山田昌弘の一覧
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ユーザーレビュー
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毎週観てる「マル激 トークオンデマンド」に著者の山田昌弘さんが出演し、この本が紹介されたので興味持って手に取った。
山田さんは「パラサイト・シングル」や「婚活」などの言葉を生み出した社会学者。本のタイトルの通り、日本の少子化対策の失敗を論じている。
読んだ感想として、「なんだ、もう答え出てるじゃ
...続きを読むん」ということ。
本当にすべてその通りで、データを使ってしっかり論を補強しているので、納得するしかない。
特に秀逸なのが以下2つの考察
・欧米固有の以下4つの価値観を少子化対策の前提にしてしまったことが失敗の要因
①個は成人したら親から独立して生活するという慣習(若者の親からの自立志向)
②仕事は女性の自己実現であるという意識(仕事=自己実現意識)
③恋愛感情を重視する意識(恋愛至上主義)
④子育ては成人したら完了という意識
・日本固有の前提(価値観)
①将来の生活設計に関するリスク回避の意識
②日本人の強い「世間体」意識
③強い子育てプレッシャー(子供への強い愛着)
この欧米固有の価値観と日本の価値観は相反するので、当然欧米固有の価値観に立脚した対策が有効なわけがない。
この日本人の価値観の①は、要するに「甘ったれている(=精神的に子供のまま)」ことが原因だと思う。すでに経済的に没落し始めているのに、自分たちは「中流以上」だと思い込む。日本の没落を証明するデータは山ほどあるのに、それをまともに見ようとしない。子供が都合の悪い、嫌な物を見ない心理と同じ。しかし、これは価値観だけに容易に変えられない。
本の最後で、親の生活水準と若者が将来中流以上の生活を送る見通しのパターンを以下4つにまとめ、少子化対策はこのタイプ②に対して行う必要があると結論付けている。
タイプ① 親:中流以上 子:見通しあり
タイプ② 親:中流以上 子:見通しなし
タイプ③ 親:苦しい 子:見通しあり
タイプ④ 親:苦しい 子:見通しなし
その通りだと思うが、そのための以下2つの方策はどちらも実現性に乏しい。
①結婚して子供を2、3人育てても、親並みの生活水準を維持できるという期待を持たせるようにする
②親並みの生活水準に達することを諦めてもらい、結婚、子育てをする方を優先するようにする
①は不可能。すべての経済指標が示している。日本は今後経済的に落ちていくしかない。つまり、貧しくなる。そんな中で①を実現できるはずがない。
つまり、②しか選択肢がないわけだが、甘ったれた日本人は中流以上に落ちているという現実をいつまで経っても認めないのだろう。
岸田が言ってる「異次元」の少子化対策も、具体案が出てないので論じるに値しないが、この本で述べている従来通りの「欧米固有の価値観」に沿った対策しか出てこないだろう。となると、最後に書かれた「望ましくないシナリオ」に向かって進むしかない。タイプ①とタイプ④の2つに分断される=アメリカ化である。私は、今の自民党にまともな政策を考える能力があるとは思っていないので、間違いなくその方向に進むと確信している。
最後に、この少子化問題は若者の問題のように語られるが、私は違うと断言したい。この問題は、60〜70歳以上の団塊世代の「老人」や、現役で働いている「団塊ジュニア」世代(私もここに入る)の問題だ。前述の通り「意識」の問題で、その意識を強固に持って手放さない、甘ったれている主体は、若者以外の世代の人間だ。そもそも、日本を経済的に没落させたのがこの世代だ。今の若者はその煽り(影響)を受けているに過ぎない。
日本の人口構成は逆ピラミッドなので、老人ほど人数が多い。よって、政治的な影響力が強い。この甘ったれた世代の意見(意識)が政治に反映されることになる。大半の政治家もその世代だ。しかも、日本は既得権益(≒価値観)を容易に手放さない(手放せない)社会だ。コロナ対策でもそれが証明された。こんな状況で、数年以内に有効な少子化対策など打てるわけがない。
私は、こういう本を読んで、事実を知って、しっかり「絶望」することが大事だと思っている。「今のまま」だと希望はない、と自覚する。そうすれば、変化しようという意識が生まれる。自分たちの「甘え」を自覚して危機感を持つ。そこからスタートするしかない。
正直言って、日本人にそれが出来るとも思っていないが、出来なければ、2流国/3流国に落ちぶれる未来が待っているだけ。むしろ、そこまで落ち切った方が早いのかもしれない・・。
Posted by ブクログ
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こちらを読んで女性はもっと経済的に自立をしなければならないと感じました。
シングルマザーへの支援も同時に必要です。
昔の古い結婚観はどんどん新しいものになりつつあります。
昔の結婚観がおかしいと気づいた人たちは、自由で新しい結婚を始めています。
おかしいと思ったら古い価値観にNOを突きつけ
...続きを読むなければなりません。
女性を取り巻く環境が、北欧みたいになったら、夫婦関係はもっと素晴らしいものになることでしょう。
Posted by ブクログ
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答えは、成功例のある欧州をただ真似ただけで
あるので、文化も習慣も異なる日本では全く、
馴染まなかったからです。
少子化=婚姻数の減少です。そして結婚する人
が減っているのは男女のお付き合い数が減って
いるからです。
しかし出会いが少ないわけでは無いです。婚活
という言葉があるように、紹介サイト
...続きを読むなどは活
況だそうです。
しかし結婚までには至らないのも事実です。な
ぜでしょうか。
スバリ条件が合わないからと著者は言います。
特に女性が男性に求める収入面が大きいそう
です。
そうだろうなあ。
もちろんそれだけが理由ではないですが、恐
ろしいことに女性は「お付き合い」の段階で
収入が低い人と結婚すると、家庭生活が厳し
くなり、果ては老後の侘しさまでの未来図を
「見て」しまうとか。
「先の読めない時代」なんて事あるごとに皆
口にしますが、コト結婚に関しては「読める」
らしいです。
いや、嫌味で言っていないですよ。
やはり大卒までの教育費を無償化にしない限
り出生率は改善しないと思います。
あ、それでも老後は改善しないかな。だから
こそ子育てが終わった熟年離婚が今増えてい
るのかもしれないです。
冗談抜きで、皆が当事者意識を持って考える
必要を訴えかけている一冊です。
Posted by ブクログ
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リスク化と二極化の話。1990年までが安心社会だったが、以降自由主義的な「自己選択、自己責任」の概念が浸透。自己責任の時代は当然、リスクを伴う。いわれてみれば、ではあるが、自分が選択するだけではなく、他者からも選択されるという「おそろしさ」を改めて感じる。
1998年問題、という変曲点は、極めて興
...続きを読む味深い。
ーフリーター、引きこもりの出現
ー離婚、晩婚化
ー合理的な目的のない犯罪
ーアディクション
などで二極化が進むが、その最たるものは、希望における二極化。題名にもある「希望格差」は、夫婦の強者連合、親子の強者連合により加速した。
肝心な解決策ソリューションをどう導くかとなると様々なアイデアが挙げられているが、決定版はまだない、という印象。「公的な個人の活動支援」というものが成り立ちうるものなのか。
Posted by ブクログ
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すごく勉強になるから2周してしまった。
社会学の観点で歴史も踏まえて、現代の結婚事情を分析する本。
Posted by ブクログ
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