ほんのこども

ほんのこども

1,881円 (税込)

9pt

3.5

横溢する暴力と身体、無垢なる魂の軌跡。「やさしく恋するみたいに他の人体を壊す」

元同級生あべくんからのメールにあった文章から着想したシーンをつないで、
商業作家はあべくん自身の人生を小説にしようとする。
父による母殺傷事件、両親がころしころされていたあべくんはやさしく恋するみたいに他の人体を壊す。
殴られても反発するようによろこぶ身体。やさしさや暴力で愛撫し合い痛みをこらえるようによろこぶ身体。
物語にかえろうとするから人生はつらく、日常が重すぎてひとをころしたくなる。
恋人をころして自分も死んだところで折り返し、あべくんの物語は無限に再生を繰り返す。
小説家があべくんなのかあべくんがかれなのか、やがてふたりの境界は曖昧になり、問い自体が意味を失う。

言葉を与えられていない領域に光をあて小説は紡がれ、大量虐殺の記憶が時空を架橋しやがて物語は侵蝕される。
――世界文学に接続する芥川賞作家の真骨頂・新境地。――

鴻巣友季子さん絶賛!読書量と強靭な知性に瞠目!
“すべてのポートレイトは画家の自画像であり、すべての小説は自伝を目指すと言う。おそらくすべての小説はどこかしら、一人称の失恋なのだ。”
“小説でなにかを「再現」することは、過去のよみがえりのように見えて、未然の予告なのだ。すべてのフィクションは自伝を目指し、すべての自画像は他人の顔をしている。”
“かきあうこと、傷しあうこと、死にあうこと。「かれ」と「私」、その人称空間のよじれは経験と真実味との落差そのものだ。落差から、小説は来る。”――鴻巣友季子(翻訳家)

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ほんのこども のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年02月16日

    作家である私は元同級生あべくんから送られてきた「小説」を素材に、あべくんの人生の長編小説化を試みる……といったお話。目まぐるしく入れ替わる視点、曖昧になるフィクションと現実、難解で抽象的な文章。感想を書くのが本当に難しい。ただ、強く感銘を受けた作品。

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    Posted by ブクログ 2022年04月16日

    著者の町屋良平さんの体験?を基に小説を構築した私小説風の作品。フィクションと現実の境界があいまいな作品で、抽象的な文章に終始して内容もかなり難解(町田さんの作品は難解なものが多いがこの作品は難易度が一番高い)。小説を読むことや、書くことに対する概念がめちゃくちゃになる、最初の30ページを耐えて最後ま...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年03月25日

    一行一行追っていっても意味など見えてこない。
    ふと振り返ると何かの絵が浮かぶよう。
    一見壊されたようで実は精緻に組み上げられたモザイク画のような世界。
    憑かれた様に読み進んでいる時の感覚は奇妙な昂揚感を伴う。
    読むドラッグみたい。

    0

    Posted by ブクログ 2022年02月02日

    評価の仕方が分からず、感想の書き方もわからない。音楽的な、文学的な。怒涛の散文に圧倒され、誰が誰かも理解できないまま、もう理解することも辞めてしまって、日本語が日本語でなくなってしまった。

    それでも風景や匂いや音なんかは感じ取れて、話は進んで行くけど、やっぱり通常読書という行為から得ようと思う「そ...続きを読む

    0

ほんのこども の詳細情報

  • カテゴリ
    小説・文芸
  • ジャンル
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    講談社
  • ページ数
    320ページ
  • 電子版発売日
    2021年11月09日
  • コンテンツ形式
    EPUB
  • サイズ(目安)
    1MB

閲覧環境

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