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「夢の田舎暮らし」を求めて父が突然会社を辞めた。いじめにあい登校できなくなった小学五年生の雪乃は、父とともに曾祖父母が住む長野で暮らしを始める。仕事を諦めたくない母は東京に残ることになった。胸いっぱいに苦しさを抱えていても、雪乃は思いを吐き出すことができない。そんな雪乃の凍った心を溶かしてくれたのは、長野の大自然、地元の人々、同級生大輝との出会いだった――。
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Posted by ブクログ
いじめを受けて、学校に行けなくなった雪乃。 そんな雪乃を見て、父親である航介は仕事を辞め、妻の英理子を東京に残して、祖父が暮らす長野で雪乃と新生活を、それも今までやったことのない農業を始めることに。 母親は東京で、父親は長野で農業を、雪乃はまだ学校に行けないでいるが…。 --- 学校に行けなくな...続きを読むった、ではないと思う。 学校に行くことをやめた、ではないかと思う。 ずっと惰性で続ける方が楽で、適当に誤魔化すことのほうが簡単。 でも我慢する心は確実に疲弊していって、気付かないうちに壊れてしまう。一度壊れるとなかなか治らない。 そうなる前に、学校に行くことをやめることができた雪乃はとても偉くて強いと思う。 逃げる、ってとても勇気がいる。 残った人たちに後で陰口を叩かれるかもしれないし、逃げた先がまた違う闇かもしれない。 逃げられる強さをもつ雪乃、そして、そこに理解を示した父親の航介がとても素敵だと思った。 そして、長野の学校に通う同い年の大輝や曾祖父である茂三、曾祖母であるヨシ江など、周りにいる人たちが本当に温かくて、農業の手伝いを通して成長していく雪乃が何より輝かしく感じた。 きっと彼女は絶対に強く生きることができると思う。 弱さは強さの裏返し。表も裏も弱いなんてこと、この世にないんじゃないかなって思った。 最後のフリーライターによる解説で、この話には重要な要素が3つあって、1つは『いじめと不登校について』、2つめは『地方移住と田舎暮らし』、3つめに『就農』とされていて、他にも別居婚(週末婚)や過疎地での高齢者の生活などの要素が物語に詰め込まれていると解説されている。 本当にその通りで、複数の要素が詰め込まれているからこそ、物語に厚みが出て、吸い込まれるように読んだのだと思う。 ちなみに、わたしはこのフリーライターの解説に加えて、雪乃自身は気付かないけど淡い初めての恋心の語られ方も好きで、結構大事な要素な気がする。 『大人ってかわいそうだな、と思ってみる。寂しいとか、会いたいとか、もっと一緒にいたいとか。そんな風な言葉をなかなか素直に口に出せない。』 ある意味まっすぐな雪乃のこの言葉が、突き刺さりました………。 大人ってかっこ悪いね。 この文字量でも分かるように、本当にこの物語は久しぶりに熱中して読むことができた。 ずっと読んでおきたくて、わざと少しずつ読むくらいには。 都会のカフェで涙をこらえながら読んだのだけど、最後の章でもう我慢できなくて、ギャン泣きしてしまった… 良かった、すみっこの席で。
何回か泣いた 人ってたぶん本来、自分自身で少しずつ回復して前を向いて生きていく力をみんなが持ってる気がする
不登校になってしまった女の子 田舎の曾祖父母の多くは語らない言葉やそっけないが優しさ溢れる態度がとても沁みる また両親の子供に対する愛情の注ぎ方も納得 人としての生き方を改めて考える機会に とても、とても良い小説でした
この類いの小説の中では1、2を争うぐらい胸に刺さりました。一番良かったと思うところは、雪乃ちゃんが小学生の高学年でイジメにあって不登校になってしまうのですが、自分も不登校だったのでなんで行けないのか?なんで行かないのかが痛いほど分かってしまう文章の表現。昔は学校に行くのが当たり前だという時代。そんな...続きを読む時代でした、自分は。しかし、この小説で出てくる両親は子どもの気持ちがよく分かってくれていて優しく受け入れてくれています。でも中には心無い人もいて、厳しく言う人もいるのですが、周りの優しい人達に囲まれて、少しずつ雪乃ちゃんは強くなっていきます。特に同い年ぐらいの友達の存在が凄く大きくて、カッコよくかんじました。 自分も周りに小学生低学年の女の子がいますが、いろいろ事情がありそうで今は何も聞かないし、その子も言わないけど、その子が何年後かに、自分がいて良かったなと思われるように温かく見守っていきたいと思っています。
すっごくすっごくよかった。お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、お母さん、大ちゃんそれぞれの雪乃にかける言葉が素敵で何度も泣きそうになった。そして雪乃の観察眼とか、思いやりが素敵。 また明日の明日が早くきたらいいと思えたらそれは楽しみなこと、いくつの顔があってもいい、人間わがままでいいって言葉が素...続きを読む敵だな。
教育現場にいる身として、5年生にしては大人びてると感じるところもあるが、終始、雪っぺに感情移入していました。気づいたら終わりのページをめくっていて、まだまだ雪っぺを見守りたい気持ちになりました。 学校に行けない理由は人それぞれだけど、家族の在り方、かかわりかた、たくさん考えさせられました。
同世代の子を持つ親として、昔軽めなイジメられ経験者として、田舎出身都会暮し中の者として、終始心を掴まれる内容だった。 どの立場の気持ちもよくわかる。それぞれに真剣で優しさがあって。 自分もそんな人でありたい、と改めて思った。 良い本との出会いでした。
プロローグ 夢と自由と 新天地/美しい眺め/人間の学校/名前/サイダーの泡/ 一人前の仕事/寄り合いの夜/訪問者/起き上がり小法師/ エピローグ 雪のなまえ 「夢の田舎暮らし」を求めて突然会社を辞めた父。母は東京に残り、不登校になっていた小五の雪乃は父と共に曾祖父母が住む田舎で暮らすことに。 ...続きを読む 雪乃の心はほぐれていけるのか、読んでいると息が詰まることもあったけれど、少しずつ緩んでくる感じがあるとほっとした。 母の本当の思いにも触れることができて良かった。最後に残ったのは『雪のなまえ』って何のこと? さて……
久しぶりに良い本に出会いました。 この本の良いところは子どもも大人も都会も田舎も悪く書きすぎず、よく書きすぎていないことです。 「都会はギスギスしていて、田舎は優しい」「子どもは純粋で大人は頭が堅い」「子どもは失敗ばかりして、大人は完璧」「柔軟でポジティブな人は良くて理論的でネガティブな人はダメ」...続きを読むそんな描かれ方をしていないところが気に入りました。 この本に登場する大人は危ういし、他人を傷つけたり、自己防衛しすぎるところもあります。主人公・雪乃の両親はそれぞれ弱みを見せすぎていると思います。でもそれが人間らしくて私は良いなと思いました。隣の芝生は青く見えるけど年齢に関わらず完璧にできる人なんていないからです。 「逃げても良いんだよ」というメッセージも「逃げずに戦え」というメッセージもよく色んな作品や人から言われることだと思います。でも真面目過ぎて逃げることができない雪乃や英里子、お人好しで柔軟だが、すぐに逃げてしまう航介がいることによって、「自分を守るために逃げなさい。」と「頑張りすぎて倒れない程度には自分を輝かせるための頑張りはしなさい。」という2つの教訓を矛盾させることなく入れているのが見事だと思います。 雪乃みたいに深く傷ついたり、英里子みたいに日々に追われたり、航介みたいに自分の短所から逃げ続けていると思ったらまた読みたいです。
「つらいことから逃げてもいい」 これを言ってくれる人が自分の周りにいるのだろうか?とこの本を読んでまず思いました。 ○○なことがつらい、○○をしたくない、と耳にすると多くの人は「もう少し頑張ってみよう!」「大丈夫、どうにかなるよ!」とか言う人が多いと思います。 目の前から逃げることは良くないと一...続きを読む般的には思われるけれども、「自分のことを守るために逃げるのなら我慢しなくていいんだよ」、と今悩んでいる苦しんでる人たちに伝えてあげたいと思いました。 逃げようとするのは負けの選択肢ではなく、生きるため・勝つための選択肢! あと、個人的に雪乃の名前の由来がとても素敵で、いつか子供ができたときの名前の候補にしたいなと思いました。
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雪のなまえ
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