ネタバレ
Posted by ブクログ
2013年02月18日
端的に言えば、『現行の社会保障制度は実社会に対応できていないから、その機能を果たせないでいる』ということです。社会保障とりわけ年金制度は発足から数十年経過している制度なので、今から解体するわけにもいかず、手をこまねいている状態です。しかし結果的に見れば、社会保障の制度破綻議論がなされて十年近く経って...続きを読むいるのに、何一つ進歩していないのは政府の怠慢でしょう。制度の二転三転や混迷、迷走を続け、犠牲になる人は数知れず。ここで抜本的な改革をしなければならないと、社会保障に警鐘を鳴らします。
ミニマム・インカムと年金マイレージ制という二大柱を軸に社会保障の再構築を訴えますが、先ずミニマム・インカムが実際にできるか疑問です。国民一人に年100万円給付すると、約120兆円という巨額の税金が必要となり、現実的には難しいと言わざるを得ないでしょう。
また、著者の主張するミニマム・インカムを社会保障にすれば、勤労意欲が高まると言いますが、これだと働く人と働かない人の差が大きくなるのではないかと思います。著者はそれでも良いと言いますが、これで経済が成り立つのか、強い疑問を持ちます。最低限の生活で暮らすと、消費が少なくなるので、そうなるとお金の循環が悪くなり、ますます不景気になるのではないかと危惧します。
ミニマム・インカムとベイシック・インカムの違いが今一つ分かりませんでした。ベイシック・インカムの縮小版がミニマム・インカムなのでしょうか……。ネットで調べてみてもよく分かりませんでした。
それでも、色々と有意義な内容だったので、僕の評価はA+にします。