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福島第一原発から半径20キロ圏内は、警戒区域となった。人が立ち入ることのできない場所〈ゾーン〉に棲むものたち。 現代の巫女・田口ランディが、極限に生きる命の輝きを描く「魂身の」中篇集。
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Posted by ブクログ
福島の警戒区域を舞台としたお話。その地域に生まれ、根付いて暮らし続けることを選択した人達に何もしてあげられていないことを痛切に感じる。
2011.3.11東日本大震災からもうすぐ5年が経とうとしております。本作は被災地福島の警戒区域【ゾーン】と呼ばれるエリア近隣での現状を書いた作品です。とにかく、全体を通して重たいです。もちろん軽いワケがなく、田口ランディさんだからこそ、こういうスタイルで書きとおせるのかなと思われます。被爆、マイク...続きを読むロシーベルトなど、普段の生活には程遠い用語が次々と普通に繰り出され、被災地の‘今’を浮き彫りにしています。そんなエリアでも、人々が色んな想いを抱え、生きていこうとする姿勢に涙なくしては絶対に読めない作品でした。
中篇集。放射性物質で汚染された警戒区域・ゾーンを舞台にして繰り広げられる四つの物語。あの日から忘れてはいけない気持ちを思い出させてくれる。『ゾーンにて』『海辺にて』『牛の楽園』『モルモット』の四編を収録。 表題作の『ゾーンにて』は、作家の羽鳥よう子が警戒区域に足を踏み入れ、生と死に向き合う。 『...続きを読む海辺にて』は、『ゾーンにて』の続編であり、羽鳥よう子が警戒区域の津波被災地を訪れ、被災地の現実と向き合う。当初は『ゾーンにてⅡ』というタイトルで文庫化にあたり、改題し、『ゾーンにて』と併せて大幅改稿したようだ。 『牛の楽園』では、癌で片肺を切除された男が主人公となる。主人公は原発事故の放射能による被曝と癌の放射線治療の被曝に怯え、やがて、過ぎ去る希望と迫り来る死に向き合う。 『モルモット』は、再び、女性が主人公に代わる。都会の生活に疲れた主人公はゾーンに暮らす舞踏家の老女を訪ね、一緒に暮らすのだが…
久しぶりに田口ランディ著を読んだ。 そうそう、1つの土地のことを取り上げて描く人だった。好きな土地なのかな。 原発後の土地のことを独特の角度から描いた作品。 短編集でオムニバスなのかそれぞれ独立してるのか私は不明。長編で読んだらもっと色々考えて心に残りそう。
これまでの作品でもそうだが、作者も明確な答えを出すというより、迷いの中で書いたんじゃないかなと思った。東日本震災の復興も、福島の原発事故の未だに終わっていない。その中でさまざまな迷いを抱きながら今日まで人生を歩んできた人々が登場する。明確な答えは見つからないまま、時間は進んでいく。世の中は矛盾に満ち...続きを読むている。それぞれが持つこれでいいんじゃないかな、こうなんじゃないにかなという自分なりの答え、妥協点を信じながら、疑いながら、受け入れている。他人が何と言おうと本人が決めること。人と人のゾーンというものも存在する。そこを尊敬の念を持って跨がせていただいたとき、分かり合える小さな小さな一歩となるのかなと思ったら。
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