ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
富士山を望む町で暮らす介護士の日奈と海斗 はかつての恋人同士。ある時から、ショッピ ングモールだけが息抜きの日奈のもとに、東 京の男性デザイナーが定期的に通い始める。 町の外へ思いが募る日奈。一方、海斗は職場 の後輩と関係を深めながら、両親の生活を支 えるため町に縛りつけられる。自分の弱さ、 人生の苦さ、すべてが愛しくなる傑作小説。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
年齢も、性別も、職業も、生活している地域も、何もかもがちがう登場人物たちの気持ちが、なぜか痛いほどわかる。 共感、ともちがう。 彼らに年輩らしく言ってあげたいことはいくつもある。 筆者の文章力(まさに文章のもつ力)に、確実に心を強く揺さぶられる小説だ。 読んでいる途中で、タイトルの「じっと手を見る」...続きを読むは、まさしく石川啄木の人生を彷彿させるなと感じた。 朝井リョウによる文庫版解説も必読。
窪美澄の文章を無性に欲するときがある。 主な登場人物の中から各章で視点が変わるので、何を考えているかわからないと感じた人も、のちに本人から語られる。 人間の、どうしようもない、変えようと意識して変えられるものではない、個々の性(サガ)をまざまざと見せつけられる。 これを読んで自分の物語だと感じ...続きを読むる人たちが、きっかけを自ら作り出して前へ進めますように。
性描写があるのは好きではないけど 各話の心情をあらわすには必要なことで 幸せな読後感があるわけではなかったけど 頁をめくり続けてしまった
生まれ育った故郷で仕事をして生きていくこと、故郷を出て暮らしていくこと、それぞれの生き方を肯定してもらえる作品だと思った。 自分が登場人物に近い仕事をしてるから感情移入しやすかったし、自分の生き方は間違えていないと言ってもらえているようだった。 人と深く関わることで生まれる辛さと、人と関わることで得...続きを読むられる幸せがどちらも丁寧に描かれていてラストはじーん、と胸にくるものがあった。 朝井リョウさんの解説も、大好きです
久しぶりの窪さん。人は弱いものだ。 誰かに頼らなければ生きていけない。 日奈の人生も、海斗の人生も、宮澤さんの 人生も、どこか孤独を感じさせる。 窪さんの作品はいつも、人の不完全さを つきつけられる。 それと同時に、みんな器用にたやすく 生きてるわけじゃないんだと安心もする。 日奈の「そばにいてほ...続きを読むしい」という素直な 言葉に救われる。
人のなんとなく後ろめたいところの「なんとなく」がはっきり文字にされて哀しい。でもそれでも生きていくことが大事なのかもしれない。
最後の浅井リョウの解説が内容をより深く心に刻む。明るい話ではないが、誰でも持ってる人の裏側に潜む複雑なヒストリーが描かれている。30代後半のパートナーと交際したり身内の死を経験した人の方がより過去の自身の経験と照らし合わせて感情を想像しやすいのではないだろうか。 意外とキレイな生い立ちだろうと思って...続きを読むてもダークな家庭環境や不幸な出来事を経て大人になってる人も結構あったりする。。
『夜に星を放つ』で直木賞を受賞(2022)した窪美澄さん。本作(2018)も直木賞候補作だったのですね。本作を"恋愛小説"と狭義に解釈すると、評価は下がるかもしれませんが、個人的には肯定的に受け止めました。 語り手が、登場人物ごとに一人称視点でリレー式に変わる7話の連作短編...続きを読む集です。そもそも人は多面的で、同じ言動へも受け止め方が多様ですね。視点が変わり、読み進めるごとに曖昧な印象の輪郭が鮮明になったり、批判が共感になったりその逆も…。 ただ、どの登場人物にも共通点が感じられます。それぞれ生きづらさを抱え、居場所を探し、人の温もりを求めている点です。表面的には安易な方に流されて、自己管理ができないダメな人物だらけと見えますが、著者は人生の縮図のように俯瞰して描き、各人物への愛情を感じます。 また、美しい富士山と身近な「老い」や「死」の対比、地方の閉塞感や繊細な心理描写も見事で、余韻があり再生への希望を与えてくれるようです。 あがき、もがき、迷い、求めて得て失って…を繰り返す登場人物たちは、手のひらの生命線のように生きた痕跡を刻みます。人生の証にも思える彼ら彼女らの愚かさを、決して侮蔑の目では見られませんでした。読み手である私たちを投影した姿にも思えるので…。 朝井リョウさんの解説にある「他者と関わることにおける幸福と不幸の両方がたっぷり描写されている」との評も秀逸でした。 『一握の砂』の歌を想起させる本作タイトル。26歳で夭逝した石川啄木は、清貧イメージとは裏腹に、仕事を転々、家庭放置、借金踏み倒し、女遊び等々と、ひどい素行だったそうで…。それもまた人の一側面でしょうか? 啄木の人物像とは別に、生み出した作品の"労働の悲哀表現の見事さ"は薄れないでしょうね。
「好きな季節は」と訊かれたら、僕なら晴れた冬の日と答えるだろう。 風の穏やかな理想的な冬晴れの午後、自宅から歩いて20分ほどの公園の、丘の上にある展望台からの眺めが目的で出かけてみる。この時間なら夕陽を受けた街並みの風景を望むことができるだろう。大いに期待して丘を登り、いざ眺望をと、その瞬間から、す...続きを読むでに西に傾きかけた日差しが雲に遮られてしまった。展望台から見渡すコントラストが失われた街並みの眺めは期待外れで、ため息が出た。西寄りの空に浮かんだ、比較的大きなひと塊りの雲は、日没までそのまま居座り、よりにもよってその日の午後の最後の光を隠し続けた。 「結局、僕はそうなんだ」すでにどこかの時点で諦めていた。諦めていたというか、納得していた。凡庸な僕の、凡庸な世界。期待しなければ傷付くこともない。 ひたすら現実と向き合い続けた彼女たちや彼らの、切実な物語だった。後半に向けて読み進めると、これでもかと息苦しさをおぼえた。年々老けてゆく一方で、いずれ僕らは寿命の尽きる少し前に、おそらく誰かの世話になる。人生の成り行きが、ほぼ確定した世の中であり、誰しも等しく訪れる人生の集大成。結局のところ諦めるしかないのかな。それはそれで構わないけれど、そこに至る過程の、いまある人生の、自分で把握できる範疇の何事か。わからないことばかりなのに、ふと“風”を感じる瞬間の、ひとつひとつについて、人生って捨てたものではない、と。そういうことも、きっとあるだろう。それらを見つけることができますように。気付くことができますように。願わずにはいられない。 思いがけず良い物語に出会いました。 誰かに薦めたくなる一冊です。
介護職の現状が生々しく繊細に描かれている 長く続く若者ほど心が淡々と平坦になってゆく 福祉に従事する人々の「自己」そして「感情」 遠くからそっと大事に温めてあげたいと思った
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
じっと手を見る
新刊情報をお知らせします。
窪美澄
フォロー機能について
「幻冬舎文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
アカガミ
朱より赤く 高岡智照尼の生涯
アニバーサリー
雨のなまえ
妖し
夏日狂想(新潮文庫)
給水塔から見た虹は
クラウドクラスターを愛する方法
「窪美澄」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲じっと手を見る ページトップヘ