川崎徹のレビュー一覧

  • 猫の水につかるカエル

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    淡々と語る父母や猫、友人、そして自分自身のこと。静かに流れるように染み入る文章でした。3歳の猫に無理心中を迫られたり、ネコ用の水にカエルが陣取ってたりユーモアもあり心静かに読みました。
    この本をどこで知ったのか忘れてしまったけど、良い本を紹介してもらえたと思います。

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    2017年07月20日
  • 会話のつづき ロックンローラーへの弔辞

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    静寂でも喧騒でもいいじゃないですか。

    ただこの世から気になるひとりの稀有なロック野郎が、2年前に私たちの前からいなくなったという事実に、絶叫するか沈静するかの違いで、何しろ初めからこちらは体裁なんか構っていないんです。

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    2011年10月27日
  • 石を置き、花を添える

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    『しかしそれは晩年の今村監督から逆算した、わたしが捏造した記憶であるようにも思う。そんなはずはないのに、そこだけにスポットライトがあたっているようだった』-『石を置き、花を添える』

    記憶と想像のあわいをすすむような印象、と初めて川崎徹の著作を読んだ時に思った。それはエッセイとも小説とも、すっぱりと決めて呼んでしまうことが躊躇われるような読後感だった。再び川崎徹の著作を手にして、やはり、と思い返す。

    どこまでも記憶を辿るような話が進んでゆくようでありながら、そこにはにわかに事実とは思えないような(と書くのは少し大げさ過ぎるし、読んで受け取る印象からすれば事実ではなく、それらは極めて自然に文字

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    2010年06月26日
  • 猫の水につかるカエル

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    静謐な空気が言葉の隙間から漂い出てくるような錯覚に駆られる。日常の行為の中で去来する様々な思い。それは、目の前の出来事と過去を結びつけたかと思えば、穏やかな言葉のやり取りの中に忍び込む無口な怒りを気づかせたり、と忙しく動いているかのように思える。しかし一つの思いと次の思いの間には隙間が無いようでいて、実は何も無い時間が過ぎていったようでもある。その時間の思いがけない長さが不思議でもあり、自然でもある。

    一体これは小説と呼ぶべきなのかそれとも随筆のようなものか。小説と呼ぶには作家と一人称で語る人物の重なり方には余りに隙がない。語られる言葉から立ち上がる世界は自分と地続きの世界であるようにすら見

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    2010年05月15日
  • 猫の水につかるカエル

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    猫や両親、そして自分の死を見つめる日々の暮らしを描いた物語?随筆?なのだけど、平松洋子さんが『野蛮な読書』で書評を書いていた通り、「ふしぎな静謐とユーモアが漂う」ので、暗い感じは全くない。
    冬の晴れた朝の張りつめた空気の中で、じっと考え事をするような感覚。しんと静かな気持ちになる。

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    2022年10月08日
  • 会話のつづき ロックンローラーへの弔辞

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    あの日、あそこに行った身としては、あの日あの場所の日差しや空気やにおいや音がありありとよみがえった。

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    2015年10月03日
  • 石を置き、花を添える

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    死についてのいくつかのはなし。エッセイのように書かれるはなし。たんたんとしているように思えて、感情に触れられるように思えたのです。

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    2013年03月28日
  • 猫の水につかるカエル

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    傘と長靴まで読みました。売れる作家と売れない作家の違いってなんなんだろう。私にはまだわからない。
    全体的に良い感じでした。が、私の気になるのは猫との心中はどうなったのかってこと。還暦迎えてもそれはそれで迷いのもとはあるってこと。

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    2010年03月05日
  • 会話のつづき ロックンローラーへの弔辞

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    「男爵原次郎」の大きな墓。その墓にはひびが入ってる。ある日、その墓がひびから割れ通りかかった僕が支えたため身動き出来なくななり、墓石の御霊と延々会話しながら一晩過ごす。
    個人的に墓じまいの打合せに行く前を読んだのが印象的。

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    2024年09月22日
  • ムラカミのホームラン

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    表紙とタイトルで購入。
    表題作より、同時収録されている「ヨシダ」の方が秀逸だと感じた。
    淡々と、客観的に、死と生について述べているが、これがなんとも言えない後味を生んでいる。

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    2022年09月11日
  • ムラカミのホームラン

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    人に理解されにくいような、独特の感覚を持った人。
    読みたくて買った本の予習の前の予習で読んだけど、買った本にたどりつけないかも。や、慣れたらいけるか。

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    2015年08月19日
  • ムラカミのホームラン

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    ネタバレ

    繰り返されるもの?
    終わりのないループの物語?
    けっこう抽象的で時間軸も前後して、わかりやすくはない。

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    2014年10月22日
  • 猫の水につかるカエル

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    ネタバレ

    両親も亡くなり、残された家で自分を溺愛するあまりに心中を持ち掛けてくるメス猫とのひっそりとした生活。

    自分も高齢になり、毎年かかさず受けている健康診断で、予期せぬ陰が見つかり、腐れ縁の巨体の男と噛み合っているのかもよくわからないような話をしながら食事をするひととき。

    「傘と長靴」で公園に住んでいる猫たちの餌の面倒をみる男の話が印象的。
    増減する猫たち、交通事故や悪意を持った人たちによって翻弄される過酷な野良生活。

    猫大好きー。
    本が出版される頃にはまだ地域猫っていう考え方はまだ浸透していない時期かな?

    どの生き物にも共通していることだけど、明日生きているか定かではない状況にいる猫たちに

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    2014年02月27日
  • 最後に誉めるもの

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    母方の祖父、父方の祖母のことを思い出す。いくら用意しても、いや、用意できたいな。しない。
    そろそろうちの親も年だなと思い、あまり小説に集中できない。

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    2013年02月19日
  • 最後に誉めるもの

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    表題作「最後に誉めるもの」では川崎さんの率直な今が綴られている。CMディレクターとして第一線で活躍されていた川崎さんから「老い」と云う言葉を聞くのは複雑な思い。亡くなったお母さまとの対話が温かくて微笑ましい。「日記と周辺」では少し郷愁めいたものも感じられる。

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    2012年11月29日
  • 猫の水につかるカエル

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    「逆さにして振っても、一滴も残っていなかったでしょうね」

    父の死、猫の死、我が身の死…
    幼少期、雨の日に父を迎えに行くことが「私」の日課だった。
    父の死から幼少期の父との接点を思い返す『傘と長靴』。
    厳しい父親と、小さな「私」が無言で坂をのぼるシーンは、白黒映画にできそうな味がある。

    「死」というものの、ドラマ性のない、現実的な捉え方に好感がもてた。

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    2012年08月16日
  • 猫の水につかるカエル

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    私小説的死生観~「傘と長靴」母が死んで以来一人暮らしだった父が死に、駅まで傘と長靴を持って父を迎えに行っていた頃を思い出す一方、公園の野良猫に餌を与えるために早朝自転車に乗る。「猫の水につかるカエル」父の家から引き取ったのはソファで父を思い出すが、一方で年に一度の人間ドックで膵臓に何かが発見され、精密検査を受けるように薦められると猫が心中を申し出てきてもひたすら断るが、猫のために庭に用意した水入れ代わりに使っている弁当箱に住み着いたカエルに水を与えながら部屋の中を見ると、そこに私はいない~余り人に近づかない父が死んで、公園で姿を消した猫たちと重ね合わせ、母が遺したコートと父が遺したソファが色々

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    2011年02月27日