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デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつを発症した。社長の野乃花は、潰れゆく会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島へ向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。山田風太郎賞受賞作。
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Posted by ブクログ
手を止めることなく読み進めた。 感動しました。 由人も野乃花も正子も壮絶で、苦しかった,,,,。 特に野乃花の章と正子の章は涙止まりませんでした。 彼女たちがどうかこの先、強く逞しく生きていってほしいと思ったし、辛い時に手を差し伸べてくれる人は必ずいるという事をすごく感じた。
自分ではどうしようもない不幸な境遇の三人。湾に迷い込んだ、死を待つクジラのようにもがいて生きている。一緒にクジラを観に行かなければ、それぞれ死んでいたかも知れない。 窪美澄さん作品は究極を迫ってくる。
4匹の迷いクジラたちのストーリーでした。皆の根本的な問題が解決した訳ではないけど、とりあえず生き抜こうという前向きさが良かったです。
由人、正子、野乃花それぞれの短編があり、最後の章でそれぞれと関わりある周りの人々との話がある連作短編のような1冊。突拍子もなく登場したクジラが、最終的にはクジラでよかった、クジラくらいの衝撃があったからそれぞれ前に進めたんだなと思えた。 血の繋がりは家族になるのに関係なくて、自分にとって居心地がいい...続きを読む場所が実家になるんだなと感じた
久々の窪さんの小説。多分17冊目。何故かこの作品は読むタイミングを逃していたようで…。 この小説の主人公3人のように人生に絶望して生きる気力を無くした経験はないけれど、3人の辛さ、孤独感、絶望感がひしひしと伝わって来ました。 1番身近な家族がきっかけだった場合は逃場がなくどうしようもないですね。...続きを読む少しでも早く離れて暮らすことが良いのでしょうが…。この小説のように赤の他人でも心配してくれる人も話を聞いてくれる人もいる。湾に迷い込んだクジラのように生きる事と死ぬ事の間で揺れ動く3人の姿を上手く描いていたと思います。
迷える者、含む私
いくら頑張ってもかなわないこともある。 都会でも田舎でもそれぞれに苦しみがある。 クジラもたとえ海に戻っても 生き延びられるかはわからない。 人間も遅かれ早かれ死ぬともいえる。 でも、たとえ死がすぐそこに近づいていても 別の生き物でも、 見知らぬ人でも 誰かが少しでも自分がいるこ...続きを読むとを ほんとに少しでも認めてくれたり ちょっとでも意義を感じてくれたら しのげる。 誰かに自分を否定されても また誰かが自分の何らかの面の 良さに気づいてくれることもあって しのげることがある。 人間は弱くて正しくないから 自分や他人を不幸にするけれど そのくせ、また自分や他人を求めたり 気にしたりする。 それに その肩に乗っているとも思える すでに死んでしまったり 別れてしまった人たちを感じながら 自分たちの弱さに 本当に怒りを覚えて 生きている者の役割を 思い出したりする。 短絡的な性や生の描写には そんなに馬鹿ではないとも思うが といっても自分もそんなに正しくない、 違った種類の似た効果の失策を したりされたりしている とも思えるから この迷える人たちと 自分は同じ面を持っていると 思う。 迷える者、含む私、だ。
#切ない #タメになる
三者がそれぞれ過酷な人生を歩み偶然にも一緒に海岸に迷い込んだ鯨を見に行く重たい物語。本当に重たく普通に生きていくことの難しさを知った。
壊れかけた3人の主人公達の物語。結構、重いお話ですが3人のキャラが憎めなくて、何とか立ち直って欲しい思いでページをどんどん進めることが出来ました。でも、前半はしんどかった^^;
最初は一人の男性のお話で物語が進んでいく。章が変わると主人公が前章の男性と関わりのある女性のお話が始まる。そんなふうに章が変わるたび主人公が変わり、3人の物語が紡がれていく。 そして、バラバラだった3人の物語が一つになった時、物語の熱量が一気に高くなる。 精神的にしんどくて「もう、死にたい。」と思っ...続きを読むた時に読むと、生きるための強さをもらえるそんな小説だった。
ある意味で毒親の元で育ったばらばらの3人が、どうにも生きるのがしんどくなった末、なぜか湾に迷い込んだクジラを見に行く話。亡くした大切な人を想うばあちゃんや、正子の母親を説得した野乃花のしなやかさが心強い。
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晴天の迷いクジラ(新潮文庫)
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窪美澄
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