山田昌弘のレビュー一覧

  • 結婚不要社会

    Posted by ブクログ

    イエ同士の取り決めだった前近代。職業や結婚が個人化され、結婚が独立と生活の保障になった近代。高度成長期は、収入増が見込めたため97%が結婚できた。その後状況が変わったのに、結婚に経済を求める意識が変わらないため、結婚困難になっている。

    生活保障と愛情献身のバーターは、ミクロにみれば豊かなバリエーションのストーリーネタだけれども、マクロにみると社会にとっての問題。

    0
    2019年12月18日
  • 悩める日本人 「人生案内」に見る現代社会の姿

    Posted by ブクログ

    日本の社会学者として、この人ほど活躍している人は、珍しだろう。20年近く前に、著者の『希望格差社会』を手に取った衝撃を今でも忘れられない。

    日本は、その本で指摘された以上の希望格差社会になってしまっている。もちろんどの時代にも特有の悩みがあるだろうが、人生相談として提起される問題も、今の少なくない日本人が八方塞がりであることがよくわかる。

    著者は社会学者としての立ち位置を常に模索している。著者は、おそらく現実の社会現象をフレーズ化する天才だと思う。それは、データ分析の実力の高さもさることながら、類稀な言語センスを持っていると思う。

    人生相談もそうだが、本人自身は、問題点を十分わかっている

    0
    2019年12月12日
  • 結婚不要社会

    Posted by ブクログ

    「結婚」の根源にさかのぼった考察は「文化人類学」の様にも見え、新たな知見を教えてくれる。思わず40年以上以前の、わが身の結婚生活の端緒を思い起こしてしまった。
    結婚は属人的なものだと思いがちだが、歴史を振り返ってその変遷を辿るとその社会的位置付けの変化があらわに見えてくる。「家族社会学」とはこういうものだと教えてくれる本である。
    本書の「結婚は男性には『イベント』女性には『生まれ変わり』」との指摘はまさに身も蓋も無い赤裸々な真実だろう。
    表題は平凡だが中身は濃い本である。

    0
    2019年07月05日
  • 「婚活」症候群

    Posted by ブクログ


    「婚活」時代という著書を記し,「婚活」という言葉を作って伝えたかったことは2つ。

    ・自ら動かないと結婚できませんよ
    ・「昭和結婚」から脱却しなければ結婚は無理ですよ

    2つ目のメッセージが届かなかったために本書は作成された。

    ただし,この2つのメッセージはメタ的に見ると困難な要求をしているようにみえる。
    つまり,「望むものを手に入れたいならば自ら動かないとだめ。だけど,その望むものが高望みにならないようにね。」というメッセージである。

    望みの意味をどう変容していけるか。結婚の意味あるいは価値をどう考えていけるか。
    ここら辺が鍵なのだろう。

    0
    2019年06月04日
  • 「婚活」時代

    Posted by ブクログ


    「婚活」=結婚活動という言葉を作った2人による,言葉ができた当初の「婚活」の話。
    
    このときから10年ほど経っているが,今でも通じる話が多い。たとえば,結婚できない理由は「出会いがない」ことであるとか。
    
    逆に言えば,種々の取り組み(支援策など)は増えているにもかかわらず,10年前から問題は大きく変わっていないということ。
    
    「婚活」。さて,どこに問題があるのであろうか。

    0
    2019年05月07日
  • 「婚活」時代

    Posted by ブクログ

    あくまで「婚活」をしないといけない人で,この本を手に取っているような人にとっては,事実確認にはなるけど,具体的な行動に落とし込むには,別の方法で補わないといけないだろう。

    0
    2019年02月17日
  • 底辺への競争 格差放置社会ニッポンの末路

    Posted by ブクログ

    現代日本をえぐるレポート3冊目は、山田昌弘さんが「希望格差」からさらに進んだ、底辺へと転落しやすくなってしまった現代社会を描いています。
    先の2冊とは違って克明に分析していますが、その冷徹さが救いのなさをあぶり出しているだけに深刻です。

    0
    2018年01月15日
  • 底辺への競争 格差放置社会ニッポンの末路

    Posted by ブクログ

    如何にして中流社会が壊れて、下流に転がっていくか。望めば正社員になれる希望があった1990年代、バブル崩壊で正社員が狭い門になった2000年代。正規であることと非正規であることが格差の象徴の様に感じられました。

    興味深かったのがパラサイトシングル。十分な年金を貰う親と同居することで目立つことのなかった貧困の問題。親が亡くなり、また介護の問題などで一気に生活が苦しくなる。そんな状況であれば、結婚して新しい家族を作ろうと言う気持ちにもなれないかもしれない。

    昔、この国にはなんでもあった。希望だけを除いては。しかし、何かを手にするにも年々ハードルがあがっている様にも感じてならない。

    0
    2017年11月06日
  • モテる構造 ──男と女の社会学

    Posted by ブクログ

    キャッチャーなタイトルの割に中身は重厚な社会学のテキスト。同僚の方から勧められた一冊。山田さんの本を読むのは3冊目になるが、日本における男女の恋愛、家族観に対してとてもわかりやすく説明してある良本が多い。

    端的に言うと、モテる男性はできる男性である。男性にとってモテることとできることはリンクしている。一方で女性の場合はできることとモテることの関係性は薄い。日本社会はこのバランスを社会に積極的に取り込んできた。結果、未だに男性優位な社会が多く、女性の社会進出は進まないと筆者は述べる(筆者はこれを前近代的と言っている)

    生物学的にも男性は競争の生き物であるけれど、それがどの局面でも如実に現れる

    0
    2017年09月22日
  • モテる構造 ──男と女の社会学

    Posted by ブクログ

    キャッチーなタイトルとは裏腹に、中身はとことんがちな社会学の本。男/女が同性/異性を判断する際のクライテリアとは何か、そのベースになっている3つの社会規範とその非対称性。結果的に、できること(仕事能力)とモテること(性的魅力)の二大アイデンティティに集約される社会的課題が男女それぞれに与える影響など、根源的な解説にはじまり、女性の社会進出が活発になりつつあるニューエコノミーにおける趨勢や、フロイトやチョドロウとの関連にも触れている。日本とその他の国の違いに係るリーズニングには若干疑問が残ったが、その他は大変興味深かった。

    0
    2017年05月01日
  • モテる構造 ──男と女の社会学

    Posted by ブクログ

    企業にいると、仕事がデキる=モテる の図式は
    身に染みて感じる。

    ただ、会社に肩まで浸かった男性って定年後は相当悲惨だと思うよ…

    0
    2017年01月11日
  • モテる構造 ──男と女の社会学

    Posted by ブクログ

    山田昌弘『モテる構造ー男と女の社会学』

    「できる男」と「モテる男」は一致するのに「できる女」と「モテる女」は互いに独立関係という「非対称性」を社会学的に考察

    本書を読むと、女性として生まれたことはラッキーだったかも、と思えた(性自認、チョロドー)

    らしさ規範
    近代社会のアイデンティティ問題
    男性の性的アイデンティティの脆弱さ

    0
    2017年01月07日
  • 家族難民 中流と下流-二極化する日本人の老後

    Posted by ブクログ

    日本の制度は標準型家族モデルに基づいている。もっと多様な家族のあり方、住み方を認め、家族だけ、仕事だけのつながりだけでなく、中間的な支え合いが求められてる。そう考えるとシェアハウスは合理的な住まい方なのではないだろうか。

    0
    2016年03月03日
  • パラサイト・シングルの時代

    Posted by ブクログ

    「少々の苦労があるかもしれないと思って新しい世界に入ることができる人が、結婚して子を産み育てられる。この苦労の覚悟ができない人が、パラサイトシングルに留まっているのである。」

    ケインズ理論が底辺にありそうで、提案されている政策には賛成しかねる部分も多い。

    0
    2015年10月16日
  • なぜ日本は若者に冷酷なのか―そして下降移動社会が到来する

    Posted by ブクログ

    最初は、斜に構えて読んだものの以外と面白かったです。が、新卒一括採用に関する誤解と、これが書かれた2013年とは社会情勢が相当異なっているので、その部分は違和感がありますが。

    0
    2015年04月07日
  • なぜ若者は保守化するのか 反転する現実と願望

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    私は、『希望格差社会』の中で、アメリカの社会心理学者(ランドルフ・ネッセ)の「努力が報われたと思えば希望が生じ、努力しても無駄だと思えば絶望が生じる」という定義を応用して考察を行った。
    為政者がなすべきことは、すべての人に希望がもてる環境、つまり、努力すれば報われると思える環境を整えることにある。努力しなくても報われるケースが増えれば、閉塞感が社会を覆い、人々はやる気をなくす。これは、いわゆる既得権と呼ばれるものである。また、努力しても報われないと思う人々が増えれば、絶望感が広がり、社会が荒廃する。それゆえ、努力すれば報われるという環境を整えるためには、①努力しなくても報われるというケース、つ

    0
    2014年09月01日
  • なぜ日本は若者に冷酷なのか―そして下降移動社会が到来する

    Posted by ブクログ

    著者はパラサイト・シングル、婚活といった言葉の生みの親。

    この本を読んで、日本の社会が抱える現実問題を目の当たりにした。投機でしかない高等教育、独身無職で親に寄生する若者たち、老人優遇の社会制度、退廃的な文化だけが最後の便り。

    こういった時代にロスジェネとして生まれ、一度は破綻した人生からなんとか這い上がってきた自分に、いったい何ができるというのか。親の介護を考えただけでも頭が痛いのに、それ以上の崩壊が日本規模で起きている。

    本書ではタイトルの疑問に対する答えは(少なくとも納得する形では)示されていない。日本社会の破綻について淡々と書かれているだけで、読んでいて辛い。

    0
    2014年08月29日
  • なぜ日本は若者に冷酷なのか―そして下降移動社会が到来する

    Posted by ブクログ

    面白かった。

    現代日本の歪んだ構造の問題点をトピックスごとに指摘していく。分かりやすい上に面白い。かと言ってこれ読んで「そうだ俺は低賃金で強いられている弱者なんだ!」と言っちゃうと負けなので明日も仕事に行きます。

    あ、若者と書いて弱者と読むなんてギャグを思いついたのでここに書いておこう。

    0
    2014年04月28日
  • [図解]10倍効率アップ うまくいく! 男の「婚活」戦略 何もしないと、結婚できない!

    Posted by ブクログ

    そろそろ、結婚とか気になる年齢になった(?)ということで一読。
    婚活といっても、色々な方法があるんだなあと思う。
    まあ、参考として一読しておく分には損はないかな。と。

    0
    2014年04月23日
  • なぜ日本は若者に冷酷なのか―そして下降移動社会が到来する

    Posted by ブクログ

    もう、ホントにそうだよな!と筆者の論に納得しながら読んでしまいました。
    刻々と変わる社会に、変わらない制度。
    新卒一括採用、年金、家族のあり方、女性の雇用。
    日本人には是非読んで欲しい一冊です。
    大学生、就活生は、就活本を読むのもいいが、是非本書のような社会の問題を取り上げた本を読んで欲しいと思う。
    何故なら、就活を終え大学を卒業すれば、「社会人」になるのだから。

    0
    2014年01月28日