山田昌弘のレビュー一覧
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2004年初版の山田先生の本。
最近、山田先生の本ばっかり読んでるような…
親に基本的生活を依存する独身者を著者が「パラサイト・シングル」と呼び始めてから、七年あまりがすぎた。この言葉はすっかり定着したが、実はこの間にパラシトたちは密かに変容していた!かつては、「本当は自立できるのにリッチな生活をしたいから」パラサイトしたのだが、現在では「正社員にもなれず、自立したくても自立できない」貧乏パラサイトが主流となっているのだ。この九〇年代後半のパラサイトたちの変容の背景には、日本社会の地殻変動がある。自殺者数の増加、離婚率の高まり、青少年犯罪の増加などさまざまなデータ・現象を手掛かりに、日本の家 -
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本書は、「経済学」と「家族社会学」のコラボという面白い視点の本であるが、現在の日本の置かれた現状を鋭く指摘していると思えた。
著者たちの本書の主張は、どちらも分かりやすい。
「家族社会学」の山田氏の「家族のありかた」についての見解には、同感しつつも「これからの日本はどうなるのだろうか」という不安でいっぱいになるような読後感をいだく。
そして「経済学」の塚崎氏の主張には、納得しつつも将来の見方としてはポジテブ過ぎるのではないかと思った。
「長期停滞に陥った日本経済」や「変容する家族と噴出する諸問題」のテーマには、「まったくそのとおりだ」と頷いたが、現実の日本では、それへの改革は全く -
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少し古い本になるので、内容が現代にそぐわないのではないかという不安があったのですが、そんなことはありませんでした。この本が世に出されてから、今に至るまでの日本の状況はたいして変化していないようです。希望格差という言葉を初めて耳にしましたが、自分の日常に引きつけて考えやすく、理解のしやすい内容でした。
読むと不安感を煽られ、少し暗い気持ちになります。最終章において、これからの私たちの方針のようなものについて言及されているのですが、個人的に行うことのできる策が少なく、なかなかこの本自体が「希望」になりきれていないように感じてしまいました。
いまの日本を取り巻く環境を見つめ直す、よい機会になりま -
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10年近く前に書かれた本にもかかわらず、内容は全く古びておらず、むしろ現在の状況を予見していたかのように感じた。
若者を取り巻く状況はむしろ当時より悪化しているし、日本のみならず世界的な経済の落ち込みで、著者が想定していたより現在は深刻かもしれない。
この本に書かれているように、徐々に仕事で昇級・昇進していって結婚・子育てをしていくっていう典型的な中流の生活には、自分自身現実感を持てないのが本音である。
未来に対する希望がいまいち持てないから、将来に対する不安に備える為には、できるだけそういうリスクを取らない方がいいのでは、という思考に陥ってしまう。
もしくは今が楽しければそれでいい、という -
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20~35歳で実家暮らしをするパラサイトシングル(以下“PS”)
フリーター・会社勤めでも自立しないPS
昨今最も経済的に豊かなPS
学芸大の人気教授によるPS撲滅書だ。
教授によるものなのでデータの引用や格式高い文章で
少し読み辛いところはあるが内容はとても勉強になる。
そして以下に著者の主張が集約されている。
この状態(PS)を説明するために、私はよく「ぬるま湯」の比喩を使っている。
心地よいぬるま湯に浸って非常にいい気分である。ぬるま湯から出ると寒い。自分で服を着ればよいのだが、そこに行くまで寒いのでなかなか出られない。だいたい、外にどうやって出ればよいのか分から -
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ネタバレ格差社会の到来と言われて久しいが,これまでは格差の実態について,収入などの「量的格差」に議論が向きがちであった。
しかし本書では,格差の根本にある仕事能力による格差拡大を指摘し,単純労働から抜け出すことができない人の急増,いわゆる「質的格差」の存在を明らかにしている。そしてこの「質的格差」を自覚した人びとが,仕事や将来に対する「希望」を見いだせなくなっているのが現在の日本社会というのだ。
職業は,人びとにアイデンティティを与える。アイデンティティが見いだせない社会構造はやはり問題であるし,結果的に将来の重大な社会不安定要素に繋がる。これを警鐘した本書の意義は大きい。
ただ,教育に対する考え方 -
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友人が貸してくれました。面白かったです。
今の世の中は自分から積極的に結婚活動を行わないと結婚できないのよ、という本でした。そのためのスキルを磨かなければ、ちょっといい人はみんな捕まえられちゃうから危機感を持ちなさい、ということなんだと思います。
ただなあ~ そこまでして結婚しなきゃいけないものなのかなあ、なんて考えてしまうから今も一人なのですね…。将来一人なのはさびしいし、一緒にいられるパートナーが欲しいという漠然とした希望はありますがそれがもっと良い仕事ないかな~とか、もっと住みやすい場所あればいいな~というような切羽詰まってない希望と同じなのは自分がいまパラサイトだからなのでしょう。 -
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現代の結婚観について知りたくて手に取った一冊。
「自由」ということについて考えさせられました。
自由になるということで発生する「不自由」もあるのだなあという、社会の矛盾を思い知らされたような気がしました。
怒涛の規制緩和時代に突入して、ありとあらゆることが成果主義、市場経済の流れに乗ってしまったいま、結婚という人の営みもそのひとつなのかもしれません。
好きな人と結婚できる、というのは聞こえはいいけれど、そこに課される個人の負担は想像以上なのだなあと感じました。
みなさんもおっしゃっているように、少しこの本は女性向けな印象ですね。男性がそこまで責められるのはちょっと気の毒に思ってしまいました。 -
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新卒主義、年功序列、転職市場の低流動性など若者の保守化はイカンとは言っても社会構造上日本の若者は保守化せざるをえないだろう、という思いは普段から思っていたのでこの本を読んでスッキリした。
結婚に関しても、非正規雇用者やフリーター、パートなどは若年層で顕著であり賃金の世代間格差が広がっている現状、若者の結婚がリスク化している感は否めない。結婚して生活レベルが下がるのならそりゃしないわけで。
けど閉塞感が高まっている社会でも、山田さんが言っているように努力が少しでも報われるような社会システムを目指さなければ希望を持てない若者が量産されてしまう。 -
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ネタバレ少子化、晩婚化が叫ばれる日本の社会
結活と呼ばれる結婚をしたい人たちによる活動が始まったのはいつ頃だろうか?
自分の理想としている異性に出会うために、積極的に行動に出る人がいる
一方で、積極的な行動に出ることが出来ずに、そのまま年を重ねる人がいる
自分達の親世代、昭和の時代では、年を重ねる毎に仕事/縁談があった
自動的にレールに載るだけで、思い通りの生活が過ごせたのは「過去」の話
今は就職氷河期と呼ばれる様に、当たり前に就職できる世の中ではなくなった
「結婚をしない」選択肢を選ぶことが、異常事態ではない世の中になた
「魅力的な人がいて、魅力的な生活を描ければ結婚をする
そうでもな