山田昌弘のレビュー一覧

  • 「今どきの若者」のリアル

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    多種多様な、各論者の得意分野からの若者論。関心の薄い分野はサラッとそういうものなのねと流し読み。興味のある分野については、世の中の最先端を知る意味で興味深かった。より上の世代からするとだいぶん考え方が異なるように思えるけれど、考え方の変化は認めていく必要があると思う。多様性の時代という意味では、逆向きの理解も期待したいところ。

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    2024年08月25日
  • 「今どきの若者」のリアル

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    内閣府の予想によると日本の人口が1億人を割るのは2048年。今から24年後その時、時代の中核にいる「Z世代」の行動原理を16の視点から解説する新書です。「Z世代」のことを知りたい、というより社会変化を世代論として見つめている論者のカタログとして読みました。「群盲」じゃなくて「研究者」、「象」じゃなくて「Z世代」を撫でるって感じですが、団塊の世代とか団塊jrとかに匹敵する、いやもしかしてそれ以上の大きな塊が生まれていることがよくわかります。ただ彼らが社会を変えていく、というより社会の変化を受け止めるために現れた塊のように見え、大人の責任は過去の世代交代より重いのではないか?と感じました。特に中村淳彦の2004年をターニングポイントとする貧困論には衝撃を受けました。

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    2024年08月21日
  • パラサイト難婚社会

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    軽い気持ちで購入、タイトルより意外と中身のある一冊でした。時代の変化で結婚の価値感も変わり、また環境(親の環境やデジタル技術の進化)により、結婚の価値にも変化がてている。
    ちょいと私の偏見かもしれないが、男は結婚する事により信用が上がる。世間からの目で言うと、お金を借りるのに「独身者には500万、既婚者は1000万、子供1で1500万」が認められる。(金額は例として)これは、当人に覚悟が数字で評価され、世の中からの信用が生まる。  二人で生き抜くなら倍になり、三人で生き抜くなら3倍に。 この本のコミットメントと同じ様な事が、社会から目もあるだろう。

    しかし一番は、妻と一緒にいて楽しい、気楽で休まる、いや共に一緒に生きたい、とお互いを思う優しさと妥協(笑)だろう。 いや、面白く読ましてもらいました。私にも二人の娘がいますから、心配事であるのは間違いないです(≧∀≦)

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    2024年05月30日
  • モテる構造 ──男と女の社会学

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    難しくなりがちなジェンダー論を、「モテ」という取っ付きやすい切り口から分析しているため理解しやすい。
    本書の大意として下記のような印象。
    男と女の大変さは別、という結論。

    ・男らしさ女らしさは文化的アイデンティティなので、「らしさ」のガイドラインに沿っていると居場所が確保できた感覚になる。
    ・男は「仕事」と「モテ」が比例するが、女は「仕事」と「モテ」が分離した個別の価値基準となっている。そのため、男は仕事に集中すればモテるが、女は「仕事」と「モテ」の両軸を追わなければならない。だからキャリア女性は大変に見える。
    ・男の評価軸は一つしかないため、仕事ができなければ終了となるが、女は仕事ができなくても「モテ」があるため、複数の価値基準を選択できるし逃げられる。

    <アンダーライン>
    ★★★
    社会学の役割は、見えなかった枠を明らかにすること

    ★★★
    性別は、アイデンティティの基準を構成する

    ★★★★★
    アイデンティティ・クライシスの典型的症状は、「自分は何者か分からない、どもにも居場所がない」と感じること

    ★★★★★
    「役に立つこと」「人に好かれること」はアイデンティティの大きな確認手段である

    ★★★★
    男らしさ女らしさの規範が存在することによって、社会的に逸脱という概念が作り出され、一部の男性や女性に不利益をもたらすことがある。しかし、多くの人はその性差に自らを合わせることで、自分が「男である」「女である」という確信を得る。

    ★★★★★
    近代社会は、自分で自分のアイデンティティを作り上げることが人生の課題となる社会である。

    ★★★★★
    男性は、自分より「できる」女性を性的対象から排除する傾向がある。それは、できる女性が、男性が男性であるというアイデンティティを不安にさせるからである。

    ★★★★★
    「当たり前のことをまるで不思議なことのように考える」ことが社会学の本質

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    2024年05月27日
  • パラサイト難婚社会

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    とても良かったです。時代的な背景から、夫婦の関係や我々一人ひとりを取り巻く環境が大きく変わってきた話、海外の結婚に対する考え方など、新しい発見も多々あり、大変勉強になりました。
    本も読みやすくて、全体の構成もわかりやすく、また筆者の本を読んでみたいなと思いました。

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    2024年05月19日
  • パラサイト難婚社会

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    時代の変化とともに、結婚と離婚の価値観や考え方が変わっていることが分かりました。結婚は政治やその時代の影響もあるので、何が良いか分かりませんが、どんな選択をしても一人ひとりが幸せだといいなと思いました。

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    2024年04月22日
  • 「今どきの若者」のリアル

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    さまざまな方々から見たZ世代の様子が書かれていて、面白かったです。気になったところは深堀りしてみようと思います。

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    2024年03月31日
  • 希望格差社会――「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

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    まぁ、なるべくしてなっていますよね!
    子どもは4-8個の財布を持って生まれたと言われますが…
    いつまでもあるわけがない。

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    2024年02月25日
  • 日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?~結婚・出産が回避される本当の原因~

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    タイトルというよりも副題の方がメインの本だった。
    少子化は結果であってその前提条件となる結婚に至るメンタリティなどを考察に加えていてなるほどと思った。
    要旨としては、日本では結婚、出産、子育てというのは将来に対するリスクであるため行わないといったところだと思う。
    この本に書いてあることが本当なら、現在の日本の少子化対策は、対象者のことを考慮せずに机上で考えたことを実施しているということなんだろうか。

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    2024年01月31日
  • 希望格差社会――「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

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    従来の教育の視点と、本書の教育の視点どちらがいいのかもう一度立ち止まって考えたい。教養を身につけることの意義とは?手段としてだけ考えることは果たしていいのか。人間性の向上の本質的な価値とはなんなのか。

    日本の教育システムであるパイプライン・システムのデメリットばかり強調されているようにいつも感じていた。しかし本書ではなぜ日本の教育が批判されるようになってしまったかについてまでしっかり触れていたため、とても良かった。改めて日本の教育システムを中立的に、メリットについてもしっかりとらえたいと思った。

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    2024年01月10日
  • 「今どきの若者」のリアル

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    16の視点、切り口から今の若者を分析した一冊。
    違った視点で捉えることで考え方の幅が広がった。
    どの執筆者の方も批判的ではなく建設的な論調だったので、読んでいて気持ち良かった。

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    2023年12月21日
  • 結婚不要社会

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    結婚について、歴史と国の観点で語られている。

    知っている内容だが、改めて歴史的背景をもとに語られると気づきがある。

    特に、皆婚時代はお見合い等で同等婚がなされていた。
    途中で、年収に差がなかった時代は、容姿で結婚相手を選んでいた。
    現代は、階級格差があるので、男は稼げる方がよく、女性はまず年齢があってその後に容姿が重要と言う話だった。

    人によっての好みはあるが、格差社会によって経済面で選ぶ時代の傾向があるのが1番である。

    また、現代はとにかく大学まで行かせるのが第一で、子供を下流にしたくないという風潮があるが、この流れをやめることで子供を持つことのハードルを下げることが少子化解消の第一歩と語る。
    概ね同意である。

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    2023年07月02日
  • 新型格差社会

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    普段は自身がそれ程幸せな状況だとは感じなかったが、本書を読み様々な格差の説明を聞いて、私自身が非常に恵まれている事を再確認。気分が良くなった。

    格差の下側の人いる方は、僕らが優越感を感じる為に存在して下さっている部分もあり、改めて感謝したい。

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    2023年02月24日
  • 日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?~結婚・出産が回避される本当の原因~

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    勉強になった。個人的な感覚として、日本特有の少子化の原因となる考え方や価値観に共感できないところはあるが、大きな傾向としてはそうなんだろうと理解。だからこそ、「誰の意見を聞いて少子化対策を検討してきたのか」は、重要な振り返りポイントだと理解。
    「子育て自体に喜びをみいだす」と、「子供の市場価値によって親としての肯定感をもつ」の違いにはなるほどと思った。
    また、中流階級意識が少子化の背景にあるというのも新発見。とくに、親の生活が安定していてそれなりの環境を準備してもらった人が、経済的理由で子供を持つことを躊躇うというのは納得した。でも、この変化の激しい時代に、先の見えない不透明感や不安だけみているよりも、楽しんで乗り越えるマインドを持った方が良いと思うのだが、、
    人から下に見られたくない、というプライドというのはわからんでもないけど、これは日本人特有なのか?マウントとる、とかいうのも日本特有?このあたりは謎が残った。
    バックデータも豊富で、読みやすく勉強になる本だった。

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    2023年02月21日
  • 新型格差社会

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    成田悠輔がYouTube界隈でよく顔を出すものだから必然社会学に関心が湧いてきて、且つ転職活動を一通り終えてみて税制とか社会保障がうっすらと分かってきたところで、ドンピシャの内容だった本を見つけたから一気に読んだ。「一億総貧困社会」と平原依文とのディスカッションの中で成田が言っていたような内容が書いてあった。この本では格差がないとまでは言ってないけども。EdTechの発達で教育格差が埋まるといいな。

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    2022年11月05日
  • 「婚活」時代

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    12年ぶりの再読。
    岩波新書のしおりで「広辞苑」が婚活を収録したことにふれ、婚活は結婚活動の略語ではないという。
    本書の「はじめに」で、山田先生は「婚活は結婚活動の略です」と冒頭で言い切っている。これってどういうこと?

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    2022年09月01日
  • 日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?~結婚・出産が回避される本当の原因~

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    正に自分自身も教育費用が準備できるか、小さいうちは良くても中高生になった時の生活費と月並みのレジャー費を捻出できるかという点で、2人目は欲しいが二の足を踏んでいる。リスク回避思考が強いとはいえ、「なんとかなるよね〜」とは思えない日本。一般市民がお互いを監視している空気感があるから、過剰に人の目を気にする風潮なくなってほしい。

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    2021年07月21日
  • モテる構造 ──男と女の社会学

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    男は女から認められないと生きていけないが女は同性からの関係性だけでも自尊心を損なわず生きていける事が本書での1番の気づきである。
    男は仕事ができる事でしか周囲から認められずそこを損なうと社会的な存在価値がなくなってしまう。女性はキャリアでも家庭でも居場所を見つけることができ、男よりも生きる術があるように感じた。これからは男性らしい女性らしいという概念は崩れていくだろう。だが根源的に残っている男女の性は自認して前向きに生きていきたい。
    女性は同性から養育を受ける為に性的な欲求は低い。男は母親以外からの異性の承認が必要であるから性的にも血気盛んである。これもなるほどなぁと思わされた。

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    2021年05月22日
  • 結婚不要社会

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    ネタバレ

    時代の流れとともに結婚の在り方がどう変化してきたか、結婚に何を求めているかがよくわかり知見が深まった一冊

    以下読書メモ
    >>>
    ・結婚は、幸福を保証しない。この点が理解されるなら、結婚はもっと、増えるのではないか。

    ・結婚困難から生じる問題を解消する手っ取り早い方法は、結婚しなくても経済的・心理的に生活ができる社会に変わることでしょう。要するに、結婚不可欠社会から「結婚不要社会」に変わればよいのです。


    ・要するに、男性にとって結婚は人生の通過点の一つでしかなく、男性は結婚によって自分の人生のコースが変わるものだとは思っていない。結婚するから会社を辞める、すなわち「寿退社」のような選択もない。あくまでも「イベント」、いわばゲームをクリアする感覚です。


    ・ちなみに、男性の答えは「かわいい人」や「料理のうまい人」などさまざまで、それぞれ自分の「好み」で結婚相手を選ぶというものでした。男性のこうした結婚観を表す表現には、やはり先述したように「イベント」がふさわしいと思います。


    ・ 実際に未婚者、つまり「結婚したいけれども結婚できない人」が増えるにつれて、それが人々の認識のレベルにまで浸透し、人々の行動に変化をもたらしている(社会学では「再帰性」と言います)のが、ここ20年の動きなのです

    ・結婚はいわば、社会を構成する枠組みの一つです。その結婚をミニマムに―人類社会に共通する最低限の部分を取り出して―定義すると、「性関係のペアリングに基づく恒常的関係」と表現することができます

    ・ 結婚という「制度」に限定するなら、社会科学の事典には「婚姻」は、「単に一時的な男女の性関係や私的な同棲と異なり、社会的に承認された持続的な男女間の結合であって、その当事者の間に一定の権利・義務を派生させる制度を言う」(比較家族史学会『事典 家族』)とあります。

    ・ 文化人類学では、通文化的な――いつの時代、どこの地域でも見られるような―-婚姻関係について、おおよそ「排他的性関係」(結婚した二人の性関係の特権的な正当化)と「嫡出原理」(結婚した二人の子どもの社会的位置づけの正当化)という二つの概念に集約されています。

    ・たとえばネパールやチベットには、兄弟が一人の妻をめとるというかたちで結婚が行われている地域が知られています。

    ・結婚する個人にとって、「経済的」と「心理的」な効果をもたらすのが結婚という行為です。「結婚は性的なペアリング」と先述しましたが、人は結婚すると、「経済」と、「心理」双方の面でメリットまたはデメリットが生じるわけです。

    ・つまり良きにつけ悪しきにつけ、結婚によってペァの経済的な生活水準が同一になる。これが、結婚の経済的効果です。

    ・ 結婚の「心理的効果」について。結婚相手は親密性――言語的(話す・開く)、身体的(見る,きわる)、物的(あげる・もらう)コミュニケーションが、自然に障害なく行われている「状態」――の相手と言えます。つまり、性的なペアリングである結婚というのは、結婚相手がセクシュアリテイ(性行動)やロマンス(恋愛感情)などを含めて、お互いを心理的に満足させる仲のよい相手になり得るという意味を含んでいるのです。

    ・つまり、結婚や出産は個人のものとしながらも、社会全体は結婚や出産に依存しているのが近代社会なのです。国民なり政府なりは、人々の結婚や出産に関心を持たざるを得ない。その関心は、たとえば今日の「婚活」にも表れているわけです。

    ・そもそも、社会や国に介入されるのが近代社会の特徴でしょう。近代社会は、国は個人のものとされながら、社会は個人の決定に依存しています。つまり、個人の決定と社会なり国なりの存続が相反してしまう可能性がある状況にあり、それは、近代社会が抱え込んだ解決しなければならない根本的課題なのです。

    ・ 心理面で言えば、「近代は、アイデンティティを自動的に保証しない社会である」ということです。

    ・そうした存在論的不安というものを解消するために、近代社会では自分を承認してくれる相手――自分がここにいてもいいと思えるような存在―-を自分で見つける必要がある社会が出現しました。

    ・「個人の選択」をもたらした大きな要因は、産業革命です。それによって親の資本を継承する社会でなくなったことが、結婚に個人化という決定的な変化をもたらしたというわけです。つまり、個人が配偶者を選んで近代家族をつくるようになる条件には、男性が親の家業を継ぐのではなく、男性がイエの外で働くことが可能になるという「仕事の個人化」が含まれているのです。

    ・ 人間社会がすべてにおいて一挙に変わることはありません。しかしながら、産業革命によって急増した被雇用者の若者を中心に、結婚によって新しい家族を形成して親から独立して生活をするという傾向がどんどん強まっていきます。自分で配偶者を見つけなければ生涯独りで生きなければならず、生活にもそれなりの困難が生じるのですから当然の変化でした。

    ・ つまり近代社会では、親から独立して夫婦が生活を営むようになると同時に、そこで築く核家族が「生きがい」になるのです。家族をつくって親密な生活を送ること、そして、子どもをつくって育てることが人々の生きがいとなります。家族がいればさびしくないし、家族生活を営むことが生きがいになるというわけです。

    ・ 最近までは、男性が家計を支えて、女性が家事や育児などの無償労働・ケア労働をするという「性別役割分業」の夫婦が一般的でした。性別役割分業とは、要するに女性にとっては自分を養ってくれる男性が必要で、男性にとっては家事・育児をやってくれる女性が必要だという意味で、経済的にお互いが不可欠な相手であるということです。

    ・ 近代社会の独身は、自分を承認してくれる相手が存在しないこととほぼイコールになり、女性にとっては自分を経済的に支えてくれる人がいない、男性にとっては世話をしてくれる人がいないこととほぼイコールになったわけです。

    ・ 近代社会における結婚は核家族――共同生活の場と親密な関係をつくり出す場―を形成するための重要なイベントになりました。逆に言えばそれは、恋愛結婚の不可欠性と共同生活の不可欠性という、二つの帰結をもたらします。つまり近代的結婚というのは、自分を承認してくれる親密な相手をつくるイベントなので、必然的に恋愛結婚にならざるを得ないのです。自分を将来にわたって存在論的に承認し合う相手でなければ、存在論的不安を満たせないわけです。

    ・不可欠というのは逆に言うと、結婚しないで独身でいることは、心理的には自分を承認してくれる相手がいないということで、わかりやすく言えば「さびしい」ということです。経済的には自分で稼いだうえに家事などをしなければいけないし、子どもも持ちにくいし育てにくい。いざとなったときには誰も助けてくれないので非常に困るわけです。近代社会は、独身男性においては世話をしてくれる人、子どもを産んでくれる人がいない、独身女性においては経済的に支えてくれる人がいないという困難が生じる社会として始まったといえるでしょう。

    ・第一の条件は、結婚相手は自分の存在を肯定してくれる相手でなければならない。つまり、お互いの愛情が一生続く相手でなければいけないということです。第二の条件は、結婚が新しい経済生活のスタートなので、結婚後の経済生活が自分の期待する以上のものでなければいけないということです。

    ・あとで詳しく説明しますが、現代社会の結婚において経済か愛情かという選択は、ヨーロッパやアメリカでは好きかどうかを優先して経済は二の次、日本やアジアでは経済を優先して好きかどうかは二の次、というふうに分裂しているのです。

    ・アメリカの経済学者リチャード・イースタリンが唱えた「イースタリン仮説」というのがあります。「不況期には結婚が少なくなり、好況期には結婚が多くなる」という有名な学説で、結婚における経済的要素を端的に表現しているといえます。

    ・ いつでも自分を承認してくれる親しい相手というのが家族以外になくなるというのが、じつは近代社会の特徴なのです。

    ・「近代社会の深化」や「近代社会の構造転換」と呼ばれ、ドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックに従い、深化・転換前を「近代1」、その後を「近代I」として議論していきます。

    ・イギリスの社会学者アンソニー・ギデンズの言葉を借りれば、「相手を選び合っていることだけ」が親密な関係――お互いに好きだという関係――を続ける唯一の根拠になってしまったのです。これをギデンズは、「純粋な関係性」と呼びました。つまり、別に結婚しているからといって親密であり続けるわけでもなく、結婚しないからといって愛情がないわけでもないということです(『親密性の変容』)。要するに近代』は、結婚と親密性が切り離される時代になったというわけです。

    ・このように外見だけが残って、意味のほうはすっかり変わってしまったようなシステムを、イギリスのギデンズは「貝殻制度」(『暴走する世界』)と呼び、ドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックは「ゾンビ・カテゴリー」(Beck &Beck,"Individualization")と呼びました。いずれも、生きているように見えるけれども実質的な意味はなくなっているという比喩です。

    ・ じつは、欧米でフェミニズム運動が強かった要因の一つには、こうした「経済生活の自立」すなわち自分で自由に使えるお金が欲しいという動機があります。逆に言えば、女性が夫の収入を全部コントロールしていることが、日本でフェミニズムがあまり浸透しなかった大きな理由だと思います。

    ・ 社会学者ベックは「世界家族」という概念を提唱しました。お互いが遠距離で別々に生活しながら、スカイプやメールなどでコミュニケーションしている家族をそう名付けたわけです(ウルリッヒ・ベック他『愛は遠く離れて』。これはつまり、なにも一緒に生活していなくても、お互いが心理的に選び合っているというだけで満足するような関係性です。

    ・ 先の章で見た近代的結婚が困難になりつつある状況は、日本も欧米も同じです。経済的変化によって、従来の「性別役割分業型の家族を目指す結婚」は徐々に困難になってきました。

    ・女性の収人については、あまり気にされません。外見も身長も関係ありません。では、なぜ年齢か。端的に言って、「出産」「育児」です。多くの若い男性にとって、子どもを産んで育てられる年齢ということが女性が結婚相手として選ばれる大きな条件になります。

    ・日本では結婚したほうが色々な意味で便利で有利

    ・ 特に女性の場合は、下に見られることを嫌います。男性の場合は結婚相手によって自分のアイデンティティが上下しないので、誰と結婚しても社会的評価は変わらないのですが、女性の場合、その友人や親戚、家族の関心は、とにかく結婚相手の社会的地位です。それは、今日でも変わりません。相変わらず女性は、結婚相手の社会的地位によって自分のアイデンティティが上下するわけです。女性のプライドは、つき合っている男性のレベルにまだ強く依存していると言ってもいいでしょう。

    ・ 日本人が近代的結婚に固執する最後の理由、四つ目は「子どものために」です。前述の「JJ世代の結婚白書2019」には「お金がないからやりたいことができないというのは嫌だ」という考え方が載っていますが、同様に、「お金がないから子どもに何か買ってやれないという事態は絶対に避けたい」と、特に女性の多くは考えているわけです。

    ・経済的に自立できたらすぐに離婚したいと思っている女性はたくさんいます。逆に言えば、経済生活が破たんすれば、離婚しない理由はなくなるわけです。実際、私の調査では、離婚理由で多いのは、日本では「夫がリストラされた」とか「夫の事業が失敗した」といった経済的理由なのです。

    ・ 男性は結婚後、経済的に不安定になってもいわば自分のせいなので結婚したことを後悔することは極まれです。けれども女性は、結婚相手によって経済的に不安定になるので、そうなったら結婚したことを後悔するわけです。

    ・ 自分はお金をかけてもらって都会で育てられて「インテリ」になった。田舎に行って新しい試みもしている。けれどもそもそも田舎暮らしでは、子どもを「インテリ」に育てられないというわけです。あくまでも子どもの教育は都会で――それが多くの夫婦の本音でした。要するに日本人の世間体や見栄は、自分に関してよりも子どもに関する際のほうが数段強いのです。

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    2021年04月28日
  • 新型格差社会

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    p61 子どものかけられるお金 1994年と2018年では後者が3-5万減っている

    p67 1975年の国公立授業料 3.6万 1986年 25万
    2020年 文系 53万 理系 80万

    p78 小4くらいの時点で毎月5万の受講料がかかる中学受験専門塾に通えるかどうかで、その後の人生ルートがある程度きまってしまう。 親の所得が子ども世代に影響し、格差が再生産されている状況

    p85 学校で学んだことを一切忘れてしまったときに、なお残っているもの、それこそ教育だ アインシュタイン

    p123 生まれ故郷の土地に、ライフステージに応じた場がない 生活の糧を得るための仕事の場、自分のこどもを通わせたい教育の場、地域のコミュニティを感じられる場、日用品を不便なく購入できる場、いざというときかかれる医療の場

    p125 代替が難しいのが教育と医療

    p137 大きな2つの変化 移動の自由、通信手段の自由

    p140 一生この土地にいるつもりはないという人々が多数派になったとき、地域コミュニティの維持は難しくなる

    地域のトラブルは近所付き合いの中で解決してきたものが、いまや一足飛びに区役所や町役場にクレームが押し寄せる

    p143 住宅すごろくゲームが成り立たなくなった地域コミュニティでは、従来型の地元意識と新しい移住者のコミュニティ意識の希薄さの間に大きな溝が発生している

    p149 教育と年収、地価は密接に結びついている

    p150 ボランティアや地域活動というのは、助ける余裕がある人と助けを必要とする人の両者がいて成り立つ

    p151 イギリスのかつてのコミュニティ開発の失敗
    ロンドン郊外 コミュニティ活性化地域 貧困から抜け出し、就職して経済的余裕ができた人、つまり自ら助ける余裕がある人になれた瞬間、その人々はその地域から次々と脱出していった

    p152 自己責任論がつくる階級社会 貧富の格差が長期化、固定化、鮮烈化している

    p156 マイホームあってのパラサイトシングル

    p159 2000年頃に成人し、非正規雇用で人生をスタートし、そのまま不安定な生活を続けていた世代が、2021年現在、子を持つ親の年齢になっている

    p163 本書では、その格差が長期化、固定化され、かつ世代を超えて受け継がれ、階級社会化することを問題視したいのです

    家族消費から個人消費へ

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    2021年04月26日