不在

不在

726円 (税込)

3pt

長らく疎遠だった父が、死んだ。
遺言状には「明日香を除く親族は屋敷に立ち入らないこと」という不可解な言葉。
娘の明日香は戸惑いを覚えたが、医師であった父が最期まで守っていた洋館を、兄に代わり受け継ぐことを決める。
25年ぶりに足を踏み入れた生家には、自分の知らない父の痕跡がそこかしこに残っていた。
年下の恋人・冬馬と共に家財道具の処分を始めた明日香だったが、整理が進むにつれ、漫画家の仕事がぎくしゃくし始め、さらに俳優である冬馬との間にもすれ違いが生じるようになる。
次々に現れる奇妙な遺物に翻弄される明日香の目の前に、父と自分の娘と暮らしていたという女・妃美子が現れて……。

「家族」「男女」――安心できるけれど窮屈な、名付けられた関係性の中で、人はどう生きるのか。
家族をうしない、恋人をうしない、依るべきものをなくした世界で、人はどう生きるのか。
いま、最も注目されている作家・彩瀬まるが、愛による呪縛と、愛に囚われない生き方とを探る、野心的長篇小説。

解説:村山由佳

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    短編と思いながら読み進めて、これは長い話になると。サイン会の出だしの言葉がどういう意味なのか、お父さんだったのか。お父さんの死から始まり、あんなに嫌いな実家を譲り受けて、同時進行で作家業が続く。冬馬がめちゃくちゃまともな人間で、2人の愛という名の束縛に、拒否して終わりが来る。情緒不安定と表現したけど

    0
    2023年11月14日

    Posted by ブクログ

    私への愛は在ったのだろうか__父親の遺品整理をきっかけに閉ざした過去と向き合っていく。
    愛は求めるほどに遠ざかり、与えすぎると苦しめてしまう。不幸にしていたのは自分自身なのかもしれない。捉われ続けた人生が息を吹き返す瞬間を垣間見た。

    0
    2025年09月14日

    Posted by ブクログ

    彩瀬まる3作目

    好きになれない主人公だけど、祖父に、父に愛されたかった感情と向き合うようになり感情的になってしまうのが読んでいて少し辛かった。

    作中で、それ以上言ってはいけない、、それだけはやってはいけない、、と思いつつもそれらの行為で他人だけでなく自分を一番打ちのめしてしまう描写が印象的。

    0
    2025年09月12日

    Posted by ブクログ

    主人公があまり良い奴じゃないんだけど、だからこそ、彼女と関わる人達の人の良さに苦しくなったり、上手に彼らの手をとれない所がすごくよく分かるから。彼女の中で膨れ上がっていく感情を同じように醜いと思った。
    自分の間違えを子どもに、ごっこ遊びに置き換えて話している描写が的を得ていてグッときた。
    冒頭のセリ

    0
    2024年01月11日

    Posted by ブクログ

    父を亡くした主人公は、実家を相続し遺品を片付けるうちに家族への想いと兄を選んだ父への消化できない気持ちに気付かされる。
    愛、家族、恋、重めのテーマやけど最後は希望を持てる終わりでよかった。

    0
    2023年02月19日

    Posted by ブクログ

    人の死って思いがけないところで眠っていたものを揺り起こすよなぁ。
    主人公に全然気持ちが寄り添えないんだけど、側から見ていてこのバランスの崩し方は誰にでも起こりうるな、と思ったので、その点で感じるものがあったんだろうな、わたし

    2022.11.12
    182

    0
    2022年11月13日

    Posted by ブクログ

    愛された実感が無いために、別のもので補おうとする明日香。
    その気持ちが想像できるからこそ見ていられない。
    愛を理由に誰かを支配するなんて愚かだ、と端から見ていれば分かる。
    だけど「自分はそんなことしない」と言い切ることもできないから戸惑う。
    智の〈愛っていうのは、気持ちの悪い言葉だよ。〉という台詞が

    0
    2022年09月10日

    Posted by ブクログ

    「無理に愛さなくていいし、愛されなくていいんだ。自分とは違うってそれだけを思って、憎むより先に遠ざかろう。」

    文章は読みやすく、すっと入ってくる。
    色々考えながら思いながら読み進めた。自分の中に愛を見つけた人間は強い。
    不在というタイトルだが至る所に私は愛を感じた。

    0
    2022年04月07日

    Posted by ブクログ

    愛は花だ。運がなければすぐに枯れるし、腐ってなくなってしまう。だけど咲いていたことまで否定しなくたっていい。なくなったからって、偽物だったわけではない。昔、きれいな花が咲いていた。それでいいんだ。

    0
    2021年08月31日

    Posted by ブクログ

    段々苦しくなっていくけれど最後には希望が持てる終わり方でホッとした。
    智さんの言葉は頭から離れられない言葉がたくさん。キツい(笑)
    明日香さん 少しは楽になれたかな?明日香さんありのままの自分を愛して幸せに生きていって欲しいなぁと思いました。

    0
    2024年04月27日

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