山田昌弘のレビュー一覧
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背が高くてスポーツに優れている男性は女性に好かれる一方、背が低くて運動おんちであっても男性に好かれないということはない。できる男性は女性にもてるが、できる女性が男性にもてるとは限らない。本書では男女に関わる非対称的な感情に焦点を当てながら男女それぞれの生き難さを考察する。たとえば自殺率、ホームレス数、ひきこもり人数などは圧倒的に男性が多い。中高年の男性の自殺が多いのは、リストラや事業失敗などで、できると評価されていたその評価を失ったことが原因。近代社会における男性の生き難さは、彼らが「できなければモテない」という世界に生きることにある。常にできなければいけないというプレッシャー。女性より男性の方が生き難いというのは、このプレッシャーが大きな要因となっている。他方、女性には女性独自の生き難さがある。こちらの方もしっかり検証されている。男女それぞれのモテる構造を理解しがら自らの処世に活かしていきたい。
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かつてフリーターは自らの才能で会社といった枠にとらわれず自由に才能を発揮する存在としてそれなりに羨望の眼で見られていた。若い女性は自宅で親から一人部屋を与えられ、衣食住を保障された状況で非正規の仕事でも収入をすべて余暇に使える状況ではリッチな生活を送ることができた。(バブルの頃は男におごってもらうだけでも生きて行けたかもしれない) いつかはまたバブル時代のような仕事はいくらでも選び放題、いい男もごろごろして将来を安心して暮らせる結婚のチャンスにも困らない時代が来るだろう・・・ だが現実は、保護者の両親は高齢化して年金暮らしとなり、一歩間違えば介護しなくてはならない対象になっている。いつまでたっても景気は回復せず、気がつけば婚期も逃している・・・ 漠然と抱いていたそのうちいいこともあるだろう・・という根拠のない期待は完全に色あせてしまった・・
その状況の中でなぜギリシャやスペインのように「怒れる若者」ではなくネトウヨだらけになるのか・・ ネオリベのもたらした格差社会における若者たちの希望格差、の論考には納得できるけど、ここまで保守化している理由については今ひとつ納得まではいきませんでした。 -
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日本の現代の問題を単なる経済格差ではなく、希望格差=努力が報われる社会かどうかで論じた視点は素晴らしい。しかし、取り上げている話題への分析が浅薄で、なにより今後の提言が弱いのが残念。
・人々が中流とランクづけるのは、格差が量的なものだと思われていること、そして、成長によって追いつくことが可能だと希望がもてたことに依存する。
・教育は、何より「階層上昇(もしくは維持)の手段」であり、社会にとっては「職業配分の道具」なのである。この二つが危機に瀕していることが、現在の教育問題の根幹にある。しかし、これは主流の教育学者からは嫌われる考え方。
・苅谷:学力が低い生徒ほど現状肯定感が強い。→過大な期待を持つ以外に現状をやり過ごす手立てがない。
・ランドルフ・ネッセ:希望という感情は、努力が報われるという見通しがあるときに生じ、絶望は、努力してもしなくても同じとしか思えないときに生じる。
・中国が社会主義という看板を捨てられないのは、革命によって前近代的宗教を破壊した後に、社会主義を放棄すれば、貧しい人々に救いがなくなってしまうことに指導者たちが気付いているからなのだ。 -
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意図的たと思うが、繰り返し繰り返し執拗に、今の社会保障制度の基本設計が社会にあってないかを述べている。
基本的な分析には概ね同意出来るし、成る程と思う。
惜しむらくは、今後の提言の部分をデーターや実現可能性を含め充実して欲しかった。
恐らく政治家は選挙がある限り、 高齢者向けの政策を変えられるはずもなく、年金制度の不公平は無くならないだろうし、小手先の増税を繰り返すのが関の山だろう。
また、官僚も身分も老後も保障されているので、自ら特権を放棄し抜本的改革をするとも思えない。
日本が本当に沈没する前に、若年層はまず選挙にしっかり行って意思を表明するべきだ。 -
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金の卵 パラサイト・シングル 奨学金の支給額(日本はOECD34カ国中最下位) 所得による教育格差に対する意見(朝日新聞とベネッセが行った調査。「親の格差は子供の格差に引き継がれるのは当然」とも読み取れる結果が出た) クリントン大統領「今の子どもが大人になった時、自分の親よりも豊かでない生活を贈る史上初めての世代に成るだろう(1993)」 階層の下降移動社会(かつての親世代とは違い、親と同じ高卒では同じ生活レベルを維持できない、という時代になっている) 新司法試験(選抜試験でありかつ5年間に3回しか受けられない(三振者が出る)) ヤンミン=マイミン「パイプライン・システム」 所在不明高齢者 おひとりさま 年金パラサイト 感情体験産業(メイド喫茶・ボランティア旅行など。「承認欲求」を満たしている) エリック・エリクソン「アイデンティティ」 アンソニー・ギデンズ「共依存」 日本の年金村(アジアの某国にあるとのこと。遺族年金で優雅に暮らす人がいる) 三号被保険者問題(正社員の妻でない場合、専業主婦も保険料を支払う義務がある) ブーメラン族(一度独立した子が失業や離婚で戻ってくること) 流動的単純労働はなくせない フォーディズム(労働形態) エスピン=アンデルセン「高齢化が進む先進国では高齢者の既得権を削減する政策はとりにくい」 夫婦別姓制
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教育は、もはや投資ではなく投機。お金なら投資機会を待てば良いが、人間は待てないので、投機でも賭けざるを得ない。
格差の固定ならまだ良くて、親よりも裕福になれない世代が生まれている。大学の高校化?就職予備校にすらならない大学。
格差が固定する世の中ってつまらないと思いつつ、人類の歴史はほぼそんな時代のような気もするし、、、
いや、根深いねぇ、これは。根本的には国が衰退してるってことが原因だよね。
限られた資源の奪い合いになっていて、それが声の大きいもしくは数の多い高齢者に割り当てられるような構造になっていると。
国を成長させるか、資源の振り方を変えるか?
全体としての幸せが、個々にとっての幸せ最大化とはならないのが難しさだよね。民主主義の構造的な欠陥というか。 -
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日本社会が、将来の安定を期待することが難しいリスク化の時代を迎え、従来の教育と職業のシステムがさまざまなところで機能不全を起こしていることを明らかにした本です。
フリーターのように将来に希望を持てない人びとや、オーバードクターのようにそれまでの投資を無駄にすることを受け入れられない人びとが、みずからの心理的な安定のために夢にしがみついているという指摘も、非常に鋭いと感じました。
ただ、経済的なセーフティ・ネットだけではなく、心理的なセーフティ・ネットの整備が必要だという主張はまだ抽象的で、「希望格差」という事態にどのように対処していくべきなのかという道筋はそれほど明確にはされていないのではないかという印象も持ちました。 -
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■日本社会のこれから
A.家族は選択不可能で、解消が困難な関係性として認識されてきた。だが近年、「ペットの家族化」と「児童虐待」が急増している。前者は「本来家族でない動物を家族であるかのように扱う」現象で、後者は「本来家族である子を家族でないかのように扱う」現象だ。このように、家族にしたり、解消したりすることが一方的にできるようになった時、それを「家族」と呼べるのか、という現実に我々は直面している。
B.結婚のため様々な活動をする「婚活」、未婚でなぜいけないと開き直る「おひとりさま」。これも現代日本家族を特徴づける、対となる言葉だ。この2 つの言葉が流行する背景には、自動的に家族が手に入る時代は終わり、努力しないと手に入らないという現実が出現したことがある。そして、家族は必要なのか、という問いが同時に突き付けられている。 -
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若者の4人に1人が生涯未婚。
年収600万円以上の男性未婚は5%。
絶望な状況があるけど、これを乗り越えるしかない。
女性は勝ち組だけを求めているわけでは
ない。実際には、浮気をしない誠実な男性がよい
という女性もいる。
こうした男性の誤解もあるので、行動あるのみ。
これから大切なことは、善意のおせっかい、そして
背中押し。
第三者は、この立場を持ちましょう。
本書で指摘されてた一つ、
90年代には「いかに彼女を落とすか」という
テクニック重視の記事がたくさんあったこと。
こういうの、古臭いからか今は見られない。
今だからこそ、もう少し盛り上げてもいいのでは。 -
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2004年初版の山田先生の本。
最近、山田先生の本ばっかり読んでるような…
親に基本的生活を依存する独身者を著者が「パラサイト・シングル」と呼び始めてから、七年あまりがすぎた。この言葉はすっかり定着したが、実はこの間にパラシトたちは密かに変容していた!かつては、「本当は自立できるのにリッチな生活をしたいから」パラサイトしたのだが、現在では「正社員にもなれず、自立したくても自立できない」貧乏パラサイトが主流となっているのだ。この九〇年代後半のパラサイトたちの変容の背景には、日本社会の地殻変動がある。自殺者数の増加、離婚率の高まり、青少年犯罪の増加などさまざまなデータ・現象を手掛かりに、日本の家族のゆくえを多面的に分析する。
(以上、本の帯より)
個人的には納得感のある本なのだけど、なんとなく分かっていたことの追認というニュアンスが強いので、個人的には満足度は高くなかった。読みやすい本だけども。
パラサイト・シングルという現象自体、日本的な要素が強いので、他の国に対して適用できるかどうか微妙だが、進み過ぎてしまった社会の分析という意味では参考になるかも。