立ち、やがて労働組合活動に入っていったが、その短い生涯で、瑞々しくも鮮烈な文芸作品を遺していた。 短篇小説十三篇、戯曲七篇と評論・エッセイ七篇を精選し、知られざる先駆的作家に再び光をあてる。 祖国の手で打砕かるゝか、 民衆の手で打砕かるゝか 死を予想しえた若き労働運動家、 その知られざる文学的航跡。 大和田 茂 平沢は日々の労働運動や社会運動の中で、数々の軋轢、暗闘、分裂をいやというほど味わってきた。なぜ、人々は階級的憎悪をもってテロリズムに走るのか、なぜ思想のちがいや意見対立、すなわち小異を捨てて大同団結できないのか。彼にとって、革命は遼遠の彼方であった。(中略)平沢はさらに労働者の意識に下降しようとしていた。彼は指導者意識が強かったが、一方では小説、戯曲、講談などで人々の内面にわかりやすく訴えかけていこうとした。「解説」より
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5.0アメリカかぶれの探偵×旧華族のお嬢様 異色のコンビが南信州の鉄道計画を巡る 不可解殺人の真相を追う! 鉄道会社の現役社員で ドラマ化された『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』、 大阪ほんま本大賞受賞作『阪堺電車177号の追憶』の 著者が描く鉄道ミステリー 鉄道建設の陳情で長野の山あいの村から上京中の村会議員が殺害され、裏金が奪われた。 目撃談も証拠も得られず警察が頼ったのは、 人気推理小説家でアメリカかぶれの探偵・城之内和樹と 助手で旧華族のお嬢様・奥平真優。 村へ向かった二人を待ち受けていたのは、鉄道計画を巡り対立する村民、 開発に群がる人々、そして新たな事件だった。 型にはまらない二人の大胆行動と推理で、村に潜む闇に迫る! 謎に次ぐ謎、鮮やかな推理、あふれる旅情。 注目作家・山本巧次の一気読みミステリー!
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4.0蘇える木枯しの文士“どうで死ぬ身の一踊り”を実践し、自ら破滅へと向かった大正・昭和初期の私小説家。その生涯を賭した、不屈の「負」の結晶。藤澤清造生誕一三〇周年貧苦と怨嗟を戯作精神で彩った作品群から歿後弟子・西村賢太が精選し、校訂を施す。新発見原稿を併せ、不屈を貫いた私小説家の“負”の意地の真髄を照射する。芝公園で狂凍死するまでの、藤澤清造の創作活動は十年に及んだ。貧苦と怨嗟を戯作精神で彩ったその作品群から歿後弟子・西村賢太が十九篇を精選、校訂を施す。不遇作家の意地と矜恃のあわいの諦観を描く「狼の吐息」、内妻への暴力に至る過程が遣る瀬ない「愛憎一念」、新発見原稿「乳首を見る」、関東大震災直後の惨状のルポルタージュ等、不屈を貫いた私小説作家の“負”の真髄を照射する。西村賢太登場時すでにして古めかしいと評され、冷笑視されてもいたその文体だが、当然、小説が日記やレポートの類と違うのは、それが読者に読ませるものでなければならない点にある。その上では何んと云っても文体がモノを言ってくるわけだが、清造の場合、自らの古風、かつ独自の文体をより強固に支えるに戯作者の精神を持ってきた。そこが良くも悪くも、凡百の自然主義作品とは大きく異なるところである。「解説」より
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4.2警視庁との契約を解除されたユーリ・オズノフ元警部は、旧友のロシアン・マフィアと組んで武器密売に手を染めた。一方、市場に流出した新型機甲兵装が『龍機兵(ドラグーン)』の同型機ではないかとの疑念を抱く沖津特捜部長は、ブラックマーケット壊滅作戦に着手した――日本とロシア、二つの国をつなぐ警察官の秘められた絆。リアルにしてスペクタクルな“至近未来”警察小説、世界水準を宣言する白熱と興奮の第3弾。
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3.7「この小説は、フィクションを超えている」。 当選したばかりの大統領は、予備選でライバル候補を支援してきた最大の政敵を国務長官に選んだ。 新たな国務長官エレン・アダムズは、過去四年間、前政権が犯罪的な無能ぶりを発揮して合衆国を死に体にしていくのを目の当たりにしてきた。 新大統領が議会で一般教書演説を始めた頃、国務省南・中央アジア局の女性職員のデスクに数字と記号だけが並んだ奇妙なメールが届く。 そしてその日の深夜、ロンドンで大規模な爆破事件が起きる。 翌朝、米国+英連邦4か国の諜報部門からなる“ファイブ・アイズ”の緊急会合が始まるが、そのさなか出席者の携帯電話が一斉に鳴った。 次なる爆発は、パリで起こった。 「あなたがたは怪物を解き放った。あなたがたには責任がある」 元アメリカ合衆国国務長官+英国推理作家協会新人賞(CWAニュー・ブラッド・ダガー)・アガサ賞受賞作家による、超一級の国際政治スリラー!! 「この小説がフィクションであり続けるかどうかは、私たちにかかっている」 国務長官経験者にしか描けない、米国安全保障戦略の複雑な内幕。 迫真のスリラーにして一気読み必至のページターナー。乞うご一読!
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-『#真相をお話しします』で大ブレイクした結城真一郎が2年ぶりに仕掛ける、 笑いあり、驚きあり、そして怖さあり……の摩訶不思議な本格ミステリ、ここに爆誕!! ――どなたもどうかお読みください。決してご遠慮はありません。 こんなミステリを、私たちはずっと待っていた!! ビーバーイーツ配達員として日銭を稼ぐ大学生の「僕」は、注文を受けて向かった怪しげなレストランで、オーナーシェフと出会う。 彼は虚空のような暗い瞳で、「お願いがあるんだけど。報酬は1万円」と、嘘みたいな儲け話を提案し、あろうことか僕はそれに乗ってしまった。 そうして多額の報酬を貰っているうちに、僕はあることに気づく。 どうやらこの店は「ある手法」で探偵業も担っているらしい、と。 不自然な焼死体が出たアパート火災、空室に届き続ける置き配、謎の言葉を残して捕まった空き巣犯、なぜか指が二本欠損した状態の轢死体……。 オーナーは、配達員に情報を運ばせることで、どんな謎も華麗に解いてしまう。 そして、配達員にこう伝えるのだ。 ――「口外したら、命はない」と。
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-ブルーモーメント、それは日の出前と日の入り後のほんのわずかな間だけ、その街全体が濃い青色に染まる時間のこと。 そして、「ブルーモーメントを見られること」は、いつもとなんら変わらない朝を無事に迎えられるということ。 ささやかだが何よりも大切なそんな幸せを守るべく、命がけで奔走する【SDM(特別災害対策本部)】の気象研究所の研究官・晴原らSDMチームの活躍描く。 そして、晴原の悲しい過去が徐々に明かされていく。 山下智久主演のフジテレビ系ドラマの小説版。 原作:小沢かな ドラマ脚本:浜田秀哉 ノベライズ:百瀬しのぶ
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-選考会で激賞された第5回ことばと新人賞受賞作「フルトラッキング・プリンセサイザ」ほか、一年後をつづった「メンブレン・プロンプタ」、うつヰの学生時代を描いた「チェンジインボイス」を収録。 VRにAI、最新のテクノロジーを題材としながら、読後には人肌のような温みが残る。 読者はきっと、作中人物たちに対して抱く自分の優しさに驚くだろう。それは視点やナラティブがつくり出す仮想現実的な効果であり、それこそが作者が小説に持ち込んだテクノロジーなのだ。(滝口悠生) 情報と身体、科学と物語がますます複雑に交差し、いま「感覚の大気」が変動している。行方がわからないその変動を、この小説家は、現時点で生け捕りにしているかのようだ。(千葉雅也) 映像や3DCGを扱う制作プロダクションに勤めるうつヰの一日は長い。今夜バスタオルで体を拭くのを忘れないようメモするアプリケーションには何が最適か。部長の言うユーキューは「有給」なのか「有休」なのか?仕事を終えると「プリンセサイザ」にログインする。京王線沿線の各駅に配置された王女たちと、仮想空間システムを渡り歩けるソーシャルVRの中で交流するのだ。選考会で激賞された第5回ことばと新人賞受賞作「フルトラッキング・プリンセサイザ」ほか、一年後をつづった「メンブレン・プロンプタ」、うつヰの学生時代を描いた「チェンジインボイス」を収録。 【目次】 もくじ フルトラッキング・プリンセサイザ チェンジインボイス メンブレン・プロンプタ 【著者】 池谷和浩 1979年6月生まれ。栃木県立宇都宮高等学校卒。筑波大学日本語・日本文化学類卒。東京都在住、会社員。現職はデジタルハリウッド株式会社の執行役員として大学事業を統括。「フルトラッキング・プリンセサイザ」で第5回ことばと新人賞を受賞。
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-エブリスタ×竹書房が推すホラーの頂点 第3回最恐小説大賞受賞作は、孤島の怪奇ミステリ―! 天涯孤独の小説家・津雲佳人の元にある日届いた、伯母を名乗る人物からの手紙。 そこには幼い佳人と、十数年前に自死した若き頃の父の写真が同封されていた。 一度あなたの故郷へ来てほしいという伯母に、 佳人は九州南西部の孤島・陽炎島に渡る。 しかしそこは地元の者も近寄らぬ禁域、異人殺しの伝説が残る忌まわしき島だった。 島では異人の魂を弔う秘密の神事が行われており、 その神事を担うのが佳人の一族・白(つくも)家であるという。 現在は佳人のいとこにあたる、みのり、ハル、セイの3人がそのお役目を果たしている。 父はなぜ幼い佳人を連れて島を出たのか? 母は? 様々な疑念が渦巻く中、島で起きる殺人事件、奇怪な祭り。 犯人は異人の亡霊なのか、それとも……。 閉ざされた島で起きる戦慄の惨劇、ヴァナキュラーな孤島の怪奇ミステリー! 「あそこは異人殺しの島ですよ」 昔、陽炎島に鬼の一族が漂着した。 島民は金品と引き換えに上陸を許し、その夜、歓迎の酒宴を開いた。 宴は異様な盛り上がりを見せ、ついに島民達は酔った勢いで鬼達とまぐわってしまう。 翌朝目を覚まし我に返った島民は、鬼達が眠っている隙に彼らを惨殺し、金銀財宝を奪って死体を山に棄てた。 「その鬼が異人であると?」 「さあ。ただその亡霊が彷徨うんです、今も」
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-第3回笹井宏之賞永井祐賞受賞! みんなして写真のなかで吸う紙のたばこ 爆発前のSupreme 第3回笹井宏之賞永井祐賞受賞! これ、新感覚です。友達の日記を覗き見してるようでクセになります。━━━SUSHIBOYS(ラッパー) 短歌で生きた音を響かせるには、文体を一から自分でつかみ直すしかない。そう感じさせる一冊である。━━━永井祐(歌人) 【収録歌より】 業務用コーンフレーク買って食べ切れなかったの良かったなって ファイナンスのテーマソングを子どもたちが歌ってる bpmがすこし高い 汚れたしそろそろで洗うコンバース六月はすぐ乾くから夏 肉まんが去年より小ぶりになってる…答えてくれる人たちにtel 清原が薬をやめ続けることを励みに今朝をする人がいる 【栞】 永井祐「僕のバイブスになっていく」 山田航「配られたカードで」 伊舎堂仁「【にせんにじゅう/にせんにじゅうに/にせんにじゅう/ご にせんにじゅうご/にせんにじゅうご】と読むと「ご」のあと首を振れて楽しい」 【目次】 もくじ I 六月の火 Ⅱ キックアウト 退屈とバイブス ベースボール選手 ふみふみ Ⅲ こち亀は警察の職場 続きが見たい 再現映像 撤退戦 Ⅳ 描いてある星座 更新作業 捺印 少しの待ち時間 Ⅴ 陸路 美術(夏) Ⅵ 百合の花募金 ゴシック体 あとがき 【著者】 川村有史 1989年青森県青森市生まれ。群馬県在住。2012年頃より作歌をはじめる。2015年頃まで歌誌「かばん」に所属。2020年、「退屈とバイブス」で第3回笹井宏之賞永井祐賞受賞。2022年、第10回現代短歌社賞佳作。
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-「生きねばなりません。 そのお手伝い、 させていただきます」 切腹を命じられた武士を お梅は療治できるのか? 読むと身も心もやわらぐ時代小説 【あらすじ】 五歳の時に光を失い、 揉み療治を生業としているお梅。 市井の人々に大評判で、一年先まで申し込みが 埋まっている。ところが今すぐ主の腕が動くよう 療治してほしいという武士が現れた。 お梅でなければ駄目なのだと。 武士から「張りつめた者」の気配を 感じ取ったお梅は、 三日後、主のものとへ向かう! 「人は、どこか緩めないと生きていけない」 【著者からのコメント】 江戸の揉み師、お梅の物語、その二作目です。 お梅は、早とちりもするし、とても弱い部分 もある少女です。でも、人の芯に凛とした気迫 を宿してもいます。盲目だからこそ見え、 感じる世界と共に、お梅の凛々しい生き方を 読んでいただけたら嬉しいです。 ■主な登場人物■ お梅 五歳の時に光を失い、人に揉みを 施すことを生業としている十七歳。 十丸 お梅の用心棒。 人には白い大きな犬に見える。 お筆 豆大福が評判の紅葉屋を出している。 揉み仕事の依頼を受けお梅に取り次ぐ。 お昌 両親を亡くし、祖母のお筆と暮らして いる。お梅の仕事の段取りを担う。 先生 お梅に揉み師の才を見抜いた者。人には 白茶の天竺鼠に見えている。 お酒に目がない。
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3.0〈死〉の果てを描いた異次元の衝撃。 人類究極の問いを突破する、白石文学の新たな代表作誕生! 89歳までの健康長寿を保証する世紀の発明"Timer" "その日"が来たら、私の心と身体はいったいどこへ行くのか? 体内に装着したTimerの声に導かれ、余命わずかの老夫婦は、 人生究極の問いの答えを求め、禁断の地へ向かう――。 【あらすじ】 「どんなにかなしいことがあっても、本当にかなしむ必要はない。この世界に悲劇なんてものは存在しないんだから。」 89歳までの健康長寿を約束する夢の装置Timerを開発し、失踪したサカモト博士が残したメッセージにはどんな意味があったのか? 装着したTimerの消滅日=死を目前に、カヤコは突然、「博士を捜し出し、Timerの秘密が知りたい」と言い出した。その時限設定を解除した者は不老不死になるという噂もある。彼女の真意は不明だが僕は同行を決めた。 年老いて夫婦二人きりになった今、カヤコの死は、僕の死だった。
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3.0迷路のような地下都市カヴェルナの人々は自分の表情をもたず、《面(おも)》と呼ばれる作られた表情を教わる。そんなカヴェルナに住むチーズ造りの親方が、トンネルで痩せこけた幼子を見つけた。ネヴァフェルと名づけられた幼子は、ある理由から外の世界から隠されて育てられる。一瞬たりともじっとしていられない好奇心いっぱいの少女に成長したネヴァフェルは、ある日トンネルを抜けだし街に出てしまい、そこで奇しくも国全体を揺るがす陰謀のただ中に放り込まれるが……。『嘘の木』の著者が描く、健気な少女が大活躍する冒険譚。カーネギー賞候補作。
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