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デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。山田風太郎賞受賞作。
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迷える者、含む私
いくら頑張ってもかなわないこともある。
都会でも田舎でもそれぞれに苦しみがある。
クジラもたとえ海に戻っても
生き延びられるかはわからない。
人間も遅かれ早かれ死ぬともいえる。
でも、たとえ死がすぐそこに近づいていても
別の生き物でも、
見知らぬ人でも
誰かが少しでも自分がいることを
ほんとに少しでも認めてくれたり
ちょっとでも意義を感じてくれたら
しのげる。
誰かに自分を否定されても
また誰かが自分の何らかの面の
良さに気づいてくれることもあって
しのげることがある。
人間は弱くて正しくないから
自分や他人を不幸にするけれど
そのくせ、また自分や他人を求めたり
気にしたりする。
それに
その肩に乗っているとも思える
すでに死んでしまったり
別れてしまった人たちを感じながら
自分たちの弱さに
本当に怒りを覚えて
生きている者の役割を
思い出したりする。
短絡的な性や生の描写には
そんなに馬鹿ではないとも思うが
といっても自分もそんなに正しくない、
違った種類の似た効果の失策を
したりされたりしている
とも思えるから
この迷える人たちと
自分は同じ面を持っていると
思う。
迷える者、含む私、だ。
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