Posted by ブクログ
2016年01月07日
中篇集。放射性物質で汚染された警戒区域・ゾーンを舞台にして繰り広げられる四つの物語。あの日から忘れてはいけない気持ちを思い出させてくれる。『ゾーンにて』『海辺にて』『牛の楽園』『モルモット』の四編を収録。
表題作の『ゾーンにて』は、作家の羽鳥よう子が警戒区域に足を踏み入れ、生と死に向き合う。
『...続きを読む海辺にて』は、『ゾーンにて』の続編であり、羽鳥よう子が警戒区域の津波被災地を訪れ、被災地の現実と向き合う。当初は『ゾーンにてⅡ』というタイトルで文庫化にあたり、改題し、『ゾーンにて』と併せて大幅改稿したようだ。
『牛の楽園』では、癌で片肺を切除された男が主人公となる。主人公は原発事故の放射能による被曝と癌の放射線治療の被曝に怯え、やがて、過ぎ去る希望と迫り来る死に向き合う。
『モルモット』は、再び、女性が主人公に代わる。都会の生活に疲れた主人公はゾーンに暮らす舞踏家の老女を訪ね、一緒に暮らすのだが…