【感想・ネタバレ】なぜ若者は保守化したのか 希望を奪い続ける日本社会の真実のレビュー

あらすじ

「さとり世代」などの言葉が生まれるのに先んじて、保守化する若者世代の傾向を喝破していた書籍の文庫化。現実と社会制度や意識の間に横たわる様々なひずみが若者の希望を削いでいる社会の実情に警鐘を鳴らす。

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Posted by ブクログ

どうもそこかしこに腑に落ちない部分があって、なぜなんだろうかと考えていたんだけど、この著者の他の本も含めての印象として、元々が教員養成系大学の先生がする発想なんだろうなと思った。というのも教育を現実がたとえそうであっても、将来の職業につながる流れの中で考えており、大学院は教員養成のためのシステムととらえている記述もある。現実がそうなんだからそれに合わせるのが現実的であるという発想の一方で、こういう現実だと先がないと述べるのだが、その分析も解法も国内制度だけで論じていて、海外比較する際の海外の制度がどのようなもので、それが適用できない原因はなにかなど比較検討する事はない。あくまでも現状を変革していく困難さを示して問題提言としているだけだ。別の著書では現実味のある職業教育に力を振り分けるべきとの話もあったが、今の時代職業訓練で得られる仕事とはどんなものがあるというのか?日本には斜陽産業と中抜き業種と公務員しか仕事はないのだが。
年代を経るに従ってそのような記述も多少変化を見せてはいるが、あくまでも現状産業での人材活用でしか論じないので、個人的には大学教育や大学院教育が日本の教育水準を守る制度ではないかという考えとは異なる。まったく新たな制度が自らは創り出せないのなら、既存の海外の例を参考にどの方向へ向かうのが日本の現状では”正解”なのか、そこまで論じてもらいたいものだ。

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2023年05月02日

Posted by ブクログ

かつてフリーターは自らの才能で会社といった枠にとらわれず自由に才能を発揮する存在としてそれなりに羨望の眼で見られていた。若い女性は自宅で親から一人部屋を与えられ、衣食住を保障された状況で非正規の仕事でも収入をすべて余暇に使える状況ではリッチな生活を送ることができた。(バブルの頃は男におごってもらうだけでも生きて行けたかもしれない) いつかはまたバブル時代のような仕事はいくらでも選び放題、いい男もごろごろして将来を安心して暮らせる結婚のチャンスにも困らない時代が来るだろう・・・ だが現実は、保護者の両親は高齢化して年金暮らしとなり、一歩間違えば介護しなくてはならない対象になっている。いつまでたっても景気は回復せず、気がつけば婚期も逃している・・・ 漠然と抱いていたそのうちいいこともあるだろう・・という根拠のない期待は完全に色あせてしまった・・
その状況の中でなぜギリシャやスペインのように「怒れる若者」ではなくネトウヨだらけになるのか・・ ネオリベのもたらした格差社会における若者たちの希望格差、の論考には納得できるけど、ここまで保守化している理由については今ひとつ納得まではいきませんでした。

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2016年07月15日

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