集英社文庫作品一覧

  • 災害特派員 その後の「南三陸日記」
    4.8
    東日本大震災の最前線に住み込み、現地の人々と共に暮らしながら、小さな声に耳を傾け続けた日々。家族全員を失った女性、直後に授かった新しい命、児童や教員の死に苦悩する学校関係者、親友のカメラマンの死・・・・・・。朝日新聞に掲載され、大反響を呼んだ「南三陸日記」の続編とも呼べる震災ルポルタージュの傑作。文庫化。
  • 十手笛おみく捕物帳
    4.0
    大坂の町で飴売りをしているみくは15歳の元気な女の子。目明しだった父が遺した文言と、夜な夜な人を襲う物の怪の噂を耳にして、修業中の身ではあるが愛用の十手を携え探索に乗り出した。実はこの十手、笛になっていて、吹くとイケメン大酒飲みの精霊が現れ、みくを助けてくれるのだ。クセの強いおとなたちを従えて、この世の怪異に立ち向かう健気な少女の大活躍。さあ、大捕物がはじまるよ♪ 痛快伝奇時代小説シリーズ、開幕!
  • 帰去来
    4.0
    警視庁捜査一課の“お荷物”志麻由子は、連続殺人犯の捜査中に何者かに首を絞められ気が遠くなる。自分は殺されるのか――。目を開けるとそこは、光和27年のアジア連邦日本共和国・東京市だった。異次元世界(パラレルワールド)に飛ばされ戸惑う由子。そこではエリート警視だという自分に代わり殺人鬼「ナイトハンター」事件を解決し、元の世界に戻れるのか!? かつてないスケールで描かれる超骨太なSF警察小説。
  • アルパートンの天使たち
    4.1
    2003年、ロンドン北西部の廃倉庫で、自分たちは人間の姿をした天使だと信じるカルト教団《アルパートンの天使》信者数人の凄惨な遺体が見つかった。指導者の自称・大天使ガブリエルは逮捕され、現場で保護された17歳の男女と生後まもない乳児のその後は不明・・・・・・。事件から18年、巧妙に隠蔽されてきた不都合な真相を、犯罪ノンフィクション作家の「取材記録」があぶり出す。圧巻のミステリー!
  • 吸血鬼は炎を超えて(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.5
    とある企業の新社屋完成披露パーティーに招かれた吸血鬼クロロックと娘のエリカ。だが、華やかなパーティー会場で、人並み外れた嗅覚を持つクロロックは微かに漂う血の匂いをキャッチして!? 28階では人気アイドルグループに熱狂中! 5階では火の海状態で白い煙が充満中!! 急いで脱出せねば全員焼け死ぬ!? 表題作の他にタレント市長の裏の顔を暴く『吸血鬼は裏切らない』、山道に迷ってしまった女子大生が謎の事件に巻き込まれていく『すべての道は吸血鬼へ続く』の2編を収録した大人気ミステリーシリーズ!
  • 正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール
    3.0
    医師で世界的な研究者である著者が、質の高い論文175本を選び抜いて、がんや脳卒中、糖尿病、アレルギーになるリスクを劇的に下げるメソッドを紹介する。「7時間以上寝る」と心筋梗塞のリスク20%減、「白米を1日1杯以下にする」と糖尿病のリスク24%減など、確かな科学的根拠(エビデンス)を持った黄金の健康習慣を食事・睡眠・運動・入浴といったカテゴリー別に網羅! 中高年がいつまでも健康でいるために「やっていいこと」「悪いこと」を教えてくれる必読の一冊!!
  • 戦国の山城をゆく 信長や秀吉に滅ぼされた世界
    3.0
    山城とは文字通り、高所の利を活かすために山中に築かれた城のこと。古来、家臣や領民を避難させるシェルターとしての役割をになっていた山城は、地域の人々の団結のシンボルであり、心の拠り所であった。ところが、鉄砲の伝来と織田信長の登場によって、山城は次々と攻め落とされていった。それは、山城を拠点としていた人々の団結と自由が奪われ、中央の権力に従属を強いられていく過程にほかならない。歴史小説家で直木賞作家の著者が各地を訪れその空気に触れることで、過去と現代を繋ぐ壮大な旅に読者を誘う、ロマンの詰まった歴史探訪エッセイ。
  • 着物の国のはてな
    3.0
    堅苦しくて、面倒そうで、複雑怪奇なルールに満ちた「着物の国」。〈着物を着ると、なぜ老けて見える?〉〈無料の着付け教室はどこで利益を得ているの?〉〈着物警察を撃退する方法とは?〉〈仲居さんに間違われない着付けテクとは?〉〈自分で着るのがエライの?〉……。特別なお出かけじゃなく、居酒屋や犬の散歩に着たっていいじゃない! 着物初心者のノンフィクション作家が、着物をとりまくモヤモヤを解き明かす痛快謎解きノンフィクション! 「着物の国」の約束事がどこからきたのかを徹底取材することで、着物を自由でお洒落なワードローブのひとつにする方法を探る!
  • 誘拐の代償
    4.0
    コミュニティから爪弾きにされた三人の少年。父親が暴力団会長の玉山陸人。虐待を受け児童養護施設で育った日高航。愛人殺しの罪で服役中の父親を持つ冲匡海。不遇な少年たちは誓った。「真逆の世界」を実現させると。やがてヤクザとなった三人は、一件の放火事件をきっかけに、地元・新潟にある大手製薬会社の社長令嬢誘拐計画を立てることになるが…。謎の焼死体、社長令嬢誘拐事件、不遇な少年たちの約束。全てを覆すための哀しき犯罪計画とは? スリリングでいて、痛いほどに切ない衝撃の長編ミステリ!(『フィッシュボーン』改題)
  • あかずの扉の鍵貸します
    3.7
    火事で家族を失った大学生の水城朔実(みずき・さくみ)は、自らを育ててくれた恩人に頼まれ、「幻堂設計事務所」、通称「まぼろし堂」を訪れる。あるじの幻堂風彦(げんどう・かざひこ)が案内してくれたのは、館内に迷路のように広がる部屋の数々。この「まぼろし堂」には、「あかずの間」を貸し出すというもう一つの顔があり、さらには訳ありげな下宿人たちを受け入れてもいて……。「秘密」を閉じ込める、金木犀香る北鎌倉の古い洋館を舞台に繰り広げられる、心あたたまるファンタジック・ミステリー。
  • カッコウ、この巣においで
    4.3
    京都で孤独に作陶を続ける高義は、土を採りに入った山中で、傷だらけの少年と出遭う。少年は駆と名付けられ、いつしか師匠と弟子として、寝食を共にするように。親から愛されずに育った駆にとって、初めて手にした安穏だった。しかし、高義の実の息子で、確執の末に家を出て七年間音信不通だった充が帰ってきたことで、状況は一変する。さらに駆の行方不明だった母の消息が判明し、自分の過去を知ることになる。居場所を失いたくない駆の心は、徐々に暴走し始め……。果たして三人が一つの巣で暮らすことは叶うのか? 濃密な家族小説。
  • 剛心
    4.0
    日本近代建築の雄、妻木頼黄(よりなか)。幼時に幕臣の父を疫病で亡くし、維新後に天涯孤独となり、17歳で単身渡米。コーネル大学で学んだ異才は、帰国後にその力量を買われ、井上馨の「官庁集中計画」に参加。闇雲な欧化ではなく、西欧の技術を用いた江戸の再興を。そう心に誓う妻木は、大審院、日本勧業銀行、日本橋の装飾意匠他、数多くの国の礎となる建築に挑み、やがて、この国の未来を討議する場、国会議事堂の建設へと心血を注ぎこんでいくが……。彼と交わった人々の眼差しから多面的に描き出す、妻木頼黄という孤高の存在。その強く折れない矜持と信念が胸を熱くする渾身作!
  • 地面師たち アノニマス
    3.5
    100億円という前代未聞の不動産詐欺を成し遂げた彼らが地面師になるまでを描く、それぞれの前日譚――。司法書士歴20年の後藤は、一人娘の塾代に困るほど、薄給に喘いでいた。そんな中、山中と名乗る実業家から300万円で不正への加担を依頼される。喉から手が出るほど欲しい金額だが、事務所の所長を裏切れないと拒否。だが、事態は一変し!?(「ランチビール」)など、スピンオフ短編、全7編収録。
  • ババアはツラいよ! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 2
    3.3
    日本全国の悩めるBBAの駆け込み寺が深化して帰ってきた――。「加齢で洋なし体型。何を着てもビミョー」「仕事・家事・育児、全てが中途半端」「更年期でイライラ」など、おしゃれ、仕事、人生について、よりディープな中高年女子の数々の問題をスタイリストがバッサリと解決&爆笑に変える。大好評、すっきり心が軽くなる日本で唯一のBBA特化型の人生相談本、第2弾! 読むだけでいく子と愉快な旅気分!? 心躍る韓国3泊4日旅行ガイドも収録!!
  • 生命きらめく おやこ相談屋雑記帳
    4.0
    将棋会所の常連客の家に狐の親子が棲みついた、と聞き、訪ねていった信吾。幼い頃に難病から奇跡的に生還した際、彼は動物と会話できる能力を得た。対面した母狐が言うには…(「おコンさん」)。他に相談客との心温まるエピソードも。そして一番の見どころは、「おやこ相談屋」になってだいぶ経ちますが、やっと信吾と波乃の子が生まれます! マイペースな本作で、皆さん幸せ気分に浸ってください。また、シリーズで初めて著者があとがきを寄稿。作品や登場人物への思い、遅咲きデビューの秘話など、貴重な内容も必読!
  • 日の出
    3.7
    「あんなふうになって死ぬのは絶対にいやだ」――明治の終わり、戦争で変わり果てた父を見た13歳の清作は、徴兵から逃れ故郷を飛びだす。北陸から九州、そして横浜へと逃れながらも、商家の息子・幸三郎の協力のもと、鍛冶職人として生きる清作を、数々の試練が襲いつづける。一方、清作を曾祖父にもつ現代の女子大生・あさひは、中学校の社会科教師になったばかり。先祖を調べていたある日、学校で朝鮮半島の歴史問題に直面し…。時代をへだてたふたりの希望の光が、小さく輝きはじめる。各メディアが大絶賛! 数多くの高校受験向けの教材で使用された感動長編!!
  • 我は、おばさん
    4.0
    「おばさん」という言葉は、どうしてこんなにネガティブな響きを持つようになってしまったのか。『更級日記』、『若草日記』から『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、『ポーの一族』、『82年生まれ、キム・ジヨン』にいたるまで、文学・マンガ・映画など古今東西の名作をひもとき、ポジティブに「おばさん」を再定義し、その呼び名を自分たちの手に取り戻すカルチャー・エッセイ。すべての女性が謙遜も自虐もせず、自由に生きていくための指針となる一冊。ジェーン・スーさんとの特別対談も収録!
  • 明日、世界がこのままだったら
    4.4
    目覚めると、世界に二人きりとなっていたサチとワタル。二人の部屋はいびつにくっつき、誰もいない街は静まり返っていた。そして不意に現れた管理人を自称する女に、ここは生と死の「狭間の世界」だと告げられる。二人の肉体は、今まさに死を迎えようとしている、と――。そのまま「完全なる死」を迎えるはずだった二人だが、奇跡的に現実世界へ戻るチャンスが訪れる。残酷な選択とともに。私は、俺は、何のために、誰のために生きるのか。生きることを真摯に見つめるエモーショナルな長編小説。
  • アフター・サイレンス
    4.3
    高階唯子は警察から依頼され、事件被害者やその家族のカウンセリングを行っている。彼女は様々な傷を抱えたクライエントと向かい合う。夫を殺されたのに自分こそ罰を受けるべきだという妻。誘拐犯をかばい嘘の証言をする少女。心の傷から快復したはずなのに、姉を殺した加害者に復讐した少年……。多くを語らないクライエントが抱える痛みと謎を解決するため、唯子は奔走する。絶望の淵で、人は誰を想い、何を願うのか。そして長い沈黙の後に訪れる、小さいけれど確かな希望――。80万部突破「MOMENT」シリーズ、ドラマ化で話題となった『dele』の著者が贈る、深く胸に響く物語。
  • 虹の橋からきた犬
    3.8
    1~2巻913~968円 (税込)
    「犬コロと仕事のどっちが大事なんだ?」ワンマン社長の南野は、愛犬が病気で定時に帰ろうとする部下に激怒する。だが、これを機に社員一同の不満が爆発し、逆に孤立することに。そんな中、ひょんなことからゴールデン・レトリバーの子犬を飼うことになった彼は、その子犬“パステル”の純粋さに触れることで変わり始め、彼らはソウルメイトになっていくが……。愛犬が著者に注いでくれた無償の愛が起こした、数々の奇跡を基にした感動のストーリー。「作家生活二十四年、百作近い著書を生み出してきた私が完成した原稿を読み返して初めて涙した」――ペットロスからの希望を描く一番泣ける犬小説。
  • フェイクフィクション
    3.9
    東京・五日市署管内の路上で、男性の首なし死体が発見された。刑事の鵜飼は現場へ急行し、地取り捜査を開始する。死体を司法解剖した結果、死因は頸椎断裂。「斬首」によって殺害されていたことが判明した。一方、プロのキックボクサーだった河野潤平は引退後、都内にある製餡所で従業員として働いていた。ある日、同じ職場に入ってきた有川美祈に一目惚れするが、美祈が新興宗教「サダイの家」に関係していることを知ってしまい……。警察組織vs悪魔と呼ばれる男vsカルト教団vs元キックボクサー。囚われた“彼女”の奪還。愛する人を失った者たちの復讐劇。疑いなき信仰心に警鐘を鳴らすセンセーショナルな最新長編。
  • 黄金旅程
    4.6
    1巻1,067円 (税込)
    装蹄師の平野敬は、北海道の浦河で引退した馬の世話をする養老牧場を営んでいる。敬が注目している馬・エゴンウレアは日高の小さな栗木牧場生産の最高傑作と言われるが、気性が荒く、プライドも高い馬で誰もが調教に手を焼いていた。以前エゴンに装蹄したことのある敬は、初めて彼に触れた時、間違いなく超一流の資質を秘めた馬だと確信していた。敬は、覚醒剤所持で服役していた元騎手で幼馴染の和泉亮介の才能を信じ、エゴンの乗り役を頼むことに。調教を重ねるうち、エゴンが自分の意志で走る姿を見せ始める。エゴンに人生を託した人々の想いは、二勝馬脱却への奇跡を呼び起こせるのか――。直木賞受賞第一作。
  • 【無料】村山由佳デビュー30周年記念「集英社全作品試し読み小冊子」
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    5.0
    『天使の卵』でデビューして30年! これを記念し、集英社の村山由佳電子化作品の試し読みをすべて収録した無料小冊子を配信します。最新作『二人キリ』刊行記念の著者インタビューも収録!

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  • 人生の道しるべ
    3.8
    困難な時代を生き抜く、知恵の対話。創作、家族、人間関係、健康、死生観…。小説が問いかける「幸せ」のかたちとは。20年ぶりに出会った世代も作風も異なるふたりの作家の共通点は、人間の「生」を力強く肯定する作品を書き続けていること。「ぼくは、小説の世界では、心根のきれいな人々を書きたい」(宮本輝)。「読んだ人に『自分と同じだ』と感じてもらえたら、ちょっとした治癒が起きるんじゃないか」(吉本ばなな)。思索が詰まった珠玉の対話集!
  • 僕たちはどう生きるか めぐる季節と「再生」の物語
    3.5
    未来はすでに僕を侵食し始めている。未曾有のパンデミック、加速する気候変動……。人類の自己破壊的な営みとともに、「日常」は崩壊しつつある。それでも流れを止めない「生命」とその多様な賑わいを、いかに受け容れ、次世代へと繋ごうか。史上最年少で小林秀雄賞を受賞した若き知性が2020年春からの「混沌」と「生まれ変わり」を記録した、四季折々のドキュメント・エッセイ! 不気味で、不透明で、不確実なこの時代をしなやかに生き抜くための必読書!!
  • 深川めおとそば
    -
    おみなと幼馴染みの力也は、米沢上杉家の命で江戸深川に蕎麦屋を開く。地元産の原方蕎麦粉で作る挽きぐるみは、香り高くコシがあって旨い。だが、喉越しのいい更科を好む江戸っ子に背かれ、三月経っても客がこない。そんなある日、少女に無銭飲食されて……。故郷の蕎麦粉を広めるため、究極の蕎麦とつゆを目指し研鑽を積む若者たち。深川の多彩な人々の知恵と温かさに支えられながら、様々な出来事を経て成長する夫婦の姿を描く、書き下ろし人情時代小説。目指すは江戸一番の蕎麦!
  • あなたの隣にある沖縄
    5.0
    沖縄は好きですか? 年に何回くらい行きますか? 現地に行かずとも沖縄を感じられるものがあるといいですよね。身近な草花や歌謡曲、TVのヒーローものや美術作品など、あなたが触れる身近なものに、実は沖縄とのリンクが存在します。それらを頼りに、沖縄の歴史や現在抱えている問題を見つめ直し、未来を照射する。中世のグスク(城)、学童集団疎開、ハンセン病、基地問題……。丹念な取材で、曖昧な知識を確かな認識へと昇華させた、ヤマトンチュによる沖縄をたどる旅。著者の真骨頂といえるノンフィクション!
  • 転売ヤー殺人事件
    3.3
    プロとして、誇り高く転売行為を続ける「俺」。しかし巷では転売ヤーを狙った連続殺人事件が発生、現場の動画がSNSで拡散され、転売が社会問題として連日ワイドショーでも話題となる。身の危険を感じつつ転売を続けている中、「俺」は人気中学生配信者の凸を受けてしまったことから自宅を特定され、転売ヤーの元締め「転売王」だという事実無根の噂を流されるなど、とんでもない状況に陥り…。高額転売、リア凸、炎上……現代社会の暗部をリアルに描き出す衝撃作。転売、死すべし!
  • トラッシュ
    4.0
    いじめ、差別、虚無感、愛されない苦しみ、親との確執……それぞれの理由で集団自殺を試みた6人の若者達。しかし、闇サイトで入手した薬が偽物で、全員生き延びてしまう。「一遍死んだんやから、もう怖いものはない」。自分たちを死の淵に追い込んだ「加害者」に対し、6人は犯罪も辞さない世直し活動を始める。ドラッグ売人狩り、差別団体へのテロ、そして首相暗殺。その過激な行為で世間の賞賛と非難を浴びながら、6人の活動はエスカレートしていき……誰が本当の屑(トラッシュ)なのか。小説すばる新人賞受賞後第一作。雑誌連載時から賛否を巻き起こした問題作。文庫化にあたり結末を大幅に修正した完全版!
  • ばらまき 選挙と裏金
    4.2
    自民党衆院議員が妻の参院選出馬に際し、地元の議員らに現金を自ら配って回った前代未聞の買収事件。その額は100人で計2871万円にのぼる。なぜ、この事件は起きたのか。本当の“巨悪”は誰なのか。広島の地元紙が総力を挙げて「政治とカネ」の取材を続けるうち、買収の資金源とも目される自民党の巨額「裏金」問題へと繋がってゆき…。政権中枢の巨額「裏金」疑惑に広島の地元紙「中國新聞」が切り込んだ渾身の調査報道。『ばらまき 河井夫妻大規模買収事件全記録』の内容に、22年以降の取材の経過を大幅に加筆。買収資金として安倍政権幹部4人が裏金を提供した疑いを示すメモを手がかりに、政権中枢の闇に迫る。巨大な権力の壁にひるまず、真相に迫り続けた取材の裏側を描く執念のノンフィクション!――「事件はまだ終わっていない」
  • 対になる人
    3.0
    はじめて彼女を殺したのは母親だった。小学2年生の彼女を絶望的にまで殺し尽くしたのは教諭である鈴木による性的虐待だった。鈴木先生は6人の彼女を生みだすきっかけとなった。17歳のときに彼女を犯し、完全に殺したのは水原君と10人の仲間たちだった。そのとき新たに2人、あるいはさらに多数の彼女が生まれた…。札幌に引っ越した小説家の菱沼は、クラブで心に50の人格を宿す解離性同一性障害の紫織と出会う。DV被害にあう女に手を差し伸べた男は、信じられないほど壮絶な彼女の過去を知ることに……。圧倒的な生々しさで描かれる迫真のサイコスリラー。
  • 天国の囚人
    4.2
    1957年、バルセロナ。父の書店で働く青年ダニエルは、結婚間近の親友フェルミンの様子がおかしい事に気づく。彼宛に不可解なメッセージを残す謎の男の来店もあり、友人を問い詰めると、フェルミンは自らの過去を語り始めた…。彼は1939年、フランコ政権の動乱時に監獄に収容された。そこで出会った作家マルティンはフェルミンに脱獄をすすめ、計画を立てる。戸惑うフェルミンにマルティンが出した、その手助けの条件とは……? 『風の影』『天使のゲーム』につづく、世界的ベストセラー「忘れられた本の墓場」シリーズ第3弾!
  • 天使のゲーム(上)
    4.0
    魂を売った作家を翻弄する数奇で哀しい運命――1917年、バルセロナ。17歳のダビッドは、雑用係を務めていた新聞社から、短篇を書くチャンスを与えられた。1年後、独立したダビッドは、旧市街の“塔の館”に移り住み、執筆活動を続ける。ある日、謎の編集人から、1年間彼のために執筆するかわりに、高額の報酬と“望むもの”を与えるというオファーを受けるが……。世界的ベストセラー『風の影』に続いて“忘れられた本の墓場”が登場する第2弾!
  • エイリアス・エマ
    4.0
    英情報機関の新人スパイ“エマ”に初の重大な指令が下る。亡命したロシア人科学者夫妻の一人息子、医師のマイケルを単独で保護せよ。だが現在、ロンドンの監視カメラ・ネットワークはロシアの諜報員にハッキングされている。二人はカメラを避け、電話もテクノロジーも使わずに敵の拉致・暗殺チームの追跡をかわしながら市街地を縦断し、自力でMI6本部にたどりつかねばならない…。孤立無縁、実行不可能にも見える重大任務の行く方は? 英国推理作家協会賞スチール・ダガー最終候補。
  • サマーゴースト
    4.0
    夏の間、郊外の飛行場跡地で線香花火を灯すと、自殺した女の幽霊“サマーゴースト”が現れるという。そんな都市伝説を聞いた高校3年の友也は、自殺系サイトで知り合った高校生の涼とあおいとともに、その幽霊に会いに行く。彼らは幽霊に「死ぬって、どんな気持ちですか?」と聞いてみたかった。それを聞くべき理由があったから。しかし、彼女からは衝撃の事実を聞かされ…。10代からイラストレーターとして活動し、近年はアニメ、作詞、小説、漫画、と多彩なクリエイティビティを展開する俊英・loundraw。その初監督の劇場アニメーションを、脚本を担当した乙一がノベライズした少し不思議な夏の青春長編!
  • 辻番奮闘記 危急
    3.5
    将軍家光は、長引く島原の乱鎮圧のため、老中松平伊豆守に討伐の命を下す。不穏な気配は江戸にも漂い、辻斬りが横行。藩内に和蘭陀商館を持つ平戸藩江戸家老は、幕府の疑念を逸らすため、斎弦ノ丞らを辻番に任命し、江戸の治安を護る忠誠心を見せようとする。だが、弦ノ丞は任務初日に剣戟に遭遇し、政争に巻き込まれていく…。藩の窮地を救うため奮闘する辻番達の活躍!
  • きみのためにできること Peace of Mind
    3.7
    新米の音声技師、高瀬俊太郎には、夢がある。憧れの人、木島隆文の音を超える凄い音を創りたいという強い思いだ。そんな彼を支えてくれるのは幼なじみのピノ子。仕事が忙しく逢瀬はままならないが、メイルがふたりを結んでいる。そんな折、テレビの仕事で遭遇した女優 鏡耀子の妖しい輝きに俊太郎は引かれていく。だが耀子は不倫の恋に傷つき、心を失いかけていたのだ。二人の間で揺れながら、彼は少しだけ大人になっていく。誰かを愛してしまうというのはこんなにも苦しい事なのか……。真摯な想いが時を駆ける青春小説。
  • 彼女たちはヤバい
    3.0
    この男、最低。なのに、離れられない…。還暦間近のダメ男・ケンとの別れを受け入れない36歳のユカは、Gアカウントに不正ログインをし、毎日監視することで彼を近くに感じていた。それがさらにエスカレートし、地図アプリの履歴を辿って彼の新しい女たちに接触、排除し始める。だが、同じ男に惹かれる分、彼女たちもまた“ヤバい”性格で!? “恋愛”という美しい感情の裏側に隠された人間の醜さと怖さを存分に発揮するSNS時代の最恐ストーカー女登場!――別れたなんて、そいつが勝手に決めたことでしょう。私は納得していない!
  • 夜明けまで1マイル somebody loves you
    3.8
    これはフリンなんかじゃない、恋だ。バンドとバイトに明け暮れる大学生の「僕」。美人でクールな講師のマリコ先生に恋したけれど、学生と教師、しかもマリコ先生にはニューヨークに赴任中の夫がいる。一方で、バンドのメンバーである一つ年下の幼馴染、うさぎとも微妙な関係で……。僕らの青春は、ちぎれそうなほど揺れ動くが、それでも真っ直ぐ走るしかない。僕たちそれぞれ、忘れられない恋! 不器用でひたむきな恋の行方を描く、青春恋愛小説!!
  • ビギナーズ・ライブ!
    4.0
    大阪では、ぼちぼち人気のローカルFM局に勤める陽菜。初めてディレクターを任された新番組に集まったのは、テレビ業界を追放されて親のコネでラジオ局に再就職したプロデューサーに、還暦を越えたラジオをこよなく愛するハガキ職人のトラック運転手と就職先もない無気力大学生のパーソナリティ二人…って、全員素人やん! 打ち切りの危機が迫るなか、陽菜たちは己の人生の全てをさらけ出したラジオドラマを放送することに。「金曜夜のビギナーズ・ライブ!」、今週も元気に始めるで!――笑って泣ける、超ド級のラジオ小説!!
  • マザリング 性別を超えて〈他者〉をケアする
    -
    「マザリング」とは性別を超え、ケアが必要な者に手を差しのべること――。産後うつに陥った人、流産を経験した人、産まないと決めた人、養子を迎えた人……。気鋭の映像作家が、自身の妊娠出産を端緒に、あらゆる弱者を不可視化するこの現代社会を問い直す。記録されてこなかった妊娠出産期の経験をすくいあげ、いまを生きる人々の声から、ケアをめぐる普遍的思考を紡ぐ。イケムラレイコ、イ・ラン、寺尾紗穂、ドミニク・チェンらへの取材も収録。社会に埋もれる「声なき声」に耳を傾け、手垢にまみれた「母」という概念を解きほぐし、未来へと繋ぐ圧巻のルポルタージュ・エッセイ!
  • 波の上のキネマ
    3.7
    尼崎に祖父が創業した小さな映画館「波の上キネマ」を継ぐ安室俊介。座席数100余りの小さな映画館は、収益を上げることは年々難しくなっており、ついに新聞に「年内に閉館する見通し」との記事が出てしまう。そんなある日、創業者である祖父の名前を出した問い合わせが入る。それがきっかけとなり、祖父の前半生に興味を持った俊介は南へ向かう。祖父は脱出不可能な絶海の島で苛酷な労働を強いられていたが、そこにはジャングルの中に映画館があったという。祖父はなぜその島に行ったのか。なぜ映画館があったのか。運命に抗う祖父が見たものは……。壮大なスケールで描く驚嘆と希望の長編小説。
  • ほんとうの自分
    3.0
    ある山のホテルで知り合った中年男女。その直後女は離婚を決意し、その男と暮らすようになる。平穏な同棲生活を送っていたが、ある日女のもとに一通の匿名の手紙が届いた。「私はスパイのようにあなたの後をつけています、あなたは美しい、とっても美しい」とだけあった。最初は不愉快さをつのらせていたが、女の心は好奇心に変わり微妙に揺れ動き、それを機にふたりの愛の糸は絡まり、幻想が現実を脅かしていく。愛し合うふたりの心のバランスの危うさを名手クンデラが描く。
  • 幻の旗の下に
    4.0
    日中戦争の拡大を受け、東京オリンピックの返上が決まった1938年。大日本体育協会は、オリンピックに代わる国際大会の開催を画策していた。体協の理事長・末弘の秘書を務める石崎は、体協幹部や陸軍などの政治的な思惑に疑念を抱きながらも、平和の象徴としての代替大会を開催するべく曲者ぞろいの面々と交渉を重ねていく。一方、ハワイにある日系人野球チームのマネージャー・澤山の元に、旧知の石崎から電報が届く。返上された東京オリンピックの代わりとして開かれる「東亜競技大会」に、野球のハワイ代表として参加してくれないか、という招請状だった――。知られざる歴史を浮かび上がらせる圧巻の交渉小説!
  • 翼 cry for the moon
    4.2
    父の自殺、学校での苛め、母には徹底的に拒まれて…。幼い頃に受けた仕打ちで凍りついた篠崎真冬は心に深い傷を抱えて生きてきた。その愛に閉ざされた心を解き放つのは、ニューヨーク。恋人、ラリーの幼い息子ティムも、実の母親から虐待を受けて育った子供だった。自分の居場所を求めて模索し幸せを掴みかけたその時、真冬にさらなる過酷な運命が襲いかかる。そして舞台は広大なアリゾナの地へ。傷ついた真冬は再び羽ばたくことができるのか? 一人の女性の魂の再生と自由を描く感動長編。
  • この部屋から東京タワーは永遠に見えない
    3.8
    「みんな、高校卒業おめでとう。最後に先生から話をします。この街を捨てて東京に出て、早稲田大学の教育学部からメーカーに入って、僻地の工場勤務でうつになって、かつて唾を吐きかけたこの街に逃げるように戻ってきた先生の、あまりに惨めな人生の話を――」(「3年4組のみんなへ」)など、Twitterで大反響を呼んだ虚無と諦念のショートストーリー集。話題の覆面作家、衝撃のデビュー作!
  • 塞王の楯 下
    4.5
    太閤秀吉が病没した。押し寄せる大乱の気配。塞王・飛田源斎は、最後の仕事だと言い残し、激しい攻城戦が予想される伏見城へと発った。代わって、穴太衆・飛田屋の頭となった飛田匡介は、京極高次から琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。立ちはだかるは、国友彦九郎率いる国友衆と最新の鉄砲。関ヶ原前夜の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける! 「最強の楯」と「至高の矛」――激突する二つの魂。その闘いの行き着く先は? 第166回直木賞受賞作品、下巻。
  • 塞王の楯 上
    4.3
    時は戦国。炎に包まれた一乗谷で、幼き匡介は家族を喪い、運命の師と出逢う。石垣職人“穴太衆”の頂点に君臨する塞王・飛田源斎。彼のように鉄壁の石垣を造れたら、いつか世の戦は途絶える。匡介はそう信じて、石工として腕を磨く。一方、鉄砲職人“国友衆”の若き鬼才・国友彦九郎は、誰もが恐れる脅威の鉄砲で戦なき世を目指す。相反する二つの信念の持ち主同士に対決の時が迫る! 「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極のエンタメ戦国小説!! 第166回直木賞受賞作品、上巻。
  • もう一度デジャ・ヴ
    3.8
    テレビに映し出された風景に見覚えがある。行ったことはないのに、確かにこの情景を知っている……。高校2年生の矢崎武志に起こったのは強烈な既視体験(デジャ・ヴ)。彼は意識を失う度に、はるか昔、生まれる前の世界を体験する。その世界で彼は戦国の忍びの一族だった。前世で何があったのか、なぜ過去を追体験するのか? 運命の人に再び出会うため、時空を超えて駆け巡る愛と宿命のリフレイン! 1993年、新書版の「ジャンプJブックス」で刊行された村山由佳の正真正銘の処女作がついに電子版で登場!!
  • 黄色い夜
    3.0
    東アフリカの大国エチオピアとの国境付近。ルイこと龍一は、そこで知り合ったイタリア人の男・ピアッサとE国へ潜入した。バベルの塔を思わせる巨大な螺旋状の塔内に存在する無数のカジノが、その国の観光資源だった。そこは、砂漠のなかに屹立するギャンブラーたちの魔窟。上階へ行くほど賭け金は上がり、最上階では国王自らがディーラーとなり、国家予算規模の賭け金で勝てば、E国は自分のものになるという……。奪われたものを取り戻すために、そして、この国を乗っ取るために、巨大なカジノ・タワーの最上階を目指せ! 注目の作家が放つ、スリリングなギャンブル小説!!
  • 一ノ瀬ユウナが浮いている
    4.0
    1巻616円 (税込)
    高校2年の夏休み、水難事故で幼馴染の一ノ瀬ユウナが死んだ。喪失感を抱えながら迎えた大晦日、大地はふと家にあった線香花火を灯すと、幽霊となったユウナが当時の姿のまま眼の前にいた。不思議なことだが、ユウナが生前お気に入りだった線香花火を灯したときだけ姿を現すらしい。その日から何度も火を点けて彼女と会話する大地だったが、肝心な気持ちを言えないまま、彼女を呼び出すことができる製造中止となった線香花火は、4、3、2本と減っていき……。乙一の真骨頂! 線香花火のように儚く、切なさ溢れる青春恋愛長編。
  • カミサマはそういない
    3.5
    目を覚ましたら、なぜか無人の遊園地にいた。園内には僕をいじめた奴の死体が転がっている。ここは死後の世界なのだろうか? そこへナイフを持ったピエロが現れ……(「潮風吹いて、ゴンドラ揺れる」)。僕らはこの見張り塔から敵を撃つ。戦争が終わるまで。しかし、人員は減らされ、任務は過酷なものになっていく。そしてある日、味方の民間人への狙撃命令が下され……(「見張り塔」)。現代日本、近未来、異世界――様々な舞台で描かれる圧倒的絶望。この物語に、救いの「カミサマ」はいるのか。見たくない、しかし目をそらせない、人間の本性をあぶり出すダークな全7編の短編集。
  • ちゃからかぽん おやこ相談屋雑記帳
    4.0
    猿曳きの誠と猿の三吉が、信吾に正月の演目について相談に来たが……(「犬猿の仲」)。波乃の最初の相談客だったアキが遊びに来て、将棋会所の常連ハツと知り合う。二人は波乃の妊娠に気付き……(「ちゃからかぽん」)。岡っ引の権六親分が連れてきた若者は、なんと彼の息子で……(「蛙の仔」)他3編。軽妙な読み味ながら、物語ひとつひとつが心にしみて、かつ人生の指南書にもなる大人気時代小説シリーズ。ファンの読者なら、今作は同窓会的な感慨も覚えるはず!
  • 野生の風
    4.2
    色に魅せられた染織家・多岐川飛鳥、野生動物のいのちを撮るカメラマン・藤代一馬。ふたりが出会ったのは、ベルリンの壁崩壊の夜。運命的な恋の予感はそのまま、アフリカでの再会へと結びつく。サバンナの大地で燃え上がる愛、官能の炎。しかし、飛鳥の友人で藤代の写真集に携わっている出版者勤務の祥子も一馬に恋をしていて……。想い合っていてもどうにもならないこともある――運命の出会いから慟哭のラストまで胸を揺さぶるストーリー。恋愛小説の名手、村山由佳の初期作品が待望の電子化!
  • オーラの発表会
    4.0
    「人を好きになる気持ちが分からないんです」海松子(みるこ)、大学一年生。他人に興味を抱いたり、気持ちを推しはかったりするのが苦手。趣味は凧揚げ。特技はまわりの人に脳内で(ちょっと失礼な)あだ名をつけること。友達は「まね師」の萌音(もね)、ひとりだけ。なのに、幼馴染の同い年男子と、男前の社会人から、気づけばアプローチを受けていて……。周りとうまくやりたいのにやれない風変わりな女子大学生が主人公の不器用で愛おしい恋愛未満小説。デビュー20周年! 綿矢りさワールド全開!!
  • からだに従う ベストエッセイ集
    3.5
    「楽しむことのできぬ精神はひよわだ、楽しむことを許さない文化は未熟だ」「恋は大袈裟なものだが、誰もそれを笑うことはできない」――恋愛、結婚、欲望、男女の謎。父、母、少年青年期、詩作の始まり、出会った人々。生、死、沈黙、老い、社会、こだわりなど。存在の本質や愛の真髄に瑞々しい感性とユーモアで迫る名エッセイ45編。「二十億光年の孤独」の鮮烈なデビューから70年余り、現役の世界的詩人の全作品から厳選した決定版随筆集!
  • 夜ごとの才女 怪異名所巡り11
    4.5
    舞台に響く口笛は、死んだ主役の十八番? <劇場の幽霊>が見せる舞台裏の真相とは(劇場の幽霊)。ツアー客の中に見つけたのは、炎上動画で一躍有名になった男! うつろな表情で展望台に立つ男に、藍は声をかける(簡潔な人生)。共演中の有名女優とベテラン俳優。二人とも「誰か」を殺す夢を見ている。撮影終盤に差し掛かり、その夢が誘う先は…(夜ごとの才女)。他全6編。――霊感バスガイド・町田藍が、怪奇現象の裏に隠された真実を明らかにする大人気<すずめバス>シリーズ第11弾! 人間だけじゃない。幽霊にだって深い事情があるのです。
  • 緩やかさ
    3.5
    20世紀末。パリ郊外の城に滞在するため車を走らせるクンデラ夫妻。速さに取りつかれた周囲の車は、まるで猛禽のようだ。クンデラは、18世紀の小説に描かれた、ある貴婦人と騎士が城に向かう馬車の旅、そしてその夜の逢瀬に思いを馳せる。一方、城では昆虫学会が開催されていて…。ふたつの世紀のヨーロッパの精神を、クンデラならではの、重さと軽さ、哲学と冗談、夢と現実世界が往来する。それまで母語であるチェコ語で書いていた小説を、初めてフランス語で執筆したことでも注目される作品。
  • ブレイクニュース
    3.9
    YouTubeで大人気のチャンネル『野依美鈴のブレイクニュース』。児童虐待、8050問題、冤罪事件、パパ活の実情などを独自に取材し配信。マスコミの真似事と揶揄され、誹謗中傷も多く、中には訴えられてもおかしくない過激でリスキーな動画もある。それでも野依美鈴の魅力的な風貌も相まって、番組は視聴回数が1千万回を超えることも少なくない。年齢、経歴も不詳で、自称ジャーナリストを名乗る彼女の正体を探るべく、週刊誌記者の真柄は情報を収集し始める。すると意外な過去が見えてきて……。デジタル社会の現代へ警鐘を鳴らす、SNS時代の新たな社会派小説。
  • 竣介ノ線
    -
    画家、松本竣介。30代で早世し寡作ではあったが、遺した作品は特別な存在感を放つ。聴覚を失った少年期、しかし、彼には線があり、色があった。兄の導きで上京、画家を志し、多くの仲間と出会った青春期。そしてある女性との運命的な出会い…。作家生活30年超、円熟期を迎えた鳴海章が松本竣介と出会い、彼の生涯を追いながら、評伝ではなく小説として書くことで、彼を通して創作の意義、それで行きていくことの意味と正面から向き合った意欲作は、執筆者自身、ひいては全創作者の物語へと昇華する。
  • 笑いと忘却の書
    3.8
    党の粛清により、隣の男に貸した帽子を除いて、すべての写真から消滅した男。一枚の写真も持たずに亡命したため、薄れゆく記憶とともに、自分の過去が消えてしまうのではないかと脅える女…。7編のさまざまな物語を通して〈笑いと権力〉〈記憶と忘却〉〈愛と孤独〉といったモチーフが、繰り返しバリエーションを奏でながら展開され、精緻なモザイクのように編み上げられる、変奏形式の連作短編集。哲学的な洞察と独特のユーモアが詰まったクンデラ文学の原点であり、かつ哲学的な考察の集大成でもある作品。
  • 別れのワルツ
    4.0
    舞台は東ヨーロッパの紅葉に染まった谷間にある不妊症に効くとされる小さなリゾート温泉保養地。亡命を決意したヤクブは、友人らに永遠の別れを告げるべく、ここにやってくる。ふとした成り行きから薬の小壜に混入された毒薬……物語が動き出す。医師、若い女、高名なトランペット奏者と美貌の妻、アメリカ人湯治客――幾組もの男女がすれ違いもつれ合い交錯する。愛、欲望、裏切り、個々の選択が引き起こす予測不可能な結果……。めくるめく円舞とともに演じる五幕のヴォードヴィルは「小説の魔術師」クンデラの初期の傑作!
  • 存在の耐えられない軽さ
    4.2
    舞台は東西冷戦下のチェコスロバキア。「プラハの春」と呼ばれる1968年に実現した束の間自由主義体制とその後のソビエト連邦の侵攻、「正常化」という名の大弾圧という歴史的な政治状況下で、苦悩する恋人たち。不思議な三角関係など、四人の男女のかぎりない愛と転落を、美しく描きだす哲学的恋愛小説。チェコ出身の作家ミラン・クンデラの代表作にして世界的ベストセラー。原著は1985年に刊行され、1988年にフィリップ・カウフマン監督、主人公トマシュにダニエル・デイ=ルイス、テレーザにジュリエット・ビノシュを起用して映画化されたことでも広く知られている。
  • 不滅
    4.2
    パリ。プールサイドに寝そべっていた「私=作者」は、見知らぬ中年女性の、軽やかにひるがえる手の仕草を見て、異様なほど感動し、彼女をアニェスと名づけた…。こうして生まれた「女」の、悲哀とノスタルジアに充ちた人生が、時空を超えて、文豪ゲーテと恋人の「不滅」を巡る愛の闘いの物語と響きあう。詩・小説論、文明批判、哲学的省察、伝記的記述など異質のテクストが混交する中を、現実と虚構、過去と現在、個人の運命と歴史が交錯し、軽やかに駆け抜けていくポリフォニック(多声的)な、壮大な愛の変奏曲。
  • バッドカンパニー
    3.8
    1~3巻528~869円 (税込)
    経歴不詳の美人社長・野宮が率いる人材派遣会社『NAS』。社員は元警官や元自衛官の屈強な男たち。ヤクザの用心棒、国際テロリストの捕獲、裏カジノに潜入……法律やコンプライアンスなんてどこ吹く風。金さえ積まれれば、どんな汚れ仕事も引き受ける。野宮に弱みを握られている元自衛官の社員・有道は、今日もムチャぶりに耐えながら大暴れ! スリリングなアクション満載の連作短編。
  • 雨あがり お江戸縁切り帖
    4.2
    1~5巻572~693円 (税込)
    明暦の大火が江戸を焼いて、一年が経った。人々の生活は未だ落ち着かないままだ。糸はひとり長屋で暮らしていたが、縁切りの手紙を代書する依頼を勢いに負けて引き受けてしまう。浮気亭主との別れ、悪友との絶縁、愛し憧れた役者との別離、親子の決別……「縁切り屋」として立ち会った様々な別れがもたらすのは不思議と涙だけではなかった。あたたかな別れを描いた時代連作短編シリーズ第一弾!
  • しつこく わるい食べもの
    4.2
    闇カツ、パフェのエロさ、台所の妖怪、緊急事態宣言下のお取り寄せ…。ハンニバル・レクター博士に憧れ、炊飯器を擁護し、要らぬ助言に噛みつき、よく腹を下す。そんな偏屈でめんどくさい食いしん坊作家の自由な日常は、否応なくコロナ禍に侵食されていく。それでも――。あなたとわたしの欲望を肯定する、ひねくれものの力強い応援歌。「小説のイメージと違った」「美食家だと思っていたのに」などなど驚愕と共感の声がどしどし寄せられた食エッセイ! 人気イラストレーター・北澤平祐氏の挿画も多数収録!! ※イラストはモノクロです
  • 神曲プロデューサー
    3.0
    作曲・編曲・演奏・執筆などを兼業する音楽業界の〈何でも屋〉蒔田シュン。自作曲のMVがネットでバズり、カリスマ歌手・海野リカコの「三十日連続一位を止め」たことから彼女と知り合う。しかしバズった曲に盗作疑惑が持ち上がり……。世界の歌姫や余命わずかな老ベーシスト、歌の下手なアイドルグループ、わがままな新人アーティスト達、映像作家、プロデューサーなど、『世界でいちばん透きとおった物語』の杉井光が贈る、音楽に人生を託す人々の生き様と、大人のボーイミーツガールを描く連作小説集。
  • ウィンズテイル・テイルズ 時不知の魔女と刻印の子
    4.2
    突如現れた漆黒のゴーレム〈徘徊者〉による侵略が続くこと百二十年。地球上のあらゆる文明が異界に呑み込まれ、大地の大半は無機質な石英と化していた近未来地球。うなじに特殊な刻印を持つ少年・リンディはこの日、町守見習いとして初めての仕事へ向かう。その眼前に、いきなり巨大徘徊者が――。失われゆく世界の最前線・ウィンズテイルで、人類を救うための最終決戦が始まり、世界を取り戻す鍵は、少年少女に託された! 大迫力のSF×バトルファンタジー!
  • 鶴は戦火の空を舞った
    3.5
    ライト兄弟からわずか10年、戦闘機は「凧のお化け」から急速に進化し、第一次世界大戦の実践に投入された。日本軍で招集された操縦訓練生の一人、錦織英彦は持ち前の体力と視力で操縦センスを発揮。しかし上司に好かれず任務から外されてしまう。「地上」から自由になりたい! しがらみを捨て、自由に飛びたいと思った英彦は、フランスでピロット(戦闘機乗り)になった先人のことを知り海を渡る。アス(エース)を目指す新たな挑戦が始まった――。近代を舞台にして、ひとりの若者のドラマとして描かれる「航空機事始め」。新時代の歴史小説誕生!
  • ゴサインタン 神の座
    4.0
    豪農の息子・結木輝和は外国人花嫁斡旋業者の仲介でネパール人のカルバナ・タミと結婚し、言葉の通じない妻を淑子と呼んだ。従順だった淑子が神がかり始めると、信者と名乗る人々が結木家に集まってきた。そして惜しみなく与える淑子によって、輝和は全財産を失った。転落から絶望へ――。失踪した妻を探して辿り着いた場所は神の山ゴサインタンの麓だった。生き神様となった妻に翻弄された輝和の魂は堕ちきることによって再生するのか? 第10回山本周五郎賞受賞、現代人の根源を抉る社会派大作!
  • N

    3.8
    「魔法の鼻を持つ犬」とともに教え子の秘密を探る理科教師。「死んでくれない?」鳥がしゃべった言葉の謎を解く高校生。定年を迎えた英語教師だけが知る、少女を殺害した真犯人。殺した恋人の遺体を消し去ってくれた、正体不明の侵入者。ターミナルケアを通じて、生まれて初めて奇跡を見た看護師。殺人事件の真実を掴むべく、ペット探偵を尾行する女性刑事。全六章を読む順番で、世界が変わる。あなた自身がつくる720通りの物語。すべての始まりは何だったのか? 結末はいったいどこにあるのか?――道尾秀介が「一冊の本」の概念を変える!
  • 水たまりで息をする
    3.8
    ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実(いつみ)。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。そして川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが……。女性が主体として生きていくことの難しさを描いた物語。
  • ミシンと金魚
    4.0
    「カケイさんは、今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」――ある日、ヘルパーのみっちゃんからそう聞かれた“あたし”は、絡まりあう記憶の中から、その来し方を語り始める。母が自分を産んですぐに死んだこと、継母から薪で殴られ続けたこと、犬の大ちゃんが親代わりだったこと、亭主が子どもを置いて蒸発したこと。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続ける“あたし”の腹が膨らみだして……。この世に生まれ落ちて、いつの日か死を迎え、この世を去る。誰もが辿るその道を、圧倒的な才能で描き出す! 著者デビュー作にして第45回すばる文学賞受賞作!!
  • クラスメイトの女子、全員好きでした
    4.1
    「おまえは、女の子と恋はできないだろう」――突然、父から突然の宣告を受けた少年は、クラスメイトの女子をひたすら観察することにした。宇宙一美しいゲロを吐く女の子。水の飲み方が妖怪みたいな学校のマドンナ。憧れのプロレスラーそっくりの怪力女番長。小学校から高校までいつもクラスメイトの女子に恋をしていた。面白くて、情けなくて、ちょっぴり切ない恋の記憶。きっと誰もが“心の卒業アルバム”を開きたくなる全21編のセンチメンタル・スクールエッセイ! 2024年7月からドラマもスタート!!
  • マチズモを削り取れ
    3.9
    路上、電車、学校、オフィス、トイレなど、日本の公共空間にはびこる〈マチズモ=男性優位主義〉の実態をライターが徹底調査! ジェンダーギャップ指数、先進国でぶっちぎりの最下位――「関係ない」はもうありえない。夜道を歩くことの恐怖、通学・通勤中の痴漢被害、発言権を奪われる不条理……最も身近な日常の場面から、変わらないこの国の「体質」をあぶり出す!! 「大凡(おおよそ)日本に住む全(すべ)ての人に呼んでもらいたい一冊だ」(金原ひとみ)
  • 真夜中のマリオネット
    4.0
    殺した後、一晩かけて遺体をバラバラにする殺人鬼――通称「真夜中の解体魔」。婚約者を殺された救急医の秋穂は、深い悲しみを抱えながらもなんとか職場に復帰をした。そこに運ばれてきたのは、交通事故で重傷を負った美少年・涼介。無事、命を救って手術室を出た秋穂に刑事が告げた。「彼は『真夜中の解体魔』だ」。復讐しようとする秋穂に、涼介は涙ながらに無実を訴え証拠を見せた。秋穂は、ためらいながらも涼介と真犯人を探すことになるが……。涼介は真犯人に操られた哀れな人形(マリオネット)なのか、それとも周囲を操る冷酷な人形遣いなのか。知念実希人が贈る、究極のクライムサスペンス!
  • 百合中毒
    3.2
    イタリア人の若い女と恋仲になり、家族を捨てて出ていった父親が、妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ25年ぶりに戻ってきた。イタリア人の彼女は一人で帰国してしまったという。が、娘たちは大人になり、妻にはすでに恋人がいた。次女の遥は「許さないから。絶対に。出てってよ。早く出てって!」と叫び、長女の真希は「大恋愛して出ていったのなら、二度と戻ってこないのが筋ではないのか」と苛立つ。妻・歌子の恋人は夜ごと彼女からの電話を待つ。そして歌子は思い出す。夫との出会いの場所に咲き乱れていた花のことを…。家族とは。夫婦とは。七人の男女の目線から愛を問い直す意欲作。
  • 小福ときどき災難
    3.2
    よいことばかり起こればいいけれど、実際はそうもいかないのが人生です。荒ぶる天候、揺れる体調、折に触れて感じる世の中への怒り。だけど、災難続きの日々の中にも小さな“福”は必ずある! 大好物の桃の季節になると時々つくる、桃とルッコラのサラダ。猛暑のなかビーズワックスのラップ作りに挑戦。コロナ問題で殺伐とした日々でも、近所のウグイスの鳴き声に心を和ませる……。ストレスフルな毎日をすこし快適に、すこし楽しく変えてくれる「小さな幸福」を探して、時に成功、時に大失敗の悲喜こもごもを綴る共感必至のエッセイ集!
  • 最愛(鶴見京介弁護士シリーズ)
    3.0
    鶴見京介は、裁判所を出たところで司法研修所の同期生で弁護士の的場成美と偶然再開、二か月前に起きた強盗殺人容疑の栗林の弁護についてアドバイスを求められる。栗林は、闇バイトで強盗に入ったことは認めたが、殺害は否認。バイト仲間のイチローが殺したと主張するも、その男の存在が証明出来ないという。一方、鶴見は撲殺事件の容疑者の弁護を引き受ける。半グレだった被害者を調べると、栗林の事件と繋がりが……。“愛”という魔物が生んだ凶行の真相とは!? 大人気! 鶴見弁護士シリーズ最新作!!
  • 虹を待つ 駆け込み寺の女たち
    -
    妻から離縁の申し立てをするには、縁切寺に駆け込むしかない――。上州にある縁切寺・満徳寺。今日も事情を抱えた女たちが駆け込んでくるが……。夫の浮気に悩み、この世にたった二つの縁切寺の一つ、上州満徳寺へやってきたなつ。だが、そこにいたのは夫の情女(いろ)で!? 憤るなつに、美しき尼僧・慈白は、ここで助け合って暮らすように言い……。事情を抱えた女たちは、笑い泣き、時に励ましあいながら、人生の“雨宿り”の場で何を見つけるのか。悩めるあなたに贈りたい時代小説No.1!
  • 本日も晴天なり 鉄砲同心つつじ暦
    -
    時は幕末。江戸城下、大久保の地。長く泰平の世が続き、代々この地を守ってきた鉄砲同心たちは、火薬の原料を転用したつつじ栽培の内職に励み、家計の足しにするようになった。礫(つぶて)家の丈一郎も三十すぎだが、つつじ栽培の内職に専念する毎日。父の徳右衛門が老いても家督を譲らぬためと、小禄の家計を助けたいからだ。ある日、父を訪ねて同役だった貫田が来る。田安家家老の俳諧の会に入りたいから仲介してくれというのだが……。銃の代わりに鋏を握る丈一郎が、礫家を巻き込む様々な事件に果敢に立ち向かう。喧嘩も笑いも絶えない丈一郎一家の、温かな〈お江戸家族小説〉。
  • プロット・アゲンスト・アメリカ
    4.0
    切手集めに情熱を注ぐフィリップ少年は7歳。営業マンの父と快活な母、絵が上手な兄サンディとニュージャージーのユダヤ人地区で暮らしていた。1940年、そんな平穏な生活を揺るがす大事件が起こる。ヒトラーの友人であり反ユダヤ人主義のリンドバーグが、ローズヴェルトを破ってアメリカ大統領に当選したのだ。――じわじわと差別が広がり、人権が蝕まれていく混乱と恐怖、ありえたかもしれないファシズム擡頭をひとりの少年の目から描いた、フィリップ・ロス最高傑作とも評される歴史改変小説!
  • 定年女子 これからの仕事、生活、やりたいこと
    3.5
    今の時代、リタイア=老後ではない。フェードアウトするには早すぎる。豊富な経験を持ち、まだまだ元気な60代。定年後も仕事をする? 仕事を離れて自由に生きる? 実際にリタイア後の人生を楽しむ多くの先輩たちの体験談を読むうちに、あなたの生き方の方向性も見えてくるはず。気になるお金の問題や健康維持の秘訣についてもバッチリ。定年から老後までの人生を前向きに生きるためのヒント。
  • 我が友、スミス
    3.9
    「別の生き物になりたい」――筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった…。鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。彼女が決勝の舞台で取った行動とは? 世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作!
  • おから猫
    -
    名古屋城の南方、前津の地にある古ぼけた神社は、「おからねこ」とか「猫神社」と呼ばれ、さまざまな事情を抱えた人があとを絶たずにやって来る。葛飾北斎が名古屋入りすると聞き、ひと儲けしようと考える書林の主。「いとうさん」と呼ばれる呉服店で働くことになった、元武士の妻。納屋橋を西洋風に架け替える仕事を任された青年……。「おからねこ」に願い事をすると、たちまち願いが叶う、とか? 溢れる名古屋愛と歴史がたっぷり詰まった、笑いと涙の傑作ユーモア時代小説!――「願ってみゃあ。全部叶えたるでね!?」
  • ハツコイハツネ
    4.0
    コーヒーショップの店員に一目惚れした亮介。勢い余って告白した相手は、中学校の同級生・香澄だった。8年前、ピアニストを目指していた亮介に「素敵な音を出すのね」と告げてきた転校生の香澄。一学期だけを共に過ごし、また転校していった彼女との運命的な再会から交際が始まるが、実は香澄は人の感情が音として〈聴こえる〉という特殊な体質だった。そんな香澄と音を〈奏でる〉亮介、音が導く二人の運命は、時を経て、再び重なりあっていく……。音を巡る切なく愛しい、初めての、そしてたった一つの恋の物語。
  • よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる
    4.5
    今、世界は第二次世界大戦以来、最も危険な状態だと言われる。ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとパレスチナの衝突は、なぜ起こるのか。それを深く知るには、「一神教」の知識が不可欠。本書では、同じエルサレムを聖地とするユダヤ教、キリスト教、イスラム教をめぐる約三千年を追いながら、日本人がわかりにくいと思われるポイントを整理し、質問形式でその起源や地理、歴史を西洋歴史小説の第一人者が解説する。図版満載&明快な構成で世界史入門書としても最適! 文庫版オリジナル書き下ろし「第三部第五章 ウクライナ戦争」も収録!!
  • マリーナ バルセロナの亡霊たち
    3.3
    ある日の放課後。寄宿学校に通う15歳のオスカルは、荒廃した城館に迷い込み、そこに住む少女マリーナと親しくなった。彼女に導かれ人知れぬ墓地を訪れると、黒い蝶が彫られた墓碑に赤いバラを添える貴婦人の姿が。好奇心で後を追うオスカルとマリーナ。しかしその先には霧の都バルセロナの覗いてはならない秘密が隠されていた――。物語の魔術師とも呼ばれるスペインの巨匠、カルロス・ルイス・サフォンが描く幻想と怪奇に満ちた幻の初期作。後に続く「忘れられた本の墓場」シリーズ四部作の原点!
  • 燕は戻ってこない
    4.0
    北海道での介護職を辞し憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳・独身女性のリキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニックの日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられる。バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する43歳男性・基。その妻で、不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、「代理母出産」という選択をやむなく受け入れる44歳女性・悠子。それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、ノンストップ・ディストピア小説!
  • ドラキュラ記念吸血鬼フェスティバル(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    4.0
    とある企業の記念イベントに出演予定のゲストが不祥事で逮捕され、あわや中止に。急遽変更されたテーマ〈ドラキュラ生誕五百年〉に合わせ、企業の取引先〈クロロック商会〉の雇われ社長にして「正統な」吸血鬼のフォン・クロロックに出演依頼が舞い込むが、クロロックは依頼主とドラキュラの知り合いではないらしく……。おまけにこのイベント、どこか訳ありで!? 表題作ほか、うだつのあがらないサラリーマンの口座に突然二億八千万円が振り込まれ…(「吸血鬼の給与明細」)、観光バスのツアー中、乗員乗客全員が謎の眠気に襲われてしまい…(「吸血鬼の迷路旅行」)の2編を収録!
  • 自分で名付ける
    3.9
    38歳で妊娠。結婚で生じるあらゆることに納得がいかず、婚姻届は出さなかった。区役所に母子健康手帳をもらいに行くと、想定外のことを言われもやもやし……。妊娠を機に押し寄せる無数の「うわーっ」。メリットのない結婚制度の不自由さ、百点満点の無痛分娩のありがたみ、ゾンビと化した産後、妊娠線というタトゥー、恐怖のワンオペ育児に子守歌代わりのBTS……。“母性”でまとめられたくない、自分だけの気持ちを掬いあげて言葉にしていく、最高に風通しのいい育児エッセイにして新時代のバイブル! その後の2年間を綴ったあとがきを追加収録!!
  • 決定版 女人源氏物語 一
    -
    1~5巻660~737円 (税込)
    千年の時を越えて読みつがれる華麗なる王朝絵巻「源氏物語」を、女性たちの声で描き直す「瀬戸内源氏」。本巻では比類なき美貌と知性を持つ宮廷一の貴公子・光源氏の誕生から、成長して出世していくさまを描く。亡き母の面影を慕い、年上の女性たちに魅かれる源氏は、ついに父帝の女御と一線を超えてしまい――。1988年から89年にかけて刊行された現代語訳のさきがけにして「源氏ブーム」の火付け役・瀬戸内寂聴があなたを鮮烈な世界に誘う。全5巻連続刊行!※2023年10月に発売した集英社文庫を底本にしています。重複購入にご注意ください
  • 肉体のジェンダーを笑うな
    3.8
    医療の進歩で男性でも母乳が出せるようになった世界。哲夫は、ついに授乳を経験するが!?(「父乳の夢」)。機械を装着することで筋力差がなくなり、性別による役割分業が減ったら?(「真顔と筋肉ロボット」)。性差への理解を深めたら月経が訪れるようになった男性の変化とは?(「キラキラPMS(または、波乗り太郎」)など、全4編。圧倒的な想像力で、性差が減った未来(=ユートピア)をユーモラスに描き、旧来的な性別の“当たり前”をぶっ壊す!
  • コーリング・ユー
    4.0
    海洋研究所に勤めるイーサンと飼育委員のノアのもとに、世界環境を救う貴重なキャニスターを、シャチを訓練して海底から回収して欲しいという依頼が舞い込んだ。間もなくシャチが到着。イーサンはセブンと名付けられたそのシャチが他動物と言語によるコミュニケーションが出来ることに気づく。しかしここに来る前、セブンは従姉のエルと共に捕獲された経験があった。ある日、セブンはエルが苦境にあることを知り不調に陥る。イーサンは、苦心の末にその原因を突き止め、ミッション終了後にシャチたちを海に帰すことを決意するが…。シャチと人間の愛と絆を描く感動の海洋冒険小説! 小説すばる新人賞受賞作!!
  • イザベラ・バードと侍ボーイ
    3.7
    三浦半島の下級武士の子・伊東鶴吉は、維新後に通訳となる。父が幕末に函館へ行き生死不明のため、家族を養う身だ。20歳となり、東北から北海道へ旅する英国人作家イザベラのガイドに採用された。彼女は誰も見たことのない景色を求めて、険しき道ばかりを行きたがる。貧しい日本を知られたくない鶴吉とありのままを世界に伝えようとするイザベラ。英国人作家と通訳の青年の北への旅は困難を極める…。対照的な二人が織りなす文明衝突旅を開国直後の日本を舞台に描く歴史小説。
  • もろびとの空 三木城合戦記
    4.0
    東播磨の大名、別所家の本城である三木城。当主の長治は織田信長に反旗を翻すも、織田勢を率いる羽柴秀吉に攻められ、村人を巻き込んだ過酷な籠城戦が始まる。飢えに苦しむ領民は、究極の選択へと追い込まれ……。米十俵のために握った薙刀で、家族を守るため、戦う覚悟を決める娘。「死に損ない」と罵られ、次こそ死のうと敵を斬り続ける武士。「女らしさ」の呪縛に悩みながら、女武者組の先頭に立って陣頭指揮を執る別所家の妻。華々しい合戦絵巻の裏側に存在した、名もなき人びとのひたむきな生の物語。
  • 紅蓮の雪
    4.0
    伊吹の最愛の双子の姉・朱里は20歳の誕生日を迎えた日、なんの前触れもなく自殺した。朱里の遺品の中から大衆演劇「鉢木座」の半券が見つかり、それが死ぬ前の最後の足取りであることを知った伊吹は、少しでも真相に迫るべく一座の公演に行った。公演後、座長に詰め寄る伊吹の姿を見た若座長の慈丹は、その容姿を見初め、入団を強く進めた。伊吹は何か手がかりが掴めるのではないかと入団を決意し、以降、訓練と舞台に追われる。そんなある日、ひょんなことから両親と鉢木座との繋がりが露見。それは鉢木座の過去に秘められた禁断の事実だった……。血脈に刻まれた因縁、人間の最果てと再生を描いた問題作。
  • 黄金の刻 小説 服部金太郎
    4.5
    明治七年。十五歳の服部金太郎は、成長著しい東京の洋品問屋「辻屋」の丁稚として働いていた。主人の粂吉は、金太郎の商人としての資質を高く評価し、ゆくゆくは妹の浪子と結婚させ、金太郎を辻屋の一員として迎え入れようとする。だがそんな思いとは裏腹に、金太郎は、高価ゆえに持つ人の限られていた「時計」に目をつける。鉄道網の発達により、今後「正確な時間」を知ることの重要性が高まると見抜いていたのだ。いずれは時計商になりたいという熱い想いを粂吉に伝えるが…。経済小説の名手が史実をもとに描く、世界的時計メーカー「セイコー」創業者の一代記!
  • 紫式部と清少納言 二大女房大決戦
    3.8
    紫式部は執筆に追われていた。「源氏物語」を餌に、帝の関心を愛娘・彰子へと向けさせたい藤原道長から、続きを催促されているのだ。創作の手がかりが欲しい紫式部は、素性を隠し、荒れ屋で暮らす清少納言の元を訪れる。そこで、皇后定子の霊鬼が宮中を徘徊しているという噂を、うっかり口にしてしまい…。小競り合いばかりの二人が、霊鬼探しでまさかの共同戦線。平安文学好きには夢、超展開の二大女房大決戦! サイテーのライバルがサイコーのバディになる!?

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