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〈ライフ・スタイリスト〉の傍らラジオ番組を持ち、多忙な日々を送る帆奈美。夫と猫との静かな暮らしは、同級生だったカメラマン・澤田炯との再会を機に崩れてゆく。想いを抑える帆奈美を逆にけしかけ、大抜擢する女優の瑤子。輝きを増してゆく妻を、しかし夫は束縛し始めて……。自由と自尊心を賭けた帆奈美の闘いが始まる。〈解説〉中江有里
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Posted by ブクログ
村山由佳といえば恋愛小説。しかも濃厚な。 これも期待を裏切らない1冊。 次の展開が知りたくて、どんどん読んでしまうのも彼女の作品の特徴。 読後は、まるで1本の映画を見終わったあとみたいな気持ちになります。
主人公が見て見ぬふりをしていた自分の感情に気づく描写がとてもリアルでした。 無意識の自分の言動とかで、自分の気持ちに気付いたり、再確認したりすることってありますよね。 子どもを欲しいと思う気持ちはあるけど、夫の子どもを産みたいという気持ちとイコールではない。 深夜に帰宅したとき足音を殺すのは、夫...続きを読むを起こしたくないという気遣いではなくて、起こしてぐちゃぐちゃ言われるのが嫌だから。 我慢を強いられている状態での生活が長く保てたとも思えませんが、仕事の転機と同級生との再会で一気に崩れていく。 何かきっかけがあれば、現状打破というのはできるのかもしれませんね。 そのタイミングを掴むかどうか。 主人公に感情移入し過ぎて苦しくなりましたが、結末はよかったです。
「燃える秋」 題名だけでもうlove❣❣ それも、燃えるとくれば最高な物語❣❣ 読む前から、期待、期待。 水原瑶子も帆奈美も、読者にいろいろな事を伝え、生きる道を教えてくれます。 いい本ですね、やっぱり由佳も最高❣❣
最後のフレーズ「おやすみなさい」は、徹頭徹尾正しい一文だと思った。 帆奈美は、運命の波をさ迷って自分の幸福を見つけられないであろう人ーー元夫·隆一ーーに、さよならではなく、おやすみなさい、と言いたいのだ。電波/音波に乗せて、その過去の魂を鎮魂したい思いなのだろう。 作者は、躍起になっていると思う、「...続きを読む優等生な自分自身」の殻を破ろう、と。ただ、私は思う、無理はしなくとも、向こうからその瞬間はやってくる。しかし、帆奈美には待たせることなどさせなかった。つまり、帆奈美の運命/人生こそが、タイトルの言うところの「燃える波」なのだろう。帆奈美には待てないほどの抜き差しならぬ情熱があり、それが己から殻を破る瞬間となる。 波、とは、運命/人生/心のそれのことだ、月並みな言い方だが。それが身を焼く情熱で燃えるように照らされていて、「燃える波」となったのだ。 秀でた一文というものはなかった気がするものの、全体的に調和の取れた「普通」の文章が読みやすかった。
各章のタイトルとなっている曲を知っていれば、楽しめるかもしれません。 残念ながらほとんど知っている曲はなかったが、物語は楽しめました。 夫婦の話や大女優との話は良いとして、中学時代の同級生との話は私には全くピンときませんでした。でも世の中あるんでしょうね。 あとがきにもありましたが、いろいろな「ナミ...続きを読む」ですね。読んだ後にそんな感想をいだく恋愛小説でした。
ライフスタイリスト、全然知らない世界 なのに、不思議と物語の中に入り込める。 村上由佳さんが同世代だからなのかもしれない。 私もずっと仕事をしてきた 奥さんをしながら、お母さんをしながら 仕事の優先順位が下にあるのが残念に思った事も多々あった。 だから、色々な出会いの中で 特に遥子さんと出会って仕事...続きを読むが広がっていく様子は良いなあと素直な気持ち。 見下されていると浮気に走る旦那は所詮そこまでの人。 澤田くんなら対等に生きていける。 良かったねナミちゃん。 カッコいい女の人も本当は寂しくてぎゅっと抱きしめてもらいたい時もある 「燃える波」ラジオから聴こえてくるような素敵な物語でした。
ライフスタイリストとして活躍する妻と雑誌編集者の夫。裕福で満たされているように見える夫婦だが、夫の浮気をきっかけに自らの仕事や生き方を見直す女性の話。 カメラマンの澤田が後々、自分も元夫のようなことをしてしまうかもしれないし、言ってしまうかもしれない。だから些細なことでも話し合っていきたいってお願い...続きを読むするシーンは妙に刺さった。 夫の言ってることは本の中では違和感のあるメチャクチャな論理だが、自分も言ってしまうかもしれないし、言わなくても思ってしまうかもしれない。それがどんな意味を持つのか改めて自分に問いかけることになった小説だった。 ライフスタイリストって職業も、カメラマン、雑誌編集者、女優、ラジオ番組のプロデューサーって人たちがあまりにも周りにいなさすぎて天空の世界の物語のようだ。でも、辛い思いはするし、恋もして、肌を触れ合いたいと願う。当たり前のことだが、そんな人間としての営みの大事さを感じた。とても前向きな終わり方だったので読後感はなかなかいい。 3.5に近い4点。
今は惚れ惚れする人にも若くて未熟な時があって、こんな男と一緒になって…と思い、「こんな男に誰がした」みたいな彼の言い訳にはあんたも一役買っているんだよと言いたくなってしまう。 周りに助けられながら出来ることを膨らませて道を選び切り拓いていく。 憧れる一つの生き方がここにもある。
衣食住のプロデュースをする「ライフ スタイリスト」として活躍する、帆奈美と自分勝手で、前時代的な考え方の夫・隆一との夫婦関係は、冷えていた。 ある日、帆奈美は、中学の同窓会で、カメラマンの澤田炯と再会する。 同じ頃、仕事で、女優の水原瑶子と出会う。瑶子は、帆奈美の仕事を気に入り、大きなチャンスを与...続きを読むえられる。 その仕事場に、カメラマンとして、澤田が来ていた。 彼は、夫が頑なに否定し続け、価値を認めたがらない帆奈美のスタイリストとしての仕事をはっきり肯定し、称賛する。 その頃、偶然に、帆奈美は、夫隆一の女性関係を知る。やがて、夫から、子供ができた事を告げられる。 浮気相手に子供が出来たことを聞かされた姑は 「夫の浮気に気がつかないのは、無関心だったから」 「妻のあなたが、折れて、謝れば、元に戻る」 「別れるのは、外聞が悪いし、会社での評価が下がる」 と。 極め付けは 「あの子がかわいそう」 隆一はと言えば 「いっぺん、おふくろと話してみてくれないか」 と。 「はあー?」 と、つい、突っ込んでしまったワタシ。
ここまでのクズ男もなかなかいなかろう!!!…でも実際にいそう…ってなった。その人間のクズの心理が描かれてるのはよかった。全く共感はできなかったけど。その共感のできなさには、自分に対して安心しても良いと思った。
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