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Posted by ブクログ
村山由佳さん、初でとても良かった。
近すぎて遠い存在だった幼馴染のトキヲとの、はつ恋。お互いに人生の紆余曲折を経て、酸いも甘いも経験して、再会して、人生を一緒に編むようになる。
『汝、星のごとく』に似ていて、学生時代のまだ恐れを知らない眩しすぎる恋愛とは程遠いけれど暖かくて大木の幹のような恋愛。
月毎の草花や旬の食べ物、季節の移ろいを感じるも良し、大人の恋愛小説として、関西弁のトキヲにときめくのも良し。
個人的には認知症を患った母と、取り残され着実に老いてゆく父とハナの家族の描写がとても好きだった。哀愁たっぷりで鼻がツンとするような切なさがあるけれど、リアルで暖かくてホッとした。
「彼があのトキヲであるからこそ、父親だって素直に甘えられるし、リラックスしていられる。何もわかっていないように見える母親でさえ、そうだ。ぱっと見はいかにもむくつけきトキヲに、こんなにも安心して肩を預けているのは、その二つの手がもっとずっと小さかった頃に自分の肩の上にあったのを、どこか心の深いところで覚えているからかもしれない。」
「特別な日のとっておき、などと構えなくても、人生には特別でない一日なんかないのだから、毎日、気分の上がるものを選んで、着て、めいっぱい使う。使われるのがモノの使命だ。使命を全うさせてやらずにとっておくだけでは、それこそもったいない。」
Posted by ブクログ
2025/02/17
ずっと気になってた村山由佳さんのこの本をやっと読み終えることができました。
タイトルからも滲み出る素敵な話の感じ。実際に読んでみてもやっぱり素敵な話でした。
幼少期の幼馴染であるハナとトキオはそれぞれご結婚や離婚を経験し、子どもいたりと人生の次のステップに進んでいたもの同士で再開し、改めて恋人関係から作り上げていくお話です。
大阪に拠点があるトキオと、南房総で暮らすハナはとても遠距離な恋愛をしていますが、お互いに気持ちが通じ合っていると言うのはこう言う関係のことなのかと、それぞれの話を読むにつれてその感じが増していきます。
恋愛に年代や年齢は関係ないんだなと思う一冊です。
Posted by ブクログ
40代の落ち着いた恋愛のお話
房総の古い日本家屋に住む四十代半ばの小説家ハナ
幼少期に家が隣で姉弟のように過ごした4歳下のトキヲ
二人はお互いに二度の結婚と離婚の末に出会い、普段は千葉と大阪と遠距離な恋愛をしている
季節の移り変わりと共に描かれる、ハナとトキヲの大人の物語
文学性に関しては、解説の小手鞠るいさんが指摘しているように
「雨」という単語を使わずに雨の降り始めを表現していたりと
五感のすべてを動員して想像させられるような文章が美しい
一年間に渡る四季折々の情景や生活に密着した季節感は、流石は村山由佳さんだと思う
お互いの想いにしても、激しい感情ではないけれども
落ち着いた心持ちの中で本当に相手の事を想い、また想われているというのがわかる
遠距離な事情、親や家族との関係など、若い頃にはなかった事情が付帯しているけれども、大人の恋愛はこうありたいと思わせられる雰囲気を感じる
読んでいる途中で作家の経験がどこまで投影されているのか、不安になる
作中でも、エッセイと小説のどちらの方がフィクション要素が強いかについて語られている
エッセイはどこまで出すのか線引きができるけど、物語の場合は境界線を引くことができない
これは正にこの物語が自伝的なものである証左なのではないかと思った
離婚歴や房総での季節に密着した生活、そして幼い頃からの想い人との関係
若干の差異はあるものの、かなり自己を投影して書かれてあるのでは?と邪推してしまう
村山由佳さんの作品の中で、黒ムラヤマ色が出始めてからはあまり好みではないなと感じていた
四半世紀に渡って刊行されたシリーズが完結してしまった後は、もう白ムラヤマの作品は読めないのかと思った
この作品は、黒ムラヤマ要素はない(ちょっとだけ顔を覗かせかけるけど)
かといって消去法で白ムラヤマ作品というわけでもなく
それなりに人生経験を積んで、紆余曲折があった末の二人の関係性に感じる
母親との確執
親に読まれると何を言われるかという強迫観念からの白い物語
認知症を患った母親からの開放
それらを経てこの物語に至ったと考えると、純白な白ムラヤマ作品だけでなく今後の作品にも期待が持てた
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