ちくま文庫作品一覧

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  • クリスマス・ブックス
    3.5
    イギリス風ペーソスとユーモアで繰りひろげられるクリスマスのお話二編。原書の持つ雰囲気を生かした落語調の翻訳で、また違った味が楽しめる名作「クリスマス・キャロル」。クリスマス本の二冊目として熱狂的に迎えられた「鐘の音」。風刺雑誌『パンチ』の画家として有名なジョン・リーチらの、幻想性に満ちた挿絵と現実が奇妙に溶けこんだ不思議なファンタジーをどうぞ。
  • ケルトの薄明
    3.8
    「人間が見たり聞いたりしたものは生命の糸である」(イエイツ) 自然界に満ち満ちた目に見えない生き物、この世ならぬものたちと丁寧につきあってきたアイルランドの人たち。詩人であり、劇作家・思想家であるイエイツは、自ら見たり聞いたりしてケルト民族に伝わる妖精や超自然的な生き物たちのフォークロアを採集した。そこには、無限なものへの憧れ、ケルトの哀しみにあふれ、不思議な輝きを放ち続ける。カットにケルト美術を用い、イギリス・アイルランドフォークロア研究者による的確な翻訳で、ケルト民族の情感を生き生きと伝える。
  • 感光生活
    4.0
    「その日も、呼び鈴は、いつにもまして、権力的に鳴った。その瞬間、わたしは神経を逆なでされ、理由もなく押したひとに反感を抱いた」(「隣人鍋」)。日常と非日常との、現実と虚構との、わたしとあなたとの間の一筋の裂け目に、ある時はていねいに、ある時は深くえぐるような視線をそそぐ15の短篇。
  • 希望格差社会――「負け組」の絶望感が日本を引き裂く
    4.0
    フリーター、ニート、使い捨ての労働者たち―。職業・家庭・教育のすべてが不安定化しているリスク社会日本で、勝ち組と負け組の格差は救いようなく拡大し、「努力したところで報われない」と感じた人々から希望が消滅していく。将来に希望が持てる人と将来に絶望している人が分裂する「希望格差社会」を克明に描き出し、「格差社会」論の火付け役となった話題の書。
  • 茫然とする技術
    4.1
    かつて、これほどまでに読者をよくわからない時空に置き去りにするエッセイがあっただろうか。「パレード。」「ぶらぶらする」「発酵と腐敗」「商店街往復」「小走りの人」「動くとおなかが痛い」「牛もいれば馬もいる」「微妙なすきまができている」「カレーと、インド遅れた」など、脱力感みなぎる71篇。面白さを伝えるのが困難な本だが、大変笑えて、おかしい奇書。
  • 審判
    -
    ある朝突然、平凡な若い銀行員ヨーゼフ・Kは理由もなく逮捕される。告発の理由をつきとめようと懸命に努力するが、予審判事の前に出ても、弁護士と面談しても、教誨師と問答を交わしても誰一人、真相に触れようともしない。正体不明の貧民窟にある法廷へと不規則に呼び出される奇妙な日常、いつ終わるとも知れぬ不安な日々。結局、確かなことは何一つわからないまま……。二十世紀を突き抜け、今もなお世界の思想や文学に大きな衝撃を与えて止まない第一級の名著。
  • 隣のアボリジニ――小さな町に暮らす先住民
    4.2
    独自の生活様式と思想を持ち、過酷な自然の中で生きる「大自然の民アボリジニ」。そんなイメージとは裏腹に、マイノリティとして町に暮らすアボリジニもまた多くいる。伝統文化を失い、白人と同じような暮らしをしながら、翻弄されて生きる人々……その過去と現在を描く。多文化主義オーストラリアのもうひとつの素顔。
  • 食物漫遊記
    -
    食に関する博学多識ぶりに舌を巻く「漫遊記」シリーズ第二弾! 画にかいた餅を食べる話、辿りつけない料理屋の話、鯨飲馬食と断食絶食の話、人を食い人に食われる話などなど、食物をめぐって人びとが演じる滑稽譚、怪異譚のかずかず。エンサイクロペディストによる、ひと味ちがう美味エッセイ。
  • さる業界の人々
    5.0
    下着売り場ではパンティーの透け具合を調べ、撮影現場ではホメちぎってモデルを脱がせる。デスクに戻れば刺激的なキャプションをひねり出し、警視庁に呼ばれれば平身低頭して始末書を書く。それらすべてを「編集」の仕事として面白がれるエロのプロフェッショナルと呼ぶのである。シンボー流「面白主義」の原点がここにある。
  • アジア おいしい話
    3.3
    あぁなんておいしい! と舌鼓を打つ時、その料理の向こうにあるおいしさの秘密を知りたくなる。固いごぼうやにんじんをふんわりと仕上げるベトナムのおろし金、蒸し焼きには欠かせないバナナの葉、煮えた野菜とココナッツ殻のしゃもじとの絶好の相性……。アジアを旅して、あちこちの家の台所や店の厨房、市場の軒先、路上の雑貨屋で見て、聞いて、教わった、おいしさのコツ。
  • 誰が太平洋戦争を始めたのか
    3.6
    戦争を始めるためにはなにが必要か? それは膨大なペーパー・ワークを伴う「戦争計画」に基づいた動員・集中・開進・作戦という兵力の運用である。では、太平洋戦争はどう準備されたのだろうか。支那事変から真珠湾攻撃までの経過を検証し、「縄張り意識」と「無責任」が支配する官僚国家が引き起こした悲劇の内幕に迫る。
  • おせいさんの落語
    3.0
    抱腹絶倒! おせいさんの創作落語の数々。不良老人に、女房の尻に敷かれっ放しの甲斐性なし野郎ども、妻に家出され、すずめを女房にした男……。どこかに有りそうな話から、荒唐無稽な話まで。上方言葉に乗って、おせいさんの筆がさえる。傑作11篇を収録。
  • 辰巳屋疑獄
    3.5
    大坂の炭問屋「辰巳屋」は、正徳のころ掛屋(大名相手の金融業)も営む豪商であった。手代460人、家財200万両(現在の2000億円相当)という大企業に跡継ぎ問題が起こると、大坂じゅうの商家、江戸幕府や武士役人の世界、京の公家の世界をも巻き込む一大疑獄事件へと発展した。大岡越前守の日記に登場する史実をもとに、奉公人・元助の目を通して事件のてんまつを描く。
  • 船宿たき川捕物暦
    3.7
    江戸岡っ引きの総元締め米造、小野派一刀流道場の「青鬼」師範代青木倩一郎。白河藩のお家騒動、田沼意知の暗躍……。米造の娘お葉のかどわかしを発端に米造と倩一郎が出会い、その出会いが幕閣をも巻き込む新たな事件を呼ぶ。江戸情緒あふれる著者初の時代小説。
  • 沈黙博物館
    4.1
    耳縮小手術専用メス、シロイワバイソンの毛皮、切り取られた乳首……「私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ」――老婆に雇われ村を訪れた若い博物館技師が死者たちの形見を盗み集める。形見たちが語る物語とは? 村で頻発する殺人事件の犯人は? 記憶の奥深くに語りかける忘れられない物語。
  • なめくじ艦隊 ―志ん生半生記―
    4.1
    「あたしはちょうど、うちにおったなめくじみたいに、切られようが突かれようがケロンとして、ものに動じずに、人にたよらず、ヌラリクラリとこの世のなかの荒波をくぐりぬけ……」(本文より)。酒がいっぱいあるということで満州行きを決意した話など、昭和落語を代表する噺家が酒、女、バクチ、芸をしみじみと語る。五代目古今亭志ん生の人柄がにじみでた半生記。
  • 変半身
    3.7
    「だって、私たちって、家畜じゃない」(「変半身」)「僕たちの身体には奇跡が眠っているんだ」(「満潮」)――若者が贄となる孤島の秘祭「モドリ」の驚愕の真相から恐るべき世界の秘密が明かされる「変半身」、「潮を吹きたい」という夫に寄り添う妻がふたりで性の変容を探求する「満潮」、ニンゲンの宿命と可能性を追究して未知の世界を拓く村田ワールドの最新の到達点を見よ!
  • おまじない
    3.8
    「あなたは悪くないんです。」(「燃やす」)「私たちは、この世界で役割を与えられた係なんだ。」(「孫係」)「弱いことってそんないけないんですか?」(「マタニティ」)――さまざまな人生の転機に、まじめさゆえに孤独に思い悩んでしまう女性たちの背中をそっと押して、新しい世界に踏み出す勇気をくれる魔法のひとこと。珠玉の八編、ついに文庫化!巻末に長濱ねるとの特別対談を収録。
  • 食べちゃいたい
    -
    「男は私を四つ切りにすると、溶けかかった私の四分の一からたれている汁に指をべとつかせてひと口で舌の上で潰した。……歯と舌が近づいて来る。なんだかとっても幸せで安らかな感じ。至福ってあるのかしら」(柿)セクシーなじゃがいも。湯上りブロッコリー。ざくろの喜び。プリンスメロンのコンプレックス。野菜と果物を題材に、人生の官能と悲哀と愉楽を描き出す傑作ショートショート集。
  • なんらかの事情
    4.0
    これはエッセイ? ショート・ショート? それとも妄想という名の暴走? 翻訳家岸本佐知子の頭の中を覗いているかのような「エッセイ」と呼ぶにはあまりに奇妙で可笑しな物語たちは、毎日の変わらない日常を一瞬で、見たことのない不思議な場所に変えてしまいます。人気連載、待望の文庫化第二弾。今回も単行本未収録回を微妙に増量しました。イラストはクラフト・エヴィング商會。
  • ねにもつタイプ
    4.2
    コアラの鼻の材質。郵便局での決闘。ちょんまげの起源。新たなるオリンピック競技の提案。「ホッホグルグル」の謎。パン屋さんとの文通。矢吹ジョーの口から出るものの正体。「猫マッサージ屋」開業の野望。バンドエイドとの正しい闘い方──。奇想、妄想たくましく、リズミカルな名文で綴るエッセイ集。読んでも一ミクロンの役にも立たず、教養もいっさい増えないこと請け合いです。
  • パスティス ──大人のアリスと三月兎のお茶会
    4.0
    太宰、漱石、鴎外、賢治、芥川から、ドイル、アンデルセン、ケストナー、ベケットまで。古今東西の名作をもとに編み上げられた16のパスティーシュ小説集。禁酒時代にアブサンの代用酒として作られたパスティスが、以後もずっと人々の口を愉しませ、酔いを誘ってきたように、オリジナル作品を知らなくても、知っていればなお一層、小説の醍醐味を存分に楽しめる珠玉の作品集。
  • 愛の本 ──他者との〈つながり〉を持て余すあなたへ
    4.0
    「この本を手にとってくれた君が、自分以外の人間や身の周りの世界に対して、ゴツゴツした岩みたいなよそよそしさを抱いているとしたら、そんな感覚から自由になれる考え方があることを知ってほしい。……自分を取り囲む世界と多少なりともなめらかにつながっていけるイメージを持ってくれたらいい……」。名著『友だち幻想』へと続くテーマを、やさしく深く語りかけるようにつづった「幸せ」のデザイン。
  • 伝達の整理学
    4.2
    日本人は思考の伝達が苦手である。ことばの読み書き偏重、知識を自分の頭に詰め込むことばかりに熱心で、自分の考えをどう深め、どう伝えるかを考えていない。AIが人間を脅かしているいま、人間にとって大事なのは思考の整理と並んで、ことばの伝達とその整理学である。教育のあり方、知的生活のあり方などをめぐって今も精力的に発言を続ける知の巨人が満を持して放つ、待望の文庫書き下ろし。
  • 終わりなき日常を生きろ ──オウム完全克服マニュアル
    3.7
    「さまよえる良心」と「終わりなき日常」をキーワードに、今最も活発な発言を続ける著者が、オウムと現代社会を分析する。社会が成熟し、幻想が共有されなくなった時代、人はそれぞれの物語を生きるようになっている。その後の事件、状況分析を加えたあとがきを新たに付す。
  • オランダ絵図 ──カレル・チャペック旅行記コレクション
    3.5
    故郷をこよなく愛するとともに、世界の多様な風景・風俗を愛したチャペックは多くの旅行記を遺している。その優しくユーモラスな筆致は、深い悲しみと叡智を底に秘め、世界中に今もなおファンが多い。本書は1931年、世界ペンクラブ大会出席のためオランダを訪れたときの観察記。運河、自転車、犬、風車、橋、オランダ絵画……。独特の視点からその民族性を抽出し描く手つきは見事。イラスト多数。
  • 生きて死ぬ私
    3.8
    歓びも悲しみも、そして眼前に広がる世界のあり様も──人生のすべては物質である脳の中の現象にすぎない。ならば、脳とは私にとっての牢獄なのか。脳内現象である人間の心とは何か。この難問に挑むには、自身の脳がとらえた世界をより深く「感じる」ことから出発する以外にない。本書は、怜悧な科学的知性と熱情あふれる文学的感性とを駆使して新たな世界像を描く試みだ。著者の純粋な出発点に位置する記念碑的エッセイ。
  • 空気の教育
    3.7
    「教育のことを薫陶という。これはまさに空気による育成を意味する」、家庭には家風、学校には校風があることを考えてみよう。人間が生活しているところにはやがて、一定の空気、雰囲気が生じる。本当の教育は押し付けや口先だけの注意ではない、子どもを包む家庭や学校の空気こそ、最も深いところに作用する。お茶の水女子大学附属幼稚園の園長でもあった著者独自の教育論は目からウロコである。
  • こちらあみ子
    4.0
    あみ子は、少し風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれる兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。書き下ろし短編「チズさん」を収録。
  • 泥酔懺悔
    3.6
    お酒のせいなんです!! お酒の席は飲める人には楽しく、下戸には不可解……。女性作家によるエッセイ11連作。■無理 朝倉かすみ/下戸の悩み 中島たい子/初めての飲み会 瀧波ユカリ/十八の夜の話 平松洋子/ザル女という噂 室井滋/酒瓶にも警告ラベルを!? 中野翠/ひとりでお酒を飲む理由 山崎ナオコーラ/下戸一族 VS 飲酒派 三浦しをん/白に白に白 大道珠貴/損だけど 角田光代/好きでもきらいでもない 藤野可織
  • 貧乏人の逆襲!【増補版】 ――タダで生きる方法
    3.8
    大変だ大変だ! 「3人デモ」から、2万人規模の「原発やめろデモ!!!!!」まで呼びかける「素人の乱」のアジテーター・松本哉の代表作がついに文庫化。最終章と年譜を増補。「家賃をタダに」「俺のチャリを返せ」デモ等の独自のデモや、「こたつ闘争」「路上鍋」等大学内や路上でできる作戦も満載。第1章では、安い衣食住の方法を伝授。金がなくても自由勝手に生きられる。
  • 杏のふむふむ
    4.3
    ラブラドールのハリーと過ごした小学校時代、歴女の第一歩を踏み出した中学時代、単身海外にモデル修業に行った頃、そして、女優として活動を始めたとき……。NHK連続テレビ小説のヒロインを演じ国民的な女優となった杏が、それまでの人生を、人との出会いをテーマに振り返って描いたエッセイ集。そのとき感じたことを次につなげて明日に向かう姿は、感動必至。(解説:村上春樹)
  • 春画のからくり
    3.9
    春画では、女性の裸体だけが描かれることはなく、男女の絡みが描かれる。男性のための女性ヌードではなく、男女が共にそそられ、時に笑いながら楽しむものだったと考えられる。また、性交場面を際立たせるために、顔と性器以外は、衣装で隠された。「隠す・見せる」「覗き」等の視点から、江戸のエロティシズムの仕掛けが明らかになる。図版豊富。
  • 自分と向き合う「知」の方法
    3.7
    人は誰しも、自分にとって都合の悪いことから目をそむけたくなる。しかし、そうした姿勢で社会を、自分を、そして身近な人たちを見ていったなら、どうなるだろう? 見たくないことからも目をそらさず、どこまでも自分と世界を見続け、考え続けること――。そのようなスタンスで、学び、男と女、生と死、老い、宗教などを取り上げ、しなやかな文体で綴ってゆく著者初のエッセイ集。
  • パンツの面目ふんどしの沽券
    4.2
    十字架上のイエス・キリストの下着はパンツか、ふんどしか、腰巻か。幼少期に芽生えた疑問を手がかりに、長じて作家となった著者がパンツ・ふんどしをめぐる世界史的な謎の解明に挑む! 前人未到の試みとして連載中から話題騒然となり、没後、「最も米原さんらしい本」と評される、抱腹絶倒&禁断のエッセイ。
  • 笑う茶碗
    3.0
    耳を澄ませばウグイスが鳴いているし、草笛をねっしんに吹く人もいる。カラスがマヨネーズのふたを開けられないし、鈴虫がケンカの仲裁をする。たまには梅の花や蓮の花の香りを聞いて、蛍や流れ星を見た夜もある。そんな二人のなんでもない日常がしみじみ笑えて面白い。笑う探検隊・シンボー夫妻の、茶碗も笑うエッセイ集。
  • むかし卓袱台があったころ
    3.7
    かつての人気テレビドラマ「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」では、卓袱台がもうひとつの主人公だった。食事どきや、団欒に卓袱台を囲み、ワイワイ、ガヤガヤ話し合った。卓袱台は、家族の歴史を知り尽くしている。あのころ確かにあった、家族たちのお互いへの思いや、近隣の人たちとの連帯は、いったいどこへ行ってしまったのか。大切なものの行方を探し、遠い日の記憶の中に佇む。敬愛する山本夏彦氏に依頼されて連載した随筆からは、真摯で繊細で照れ性な作家の姿が垣間見える。
  • 笑ってケツカッチン
    4.5
    にせの連絡電話にだまされて雑巾長靴持参で登校し大笑いされた中学時代。“瞬間湯沸器”の父に対抗してのハダシの家出? テレビ局につとめてみればここはふしぎな世界、そもそもケツカッチンとは何ぞや。時間に追われながらも友あり旅ありおいしいものあり、たくみにゆとりを作っての、ちょっとうらやましい人生。
  • シリコンバレー精神――グーグルを生むビジネス風土
    3.8
    「シリコンバレーで今何が起ころうとしているのか、この目で見きわめたい。産業の大変革を身体で実感したい」。1994年10月、同地に移住した著者は、ネット革命とバブル崩壊の一部始終を目撃し、マイクロソフト帝国の変質と、リナックス、グーグルの誕生に注視する。技術と経営と投資家の幸福な結びつきと、その背後の「変化を面白がる楽天主義」を明快に、余すところなく伝えるスリリングな1冊。
  • 競馬の国のアリス
    3.0
    とある日曜日、源一郎さんがおもしろいところへ連れて行ってあげようと言い出した。「どこどこ?」「ケイバジョウ」ふむ、そいつはおもしろそう。(本文より) 明るいコース、すらりと美しい脚をした馬、ぴかぴか光る鮮やかなサテンの勝負服の騎手……。「競馬の国」へ一歩足を踏み入れたとたん、その魅力の虜となった。カシマウィングの成長に驚き、美しいホクトヘリオスに惚れ、オグリキャップの引退レースに涙する。馬券のあたりはずれにこだわらず、愛する馬を応援し、レースをまるごと楽しむ競馬エッセイ。
  • 兎とよばれた女
    4.1
    神さまは兎のすべてでした。とにかく神さまが好きだったから。兎は、どんなに苦しくても孤独でも美と純粋を求めつづけたのでした。兎を主人公とし、神と呼ばれる、見えない存在との精神性の高いやりとりと、絶対的な愛を描く。「不滅の少女」と呼ばれた矢川澄子の代表作であり、真骨頂!
  • 少年とオブジェ
    3.7
    電球のあの、いまにも割れそうな薄いガラスの中には何が入っているのだろう? もしかして、地球からずーっと離れた宇宙の空間が入っているのかも! 学校で、道路で、台所や机の上でおつきあいしたいろいろな物たち。物の中には何かが隠されているような気がする……そんな“赤瀬川少年”が謎を追う!
  • 齋藤孝の速読塾――これで頭がグングンよくなる!
    3.9
    速読の究極の目的は、理解力を高め、頭をよくすることだ! 二割読書法、キーワード探し、呼吸法から本の選び方、読む時間の作り方まで、著者実践の秘訣を大公開。「脳が活性化し、理解力が高まる!」夢の読書法。
  • 変態さん!
    -
    女斗見(みとみ)といわれる女相撲マニア、美女切腹(?)ファン、秘画秘本・ワイ本・ビニ本・大人のオモチャなどの各収集家、さらにはフンドシフェチ、犬なしでは生きられない男など、昭和を代表するスケベ人生を送った“変態”たちの姿を追う。性にまつわるコレクションに取り憑かれた彼らの集大成。
  • 一家の主
    4.5
    夫と妻のこと、出産のこと、引越しのこと、勤務のこと、小説を書くこと……。この世のもろもろを引き受けながら、小説を書きつづける。それはなかなか楽ではない。生活と創作、両方にわたる喜び、悲しみ、ときに怒りもこみ上げる日々を、たくまざるユーモアとペーソスで綴る。作家・吉村昭のイマイチ時代を描く自伝的長編小説。
  • ときどきイギリス暮らし
    -
    雑誌編集長として活躍する「私」が20歳代から魅せられたイギリス。仕事・離婚・子育てに悩んだ心を、ふるい立たせてくれたのもイギリスだった。しかし渡英30回をこえたころから「私」の中に変化が……。イギリス人と恋におちて経験した文化的ギャップ、予期せぬ人種的差別。そのはてに見つけ出したイギリスでのほんとうに豊かな暮らしとは? 感動の体験的エッセイ。
  • 通天閣
    3.7
    『さくら』で彗星のように華やかなデビューを飾った西加奈子の第4作にあたる長編小説。冬の大阪ミナミの町を舞台にして、若々しく勢いのある文体で、人情の機微がていねいに描かれていく。天性の物語作者ならではの語り口に、最初から最後までグイグイと引き込まれるように読み進み、クライマックスでは深い感動が訪れる。このしょーもない世の中に、救いようのない人生に、ささやかだけど暖かい灯をともす絶望と再生の物語。この作品で第24回織田作之助賞を受賞している。
  • 友だちは無駄である
    3.8
    友だちってなんだろう? 「友だちというものは無駄な時をともについやすものなのだ。何もしゃべることなぞなく、ただ石段にすわって、風に吹かれて何時間もボーっとしたことのある友だち。失恋した友だちにただふとんをかぶせる事以外何も出来なかった日。中身が泣いているふとんのそばで、わたしはかつおぶしをかいていた」。佐野洋子は友だちをこんなふうに思っている。
  • 星か獣になる季節
    3.8
    地下アイドル・愛野真実の応援だけを生き甲斐にするぼくは、ある日、彼女が殺人犯だというニュースを聞く。かわいいだけで努力しか取柄のない凡庸なアイドルである真実ちゃんが殺人犯なんて冤罪に決まっていると、やはり真実ちゃんのファンだという同じクラスのイケメン・森下とともに真相を追い始めるが──。歪んだピュアネスが傷だらけで疾走するポップでダークな青春小説!
  • ライフワークの思想
    3.8
    ライフワークの花を咲かせることはあらゆる人に可能である。この花は晩年になって始めて結実する。そのためには自由時間の使い方を考えなくてはならない。自分の生きがいとなり、人生の豊かさにつながる、能力の備蓄をすることが必要だ。バッテリーは使い切るまえに絶えず充電しなくてはならない。輝かしい、円熟したフィナーレを迎えられるよう、一日一日の生き方を考えてみよう。
  • アレグリアとは仕事はできない
    4.0
    「おまえなあ、いいかげんにしろよ!」と叫びたくなるほどの性悪女、アレグリア。男に媚ばかり売って、すぐ疲れたと言っては休み、ふて腐れて動かなくなる。ミノベの怒りはとどまるところを知らないのだが、まわりの反応はいまひとつ。コピー機に文句を言ってもねえ、と先輩は言うが……。表題作に、地下鉄で繰り広げられる心理戦を描く「地下鉄の叙事詩」を併録。
  • 癒しのチャペル
    3.2
    勝ち組負け組がはっきりした生きにくい世の中で、癒しを求めていろいろな場所やものを訪ねた「第1章癒しの礼拝堂」。勝ち組トップ、だれもが羨むセレブとはいったいどういう人たちなのかを観察した「第2章こんにちはセレブ」。どんなときでも逞しく! 「第3章ポジティブシンキングコミック アミー」。3章立てで世の中と自分を笑い飛ばす、もしくは、ブラックにこっそり笑う辛酸なめ子の真骨頂。
  • ニガヨモギ
    3.8
    人として、女としての「業」を表現する新感覚アーティストのデビュー作。紙一重の鋭さで、あなたのココロの隙間を埋めましょう。’94GOMES賞を受賞したザッツ先見ゼミ、人類の霊的救済に尽力するGIVO&AIKO、さらにフランスの魔性を学ぶファムファタルレッスン…。めくるめく妄想ワールドに、虚をつかれてハッ!とすることうけ合い。
  • 星間商事株式会社社史編纂室
    3.8
    川田幸代29歳は社史編纂室勤務。姿が見えない幽霊部長、遅刻常習犯の本間課長、ダイナマイトボディの後輩みっこちゃん、「ヤリチン先輩」矢田がそのメンバー。ゆるゆるの職場でそれなりに働き、幸代は仲間と趣味(同人誌製作・販売)に没頭するはずだった。しかし、彼らは社の秘密に気づいてしまった。仕事が風雲急を告げる一方、友情も恋愛も五里霧中に。決断の時が迫る。
  • 心の底をのぞいたら
    3.7
    自分で自分がわからない、つかまえどころのない自分の心。知りたくてたまらない他人の心。動物の心と人間の心はどうちがう? 身近で遠い、なぞにみちた心の中をわかりやすく案内し、無意識の世界へ誘う。若い人のための心の名著。
  • 僕の明日を照らして
    4.1
    中学2年生の隼太は、この春に名字が変わった。シングルマザーだった母が、町で人気の歯医者と結婚したのだ。すごく嬉しかった。なのに…。優ちゃんはときどきキレて隼太を殴る。母さんは気づかない。隼太が、優ちゃんの抗議をものともせず全力で隠しているからだ。この孤独な闘いから隼太が得たものはなにか。友だち、淡い初恋、そしてこの家族に、選択の時が迫る。
  • とりつくしま
    4.0
    死んだあなたに「とりつくしま係」が問いかける。この世に未練はありませんか。あるなら、なにかモノになって戻ることができますよ、と。そうして母は息子のロージンバッグに、娘は母の補聴器に、夫は妻の日記になった……。すでに失われた人生がフラッシュバックのように現れる珠玉の短篇小説集。
  • いのちと放射能
    4.1
    私たちは原子力に頼っていて本当によいのか。なぜ放射性物質による汚染は恐ろしいのか。放射能によって癌や突然変異が引き起こされる仕組み、大人より子どもに影響が大きい理由を、生命科学者がわかりやすく解説します。それでも核燃料サイクルへの道を突き進む行政のありかたと、命を受け継ぐ私たちの自覚を問う。
  • 鉄を削る 町工場の技術
    4.3
    日本の最先端技術を基礎からささえる町工場。その町工場で旋盤工として50年間、働きつづけてきた著者が、知恵に裏づけされた職人技と、粋な職人魂をいきいきと描き出す。世界にも通じる日本の町工場の技術とそこに暮らす人びとの姿から不況を生き抜く術が見つかるか。
  • 異本論
    4.0
    読者は著者の意図など考えずに自由な読み方をしていいのである。理解されることで表現は変化し、そこに異本が生じる。口承文芸など長い伝承期間を経た物語や歌謡が、具体性・簡潔性を具え古典になるのはそのためである。翻訳、コピー、原形と典型など、異本化作用から、広く表現文化について考えた画期的な本。
  • ギリシア神話
    3.8
    恋多きゼウスと、嫉妬に狂う妻ヘラ、その子ヘーパイトスと美の女神アプロディテ、恋の矢をもつエロス……。オリュンポスの神々はいかに戦い、いかに恋したか。「遠いむかしに語られ書かれたように、わたしのギリシア神話を書きはじめよう」と著者は言う。しなやかな哲学者による、ギリシア神話入門の決定板。
  • 意味の変容
    5.0
    1巻550円 (税込)
    光学工場、ダム工事現場、印刷所、およそ「哲学」とは程遠い場所で積み重ねられた人生経験。本書は、著者がその経験の中から紡ぎ出した論理を軸に展開した、特異な小説的作品である。幽冥の論理やリアリズム1.25倍論など独自の世界観・文学観から宗教論・数学論まで、著者の創作活動のエッセンスが凝縮された奇跡的な作品。
  • 甘い蜜の部屋(上)
    -
    1~2巻550円 (税込)
    裕福な家庭の一人娘として父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った美少女モイラ。生来の類稀な美貌と不可思議な香気を放つ皮膚、無意識な媚態は、周囲の男たちを翻弄し、次々と破滅させていく。一方で彼女は心の中では終始、父親との甘く濃密な愛の部屋に棲んでいた……。十年の歳月を費やして完成された傑作長編。泉鏡花文学賞受賞作品。
  • 段取り力――「うまくいく人」はここがちがう
    3.6
    できないのは、その人の能力のせいではない。「物事がうまくいかないのは、段取りが悪いからだ」と考えることで、対処法が違ってくる。自分にあった段取りのスタイルを見つけて、すべての活動に当てはめていけば、仕事も家事もいきなりうまくいく。自分の中にある「段取り力」を育てることで、社会を生き抜く力を身につけよう。
  • 遠い朝の本たち
    4.0
    人生が深いよろこびと数々の翳りに満ちたものだということを、まだ知らなかった遠い朝、「私」を魅了した数々の本たち。それは私の肉体の一部となり、精神の羅針盤となった――。一人の少女が大人になっていく過程で出会い、愛しんだ文学作品の数々を、記憶の中のひとをめぐるエピソードや、失われた日本の風景を織り交ぜて描く。病床の著者が最期まで推敲を加えた一冊。
  • 貧乏サヴァラン
    4.0
    家事がまるきりダメな茉莉のたった一つの例外が料理。父森鴎外が留学先で覚えたドイツの下宿屋料理と生まれ育った東京の家庭料理を出自に、ブリア・サヴァランばりに食べ続ける。オムレット、ボルドオ風茸料理、白魚、独活、柱の清汁……。得意料理をとくとくと語る食いしん坊エッセイにして、精神の貴族の貴重さを述べ贅沢を愛する心を説いてやまぬ芸術談義という自在さ。江戸っ子らしい口とパリジェンヌの舌に奏でられ、どのページからも芳醇な香りがたちのぼるマリア流『美味礼賛』。
  • 神も仏もありませぬ
    4.1
    呆けてしまった母の姿に、分からないからこその呆然とした実存そのものの不安と恐怖を感じ、癌になった愛猫フネの、生き物の宿命である死をそのまま受け入れている目にひるみ、その静寂さの前に恥じる。生きるって何だろう。北軽井沢の春に、腹の底から踊り狂うように嬉しくなり、土に暮らす友と語りあう。いつ死んでもいい、でも今日でなくていい。
  • コメント力――「できる人」はここがちがう
    3.5
    職場でもプライベートでも、毎日のようにコメントをすることが求められている。そんな時、切れ味がよく、自分のオリジナリティのある一言を言えるかどうかで、「おもしろい人」「できる人」だ、という評価が決まってしまうのである。この本では、優れたコメントの例を挙げ、どこがどう優れているのかを、クイズ形式で納得していくことができる。そうすることで、そのコツをつかみ、「コメント力」を意識化して磨いていくことができるのである。文庫版のための長いエピローグを付す。
  • これでもかーちゃんやってます
    5.0
    頑張らなくてもだいじょうぶ! ちょっとくらい家が散らかってても、キーってつい怒っちゃっても、晩ごはんが少々手抜きになっても、いいんじゃない? 上大岡トメが綴る頑張り過ぎない子育てのススメ。完璧な母を目指すより、等身大で子育てしよう。
  • 家内安全
    5.0
    誰かを好きになって、恋をして、一緒に暮らす。そこには、たくさん喜びや悲しみ、想いの襞が重なりあっている。夫と娘と初詣に行く日常を得るまでの、恋愛と仕事に戦う日々を描く表題作「家内安全」のほか、「ゆっくり進む船が行く」「鉄紺」「ぬるぬる」、平間至の写真から生まれた「ショートストーリーズ」など、いずれも、恋をする心と体を、まっすぐに見つめた小説集。
  • 冠・婚・葬・祭
    3.9
    成人式、結婚、葬式、お盆。人生の節目に訪れた4つの物語。新人記者が成人式の取材に行く「冠」、引退したお見合いおばさんの縁結びの顛末を描く「婚」、社命で参列のお供をしたおばあちゃんの人生がほの見える「葬」、姉妹が両親を失った田舎の家に集まる「祭」。さまざまな人生や人間模様が、鮮やかに描かれる連作小説。
  • 君は永遠にそいつらより若い
    4.0
    身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい――。就職が決まった大学四年生のだるい日常。その底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望……? 芥川賞受賞作家の鮮烈なデビュー作。
  • 童話集 銀のくじゃく
    4.5
    みどり色のくじゃくを織ってほしいと注文を受けたハタおりの若者は、銀のくじゃくを織りたくなって……。表題作「銀のくじゃく」ほか「あざみ野」「熊の火」など、美しいもの、かなわぬものにあこがれてうつろう人の心を、香り高い幻想にしたてた、七つのメルヘン。書き下ろし作品「火影の夢」「青い糸」所収。
  • 緊縛
    3.0
    「わたしを縛って……」心も体も強く縛られることを欲しながらも、二人の男とのアイマイな情事を淡々とくり返す美緒、三十二歳。その日常の果てに彼女の心が向かう先は……。第十八回太宰治賞受賞作。短篇の秀作「見ていてあげる」を併せて収録。
  • ねぼけ人生
    4.1
    陽気な落第生だった少年時代、ラバウルで死の淵をさまよい片腕を失った戦争の時代、赤貧の中で紙芝居や貸本マンガを描き続けた戦後、そして突然訪れた「鬼太郎」と妖怪ブームの中で締め切りに追われる日々。のんのんばあが、南国の土人たちが、奇妙な「水木荘」の住人やユニークなマンガ家仲間が彩る波乱万丈の人生を、楽天的に生きぬいてきた日本土人・水木しげるの面白く、ちょっぴり哀しい半生の記録。
  • あなたの話はなぜ「通じない」のか
    4.4
    周りの人に等身大の自分を分かってもらいたい、相手と信頼関係を築きたい、前提の通じない相手ともきちんと話し合いたい、聞き上手になりたい、人を説得したい、相手の共感を得たい―。なかなか自分の「想い」を人に伝えるのは難しいもの。コミュニケーション上手になるためにはどうすればいいのか?基礎のキソから懇切丁寧に教えます。究極のコミュニケーション技術論。
  • ジョークのたのしみ
    -
    「ウエイター、この皿はぬれたままだぞ」「それがスープでございます」――ジョークはたのしく、そしてむつかしい。たくさんのジョークを知り、そのTPOを知れば人生はきっと豊かなものになる。この本はアルファベット順にさまざまな形のジョークを数多く集めた、読んで楽しいジョークの百科である。
  • 東京の戦争
    4.4
    物干台で凧を揚げていて、東京初空襲の米軍機に遭遇した話。戦中にも通っていた寄席や映画館や劇場。一人旅をする中学生の便宜をはかってくれる駅長の優しさ。墓地で束の間、情を交わす男女のせつなさ。少年の目に映った戦時下東京の庶民生活をいきいきと綴る。抑制の効いた文章の行間から、その時代を生きた人びとの息づかいが、ヒシヒシと伝わってくる。六十年の時を超えて鮮やかに蘇る、戦中戦後の熱い記憶。
  • 質問力――話し上手はここがちがう
    3.9
    話し上手な人というのは、ネタのおもしろさや話し方のうまさもあるが、質問がうまくて相手からおもしろい話が引き出せる、という面を必ずもっている。逆に質問がうまければ、自分に実力がなくても優れた人から情報が引き出せる。話す内容をおもしろくするのは難しいが、質問は鍛えれば誰でもうまくなる、すなわち技化できるものなのだ。谷川俊太郎、河合隼雄、村上龍、黒柳徹子、ダニエル・キイスなどの対話名人から学ぶ技。
  • オクターヴ
    3.6
    「シは有限の極み。上のドは神の世界。知覚できないものの世界をガムランが開く」。失踪した友人から届いた3枚の絵葉書が、〈私〉をバリの深奥へと導く。宗教と音楽とむせかえるような自然。不思議な青年オダ。「ニュピ」にはミツコに会えるかもしれないという謎の言葉の意味は……? 『7 days in BALI』として発表された傑作長編を大幅改稿。
  • 図書館の神様
    3.7
    「これって青春?」「どうやらそのようですね」ーー。思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問に! 清く正しくまっすぐな青春を送ってきた“私”には、思いがけないことばかり。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。ほか短篇「雲行き」を収録。
  • 黒森物語
    4.0
    森に消えた母の姿を求める“母なしむすこ”りゅうと、不思議な霊力をおびた“銅のくし”を懐にした“口なし娘”たみは、闇の一族、菜の花一族、夢の衆たちが住み、悪と死のつかい“放れ熊”の支配する黒森へ旅立っていく。闇の世界、山の住人、森の精霊たちが、その生滅をかけて戦い、語りかける壮大なファンタジー。
  • 童話集 白いおうむの森
    -
    死んだ人の住む地底の暗い森。生きている人から死んだ人への思いを運んでゆく白いおうむ。少女は偶然その森に入りこんだのだが……。表題作「白いおうむの森」ほか「雪窓」「鶴の家」「長い灰色のスカート」など、人と人との出会い、そして別れ。その喜びと悲しみを美しい筆致で描いた童話七篇を収録。
  • モモヨ、まだ九十歳
    3.8
    パンダが見たい。新幹線で一人上京してきたモモヨ九十歳。カルバン・クラインのショー・ウィンドウに見とれるわ、ディズニーランドを駆け回るわ、靖国神社には目もくれず東京ドームにまっしぐら。あふれ出る好奇心、面白がり力全開のスーパー・グランドマザーはいかにして出現したのか。七人の子供を育てることが人生だった。時代にはまだすがすがしい折り目正しさがあふれていた。その自由人ぶりを見て「あんないじわるバアさんに自分もなりたい」と願う孫が綴る涙と笑いの女一代記。
  • 熊撃ち
    4.0
    飢えに追いつめられて、つぎつぎと人を襲う熊。その熊をじっとねらう、村田銃をもった熊撃ちの名人。北海道千歳市では老婆や村娘が餌食となり、人々を震え上がらせていた。厳しい大自然を背景に、人間と熊が繰り広げる生きていくための闘い。大自然の中で生きる人々の緊迫感と、自らを厳しく律しながら深い山へと分け入って行く誇り高い猟師たちの個性あふれる姿、そして野性の猛獣と原生林の迫力を、乾いた筆致で生き生きと追う。実際におきた七つの事件と実在する八人の熊撃ちを題材に、孤独で忍耐強い彼らの生きざまを描く連作短編集。
  • 肉体の門――田村泰次郎傑作選
    4.0
    敗戦直後の廃墟の東京で、獣になって身を売る若い女たちの集団。その中に突然現われた一人の男をめぐって起こるドラマを描いた表題作「肉体の門」。死と隣り合わせた欲望のひしめく中で人間のつながりを求める男女の姿を描いた「肉体の悪魔」「春婦伝」「蝗」。さらに彼の主張を集約したエッセイを収め、田村文学のエッセンスを贈る。
  • 老人は荒野をめざす
    5/31入荷
    -
    「不良定年」を標榜してから幾星霜。西行、芭蕉、きだみのる…「荒野をめざしたひとびと」を想いながら、今も歩み続ける日々。すぐ隣にある死を意識しつつ、亡くなった友を悼み、いっそ「死ぬ気」で生き切ってみようと自身も読者も励ます。終刊した「週刊朝日」で26年間続いた人気連載「コンセント抜いたか」最後の3年間より精選した老年エッセイの粋。文庫オリジナル。

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  • ニッポンの思想 増補新版
    5/31入荷
    -
    80年代の浅田彰・中沢新一・柄谷行人・蓮實重彦がもたらした知の衝撃、90年代における福田和也・大塚英志・宮台真司の存在感、ゼロ年代を牽引した東浩紀、テン年代と切り結ぶ國分功一郎と千葉雅也―。およそ半世紀にわたるこの国の思想と批評の奔流を一望したベストセラーに、二つの新章を加え更新して文庫化。

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