山田昌弘のレビュー一覧
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格差が生まれるメカニズムとゲーム・アニメ等オタク趣味の立ち位置を知りたかったところ、まさにどんぴしゃの内容が書かれておりホームラン本であった。
経済が衰退した日本では格差が固定化し、個人が一定以上の努力してもその格差を覆すことができない上に世代を超えて格差は持続する。昭和的な幸福な人生像を描くことは困難である。
現在において格差を埋め合わせるのがバーチャル世界である。
パチンコ、ゲーム、ネットにより努力が報われる体験を得つつ、同じ趣味の仲間から肯定的評価を得る。
本書では格差が広がる中で日本人の幸福感が右肩上がりに増加しているのはバーチャル世界で格差を埋めているからだと主張している。
と -
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めっっちゃ面白かった!
私は自己実現のために仕事は絶対に辞めたくないけど、東京の人間だからかもしれない。なんならアメリカ育ちだし。日本全体がそうじゃないよね。
仕事、恋愛、結婚、子供に対する考え方、概ね納得できて、確かにただ欧米と同じような対策をとっているだけじゃ解決にならない!って思った。
でもこういう考え方って私が結婚適齢期の年齢だから納得できるだけで、そうじゃない年齢の人だとピンとこないのかな。
自分も生まれ育った家庭環境より豊かになれる気がしない。共働きでも。
日本って格差がない(ように思える)から、インスタに出てくるキラキラ系も私も頑張ったらああなれるのに…って考える人多そう。 -
Posted by ブクログ
団塊世代が持っている保守的な日本的な結婚観が、結婚適齢期の若い世代でも持続しているとの指摘.その通りだと思った.結婚に経済的安定性を求めている女性の心理、これも良く分かる.50歳で未婚の人たちの割合を生涯未婚率というそうだが、1950年で男性1.5%、女性1.4%が、2035年にはそれぞれ29.0、19.2になると予想されているそうだ.最終章の提言は重要な指摘だ.相手を「機能」ではなく、存在そのものを「目的」として欲し、お互いの心を満たすための努力や信頼がそこにあるか.相手の人生に、自分の人生をフルコミットする意志があるかどうか.それこそが、「結婚」が良好であるか否かの証ではないでしょうか.
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結婚の問題が政治の問題と親世代の価値観が絡み合った問題であることを示した本。
《あくまで「我が子の幸せのために」の想いが成人したのちも子の独立を阻み、共依存を生んでしまっている日本だからこそ、大量の「パラサイト・シングル」を生み、その数十年後、さらに大量の「生涯未婚者」を生んでいる現実に、そろそろ私たちは気づくべきなのではないでしょうか。》(第三章 「未婚」は恥ですか?最後より)
という価値観の問題と、若者の不安定な労働環境という政治(とそれらを生み出したほっとけば結婚して子供を持つだろうという意思決定者の安易な思い込み)の複合的な問題が指摘されている。
この結果、結婚することがリスクや損とい -
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婚活を 就職活動(就活)になぞらえて分析、解説した本。とても分かりやすく、アラサーの自分には当事者意識をまざまざと意識させられる内容だった。
P19 社会的経済状況が変化しているにも関わらず、意識そのものは昔とそれほど変わっていない。
男→自分は仕事だけして、子育て家事などの生活面は妻に任せたい。
女→経済的に依存したい、依存できるほどの力のある人と結婚したい。
P35 男女対等を目指す夫婦ほど、葛藤が増える。
対等でなくても夫婦が上手くいくコツは、男性が女性の「話をよく聞く、ほめる、買い物時に荷物を持つ」など、ごく些細な日常的なこと。
P39 婚活に参加しても受け身な男性たち。
その理 -
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日本で女性は仕事で自己実現をできないので、両立支援では不十分。仕事で成果を上げるよりも、子どもを良い学校に通わせることの方で女性は評価されている。
子どもは生産財から消費財に変わった。
子どもを育てること自体に意義があるという使用価値を重視する訪米。
子どもの持つ価値が自分の価値になるという市場価値の日本。
欧米の子育ては
1.成人したら未婚者は一人暮らしとなる
2.仕事での自己実現を目指す女性が多い
3.カップルを求める感情が強く、恋愛感情があれば一緒に暮らそうとする(日本はお金重視)
4.子どもを持つことの価値は子育てを楽しむことにあり、成人すれば子育ては終了
(日本は結婚まで実家暮ら -
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「パラサイト・シングル」の中には私ももちろん含まれるし、「親に寄生してるのをいいことにリッチな生活を送る独身者」という表現を何度も読むことになった。
19年ほど前の本だけど、私の行動原理についてはほぼ予言されていた。
つまり未来に希望を見出せない人間は未来と向き合う苦しみから逃れようとし、逃避する行動に出る。
酒やセックス、(それならまだいい。ドラッグにハマるとヤバいと書いてあった)そして追っかけなど。
まるで私…まさしく私だ。
推しを追っかけて、日々酒を飲んで逃避している…そうしてないととても耐えられない…耐えたことがほぼないからわからないけど、耐えたくない!
自殺者の増加につい -
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ネタバレ毎週観てる「マル激 トークオンデマンド」に著者の山田昌弘さんが出演し、この本が紹介されたので興味持って手に取った。
山田さんは「パラサイト・シングル」や「婚活」などの言葉を生み出した社会学者。本のタイトルの通り、日本の少子化対策の失敗を論じている。
読んだ感想として、「なんだ、もう答え出てるじゃん」ということ。
本当にすべてその通りで、データを使ってしっかり論を補強しているので、納得するしかない。
特に秀逸なのが以下2つの考察
・欧米固有の以下4つの価値観を少子化対策の前提にしてしまったことが失敗の要因
①個は成人したら親から独立して生活するという慣習(若者の親からの自立志向)
② -
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答えは、成功例のある欧州をただ真似ただけで
あるので、文化も習慣も異なる日本では全く、
馴染まなかったからです。
少子化=婚姻数の減少です。そして結婚する人
が減っているのは男女のお付き合い数が減って
いるからです。
しかし出会いが少ないわけでは無いです。婚活
という言葉があるように、紹介サイトなどは活
況だそうです。
しかし結婚までには至らないのも事実です。な
ぜでしょうか。
スバリ条件が合わないからと著者は言います。
特に女性が男性に求める収入面が大きいそう
です。
そうだろうなあ。
もちろんそれだけが理由ではないですが、恐
ろしいことに女性は「お付き合い」の段階で
収入が低い -
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リスク化と二極化の話。1990年までが安心社会だったが、以降自由主義的な「自己選択、自己責任」の概念が浸透。自己責任の時代は当然、リスクを伴う。いわれてみれば、ではあるが、自分が選択するだけではなく、他者からも選択されるという「おそろしさ」を改めて感じる。
1998年問題、という変曲点は、極めて興味深い。
ーフリーター、引きこもりの出現
ー離婚、晩婚化
ー合理的な目的のない犯罪
ーアディクション
などで二極化が進むが、その最たるものは、希望における二極化。題名にもある「希望格差」は、夫婦の強者連合、親子の強者連合により加速した。
肝心な解決策ソリューションをどう導くかとなると様々な -
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僕も割と「人生相談」の欄を読むのが好きなので、この本は楽しめましたね! 昔と比べてだんだんと相談内容が変わってきている…と著者は指摘しておりますね。いつまでも自立しない息子、結婚しない娘……等々…独身が増加している現代の日本の姿が見えてくるような気がします。
自分らの頃は結婚するのが当たり前だったのに…とぼやいても仕方がありません! けれども、高齢の娘or息子だって決して一生独りのままでいいとは思ってはいないと思うんですよねぇ…どうなんでしょ?
昔と比べて結婚のお節介焼きみたいな人が居なくなったのがキツイですよね。恋愛に不得手な人にとっては現代はさぞかし結婚しにくい世の中と言えましょう…さ -
Posted by ブクログ
「モテる」とは何を元に成り立っているのかを書いた本
タイトルから考えたイメージよりも面白い、性別にアイデンティティを掘り下げていて良い
人は何によって自分の価値を感じ取るか、それが男女によってどう違うかが書かれている。
男男:力の上下関係、男女:美による序列、女男:気は優しくて力持ち、女女:謎
性転換手術を受けた元男性はより女性らしくなる。
男性は女性的に振る舞うと男性であるという確信がゆらぎやすい
女性らしい男性は社会的に認められにくい
市場労働:社会から評価され競争にさらされる=従事している人が男性的とみなされる。家事労働:家族に評価され競争がない=女性的
男性であると確信するために、 -
購入済み
社会の現状と対策を示した良書
自分の現状を的確に客観視するのは難しい。
本書は、結婚できない若者を、なぜというベクトルではなくどうしてこうなって今後どうなっていくのか?
今後改善するには欧米に真似するのではなく、どうすれば良いのかという事を示した良き本でした。
出来れば、これを生業とする人々が、意識を持って読んでほしいと思う。