作品一覧

  • ムラカミのホームラン
    3.0
    1巻1,771円 (税込)
    CMに脚光が当たり始めた時代、主人公は相棒のプロデューサーと話題の作品を撮り続けていた。あれから数十年経ち、彼の訃報が飛び込んできたことを機に過去に想いを馳せるのであった。小学校からズバ抜けた才能をみせた友人・村上の急死。才能の違いをまざまざと見せつけられたウディ・アレンとのCM撮影など圧倒的な才能にまつわる生と死を描き切った「ムラカミのホームラン」と、主人公である猫自身の死を描写した「ヨシダ」。
  • 会話のつづき ロックンローラーへの弔辞
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    「腹減った、のど渇いた、死にそうだぁ」。「バン!」。男が口で言った銃声に、女はのけぞって言った。「こんな日に死ねて嬉しいぜ、感謝します!!」。列にいた若い男女の会話である。故人に似せた言い回しと原色で着飾ったふたりの悲しみとは程遠いやりとりの方が、ロックンローラーを送る言葉としてはふさわしく思えて、嗚咽混じりの弔辞から目を外し忘れないうちにと走り書きした。
  • 猫の水につかるカエル
    3.9
    1巻1,672円 (税込)
    静かなユーモア・優しいペーソス、淡々と沁みる小説集。「父母の、友の、猫の、己の死を深く見つめる作者の眼差しが、今ここにあるかけがえのない生に向けられる時、すべての事物が記憶を語りはじめる――。
  • 石を置き、花を添える
    4.5
    1巻1,672円 (税込)
    ウォーキング途中の道端に置かれた石と、添えられた花。埋められている「なにか」――問いは残されたまま「わたし」の記録は記憶を辿り、老いと死への思索に漂う。清冽なる本格小説集。
  • 最後に誉めるもの
    3.0
    1巻1,881円 (税込)
    不意に現れた亡き母とのとりとめのない会話。「お父さんもあたしも若くて、一生懸命生きてた。一生懸命生きないと楽しくないからね。もう一回生きたいな、四人であの頃を」。母の死とかつての家族の姿を綴る、表題作ほか「日記と周辺」を収録。

ユーザーレビュー

  • 猫の水につかるカエル

    Posted by ブクログ

    淡々と語る父母や猫、友人、そして自分自身のこと。静かに流れるように染み入る文章でした。3歳の猫に無理心中を迫られたり、ネコ用の水にカエルが陣取ってたりユーモアもあり心静かに読みました。
    この本をどこで知ったのか忘れてしまったけど、良い本を紹介してもらえたと思います。

    0
    2017年07月20日
  • 会話のつづき ロックンローラーへの弔辞

    Posted by ブクログ

    静寂でも喧騒でもいいじゃないですか。

    ただこの世から気になるひとりの稀有なロック野郎が、2年前に私たちの前からいなくなったという事実に、絶叫するか沈静するかの違いで、何しろ初めからこちらは体裁なんか構っていないんです。

    0
    2011年10月27日
  • 石を置き、花を添える

    Posted by ブクログ

    『しかしそれは晩年の今村監督から逆算した、わたしが捏造した記憶であるようにも思う。そんなはずはないのに、そこだけにスポットライトがあたっているようだった』-『石を置き、花を添える』

    記憶と想像のあわいをすすむような印象、と初めて川崎徹の著作を読んだ時に思った。それはエッセイとも小説とも、すっぱりと決めて呼んでしまうことが躊躇われるような読後感だった。再び川崎徹の著作を手にして、やはり、と思い返す。

    どこまでも記憶を辿るような話が進んでゆくようでありながら、そこにはにわかに事実とは思えないような(と書くのは少し大げさ過ぎるし、読んで受け取る印象からすれば事実ではなく、それらは極めて自然に文字

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    2010年06月26日
  • 猫の水につかるカエル

    Posted by ブクログ

    静謐な空気が言葉の隙間から漂い出てくるような錯覚に駆られる。日常の行為の中で去来する様々な思い。それは、目の前の出来事と過去を結びつけたかと思えば、穏やかな言葉のやり取りの中に忍び込む無口な怒りを気づかせたり、と忙しく動いているかのように思える。しかし一つの思いと次の思いの間には隙間が無いようでいて、実は何も無い時間が過ぎていったようでもある。その時間の思いがけない長さが不思議でもあり、自然でもある。

    一体これは小説と呼ぶべきなのかそれとも随筆のようなものか。小説と呼ぶには作家と一人称で語る人物の重なり方には余りに隙がない。語られる言葉から立ち上がる世界は自分と地続きの世界であるようにすら見

    0
    2010年05月15日
  • 猫の水につかるカエル

    Posted by ブクログ

    猫や両親、そして自分の死を見つめる日々の暮らしを描いた物語?随筆?なのだけど、平松洋子さんが『野蛮な読書』で書評を書いていた通り、「ふしぎな静謐とユーモアが漂う」ので、暗い感じは全くない。
    冬の晴れた朝の張りつめた空気の中で、じっと考え事をするような感覚。しんと静かな気持ちになる。

    0
    2022年10月08日

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