七月に流れる花/八月は冷たい城

七月に流れる花/八月は冷たい城

770円 (税込)

3pt

坂道と石段と石垣が多い町、夏流に転校してきたミチル。六月という半端な時期の転校生なので、友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。思わず逃げ出したミチルだが、手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城―夏流城での林間学校への招待状が残されていた。ミチルは五人の少女とともに、濃い緑色のツタで覆われた古城で共同生活を開始する。城には三つの不思議なルールがあった。鐘が一度鳴ったら、食堂に集合すること。三度鳴ったら、お地蔵様にお参りすること。水路に花が流れたら色と数を報告すること。少女はなぜ城に招かれたのか。長く奇妙な「夏」が始まる。(「七月に流れる花」)

夏流城(かなしろ)での林間学校に初めて参加する光彦(てるひこ)。毎年子どもたちが城に行かされる理由を知ってはいたが、「大人は真実を隠しているのではないか」という疑惑を拭えずにいた。ともに城を訪れたのは、二年ぶりに再会した幼馴染みの卓也(たくや)、大柄でおっとりと話す耕介(こうすけ)、唯一、かつて城を訪れたことがある勝ち気な幸正(ゆきまさ)だ。到着した彼らを迎えたのは、カウンターに並んだ、首から折られた四つのひまわりの花だった。少年たちの人数と同じ数――不穏な空気が漂うなか、三回鐘が鳴るのを聞きお地蔵様のもとへ向かった光彦は、茂みの奥に鎌を持って立つ誰かの影を目撃する。閉ざされた城で、互いに疑心暗鬼をつのらせる卑劣な事件が続き……? 彼らは夏の城から無事に帰還できるのか。短くせつない「夏」が終わる。(「八月は冷たい城」)

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七月に流れる花/八月は冷たい城 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    読み終わると少し寂しい気持ちになる。どっちも少しだけホラーっぽい要素があってドキドキする。一気に読み進められる

    0
    2025年11月13日

    Posted by ブクログ

    自然の描写がたくさんあるけれど、自分の幼少期に見てきた故郷の自然と重なって鮮明に緑が思い浮かんだ。
    親への愛と親の愛を痛いほど想像する内容で、怖いけど温かい不思議な作品。ホラーだけどホラーじゃないというか……。おすすめの1冊

    0
    2025年08月12日

    Posted by ブクログ

    昔読んだ本の再読。

    意外と覚えていないもので楽しめました。
    こんな世界観を思いつけるのがすごい‥

    コロナ後のいま読むと、あながちありえない出来事ではないのかも‥と思います。

    0
    2025年02月16日

    Posted by ブクログ

    膨れ上がる恐怖に引き込まれて、一気に読んでしまった。やっぱり恩田陸さんの作品は好き。

    女子と男子の向き合い方、捉え方の違いが興味深かった。

    0
    2024年11月15日

    Posted by ブクログ

    文字数が少なく、行間も少々空いている為スムーズに読み進める事ができる。何も知らない主人公と同じ気持ちで読める所がおすすめです。ただ、寂しい話ではありましたが・・・。個人的にですが、この作者さんの文体が読みやすくて好きです。

    0
    2024年03月05日

    Posted by ブクログ

    講談社タイガの方を持っていますが、二部作共一つに纏まっていると聞いたので買いました。恩田陸先生が書く中学生や高校生キャラが凄い好きです。こういうお話がもっと増えてくれたら嬉しいです。

    0
    2023年11月23日

    Posted by ブクログ

    これはまぎれもなくファンタジーなのだけれど、コロナ禍を経た今は、少しリアルにも見える。
    ことごとく最後まで残酷で、でも魅惑的な世界にズブズブと引き込まれました。

    0
    2023年08月02日

    Posted by ブクログ

    理瀬シリーズ、読んでてファンタジーにも近いものを感じます。

    でも読んでて飽きさせないミステリアスな雰囲気が秀逸ですね!

    0
    2023年04月20日

    Posted by ブクログ

    6月初めに、夏流(かなし)という名前の土地に転校してきたミチルは、全身緑色の「みどりおとこ」に出会い、夏のお城夏流城(かなしろ)での林間学校に参加する。
    主人公が中学生の、淋しくて悲しいひと夏の物語。

    「七月に流れる花」は少女の視点で、「八月は冷たい城」は少年の視点で描かれていて、「七月」を読んで

    0
    2023年02月18日

    Posted by ブクログ

    招待状を受け取った人は必ず行かなくてはいけない林間学校。

    規則はたったの3つ。

    謎めいた共同生活に隠された儀式の意味は。。
    隠された悲しい歴史が切なかった。


    七月は少女、八月は少年の目線で描かれ、切なさの中に大切な人を想う温かさを感じた。

    暗い背景の中わ小川を流れる花の色ははっきり見えるよ

    0
    2022年11月05日

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