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「遠くへ行きませんか」「行くー!行きましょうぞ!」スポーツ用品販売会社に勤める素子は、同じく保育園に通う子供を持つ珠理を誘って、日帰り温泉旅行に出かけることに。ずらりと食卓に並ぶのは、薬味をたっぷり添えた鰹のたたき、きのこと鮭の茶椀蒸し、栗のポタージュスープ。季節の味を堪能するうち、素子は家族を優先して「自分が食べたいもの」を忘れていたこと、母親の好物を知らないまま亡くしてしまったことに思いを巡らせ……(「ポタージュスープの海を越えて」)彼女が大好きな枝豆パンは、“初恋の彼”との思い出の品。病に倒れた父の友人が、かつて作ってくれた鶏とカブのシチュー。――“あのひと口”の記憶が紡ぐ6つの物語。
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Posted by ブクログ
彩瀬まる氏2冊め。
近頃のトレンドと言えるグルメ系小説とは一味違う。タイトルに込められた”まだ温かい”の意味が読み終わるごとにじんわりと分かる気がする。
人々の思う温かさの違いが表現されている。
全般に共通しているのが、本人にはどうにもできない/取り返しがつかない所まできてしまった事実への向き合い方だと思う。
特に『シュークリームタワーで待ち合わせ』は綺麗事だけではない友情と愛情の考え方が素晴らしかった。主人公の夜子は確かに歯に着せぬ物言いがすごくて、現実に居たらやんわりと窘めるかもしれない(笑)が、こんな友人がいたらどれだけ心強いか。芯が強くてブレない、彼女の思う「人のため」の考え方が本当に格好良かった。
あと印象的だったのが『ミックスミックスピザ』。
背徳の味の表現が、"普段は口にできない"の意味を二重に込められている。
というのと、作品の話とはちょっと離れるけど疑問として「割り切った関係」って何で女性側が思うことは許されない風潮なんだろうと思った。当然、不貞関係は当然してはならない別の問題だが。
自分が呆気なく手放されることが許せないの?突き放されても。女性を散々貶すようなことを言う人ほど関係に縋ろうとすることが謎でしかない。上も下も無いじゃないか。
追って追われての関係は駆け引きをするつもりが無いつもりでいる時ほど泥沼化するのってしんどいよなあなんて思った。
相当脱線したが、お話に出てくる夫がかなり不憫すぎるし当の妻が過ぎたことにしているつもりの不貞にも薄々勘づいていて余計辛いだろうな。
マイホームを手放しても良いよ、という考えを提示されたことで妻が自分に対しての期待が薄れたことが、妻自身の家庭に対しての責任のハードルを下げる言い訳に自分の状況を利用されたように感じてしまうことも。
人間関係の問題提起も含めて、完成度が高くて面白かった。
おそらく近いテイストと思われる短編集『神様のケーキを頰ばるまで』と『眠れない夜は体を脱いで』も購入済みなので期待値が上がった。
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小説・文芸
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