作品一覧

  • 木になった亜沙
    4.0
    1巻680円 (税込)
    奇妙で、不穏で、とびきり純粋な愛の物語 無垢で切実な願いが日常をいびつに変容させる。今村夏子の世界が炸裂する3篇に、単行本未収録エッセイと村田沙耶香による解説を付す。 ※この電子書籍は2020年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • とんこつQ&A
    3.8
    1巻1,562円 (税込)
    真っ直ぐだから怖い、純粋だから切ない。あの人のこと、笑えますか。 “普通”の可笑しみから、私たちの真の姿と世界の深淵が顔を出す。 大将とぼっちゃんが切り盛りする中華料理店とんこつで働き始めた「わたし」。「いらっしゃいませ」を言えるようになり、居場所を見つけたはずだった。あの女が新たに雇われるまでは――(「とんこつQ&A」) 姉の同級生には、とんでもない嘘つき少年がいた。父いわく、そういう奴はそのうち消えていなくなってしまうらしいが……(「嘘の道」) 人間の取り返しのつかない刹那を描いた4篇を収録、待望の最新作品集!
  • むらさきのスカートの女
    3.9
    1巻650円 (税込)
    「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。文庫化にあたって各紙誌に執筆した芥川賞受賞記念エッセイを全て収録。
  • 父と私の桜尾通り商店街
    3.5
    1巻704円 (税込)
    店を畳む決意をしたパン屋の父と私。引退後の計画も立てていたのに、最後の営業が予想外の評判を呼んでしまい――。日常から外れていく不穏とユーモア。今村ワールド全開の作品集!
  • 星の子
    3.9
    1巻650円 (税込)
    林ちひろは中学3年生。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形をゆがめていく。野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、芥川賞作家のもうひとつの代表作。《巻末対談・小川洋子》
  • あひる
    3.8
    1巻572円 (税込)
    我が家にあひるがやってきた。知人から頼まれて飼うことになったあひるの名前は「のりたま」。娘のわたしは、2階の部屋にこもって資格試験の勉強をしている。あひるが来てから、近所の子どもたちが頻繁に遊びにくるようになった。喜んだ両親は子どもたちをのりたまと遊ばせるだけでなく、客間で宿題をさせたり、お菓子をふるまったりするようになる。しかし、のりたまが体調を崩し、動物病院へ運ばれていくと子どもたちはぱったりとこなくなってしまった。2週間後、帰ってきたのりたまは、なぜか以前よりも小さくなっていて……。なにげない日常に潜む違和感と不安をユーモラスに切り取った、著者の第二作品集。
  • こちらあみ子
    4.2
    1巻660円 (税込)
    あみ子は、少し風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれる兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示した、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞受賞の異才のデビュー作。書き下ろし短編「チズさん」を収録。
  • 木になった亜沙

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    ネタバレ

    初めての今村夏子の作品。
    どの話も読み終わると何とも言えない気持ちにさせられた。

    木になった亜沙は、もう世にも奇妙な世界観が凄かった。え?そうなる?そっちにいくのかー!と進む先が驚きの連続で、先が読めないとはまさにこの事だなと痛感した。斬新なお話だった。

    的になった七未。この話が1番印象的だった。
    最初は可哀想な子だなと思いながら読み進めていたが、子どもが産まれてからのストーリーが切なくて。
    私自信も息子がいるので、尚更自分に置き換えたら…と考えて後半涙が…。
    でも最後の最後に息子と再会し、射的の弾を愛する息子から当てて貰えたのを七未は母として嬉しく思ったんだろうなあと感じた。当ててもらい

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    2025年04月12日
  • むらさきのスカートの女

    Posted by ブクログ

    すごくおもしろかった。ヤバげな女がいるんです〜と語られて、ほうほうどんなヤバいやつなんだい…と読んでいくと、そういう風に言われているだけでその女は別にヤバくない。それよりも女に執着する主人公の方がヤバいっぽいが、主人公は自分について名前すら一切語らないので実際どうなのかはっきりとはわからない。この不穏さ、気味悪さを突き詰めることなく淡々と描く今村さんスタイルが好き。ラストもぽんと落ちる感じでよかった。

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    2025年04月05日
  • こちらあみ子

    Posted by ブクログ

    映画があまりにも衝撃的だったので、原作も読んでみようと思いました。
    あみ子は発達障害の女の子です。自分が興味を持ったことからは目が離せなくなるのですが、逆に興味のないことは記憶にも残りません。そして、人の気持ちを推し量ることが極端に苦手なので、どうしても人間関係でトラブルを起こします。この物語の中では、大好きな男の子、そして母親との間に修復不可能な溝ができてしまいます。
    先日読んだ『僕たちの青春はちょっとだけ特別』は特別支援学校のお話でした。あみ子もきちんと自分に合った支援を受けていたら……と思ってしまいます。
    物語の中で唯一、あみ子に普通に接してくる男の子(あみ子の中では“坊主頭”としてしか

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    2025年03月26日
  • むらさきのスカートの女

    Posted by ブクログ

    今村夏子作品2冊目の本。とにかく今村作品は、いい意味で期待を裏切ってくる。読めば読むほど、いったい何が起きたのか、起こっていたことはなんだったのかさえわからなくなる感覚に襲われる。動転するという表現が正しいのだろうか…

    帯に何も起こらないのに面白いとされているが、果たして本当にそうなのだろうか?今村作品は不穏だとする書評があるが、言い得て妙であるとは思う一方私には馴染まない。

    物語にはむらさきのスカートの女、それを観察する黄色いカーディガンの女が登場する。黄色いカーディガンの女の視点を通して、むらさきのスカートの女の出来事が語られている。
    が、同時に、物語を読むものは黄色いカーディガンの女

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    2025年03月15日
  • こちらあみ子

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    息するのを忘れるほど夢中で読んだ。それだけあみ子は力を持っていた。あみ子はおそらく発達障害だけれど、作者が「発達障害という設定でかいたつもりはない」と述べていたことを知り、私はあみ子のことが理解できないからって、「発達障害の子」と、自分の理解できる範疇の型にはめ込んでいたのだと気付かされた。作者はただ純粋に、「あみ子」という1人の人間を描いたのだ。あみ子の助けを求める声が、トランシーバーを通して、離れたところにいる兄に届いたシーンが心に残った。

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    2025年03月13日

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