検索結果

  • 新しい星
    4.4
    1巻1,500円 (税込)
    直木賞候補作、高校生直木賞受賞作『くちなし』から4年―― 私たちは一人じゃない。これからもずっと、ずっと 愛するものの喪失と再生を描く、感動の物語 幸せな恋愛、結婚だった。これからも幸せな出産、子育てが続く……はずだった。 順風満帆に「普通」の幸福を謳歌していた森崎青子に訪れた思いがけない転機―― 娘の死から、彼女の人生は暗転した。離婚、職場での理不尽、「普通」からはみ出した者への周囲の無理解。 「再生」を期し、もがけばもがくほど、亡くした者への愛は溢れ、「普通」は遠ざかり……。(表題作「新しい星」) 美しく、静謐に佇む物語 気鋭の作家が放つ、新たな代表作!
  • かすてぼうろ~越前台所衆 於くらの覚書~
    4.3
    1巻1,870円 (税込)
    関ヶ原前夜。東西勢力の境目に位置する越前もまた、混乱のさなかにあった。山深い田舎で育った十三歳の於くらは、越前府中城の炊飯場で下女働きを始める。ある晩、一人夜中まで働く於くらのもとに、城仕えと思しき初老の男がつまみ食いをしにやって来る。於くらの作った夜食を美味そうに頬張るその男は、なんと城主・堀尾吉晴だった。吉晴に料理の才を見出された於くらは、持ち前の機転と思いやりで、人々の心を動かしていく――。
  • はつ恋
    3.8
    南房総の海沿いの町で、古い日本家屋に愛猫と暮らす小説家のハナ。二度の離婚をへて、人生の後半をひとりで生きようとしたときに巡り合ったのは、幼少期を姉弟のように過ごした幼馴染のトキヲだった――。四季のうつくしい巡りのなかで、喪失も挫折も味わったふたりは心も体も寄せ合いながら、かけがえのない時を積み重ねていく。あたたかな祝福に満ちた、大人のための傑作恋愛小説。
  • 米澤屋書店
    3.9
    『満願』『王とサーカス』で「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」の国内部門1位でミステリーランキング3冠を2年連続で達成。 いま最も次回作が待ち望まれるミステリ作家・米澤穂信。 次々と魅力的な謎を生み出す作家の頭の中はどうなっているのか? 米澤さんの頭の中を満たしてきたのはどんな本たちなのか。 作家生活20年の節目に、米澤さんの心を捉え、人気ミステリ作家を形作ってきた本を一気見せ。 米澤さんが20年にわたって、様々な媒体に書きためてきた書評やお勧め本を一冊にまとめました。 「思うさまに大好きなミステリをお勧めしたい」という米澤さんの強い思いから、特別書き下ろし「私の心を捉えて離さないミステリ」(120枚!)&オリジナルコメンタリー(180枚!)収録。 米澤穂信ファン、ミステリファン、これからミステリ作家を目指す未来の書き手必携の一冊。
  • エリカ
    3.4
    急逝した親友の告別式の夜、その不倫相手と二人で飲んだのをきっかけに、エリカはいつしか彼との恋愛にのめり込んでいく。逢瀬を重ねていった先には何が……。 高ぶるほど空虚、充たされるほど孤独。現代の愛の不毛に迫る長篇。
  • 都市伝説セピア
    4.0
    人間の怖さ、哀しさを描いた、直木賞受賞作家のデビュー作 自ら“都市伝説”の主人公になろうとする狂気を描く「フクロウ男」、友人を失った少年が時間を巻き戻そうとする「昨日公園」など5篇
  • 東京アクアリウム
    3.0
    夜景が美しいカフェで親友が語る不思議な再会に震撼する表題作、施設に入居する母が実家で過ごす最後の温かい夜を描く「猫別れ」など8篇。人の出会いと別れ、そして交錯する思いを描く、珠玉の短編集。
  • 猫はわかっている
    3.6
    現代を代表する人気作家たちが、猫への愛をこめて書き下ろす猫の小説集第二弾! 猫が一生に一度だけ、人間の言葉をしゃべる!? 仕事と家事・育児にフル回転の雑誌編集者、九美が余命幾ばくもない猫を引き取ることになり……(村山由佳) 野良出身、いまは堂々の家猫ニャアが野犬に襲われ、まさかの!?(阿部智里) 火事が起きたとき、妻と双子の息子達の明暗が分れた。猫は何を見ていた?(長岡弘樹) 妊娠した姉から預かった猫との生活に、私の人生観が変わりだし……(望月麻衣) ほか、有栖川有栖、嶋津輝、カツセマサヒコらが登場! 話題の前作『猫が見ていた』に続く、謎と企みに満ちたオリジナル・アンソロジー。
  • 再生 角川ホラー文庫ベストセレクション
    3.9
    1993年4月の創刊以来、わが国のホラー・エンターテインメントとともに歩んできた無二の文庫レーベル、角川ホラー文庫。その膨大な遺産の中から、時代を超えて読み継がれる名作を厳選収録したベストセレクションが登場。大学助教授の〈私〉が病院で知り合った美しい女性、由尹。ミステリアスな雰囲気をたたえた彼女は、自分の体は呪われていると告げる。ともに暮らし始めた二人だが、やがて悲劇的な事件に見舞われて……。ミステリとホラーの巨匠・綾辻行人90年代初頭に執筆した傑作「再生」をはじめ、『リング』の鈴木光司が東京湾のクルーズ船を舞台に戦慄の一夜を描いた「夢の島クルーズ」、故・今邑彩が角川ホラー文庫のために書き下ろした不穏な物件ホラー「鳥の巣」、の第72回日本推理作家協会賞に輝いた澤村伊智の学園ホラー「学校は死の匂い」など、バラエティ豊かに、ホラージャンルの面白さと可能性を示す全8編。最高にして最恐、これが日本のホラー小説だ。ホラー評論家・ライターの朝宮運河セレクション。 収録作は以下の通り。 綾辻行人 「再生」(『亀裂』、『眼球綺譚』) 鈴木光司 「夢の島クルーズ」(『仄暗い水の底から』) 井上雅彦 「よけいなものが」(『怪奇幻想短編集 異形博覧会』) 福澤徹三 「五月の陥穽」(『怪談歳時記 12か月の悪夢』) 今邑彩 「鳥の巣」(『惨劇で祝う五つの記念日 かなわぬ想い』) 岩井志麻子「依って件の如し」(『ぼっけえ、きょうてえ』) 小池真理子  「ゾフィーの手袋」(『異形のものたち』) 澤村伊智  「学校は死の匂い」(『などらきの首』)
  • SF読書会
    4.0
    人気プロ作家によるブックガイド対談集 テキストは、古今東西の名作SF! 山田さんなら 恩田さんなら どう書きます? 山田正紀と恩田陸。多ジャンルで活躍する人気エンターテインメント作家二人が、古今東西の名作SFを、読みまくり、語りまくる。 題材は、半村良、アシモフ、小松左京、キング、萩尾望都など。自分だったらこのテーマでどう描くか、という実作者ならではの議論も白熱。 後半ではそれぞれの自作、『神狩り』、《常野》シリーズも俎上に……。 読書家必読のブックガイド対談集、待望の復刊! 半村良『石の血脈』『岬一郎の抵抗』 アシモフ『鋼鉄都市』『はだかの太陽』 時間を越える小説を求めて ル・グィン《ゲド戦記》 沼正三『家畜人ヤプー』 小松左京『果しなき流れの果に』 山田正紀『神狩り』 キング『呪われた町』『ファイアスターター』 萩尾望都『バルバラ異界』 『原点』との邂逅 特別対談:萩尾望都✕恩田陸 恩田陸《常野物語》
  • トリニティ(新潮文庫)
    4.0
    1巻935円 (税込)
    仕事、結婚、男、子ども……私はすべて手に入れたい。欲張りだと謗られても――。1960年代、出版社で出会った三人の女。ライターの登紀子は、時代を牽引する雑誌で活躍。イラストレーターの妙子は、才能を見出され若くして売れっ子に。そして編集雑務の鈴子は、結婚を機に専業主婦となる。変わりゆく時代の中で、彼女たちが得たもの、失ったもの、そして未来につなぐものとは。渾身の長編小説。(解説・梯久美子)
  • 川のほとりで羽化するぼくら
    3.5
    一年にたった一度の逢瀬。それだけを楽しみに機を織りつづける織女の浅緋は、自分たちを縛る「罪」の託宣の違和感に気づき、恋人の牛飼いに天の川を下って逃げだそうと提案する(「ながれゆく」)。他3編。
  • 時間色のリリィ
    4.0
    1巻1,386円 (税込)
    小学5年生のロミは、ある日、同じ塾に通っている優等生、園内くんの訪問を受ける。 「ミコミコぷろだくしょん」という名前をしらないかという突拍子もない質問をされて、近くの公園まで誘われると、風変わりな女の子がまっていた。 コスプレめいた服装のその女の子は、園内くんをあやつって、「ミコミコぷろだくしょん」のことを聞き出そうとしているらしい。 ノスタルジックホラーとよばれる作風の直木賞作家が、児童向けの作品に初挑戦。 親子で楽しめる作品です。
  • 朔が満ちる
    3.8
    1巻1,799円 (税込)
    かつて中学1年の時に僕は、斧で父に殴りかかって殺そうとしたことがある──心に傷を負い家族と離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也。荒んだ生活の中で、看護師の梓との出会いから、徐々に自身の過去に向き合おうとする──これは「決別」と「再生」の物語。
  • 本と鍵の季節
    4.0
    堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門(しもん)と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが……。放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。爽やかでほんのりビターな米澤穂信の図書室ミステリ、開幕!
  • 「自由」の危機 ――息苦しさの正体
    3.8
    あいちトリエンナーレ2019、日本学術会議 会員任命拒否、検察官定年延長、加計学園問題……今、起きている出来事の本質を見抜くための論考集。 「百人組手で知性を鍛え、不当性に抗う訓練になる一冊」――荻上チキ(評論家) あらゆる「自由」が失われつつある中で、研究者・作家・芸術家・記者などが理不尽な権力の介入に対して異議申し立てを行う。少しでも声を上げやすい世の中になるようにと願って26名の論者が集い、「自由」について根源的に掘り下げる。 批判的思考を養うための書! 【本文より】 表現の範囲がどんどん狭まっている――ヤマザキマリ 批判精神に欠けた学者に囲まれた政府は、端的にいって災厄――藤原辰史 アーティストやタレントが政治的な発言をするたびに、猛バッシングを受けますが、彼らも市民の一人です。政治的発言をしてはならない理由がわかりません――上野千鶴子 私たち日本人は「自由は取扱いの難しいものだ」という実感に乏しいように思われる――内田樹
  • 日曜日は青い蜥蜴
    3.7
    1巻1,760円 (税込)
    少女時代のエピソードあり、笑える読書日記あり、真摯で豊かなレビューあり……。約10年ぶりに放たれる待望の新刊エッセイ集! 書き下ろしあとがき収録。
  • 彼方の悪魔
    3.3
    語学留学から帰国した男子学生はペットのリスの死骸を持ち帰り、自宅の庭に埋めてやったが、その日から高熱を出した。なんとリスはペスト菌に冒されていたのだ。一方、男子学生の自宅にほど近いところには美しい女性キャスターが住んでいる。その彼女に歪んだ愛情を抱くのは、病的に潔癖なうえ、セントポーリアに埋め尽くされた部屋で暮らす男。忍び寄るペスト菌と、男の異常な行動。ふたつの”病”が交わる先には想像を絶する恐怖が待ち受けていた。
  • 神様の罠
    3.6
    人気作家6人の豪華すぎるアンソロジー! ミステリー界をリードする作家による、珠玉の「罠」。 好きな作家を指名買いの方も、新たなお気に入り作家を探す方も納得の一冊です。 「夫の余命」乾くるみ 「崖の下」米澤穂信 「投了図」芦沢央 「孤独な容疑者」大山誠一郎 「推理研VSパズル研」有栖川有栖 「2020年のロマンス詐欺」辻村深月
  • 見えない情事
    3.5
    刺激はないが穏やかな暮らしに幸せを感じていた夕起子と夫。結婚5年目にしてハネムーン以来となるリゾートホテルへの旅行に出かけた。そこである夫婦に声をかけられる。最初こそ友好的だったが、次第に夫の様子が明からにおかしくなり、二組の夫婦の間には不穏な空気が漂うようになる(表題作「見えない情事」)。デビューから4年半の間に執筆した、著者初の”幻想・怪奇・サスペンス短編集”。装いも新たに復刊!
  • 八咫烏シリーズ外伝 きんかんをにる
    4.5
    ※こちらの電子書籍は2021年4月26日発売の単行本『烏百花 白百合の章』に収録している全8篇のうち、8番目の短篇を電子化したものです。 奈月彦と浜木綿の娘である紫苑の宮は、内親王という立場ながら自由な環境で暮らしている。奈月彦は、紫苑の宮に干し金柑の作り方を教えながら、幼い娘の幸せを祈る。だが一方で、ある予感を抱くのだった。
  • 八咫烏シリーズ外伝 かれのおとない
    4.0
    ※こちらの電子書籍は2021年4月26日発売の単行本『烏百花 白百合の章』に収録している全8篇のうち、1番目の短篇を電子化したものです。 北領の平民の家に生まれたみよしは、面倒見がよくいつも優しい一番上の兄・茂丸を慕っていた。山内衆になるため勁草院に入峰した茂丸は、そこで仲良くなった雪哉を家に連れてくる。貴族出身だがまったく気取ることなく自分や村の子ども達に接する雪哉に、いつしかみよしは心惹かれていくのだった。 だが、山内を大きな地震が襲い、山内衆となった茂丸は若宮の護衛中に死んでしまい――。
  • 八咫烏シリーズ外伝 おにびさく
    -
    ※こちらの電子書籍は2021年4月26日発売の単行本『烏百花 白百合の章』に収録している全8篇のうち、5番目の短篇を電子化したものです。 山内の工芸全般を担う西領では、あらゆる分野の職人が切磋琢磨しながら生活している。 登喜司(ときじ)もその一人。彼は死別した父の跡を継いで、貴族の必需品である「鬼火灯籠」を生業としていた。 西家の「お抱え」職人だった父との力量の差を痛感し、将来に悩む日々。そんな矢先、皇后・大紫の御前が美しい飾り灯籠を所望していることを知り――。
  • 八咫烏シリーズ外伝 ちはやのだんまり
    -
    ※こちらの電子書籍は2021年4月26日発売の単行本『烏百花 白百合の章』に収録している全8篇のうち、3番目の短篇を電子化したものです。 西家の御曹司として生まれた明留(あける)と、その親友で優秀な近衛・千早(ちはや)の前に現れた、粗末な衣を着た薄汚い若者。名前はシン。 なんと千早の最愛の妹・結が、この若者との交際を認めてほしいという。日頃から無口な千早の代わりに、明留は率先して話を聞こうとするのだが、ぶっきらぼうな態度のシンへの印象は悪くなる一方。慌てる明留の傍ら、肝心の千早は「だんまり」を決め込むばかりで……。
  • 八咫烏シリーズ外伝 はるのとこやみ
    -
    ※こちらの電子書籍は2021年4月26日発売の単行本『烏百花 白百合の章』に収録している全8篇のうち、7番目の短篇を電子化したものです。 楽才を重んじる東領出身の双子・伶と倫。貴族たちから蔑まれる身分でありながら、大貴族・東家で楽人見習いとして「竜笛」の練習に励んでいた。 いつか宮中に上がることを夢見る二人だが、短気な伶とおおらかな倫の間には、圧倒的な音の差があった。伶は出来の良い弟に内心嫉妬するが、ある時、長琴を見事に奏じて東本家の養女に迎えられた、浮雲と出会ってから倫の様子がおかしくなり……?
  • 八咫烏シリーズ外伝 なつのゆうばえ
    -
    ※こちらの電子書籍は2021年4月26日発売の単行本『烏百花 白百合の章』に収録している全8篇のうち、6番目の短篇を電子化したものです。 山内の地を四分して統治する四家がひとつ、南家。その当主の娘として生まれた夕蝉は、宗家の若宮に輿入れし皇后となるべく、幼少から厳しい教育をほどこされてきた。しかし、対面した若宮には威厳が感じられず、さらには権力争いによって両親までも喪ってしまい――。第1巻「烏に単は似合わない」以前、あの主要人物の過去が掘り下げられる。
  • 八咫烏シリーズ外伝 ふゆのことら
    -
    ※こちらの電子書籍は2021年4月26日発売の単行本『烏百花 白百合の章』に収録している全8篇のうち、2番目の短篇を電子化したものです。 北領風巻郷の郷長一族の末っ子・市柳は、「風巻の虎」と名乗り、同じような年頃の郷民と徒党を組んで遊びまわっていた。将来を決めかねる市柳だったが、立場も年齢も似ている垂氷郷の雪哉が、若宮の側仕えになると聞いて複雑な心境に。そのような中、北領の少年達が一堂に会する武術大会が開催される。第四巻「空棺の烏」で触れられた、市柳と雪哉の因縁をひもとくエピソード。
  • 八咫烏シリーズ外伝 あきのあやぎぬ
    -
    ※こちらの電子書籍は2021年4月26日発売の単行本『烏百花 白百合の章』に収録している全8篇のうち、4番目の短篇を電子化したものです。 亡くなった夫に借金が発覚し、二人の幼子を抱えて困窮する環。そんな彼女に「私のところに来るかい?」と声をかけたのは、西本家の次期当主である顕彦だった。言動からは軽薄な印象が漂い、さらには「十八人の妻がいる」という顕彦だが、環は生活のため側室入りを決意する。第一巻「烏に単は似合わない」以前のエピソード。
  • 不在
    値引きあり
    3.5
    長らく疎遠だった父が、死んだ。 遺言状には「明日香を除く親族は屋敷に立ち入らないこと」という不可解な言葉。 娘の明日香は戸惑いを覚えたが、医師であった父が最期まで守っていた洋館を、兄に代わり受け継ぐことを決める。 25年ぶりに足を踏み入れた生家には、自分の知らない父の痕跡がそこかしこに残っていた。 年下の恋人・冬馬と共に家財道具の処分を始めた明日香だったが、整理が進むにつれ、漫画家の仕事がぎくしゃくし始め、さらに俳優である冬馬との間にもすれ違いが生じるようになる。 次々に現れる奇妙な遺物に翻弄される明日香の目の前に、父と自分の娘と暮らしていたという女・妃美子が現れて……。 「家族」「男女」――安心できるけれど窮屈な、名付けられた関係性の中で、人はどう生きるのか。 家族をうしない、恋人をうしない、依るべきものをなくした世界で、人はどう生きるのか。 いま、最も注目されている作家・彩瀬まるが、愛による呪縛と、愛に囚われない生き方とを探る、野心的長篇小説。 解説:村山由佳
  • きのうの世界 上下合本版
    -
    上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成。 他殺か事故か。 町の外れの「水無月橋(みなづきばし)」で死んでいたのは、一年前に失踪したはずの男。 ようこそ、ここは、塔と水路の町。 上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成。 飼い犬の「トラ」とともに暮らす、76歳の一卵性双生児、華代と虹枝。彼女たちはいつも同じ時間に散歩をする。水無月橋で一人の男が死んだあの日も。そして、二人は思い出す。バス停に捨てられた赤い印のついた地図のことを。 「ねえ、雨はどうやって数えるの? ほら、『ひと雨来た』っていうじゃない?」 「あのねえ、雨を数えてはいけないよ。雨を数えると鬼が来るよ――」
  • 黒と茶の幻想 上下合本版
    2.0
    1巻1,210円 (税込)
    太古の森をいだく島へ――学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理(ゆうり)を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。 美しい謎が去来する永遠の島を目指して 太古の森をいだく島へ――学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理(ゆうり)を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。
  • わたしの忘れ物
    3.7
    H大に通う中辻恵麻が、学生部の女性職員から無理矢理に紹介された、大型複合商業施設の忘れ物センター──届けられる忘れ物を整理し、引き取りに来る人に対応する──でのアルバイト。引っ込み思案で目立たない、透明なセロファンのような存在の私に、この仕事を紹介したのはどうして? キーホルダーや手袋など、なぜこんな他愛のない物を引き取りに来るの? 忘れ物の品々とその持ち主との出会い、センターのスタッフとの交流の中で、強張っていた心がゆっくりとほどけていく恵麻だが──。六つの忘れ物を巡って描かれる、心に染みる連作集。/【目次】妻の忘れ物/兄の忘れ物/家族の忘れ物/友の忘れ物/彼女の忘れ物/私の忘れ物/エピローグ/解説=若林踏
  • 死の島
    3.0
    大手出版社を定年退職後、カルチャースクールで小説講座を持つ澤登志夫、69歳。 女性問題で妻子と別れて後も、仕事に私生活に精力的に生きてきた。 しかし、がんに侵されて余命いくばくもないことを知るとスクールを辞め、人生の終幕について準備を始める。 講座の教え子・26歳の宮島樹里は、自分の昏い記憶を認めてくれた澤を崇拝し、 傍にいることを望むが、澤はひとり冬の信州へ向かった。 澤は、最後まで自分らしく生きることができるのか。「ある方法」を決行することは可能なのか…。 プライド高く情熱的に生きてきた一人の男が、衝撃的な尊厳死を選び取るまでの内面が描きつくされ、 深い問いかけを読者に与える傑作長編。 解説・白石一文 ※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • あなたも名探偵
    3.4
    謎を愛し論理を貴ぶ読者の方々は、問題編の文章を読んで真相に辿り着いたでしょうか。事件を解決に導くために必要な手掛かりは、紙上の名探偵たち同様、皆様にも既に手渡されています。冷静な観察と論理的思考を駆使すれば犯人を、そして小説の向こう側にいる作者をも出し抜くことができるかもしれません。推理する愉しさに、どうぞ存分に浸ってください。六人の推理作家からの挑戦状は、たった一行──犯人は誰か?【収録作】市川憂人「赤鉛筆は要らない」/米澤穂信「伯林あげぱんの謎」/東川篤哉「アリバイのある容疑者たち」/麻耶雄嵩「紅葉の錦」/法月綸太郎「心理的瑕疵あり」/白井智之「尻の青い死体」
  • 嘘 Love Lies(新潮文庫)
    4.4
    1巻1,045円 (税込)
    幼い頃に養父を亡くし、母親の愛人から日常的に暴力を受けていた刀根秀俊に、十四歳のとき初めて気の置けない存在ができた。同じクラスの美月、陽菜乃、亮介だ。四人で過ごすかけがえのない時間は、しかし、ある事件で一変する。それから二十年。秀俊は暴力の連鎖から抜け出せず、彼を思う美月、そして陽菜乃と亮介もまた、秘密と後悔にもがいていた。絶望の果てに辿り着く、究極の愛の物語!(解説・馳星周)
  • やさしい夜の殺意
    -
    両親と喧嘩をして実家を出た久美。身を寄せたのは13年間疎遠だった兄の家だった。彼は郊外の瀟洒な一軒家に、やや翳りのある物静かな雰囲気の美しい妻と暮らしていた。兄夫婦との居心地のよい生活がつづいていたが、底知れぬ不幸は音もなく近づいてくるのであった(『やさしい夜の殺意』)。予測不能のサスペンス短編集!
  • 狐と韃(むち)~知らぬ火文庫~
    3.8
    人と狐の間に生まれた者の末裔と噂され、並外れて大きな体と美しい顔をもつ妖女、美濃狐。ある日市に現れ、凄まじい剛力で暴虐非道に振舞う姿に、人々は恐れおののき、市は寂れてゆくのだが――。(表題作) ほか、日本最古の説話集『日本霊異記』を下敷きに繰り広げられる、不可思議で妖艶な物語の数々。古典を大胆に紡ぎ直した「知らぬ火文庫」シリーズ第1弾。
  • ミルク・アンド・ハニー
    4.4
    1巻1,001円 (税込)
    文学賞三賞に輝いた前作『ダブル・ファンタジー』に続く、魂と官能の傑作長編小説。 脚本家・高遠奈津は、創作の鬼に導かれるようにして夫との穏やかな暮らしを捨てた。 いくつかの恋を経て、現在は物書き志望の恋人・大林一也と暮らしているが、 大林もまた奈津の心と身体を寂しくさせる男だった。自分に触れず、遊び歩くばかりの 大林に気を遣いプレゼントを捧げ続ける日々の中で、元恋人たちと逢瀬を重ねる奈津だったが―― 自由と官能、孤独と愛憎の果てに、奈津がたどり着いた果てとは? 「週刊文春」連載中から「面白過ぎる」と多くの読者・執筆者を夢中にさせた強烈な吸引力のある一冊。 解説・辻村深月 ※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 眠れない夜は体を脱いで
    4.2
    自分の顔がしっくりこない男子高校生。五十過ぎに始めた合気道で若い男の子とペアを組むことになった会社員。恋人の元カノの存在に拘泥する女子大生。妻も部下もなぜ自分を不快にさせるのかと苛立つ銀行支店長。彼らは「手の画像を見せて」という不思議なネット掲示板に辿り着く……。「私」という違和感に優しく寄り添う物語。〈解説〉吉川トリコ
  • 燃える波
    3.7
    〈ライフ・スタイリスト〉の傍らラジオ番組を持ち、多忙な日々を送る帆奈美。夫と猫との静かな暮らしは、同級生だったカメラマン・澤田炯との再会を機に崩れてゆく。想いを抑える帆奈美を逆にけしかけ、大抜擢する女優の瑤子。輝きを増してゆく妻を、しかし夫は束縛し始めて……。自由と自尊心を賭けた帆奈美の闘いが始まる。〈解説〉中江有里
  • 唐沢家の四本の百合
    3.5
    唐沢慎介の三人の息子たちの嫁と、慎介の後妻の車椅子の美しい連れ子。四人の女性は雪に閉ざされた慎介の別荘で彼の到着を待っていた。そこに不吉な速達が届く。これまで他人同士だが仲良く幸せに暮らしていた彼女たちが、突然、恐怖のどん底に突き落とされる。美しい文章と卓越した心理描写で綴る極上の長篇心理サスペンス!
  • 箱庭旅団
    3.3
    1~3巻660円 (税込)
    短篇の名手、朱川湊人の新境地アンソロジー! 雨が降ると訪ねてくるあの子の足音、夕凪の浜辺で聞こえるあの人の声……。思わず涙がこぼれる、出会いと別れの物語。現在、過去、未来、そして虚構の世界――それぞれを「箱庭」に見立てて紡がれた、涙あり、笑いあり、恐怖ありの珠玉の物語が一冊に。“出る”と噂の部屋に住んだホラー小説家、夜中に母を待つ男の子のもとを訪ねてきたカラスのような男、一冊しか本のない図書館に導かれた姉と弟、雨が降ると現れる亡くなった孫を待つ祖母など、16の物語世界を、少年は白馬とともに旅をする。切なくもどこか懐かしい連作短編集。
  • 八咫烏シリーズファンブック
    4.0
    著者・阿部智里さんが監修を務めた「八咫烏シリーズ」をより楽しむための副読本! シリーズ公式Twitterアカウント「八咫烏の壺@yatagarasu_abc」で実施した、阿部智里さんと読者による一問一答企画を、電子書籍にまとめました。 「八咫烏の平均寿命は?」 「山内に温泉はありますか?」 「雪哉たちの好きな食べ物を教えて!」 「みんなの身長差は?」 など、八咫烏シリーズの世界やキャラクター設定、阿部さんご自身に関する【全149問】に阿部さんが回答。 さらに今回のために補足やまえがき&あとがきも追記した、充実の内容になっています。 巻末には付録として、『烏に単は似合わない』『烏は主を選ばない』の人物相関図も収録。 『烏に単は~』コミカライズを担当した松崎夏未さんのイラストを使用しています。 ■目次 ・まえがき ・阿部智里さんと読者による一問一答(全149問) ・『烏に単は似合わない』人物相関図 ・『烏は主を選ばない』人物相関図 ・おわりに
  • 烏百花 蛍の章
    4.2
    累計150万部の大ヒットファンタジー『八咫烏シリーズ』の外伝集。 異世界「山内」の壮大な歴史の流れの中、主要人気キャラクターたちは どんな風に育ち、一方でどんな関係を結び、事件の裏側でなにを思っていたのか。 美貌の姫君へのかなわぬ想い、愛を守るための切ない大嘘、 亡き人が持っていた壮絶な覚悟、そして、「命をかけた恋」…… 本編では描かれなかった、「恋」の尊い煌めきが満ちる魅惑の短編集。 2020年ついにスタートした第二部『楽園の烏』の前に必読!の書。 ※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 八咫烏シリーズ外伝 ゆきやのせみ 新カバー版【文春e-Books】
    -
    ※こちらの電子書籍は2020年9月2日発売の文庫『烏百花 蛍の章』に収録している6篇のうち、5番目の短篇を電子化したものです。 ※2020年9月2日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。 100万部突破! 新世代和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」 短編集『八咫烏外伝 烏百花 蛍の章』の一編を電子書籍で配信! 雪哉が若宮に忠誠を誓ってから二ヶ月。地方の巡啓中に放蕩癖が祟り、食い逃げの濡れ衣を着せられ投獄されてしまった若宮。雪哉は主君の身の潔白を証明できるのか? 第三巻『黄金の烏』と第四巻『空棺の烏』の狭間のエピソード。 雪哉と若宮、その側近・澄尾の三人が織り成す、コミカルな一作。
  • 八咫烏シリーズ外伝 わらうひと 新カバー版【文春e-Books】
    -
    ※こちらの電子書籍は2020年9月2日発売の文庫『烏百花 蛍の章』に収録している6篇のうち、6番目の短篇を電子化したものです。 ※2020年9月2日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。 100万部突破! 新世代和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」 短編集『八咫烏外伝 烏百花 蛍の章』の一編を電子書籍で配信! 猿と八咫烏の最終決戦から半年。桜花宮の筆頭女房・真赭の薄のもとに現れた元山内衆・澄尾が彼女に投げかけた衝撃の言葉とは? 一方、南領出身の山内衆・千早と、その妹・結の兄妹関係も変化を迎え……。 第六巻『弥栄の烏』の幕間、人気キャラクターたちの関係の変化を描く、必読の短編。
  • 八咫烏シリーズ外伝 まつばちりて 新カバー版【文春e-Books】
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    ※こちらの電子書籍は2020年9月2日発売の文庫『烏百花 蛍の章』に収録している6篇のうち、3番目の短篇を電子化したものです。 ※2020年9月2日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。 新世代和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」外伝 4作目の主人公は、第2巻『烏は主を選ばない』に登場した秘書官の松韻 第2部始動前に読んでおきたい一編! 谷間の女郎宿で生まれたまつは、大紫の御前に拾われ松韻と名を変える。 女としての生を捨て、男として官職を得た彼女だったが、激しく対立する一人の男が現れて――。 ※「オール読物」2018年1月号に掲載された作品を電子書籍化
  • 八咫烏シリーズ外伝 すみのさくら 新カバー版【文春e-Books】
    -
    ※こちらの電子書籍は2020年9月2日発売の文庫『烏百花 蛍の章』に収録している6篇のうち、2番目の短篇を電子化したものです。 ※2020年9月2日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。 新世代和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」外伝を電子書籍で配信! 突然、南家当主の姫君の身分を剥奪された墨子。理由も分からないまま両親の死を知らされ、山烏の孤児たちと暮らしていたある日、宗家の若宮がやってくる。 第一巻『烏に単は似合わない』で浜木綿が見せた行動の理由とは。彼女の忘れられない過去を描く短篇。
  • 八咫烏シリーズ外伝 ふゆきにおもう 新カバー版【文春e-Books】
    -
    ※こちらの電子書籍は2020年9月2日発売の文庫『烏百花 蛍の章』に収録している6篇のうち、4番目の短篇を電子化したものです。 ※2020年9月2日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。 新世代和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」外伝を電子書籍で配信! 行方不明になった垂氷郷の郷長の次男・雪哉と三男の雪稚。長男の雪馬と母の梓は必死で幼い彼らを探す。実は雪哉だけは産みの母が異なる北家当主の姫君だった。 雪哉の出生の秘密が明らかになる一作。
  • 八咫烏シリーズ外伝 しのぶひと 新カバー版【文春e-Books】
    -
    ※こちらの電子書籍は2020年9月2日発売の文庫『烏百花 蛍の章』に収録している6篇のうち、1番目の短篇を電子化したものです。 ※2020年9月2日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。 新世代和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」外伝を電子書籍で配信! 端午の節句で「角落とし」と呼ばれる神事の花形射手を務めた雪哉。その成長ぶりに驚いた桜花宮の筆頭女房・真赭の薄のもとに、思いがけない縁談の話が……。 第四巻『空棺の烏』の舞台・勁草院での二年目にあたる草牙時代のエピソード。
  • 合本 八咫烏シリーズ 第一部【新カバー版】
    4.5
    1巻4,000円 (税込)
    ※2020年8月8日より、カバーが変更となりました。内容については変更ございませんので、ご注意くださいませ。 100万部突破! 大ヒットファンタジー「八咫烏シリーズ」 第一部全6巻が一冊の合本に 「八咫烏シリーズ」は、人間の姿に変身することが出来る八咫烏の一族が、異世界・山内を縦横無尽に飛びまわる、和風ファンタジー。2012年に史上最年少20歳で松本清張賞を受賞してデビューした阿部智里が毎年一冊刊行、2017年『弥栄の烏』で第一部が完結しました。平安王朝風のみやびな風俗と、日嗣の皇子・若宮と側仕えの少年・雪哉を中心とした魅力的なキャラクターたち、周到に仕掛けられた謎と、日本神話に通じる壮大な世界観をお楽しみ下さい。 【収録作品】 『烏に単は似合わない』(2014年6月刊、文春文庫) 『烏は主を選ばない』(2015年6月刊、文春文庫) 『黄金の烏』(2016年6月刊、文春文庫) 『空棺の烏』(2017年6月刊、文春文庫) 『玉依姫』(2018年5月刊、文春文庫) 『弥栄の烏』(2019年5月刊、文春文庫)
  • 風は西から
    4.1
    大手居酒屋チェーン「山背」に就職し、張り切っていたはずの健介が、命を絶った。異変に気づけなかった恋人の千秋は自分を責め、悲しみにくれながらも、彼の両親と協力し、健介の名誉を取り戻すべく大企業を相手に闘いを挑む。しかし「山背」側は、証拠隠滅を図ろうとするなど、卑劣極まりない――。小さな人間が闘う姿に胸が熱くなる感動長篇。
  • すみなれたからだで
    3.5
    1巻748円 (税込)
    よく晴れた冬の日、わたしは父を施設へ入居させることを決めた。厳格な祖母が仕切る家で、母の出奔後もひっそりと生きたかつての父。そして今、自分の人生を選び取ることで夫とすれ違いを深めていくわたし。生きるということは、二人の男を棄てることなのだろうか…。手探りで生きる人々の人生に寄り添い描いた作品集。短篇「夜と粥」を増補。
  • まだ温かい鍋を抱いておやすみ
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    「遠くへ行きませんか」「行くー!行きましょうぞ!」スポーツ用品販売会社に勤める素子は、同じく保育園に通う子供を持つ珠理を誘って、日帰り温泉旅行に出かけることに。ずらりと食卓に並ぶのは、薬味をたっぷり添えた鰹のたたき、きのこと鮭の茶椀蒸し、栗のポタージュスープ。季節の味を堪能するうち、素子は家族を優先して「自分が食べたいもの」を忘れていたこと、母親の好物を知らないまま亡くしてしまったことに思いを巡らせ……(「ポタージュスープの海を越えて」)彼女が大好きな枝豆パンは、“初恋の彼”との思い出の品。病に倒れた父の友人が、かつて作ってくれた鶏とカブのシチュー。――“あのひと口”の記憶が紡ぐ6つの物語。
  • 七月に流れる花/八月は冷たい城
    3.6
    坂道と石段と石垣が多い町、夏流に転校してきたミチル。六月という半端な時期の転校生なので、友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。思わず逃げ出したミチルだが、手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城―夏流城での林間学校への招待状が残されていた。ミチルは五人の少女とともに、濃い緑色のツタで覆われた古城で共同生活を開始する。城には三つの不思議なルールがあった。鐘が一度鳴ったら、食堂に集合すること。三度鳴ったら、お地蔵様にお参りすること。水路に花が流れたら色と数を報告すること。少女はなぜ城に招かれたのか。長く奇妙な「夏」が始まる。(「七月に流れる花」) 夏流城(かなしろ)での林間学校に初めて参加する光彦(てるひこ)。毎年子どもたちが城に行かされる理由を知ってはいたが、「大人は真実を隠しているのではないか」という疑惑を拭えずにいた。ともに城を訪れたのは、二年ぶりに再会した幼馴染みの卓也(たくや)、大柄でおっとりと話す耕介(こうすけ)、唯一、かつて城を訪れたことがある勝ち気な幸正(ゆきまさ)だ。到着した彼らを迎えたのは、カウンターに並んだ、首から折られた四つのひまわりの花だった。少年たちの人数と同じ数――不穏な空気が漂うなか、三回鐘が鳴るのを聞きお地蔵様のもとへ向かった光彦は、茂みの奥に鎌を持って立つ誰かの影を目撃する。閉ざされた城で、互いに疑心暗鬼をつのらせる卑劣な事件が続き……? 彼らは夏の城から無事に帰還できるのか。短くせつない「夏」が終わる。(「八月は冷たい城」)
  • 土曜日は灰色の馬
    3.7
    恩田陸が眺める世界。小説、漫画、映画に音楽、舞台まで…少女時代からありとあらゆるエンターテインメントを堪能し、物語を愛し続ける作家の眼にはどんな世界が映っているのか? その耳では、どんな響きを感じているのか? どんな言葉で語るのか? 軽やかな筆致で想像力の海原を縦横無尽に楽しみ尽くす、とびきり贅沢なエッセイ集。
  • ありふれた祈り おいしいコーヒーのいれ方 Second Season IX
    4.5
    秀人とともに日本に一時帰国した勝利のもとに、かれんが現れる。たがいに想いながら、ぎくしゃくしたやり取りしかできない二人。――私たち、もうダメなの? 試練と波乱の恋の結末は!? 累計545万部突破の大人気シリーズ、最新刊にして最終巻。堂々の完結!!
  • 【合本版】おいしいコーヒーのいれ方 Second Season(全9冊)
    -
    何の保証もないとわかっていても、彼女から強い約束を引き出したい。僕だけだ、と。一生、僕以外は愛さない、と。遠距離恋愛で、思うように会えない勝利とかれん。久々に週末を一緒に過ごすが、ちょっとした誤解から、なんとなくギクシャクしてしまう。愛おしすぎて、相手を思いやる気持ちが空回りする。それでも少しずつふたりの歩みはすすんでいく……。Second Season全9冊を1冊にまとめた合本版。
  • 【合本版】おいしいコーヒーのいれ方(全19冊)
    5.0
    1巻10,186円 (税込)
    高校3年になる春、父の転勤のため、いとこ姉弟と同居するはめになった勝利。そんな彼を驚かせたのは、久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、その哀しい想いに気づいてしまう。守ってあげたい! いつしか一人の女性としてかれんを意識しはじめる勝利。そしてSecond Seasonでは遠距離恋愛に突入。シリーズ完結までの全19冊を1冊にまとめた合本版。
  • 黒い結婚 白い結婚
    3.8
    結婚――それは人生の墓場か、パラダイスか? 古今東西の解けない謎ともいえる「結婚」に、人気作家7名が迫ります。ダークサイドから見た〈黒い結婚〉と、ハッピーサイドから見た〈白い結婚〉。白黒両面から見た結婚の裏と表、たっぷりお届けします。 黒い結婚 窪美澄 「水際の金魚」 深沢潮 「かっぱーん」 木原音瀬 「愛の結晶」 中島京子 「家猫」 白い結婚 森美樹 「ダーリンは女装家」 瀧羽麻子 「シュークリーム」 成田名璃子 「いつか、二人で。」
  • 烏に単は似合わない(1)
    4.3
    1~4巻759~869円 (税込)
    シリーズ累計150万部超、史上最年少松本清張賞受賞作の超人気和風ファンタジーコミカライズ。人間の代わりに「八咫烏(やたがらす)」の一族が支配する世界「山内」で、世継ぎである若宮の后選びが始まった。朝廷で激しく権力を争う大貴族四家から遣わされた四人の姫君。それぞれが思惑を秘め后の座を競う中、様々な事件が起こる。姿を消した侍女、後宮への侵入者、そして謎の手紙…果たして最後に若宮に選ばれるのは誰なのかー
  • 明日町こんぺいとう商店街 心においしい七つの物語
    3.2
    ようこそ! すこし不思議で、どこかなつかしい「明日町こんぺいとう商店街」の世界へ――。マスコットの「招きうさぎ」が目印の商店街を舞台に、七名の人気作家が描く、ほっこりおいしい物語。お気に入りのお店がきっと見つかりますよ。≪文庫オリジナル≫
  • じっと手を見る
    3.9
    富士山を望む町で暮らす介護士の日奈と海斗 はかつての恋人同士。ある時から、ショッピ ングモールだけが息抜きの日奈のもとに、東 京の男性デザイナーが定期的に通い始める。 町の外へ思いが募る日奈。一方、海斗は職場 の後輩と関係を深めながら、両親の生活を支 えるため町に縛りつけられる。自分の弱さ、 人生の苦さ、すべてが愛しくなる傑作小説。
  • くちなし
    4.2
    直木賞候補&第五回高校生直木賞受賞の傑作短篇集 別れた男の片腕と暮らす女。運命で結ばれた恋人に会うと体に咲くという花。幻想的な世界がリアルに浮かび上がる繊細で鮮烈な短篇集。 解説・千早茜 ※この電子書籍は2017年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 幸せのプチ
    4.5
    「キミはもしかして、大切な人を亡くした経験があるのかい?」 昭和40~50年代の景色の中で語られる、涙腺決壊必至の物語。 若い日の罪が眠る、懐かしい町・琥珀。 当時と変わらない喫茶店「青猫」で僕は、この世でもっとも聞きたくない最悪のひと言を聞いた。 彼女と通った銭湯、名物コロッケサンド、赤い公衆電話、サンダーバードのプラモデル、そして妖精のような白い犬。 昭和40、50年代を舞台に繰り広げられる、ひとりひとりの切実な人生模様。追憶と感動の連作集 文庫化で大幅に修正加筆! ※この電子書籍は2016年11月に日本経済新聞出版社より刊行された単行本の文庫版を底本としています
  • もみじの言いぶん
    4.2
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 作家・村山由佳の盟友であり、17歳で今生を旅立った三毛猫・もみじ。彼女の軽妙洒脱な関西弁のことばが、時にユーモラスに、時に厳しく、時に切なく、私たちの心に沁みこんできます。著者自ら撮影した愛あふれる写真に添えたエッセイ、オールカラーで待望の書籍化!
  • 禁じられた楽園〈新装版〉
    3.4
    1巻935円 (税込)
    現代の語り部が贈る、幻想ホラー超大作。直木賞&本屋大賞ダブル受賞の著者の会心の作品。 建築学部に通う大学生の平口捷は、姉と二人暮らしの平凡な生活を送っていた。そんな彼の前に若き天才美術家・烏山響一が同級生として現れる。カリスマ的な雰囲気があり取り巻きが絶えないが、なぜか響一の方から捷に近づいてくる。そして、届いた招待状。訪れた熊野の山奥には、密かに作られた野外美術館が……。奇怪な芸術作品は、見る者を悪夢に引きずり込む。幻想ホラー大作。(解説 皆川博子)
  • 感傷的な午後の珈琲
    5.0
    恋のときめき、愛しい人たちとの別れ、書くことの神秘――。喜びと哀しみに身をゆだね、生きていく。生と死とエロスの世界を瑞々しい筆致で描き、読者を魅了し続ける著者の芳醇なエッセイ。
  • 朝が来るまでそばにいる(新潮文庫)
    3.6
    火葬したはずの妻が家にいた。「体がなくなったって、私はあなたの奥さんだから」。生前と同じように振る舞う彼女との、本当の別れが来る前に、俺は果たせなかった新婚旅行に向かった(「ゆびのいと」)。屋上から落ちたのに、なぜ私は消えなかったのだろう。早く消えたい。女子トイレに潜む、あの子みたいになる前に(「かいぶつの名前」)。生も死も、夢も現(うつつ)も飛び越えて、こころを救う物語。(解説・名久井直子)
  • 巴里マカロンの謎
    3.9
    「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店、パティスリー・コギ・アネックス・ルリコに行って新作マカロンを食べます」その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか。それ以前に、四種の中で増えたマカロンはどれか。「ぼくが思うに、これは観察力が鍵になる」小鳩君は早速思考を巡らし始める……。心穏やかで無害で易きに流れる、誰にも迷惑をかけない小市民になるべく互恵関係を結んだあのふたりが帰ってきました! お待ちかねシリーズ十一年ぶりの新刊、四編収録の作品集登場。/【収録作】「巴里マカロンの謎」/「紐育チーズケーキの謎」/「伯林あげぱんの謎」/「花府シュークリームの謎」
  • ノスタルジア 〈新装版〉
    3.7
    平野繭子はかつて、親子ほど年の違う妻子ある作家・仙波雅彦と愛し合っていた。彼の突然の死から15年──。彼女の前に雅彦の息子を名乗る人物が現れる。父親と生き写しの彼に衝撃を受けつつも徐々に惹かれていく繭子。そして物語は思いもよらぬ結末に……。甘美で切ない大人の恋愛と、耽美で幻想的な世界を見事に融合させた極上の長編小説。
  • 異形のものたち
    3.5
    母の遺品整理のため実家に戻った邦彦は農道で般若の面をつけた女とすれ違う――(「面」)。“この世のものではないもの”はいつも隣り合わせでそこにいる。甘美な恐怖が心奥をくすぐる6篇の幻想怪奇小説。
  • やめるときも、すこやかなるときも
    3.9
    大切な人の死を忘れられない男と、恋の仕方を知らない女。欠けた心を抱えたふたりが出会い、お互いを知らないまま、少しずつ歩み寄っていく道のり。変化し続ける人生のなかで、他者と共に生きることの温かみに触れる長編小説。
  • 終りなき夜に生れつく
    3.7
    「僕はこの終わらない夜を生きていくしかないんだ」 残酷なのに柔らかで美しい。至高のアクションホラー! 作条痕のない窒息死体が連続で見つかった。 この殺人事件に、あの男は関与しているのか。 のちに何件もの大規模テロ事件を起こし、特殊能力を持つ「在色者」たちが派遣を争う「途鎖国」で、やがて犯罪者たちの王として君臨する男、神山。 神山が闇に目覚める瞬間を描く表題作など、傑作ダーク・ファンタジー『夜の底は柔らかな幻』へと続く鮮烈な作品集。 解説・白井弓子 ※この電子書籍は2017年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 妖し
    3.6
    10人の豪華執筆陣が〈怪異〉をテーマに描く、奇譚アンソロジー。 暑い日になぜか起こる奇怪なある出来事、風鈴の音が呼び覚ますもう一人のわたしの記憶、死んだはずの母が見えるわたし、病院から届いた友人のSOS、旧いブザーを押す招かざる客……。 それは不思議な夢か、それとも妄想か……。あなたが見ている世界は本物ですか? 極上の奇譚小説をあなたに――。
  • 私の幽霊 ニーチェ女史の異界手帖
    3.5
    あなたは、私なの? 博物学者と解き明かす、哀しくも優しい超常現象の物語 読後、きっと涙がとまらない。 森の中に佇む幽霊の正体は? 切なさ×不思議ミステリー! “ニーチェ女史”こと雑誌編集者・日枝真樹子は、故郷の廃バス停の近くで真樹子の高校生時代にそっくりな幽霊が目撃されたことを聞かされる。半信半疑のまま、帰郷した彼女は驚きの光景を目にすることに……。博物学者を名乗る栖大智とともに、未知の存在が引き起こす摩訶不思議な事件の数々を解明していく、感動のミステリーワールド!
  • 森があふれる
    3.4
    1巻1,540円 (税込)
    作家の夫に小説の題材にされ、書くことを通じて奪われ続けてきた主婦の琉生はある日、大量の植物の種を飲んで発芽、やがて家をのみ込む森と化し――夫婦の犠牲と呪いに立ち向かった傑作。
  • 失われた地図
    3.2
    これはかつて失われたはずの光景、人々の情念が形を成す「裂け目」。かつて夫婦だった鮎美と遼平は、裂け目を封じることのできる能力を持つ一族だった。息子の誕生で、二人の運命の歯車は狂いはじめ……。
  • 暗い夜、星を数えて―3・11被災鉄道からの脱出―(新潮文庫)
    4.2
    遺書は書けなかった。いやだった。どうしても、どうしても――。あの日福島県に向かう常磐線で、作家は東日本大震災に遭う。攪拌(かくはん)されるような暴力的な揺れ、みるみる迫る黒い津波。自分の死を確かに意識したその夜、町は跡形もなく消え、恐ろしいほど繊細な星空だけが残っていた。地元の人々と支え合った極限の5日間、後に再訪した現地で見て感じたすべてを映し出す、渾身のルポルタージュ。(解説・石井光太)
  • 昭和94年の横丁【文春e-Books】
    -
    『蜜蜂と遠雷』の作家・恩田陸のホラー短編を電子書籍で配信! 友人2人と入った老舗居酒屋。 ふと壁にかかった日めくりカレンダーを見ると、そこには「昭和94年」と印刷されていた……。 写真家・近藤篤さんによる、雰囲気たっぷりのモノクロ写真も収録。 ※本作は「オール読物」2019年8月号に掲載された作品を電子書籍化したものです。
  • 跡継ぎの条件【文春e-Books】
    4.3
    『蜜蜂と遠雷』の作家・恩田陸のホラー短編を電子書籍で配信! 高校の同級生と地元の居酒屋で飲み交わす。 常連の多い賑やかな店だが、跡継ぎになるには奇妙な「条件」があるという……。 写真家・近藤篤さんによる、雰囲気たっぷりのモノクロ写真も収録。 ※本作は「オール読物」2019年3・4月号に掲載された作品を電子書籍化したものです。
  • 曇天の店【文春e-Books】
    5.0
    『蜜蜂と遠雷』の作家・恩田陸のホラー短編を電子書籍で配信! 出張中に立ち寄った評判のいい料理屋。 若い店主いわく、この地域には「勝手口を開けっ放しにしてはいけない」という迷信があるらしく……。 写真家・近藤篤さんによる、雰囲気たっぷりのモノクロ写真も収録。 ※本作は「オール読物」2018年8月号に掲載された作品を電子書籍化したものです。
  • スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち
    3.3
    夜行の鉄仮面、瞬間移動する引ったくり、謎のチンドン屋―― なりゆきで探偵になったスズムが下町で起きた6つの怪事件に挑む! 不動産販売の営業マンだった黒葛原涼(つづらはら・すずむ)は、会社の倒産後、ひょんなことから東京の下町・町良(まちら)で、探偵事務所を開業する。 ハーバード大卒の美女ネジ子さんを相棒に、下町で起こる6つの怪事件の謎を解く。 第1話「都電の町と鉄仮面」 東京の下町・町良に移り住んだスズムはピカピカ光る鉄仮面が夜な夜な徘徊すると聞き……。 第2話「ネジ子さんが来た」 神出鬼没の連続引ったくり犯“カマイタチ”を捕まえてほしいという依頼を受ける。 第3話「セカイは知らんぷり」 公園で虐待されたノラ猫を助けたスズムが調べを進めると、意外にも犯人は……。 第4話「守り神は失踪中」 “信号揚げ”が名物、タツ子が営むてんぷら屋から大事な守り神が消えた。 第5話「スキマ男のレモン」 町のあちこちで空き缶と一緒に置かれたレモンが見つかった。それは怪しい暗号なのか? 第6話「まぼろし楽隊(ジンタ)」 正式につづはら探偵事務所を立ち上げたスズムは、いきなり謎の“怪人”から挑戦を受ける。
  • ここから先はどうするの―禁断のエロス―(新潮文庫)
    3.3
    官能小説の依頼に難航していた女性ホラー作家は、女性同士のカップルの後をつけ漫画喫茶へ。隣の壁に耳を澄ませ聞こえてきたのは、衣擦れ、溜息、潤みの音で……(「壁の向こうで誰かが」)。医師の寺沢は急患の老女の足に驚く。爪先に向かって細く、指は折り畳まれ、足裏は窪んでいた。纏足だ。それは、性具だった――(「Lotus」)。歪んだ欲望が導く絶頂、また絶頂。五人の作家の官能アンソロジー。
  • 晴れときどき猫背 そして、もみじへ
    3.8
    村山由佳と猫の物語はここから始まった――鴨川の「楽園」暮らしをつづった傑作エッセイ、100倍深く読めるコンプリート版! 2002年刊行時より全編に書きおろしコメンタリーを加え、写真も一新。人気猫<もみじ>のルーツとなる猫たちの逸話や<もみじ>誕生秘話、著者自身による手書きコメントやカラー口絵もたっぷり収録。既刊をご存知の方も楽しめる、贅沢な増補新装版です。
  • 氷菓
    4.2
    1~6巻484~748円 (税込)
    いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実──。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ、登場! <古典部>シリーズ第1弾!! ※本電子書籍は通常版です。発売が終了した限定版とは書影画像が異なりますが、内容は同じものです。
  • もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。
    3.9
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 作家はなにゆえ猫を愛す?NHKの人気番組「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」が一冊になった!作家が語る愛猫との暮らしがオールカラーで楽しめる。番組のための書き下ろし作品も収録。
  • 烏に単は似合わない 特装版(1)
    5.0
    1~2巻1,430~1,540円 (税込)
    シリーズ累計150万部超、史上最年少松本清張賞受賞作の超人気和風ファンタジーコミカライズ。特装版は豪華小冊子付き。阿部智里先生描きおろしエッセイ「秘話満載コミカライズ前日譚」、「オール讀物」に掲載された短編に松崎夏未先生描きおろし挿絵が入った「あきのあやぎぬ」特別バージョン、コミカライズのキャラクターデザインの変遷を阿部先生の解説付きで魅せる「イラスト解体新書」の超豪華3部構成!
  • 落梅の賦
    3.0
    「俺は、武田を食うぞ」戦国最強を誇った甲斐武田家の落日。家を滅ぼす二人の裏切り者が出る。一人は、武田信玄の腹違いの弟、武田六郎信友。そして、一族衆筆頭、穴山梅雪。「武田の海」を任された二人は、なぜ悲劇の引き金を引いたのか――。歴史小説界で、いま最も注目される「ヒストリーテラー」武川佑の第二作長編。
  • ワンダフル・ワールド(新潮文庫)
    3.3
    アロマオイルを纏(まと)った肌をぶつけ合い、のぼり立つ匂い。調香師との情事は、私に長い愛人生活を終わらせる予感を抱かせた。あの光景を目にするまでは――(「アンビバレンス」)。年上の人妻経営者に持ちかけられた三か月間の恋人契約。俺に抱かれ、女の喜びを感じると話していた彼女は、なぜ突然いなくなったのだろう(「バタフライ」)。記憶と熱を一瞬で呼び覚ます特別な香り。五編の恋愛小説集。
  • 蜜蜂と遠雷(上)
    4.4
    1~2巻826円 (税込)
    近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。
  • 贅肉 新装版
    3.7
    才色兼備の姉と正反対の妹。しかし姉は、母の死、恋人との別離から過食に走り、見るも無惨な姿に変貌していく。そんな姉の世話をする妹は──(「贅肉」)。平凡な人間の、ほんの少しの心の揺らぎが、事件の加害者になったり被害者になったりする。そんな日常に潜む恐怖を描く傑作サスペンス集!
  • やがて海へと届く
    3.7
    すみれが消息を絶ったあの日から三年。真奈の働くホテルのダイニングバーに現れた、親友のかつての恋人、遠野敦。彼はすみれと住んでいた部屋を引き払い、彼女の荷物を処分しようと思う、と言い出す。親友を亡き人として扱う遠野を許せず反発する真奈は、どれだけ時が経っても自分だけは暗い死の淵を彷徨う彼女と繋がっていたいと、悼み悲しみ続けるが――。
  • 木曜組曲 〈新装版〉
    3.8
    耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げて四年。時子に縁の深い女たちが今年もうぐいす館に集まり、彼女を偲ぶ宴が催された。ライター絵里子、流行作家尚美、純文学作家つかさ、編集者えい子、出版プロダクション経営の静子。なごやかな会話は、謎のメッセージをきっかけに、告発と告白の嵐に飲み込まれてしまう。重松時子の死は、はたして自殺か、他殺か──? 傑作心理ミステリー。
  • 発現
    3.6
    1巻792円 (税込)
    累計100万部突破「八咫烏シリーズ」のベストセラー作家・阿部智里が、構想3年、満を持して書き下ろした最新長編小説。 平成と昭和、二つの時代で起こった不可解な事件。真相を求めて近づこうとする者たちを嘲笑うかのように謎は深まり、ほの暗い闇がひたひたと迫りくる。運命に導かれるようにしてたどり着いた先に待ち受けるのは、光明か絶望か。 鬼才・阿部智里の圧倒的な筆力と壮大なスケール感で、ジャンルをクロスして描く渾身作!
  • ふがいない僕は空を見た(新潮文庫)
    3.9
    1巻605円 (税込)
    高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが――。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R-18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。
  • 晴天の迷いクジラ(新潮文庫)
    4.1
    1巻737円 (税込)
    デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。山田風太郎賞受賞作。
  • 消滅 VANISHING POINT (上)
    3.8
    超大型台風接近中の日本。国際空港の入管で突如11人が別室に連行された。時間だけが経過し焦燥する彼ら。大規模な通信障害で機器は使用不能。その中の一人の女が「当局はこの中にテロ首謀者がいると見ている。それを皆さんに見つけ出していただきたい」と言った。女は高性能AIを持つヒューマノイドだった。10人は恐怖に戦おののきながら推理を開始する。
  • わたしの宝石
    4.0
    不思議なノスタルジーが胸に迫る、愛の短編集。 「僕らの愛は、悲劇的な終わり方をした」憧れの女性との幸福な結婚生活に潜んでいた切ない真実(「彼女の宝石」)、大切な人たちの首元にふと現れる不思議なモノ(「さみしいマフラー」)他、アイドルへの一途な愛、巨大でピュアで惚れ惚れするような愛の姿が、一つ一つ心に染みわたる。 名手が放つ、切なさと爽快感いっぱいの直球六編! 解説・植田泰史
  • 月蝕楽園
    4.0
    直木賞作家が描く、切なくて激しい純愛小説集。みつばち・金魚・トカゲ・猿・孔雀をモチーフにした恋愛を描きますが、甘い蕩けるようなものではない。重く・強い、読み手の心を鷲掴みにして離さない短編集。

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