Posted by ブクログ
2021年04月27日
田口ランディさんの小説は久しぶりに読んだけれど、シャーマンだとか幽体離脱だとかのスピリチュアル要素は変わらずで(とは言え10年以上前の小説ではあるのだけど)とても読み手を選ぶと感じるのが正直なところ。
私はそういうのは嫌いではないから読むのだけど、この作品は精神世界的な要素がとりわけ強めで、読み終え...続きを読むたときには程よくぐったりしていた。
ドレミと始まって、シは有限の極み。そしてその上のドは神の世界。上のドの世界には、ほんの一部の人間しか到り着けない。
物語の基本にあるのは上記のようなもので、主人公のマホは、行方不明になった大事な友人であるミツコを探してバリに向かい、そこでたくさんの不思議な体験を通して上記の世界に触れる。
とても感想が書きづらい。理解できたと自分では思っているけれど、もしかしたら理解しきれていないかもしれない。いまひとつ自信が持てない。
ただ個人的に思うのは、私の周りにも不思議な力を持った人が少なからずいて、そういう人たちはおそらく「上のド」の境地にいる人たちなのだろう、ということ。
その人たちは行方不明にはならずきちんと置かれた場所にいるのだけど、どことなく浮世離れしていて、すべてを達観しているように見える。
この物語のマホは、その境地に行ってしまったミツコを探して、見えない力に導かれるようにしてバリを訪れた。
バリには行ったことはないものの、こういうスピリチュアル要素がある物語の舞台になりやすいように思う。シャーマン文化のある南の島だからなのだろうか。強いエネルギーを感じる場所だというイメージがある。
「考えるな、感じろ」的な、独特な世界を楽しめた読書体験だった。