山田昌弘のレビュー一覧
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「昔は良かった。今の若い者は…」という世代に読んでほしい本。
確かに、昔と違って人生のあらゆる場面(仕事、結婚)において、不確実なことが増えた。
でもそれは、選択肢が増えたこと、自由の裏返しでもある。
昔は、受験勉強を頑張って、高学歴になれば、自動的に豊かな未来を手に入れることができた。
今は、努力しても報われない、気がついたら人生のパイプラインから漏れてしまう、一度漏れたら二度と這い上がってこられない仕組みになってしまっている。
”日本社会が、将来に希望が持てる人と、将来に絶望している人に分裂していくプロセス”をデータを使って説明している本。
昨秋からの不景気で、この本( -
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アメリカの社会心理学者 努力が報われたと思えば希望が生じ、努力しても無駄だと思えば絶望が生じる
ジグムンド バウマン 消費と身体によってアイデンティティを保つメカニズムが主流となる
能力がある人は、その能力を最大限に発揮できる地域に行こうとする。いくら地元のためにつくそうと思っても、能力を生かす場がなければ、無駄になる。先端産業がある一部の地域や、新しいサービス業が盛んな大都市部に人材があつまり、生産力が高まり、専門的サービスを提供できる地域が形成される。
人は自分の見たいものしか見ない ユリウスカエサル
親と会話する子供のほうが成績が良い
世界で通用する才能のある人は、国境を越えて自分の才能 -
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山田昌弘先生は、読売新聞の「人生案内」で回答を担当されているので信頼感を持って手に取りました。
なぜ日本の少子化対策がうまくいかなかったのか。
非常にわかりやすくて、ただその見通しの暗さになんとも暗澹たる気分になりましたね……。
個人的に目からウロコだったのは、根本的に欧米と日本で価値観が異なるということ。
これは本文で述べられたことではないのですが、そもそも西洋社会とは、2000年の歴史の中でキリスト教という「神と個人」の契約関係のもとに成り立ってきたものなわけで。
そして現在に至るまで啓蒙思想や革命を乗り越えて「確立した個」を作り上げてきたわけです。
一方日本には文明開化でその思想がもた -
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ネタバレ・平成時代の4つの負のトレンドー経済停滞、男女共同参画停滞、少子高齢化の進行、格差社会の進行、一方で、生活満足度の上昇
・工業時代に適応した、日本型雇用システムと生物役割分業型家族とそれにより形成された価値観とそれを支える制度が昭和の経済成長と格差の縮小を齎した。
・結果グローバル化・脱工業化に適応できなかった。とりわけグローバル化にさらされないL企業。
・戦後の昭和期ー一億総中流、平成期ー希望格差社会の発生、令和期ー格差の固定化
・バーチャル(パチンコ、推し活、ネットゲーム、キャバクラ、ペット等)で格差を埋める時代。かつては現世が負でも宗教(マルクス主義の革命を含む。)が来世を肯定したが、宗 -
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ネタバレ2023年に発刊、今どきの若者というイメージと実際のデータで見た事実を照らし合わせて分析している。
16章からなり、それぞれの専門家が書いている。
興味深かった章を抜粋
○Z世代はなぜイミ(意味)消費に向かうのか?…物に満たされているため、買う前にこれを買う意味(価値)があるかを考える。
○認められたいけど目立ちたくはない…世代で承認欲求の満たされ度合いが違う。
○政府公表「自殺者数減少」は真実か…原因不明の死亡者数が増えている。読んでて納得。
○「若者の本離れ」というウソ…本の購入数は減っているが、読まないのに買った本(積読)が減っている。読書数はそこまで減っておらず、むしろ読書推進施策が実 -
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16人の識者による分析で語られる「今どきの若者」についての論考。
自分は30代で「上の世代」と「下の世代」の考え方・行動原理・その背景などを知ることが出来れば、より深く、齟齬の小さいコミュニケーションが取れるのではないかと日々感じており本書を手に取った。
個人的には、無用な世代間対立やグループ分けが生じる可能性が高まるため、「○○世代」というカテゴライズは好きではない(便宜上は仕方がないし、カテゴライズした方がラクで、また、インパクトがあるから使用するという点は理解できる)が、各世代でお互いがお互いを知り、理解・共感・リスペクトをすることが出来れば、温故知新という言葉の通りに社会がより明るく前 -
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内閣府の予想によると日本の人口が1億人を割るのは2048年。今から24年後その時、時代の中核にいる「Z世代」の行動原理を16の視点から解説する新書です。「Z世代」のことを知りたい、というより社会変化を世代論として見つめている論者のカタログとして読みました。「群盲」じゃなくて「研究者」、「象」じゃなくて「Z世代」を撫でるって感じですが、団塊の世代とか団塊jrとかに匹敵する、いやもしかしてそれ以上の大きな塊が生まれていることがよくわかります。ただ彼らが社会を変えていく、というより社会の変化を受け止めるために現れた塊のように見え、大人の責任は過去の世代交代より重いのではないか?と感じました。特に中村
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軽い気持ちで購入、タイトルより意外と中身のある一冊でした。時代の変化で結婚の価値感も変わり、また環境(親の環境やデジタル技術の進化)により、結婚の価値にも変化がてている。
ちょいと私の偏見かもしれないが、男は結婚する事により信用が上がる。世間からの目で言うと、お金を借りるのに「独身者には500万、既婚者は1000万、子供1で1500万」が認められる。(金額は例として)これは、当人に覚悟が数字で評価され、世の中からの信用が生まる。 二人で生き抜くなら倍になり、三人で生き抜くなら3倍に。 この本のコミットメントと同じ様な事が、社会から目もあるだろう。
しかし一番は、妻と一緒にいて楽しい、気楽で -
Posted by ブクログ
難しくなりがちなジェンダー論を、「モテ」という取っ付きやすい切り口から分析しているため理解しやすい。
本書の大意として下記のような印象。
男と女の大変さは別、という結論。
・男らしさ女らしさは文化的アイデンティティなので、「らしさ」のガイドラインに沿っていると居場所が確保できた感覚になる。
・男は「仕事」と「モテ」が比例するが、女は「仕事」と「モテ」が分離した個別の価値基準となっている。そのため、男は仕事に集中すればモテるが、女は「仕事」と「モテ」の両軸を追わなければならない。だからキャリア女性は大変に見える。
・男の評価軸は一つしかないため、仕事ができなければ終了となるが、女は仕事ができな