山田昌弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ジェンダー論・性差の非対称性の感情に焦点を当てている本書。モテるためのノウハウ本ではない(!)
「男らしさ・女らしさ」について多角的な視点からアプローチし、データを基に「モテる男・モテない男」「モテる女・モテない女」について、その背景や理由について考察している。
『自分が何者であるのかを知る為、自分の居場所を確立する為、自分が男・女であると確信したい為にも「男・女らしさ」の規範を利用するのである』というニュアンスのことが書かれており、男も女も理論ではなく感情でそれぞれの「生きづらさ」を生じさせてしまっている可能性を感じた。
やはり男と女は(いい意味で)違う生き物なので相手を理解・共感する -
Posted by ブクログ
大部分は、いままで何回も論じられている家族学の総集編という感じの内容だが、私的には2つ面白いと思うところがあった。
1つ目は、現代の社会は結婚に限らず、メリトクラシー(能力業績主義)のようにみえて、実はアリストクラシー(身分社会 貴族社会)に回帰しているという主張。これは、格差の再生産という文脈で語られることも多いが、実感としてもその通りだと感じる。それに関連して、中流階級から落ちないために都市部の中受戦争が激しくなっているという現象も納得感があった。
もう1つは、結婚は相手の人生にコミットすること、という話。コミットは最初から完全にできるわけではないとは思うが、結婚後の色々なイベントを乗り越 -
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データに基づいた分析は的確で、20年ほど前のものだが、正に予言のごとく、格差の増大、未婚・離婚の増大・少子化…などその通りの社会になっている。
ただ、基本的に高度経済成長期の日本社会-サラリーマン専業主婦家庭、1億総中流社会-を安定した「良い」時代のように記載し、その前提が崩れた現代社会をリスクのある不安定な危険な社会という論調には違和感を覚えた。
能力、やる気、努力の有無など人によって千差万別だし、企業は営利団体なのだから能力の有無によって地位や報酬に差異を設けるのは合理的。
寧ろ高度経済成長期に能力に関わらず全員を正社員として採用して保護して仕事の出来に関わらず年功序列で給与を上げたから成 -
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<目次>
第1章 Z世代はなぜ「イミ(意味)消費」に向かうのか?ー牛窪恵
第2章 世代間対立に潜む「正義の独善」ー萱野稔人
第3章 マッチングアプリと恋愛コスパ主義ー山田昌弘
第4章 「みなまで言うな」は通じないー山口航
第5章 認められたいけど目立ちたくない~複雑な承認欲求の謎ー金間大介
第6章 「無敵の人」を生まないためにできることー阿部真大
第7章 政府公表「自殺者減少」は真実かー末木新
第8章 差別と偏見に苦しむヤングケアラーー濱島淑恵
第9章 若手社員が辞めない職場とはー古屋星斗
第10章 「若者の本離れ」というウソー飯田一史
第11章 「言葉の転換期」で格闘す -
Posted by ブクログ
どうもそこかしこに腑に落ちない部分があって、なぜなんだろうかと考えていたんだけど、この著者の他の本も含めての印象として、元々が教員養成系大学の先生がする発想なんだろうなと思った。というのも教育を現実がたとえそうであっても、将来の職業につながる流れの中で考えており、大学院は教員養成のためのシステムととらえている記述もある。現実がそうなんだからそれに合わせるのが現実的であるという発想の一方で、こういう現実だと先がないと述べるのだが、その分析も解法も国内制度だけで論じていて、海外比較する際の海外の制度がどのようなもので、それが適用できない原因はなにかなど比較検討する事はない。あくまでも現状を変革して