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Posted by ブクログ
巻末に「本書は1992年7月中公文庫より刊行されました。」と記載されており、加えて作者あとがきには「私にとって初めての短編集」と書かれているから、最初の短編集がハードカバーではなくいきなり文庫オリジナルとして出たということらしい。既に書き下ろし長編を5つも出した後のようだ。その長編の内の一つがホラーの傑作『墓地を見おろす家』(1988年)と思われる。比較的初期の作品集ということだろうが、個々の短編の初出データの記載が無いので分からない。
読んでみるとホラーが幾つかと、ホラーではないサスペンス小説、ないしミステリっぽいっものが収録されている。アイディアはまあまあのものが多く、出来もそこそこという感じだ。
この方の小説は、何故か文体に目が行く。プロットが急展開でなく叙述の箇所が多いからだろうか。けれども彼女の文体はとても地味でおとなしく、淡々とした味わいがある。目を惹くような表現はごくたまにしか出て来ず、静かな時間がひたひたと続く雰囲気だ。その地味な語り口が『墓地を見おろす家』では妙に効果的であった。本書のような短編では、そういうじわじわと書き綴る間が少ないので、さほど効果的でない結果となったのかもしれない。
しかし、最後に収められたサスペンス・ミステリの表題作「見えない情事」はとても優れている。面白く、手に汗握る展開で、ひねりが効いている。この作品はレベルが高いと思う。
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