今村夏子のレビュー一覧

  • こちらあみ子

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    衝撃の作家にまた出会ってしまった。

    『こちらあみ子』の周りの環境から弾かれた存在の生きづらさ。個人的な問題だけでなく、周りへの影響力まで切り込んで描いてる作品である。
    この浮遊感、ファンタジーを読んでるような掴めなさがあるけどまた同時に寂しさとやるせなさを現実感を帯びて胸に迫る。
    不思議な作品である。言葉では言い表せないけど中毒性がある。

    『ピクニック』は、ホラーである。何が怖いってルミたちの顔と本心が見えない。話が進むにつれて、こちら側の異常さが際立ってきて恐ろしくなる。何もかも気づいているのに、分かった上で掌で転がして面白おかしく享受してしまおうという冷淡さ。同時並行の晴れやかな日常。

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    2025年05月10日
  • こちらあみ子

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    一通りそれぞれの作品を読んでから自分なりに考えてみた後解説を読んだ
    「一途に愛する者は、この世に居場所がない人間でなければならない」「逸脱せよ」
    悩んで悩んでどんどん引きずりこまれそうな感じがした

    あみ子の「なんで誰も教えてくれんかったんじゃろう」「教えてほしい」があまりにも純粋でぐさっときつつ、周りの人が距離を置いたことにもどこかで共感してる気がしてうーん
    このどうしていいか分からん気持ちをずっと忘れないように、ずっと考えないとダメな気がした

    ピクニックやチズさんも読みながらずっと心が落ち着かない
    もう一回読む

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    2025年05月04日
  • むらさきのスカートの女

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    すごく読みやすかった。
    「わたし」視点でむらさきスカートの女の行動や癖が語られるだけの独特な世界観が印象的でした。
    「わたし」のストーカーの才能がすごい。

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    2025年04月30日
  • むらさきのスカートの女

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    ネタバレ

    つい笑ってしまうのに、常に不穏な空気を感じずにはいられない。今村先生ワールド全開の傑作。
    むらさきのスカートの女。語り部「わたし」によって語られるその最初の姿は、街の変わり者といった様相である。次第に、むらさきのスカートの女を観察し続ける「わたし」に対して読者は少しずつ不気味な印象を抱き始める。しかし、「わたし」の語るむらさきのスカートの女のことが気になって読む手が止まらない。 中盤、「わたし」は一緒に働くことになったむらさきのスカートの女を観察したいがために、公休日なのに出勤しようとする。しかし制服を忘れたことに気づいて家に帰ったため、この日はむらさきのスカートの女の事は語られなかった。この

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    2025年04月22日
  • むらさきのスカートの女

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    人間は、自分とは違う理想像を誰しも持っているものだ。黄色いカーディガンの女と、むらさきのスカートの女。自分と対照的な女をストーカーのように観察する語り手の女。奇妙な世界の中でストーリーが進むのが、個人的には新鮮な感じがしてワクワクした。自分も2人の世界をまた外からこっそりと覗き見ているような気分になった。果たして、むらさきのスカートの女ってなんだ?そんなやついたのか?全ては黄色いカーディガンの女しか知らない。

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    2025年04月17日
  • むらさきのスカートの女

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    「むらさきのスカートの女」が変わっている人だという認識で読み進めていったところ、徐々に「黄色いカーディガンの女」もだいぶ変わっているどころかぶっ飛んでいることが分かり、そのぶっ飛び具合がこれまた爽快で面白かった!

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    2025年04月14日
  • 木になった亜沙

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    ネタバレ

    初めての今村夏子の作品。
    どの話も読み終わると何とも言えない気持ちにさせられた。

    木になった亜沙は、もう世にも奇妙な世界観が凄かった。え?そうなる?そっちにいくのかー!と進む先が驚きの連続で、先が読めないとはまさにこの事だなと痛感した。斬新なお話だった。

    的になった七未。この話が1番印象的だった。
    最初は可哀想な子だなと思いながら読み進めていたが、子どもが産まれてからのストーリーが切なくて。
    私自信も息子がいるので、尚更自分に置き換えたら…と考えて後半涙が…。
    でも最後の最後に息子と再会し、射的の弾を愛する息子から当てて貰えたのを七未は母として嬉しく思ったんだろうなあと感じた。当ててもらい

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    2025年04月12日
  • むらさきのスカートの女

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    すごくおもしろかった。ヤバげな女がいるんです〜と語られて、ほうほうどんなヤバいやつなんだい…と読んでいくと、そういう風に言われているだけでその女は別にヤバくない。それよりも女に執着する主人公の方がヤバいっぽいが、主人公は自分について名前すら一切語らないので実際どうなのかはっきりとはわからない。この不穏さ、気味悪さを突き詰めることなく淡々と描く今村さんスタイルが好き。ラストもぽんと落ちる感じでよかった。

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    2025年04月05日
  • こちらあみ子

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    映画があまりにも衝撃的だったので、原作も読んでみようと思いました。
    あみ子は発達障害の女の子です。自分が興味を持ったことからは目が離せなくなるのですが、逆に興味のないことは記憶にも残りません。そして、人の気持ちを推し量ることが極端に苦手なので、どうしても人間関係でトラブルを起こします。この物語の中では、大好きな男の子、そして母親との間に修復不可能な溝ができてしまいます。
    先日読んだ『僕たちの青春はちょっとだけ特別』は特別支援学校のお話でした。あみ子もきちんと自分に合った支援を受けていたら……と思ってしまいます。
    物語の中で唯一、あみ子に普通に接してくる男の子(あみ子の中では“坊主頭”としてしか

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    2025年03月26日
  • むらさきのスカートの女

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    今村夏子作品2冊目の本。とにかく今村作品は、いい意味で期待を裏切ってくる。読めば読むほど、いったい何が起きたのか、起こっていたことはなんだったのかさえわからなくなる感覚に襲われる。動転するという表現が正しいのだろうか…

    帯に何も起こらないのに面白いとされているが、果たして本当にそうなのだろうか?今村作品は不穏だとする書評があるが、言い得て妙であるとは思う一方私には馴染まない。

    物語にはむらさきのスカートの女、それを観察する黄色いカーディガンの女が登場する。黄色いカーディガンの女の視点を通して、むらさきのスカートの女の出来事が語られている。
    が、同時に、物語を読むものは黄色いカーディガンの女

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    2025年03月15日
  • こちらあみ子

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    ネタバレ

    息するのを忘れるほど夢中で読んだ。それだけあみ子は力を持っていた。あみ子はおそらく発達障害だけれど、作者が「発達障害という設定でかいたつもりはない」と述べていたことを知り、私はあみ子のことが理解できないからって、「発達障害の子」と、自分の理解できる範疇の型にはめ込んでいたのだと気付かされた。作者はただ純粋に、「あみ子」という1人の人間を描いたのだ。あみ子の助けを求める声が、トランシーバーを通して、離れたところにいる兄に届いたシーンが心に残った。

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    2025年03月13日
  • こちらあみ子

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    ネタバレ

    これがデビュー作ですか、、。
    とても素晴らしい作品だった。
    こちらあみ子は主人公が陽、ピクニックは主人公が隠。
    世の中はバランスで成り立っており、悪意なき悪が最大の悪だという事を描いた作品だと感じた。
    あみ子は愚直な少女ゆえの作品だけど、ピクニックは悪意の塊の様な物語。
    ピクニックというタイトル通り、究極の虐め、此処に極まりって感じ。
    それを作者が執筆により悪意を善意にすり替えている。
    自分達を満たすだけ、楽しんだからサクッと切るラスト。スケッチを取り出す事を制止した事。
    女性の直感は怖い。
    そりゃ、男の浮気もバレるな、と。

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    2025年03月13日
  • むらさきのスカートの女

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    タイトルから漂う怪奇、ホラーかと思いながら読むといい意味で裏切られる
    謎の女を追う謎の女...ってどういうこと?
    終始好奇心をくすぐられ続け、あっという間に読み終えてしまった(面白い)
    最近今村さんの作品にハマっている

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    2025年03月04日
  • とんこつQ&A

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    ネタバレ

    ハートフルストーリーではないので注意。
    面白かったです!芸人さんがオススメしてたんだったかなぁ、テレビで紹介されていたので読みました。
    読みやすく簡単な文章と、わかりやすい世界観なのでスラスラと読めました。タイトルのとんこつに似合わずあっさり、重い感じがなく読みやすい。(後味は悪い意味でこってり)

    感想だけでネタバレになってしまいそうなので…ぜひ読んでいただきたいです。
    ほっこりストーリーと思いきや、やられました。笑

    とんこつQ&A→この主人公の不器用な感じわかるなぁ。→…あれ?なんかおかしいな。→ほっこりかな?→………やっぱり何かおかしいな。 といった感じで、どの話も薄気味悪いホ

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    2025年03月02日
  • 星の子

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    あらすじを読んだとき、あぁ、きっと「家族の崩壊」とか「家族愛による救出」みたいなテーマなんだろうなと思ったけど実際は全然違って、「信じる/信じない」というのが最大のテーマだと感じました。
    愛する両親の信仰と世間の意見の狭間で揺れる主人公の気持ちが切ないしとても共感できて胸が苦しく余韻が残る1冊。

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    2025年03月01日
  • とんこつQ&A

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    一気読み。
    またも今村夏子に、抉られた。
    自分にこの感情をうまく言葉にする才がないのが悔やまれる。
    絶妙に、じんわりじんわり、嫌な気持ち。

    「良夫婦」は特にイライラさせられた。
    一番嫌いなタイプの人間。
    だけど、どんな環境になっても、絶対まわりにいるんだよなこの手の人。
    分かり合えないし、分かりたくもない。

    流石の今村夏子さんでした。
    生きるの下手な人間がどうにかして生きているところを描くのがうますぎる。

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    2025年03月01日
  • とんこつQ&A

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    今村夏子さんだいすき!人間の怖さが、描かれてます。ホラーというかジワジワくる怖さ。
    とんこつQ&Aが1番すきでした。

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    2025年02月26日
  • あひる

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    今村夏子さんがすき。
    不気味な、でももしかしたら身近に居そうな人たちのことを書いている気がする。
    あひるの他の短編ふたつは主人公の視点が別で描かれていて、繋がっています。

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    2025年02月25日
  • こちらあみ子

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    芥川賞作家の今村夏子さんのデビュー作
    『こちらあみ子』
    私の人生で忘れられない一冊になりました
    この本に出会えてよかった

    あみ子は少し風変わりな女の子
    場の空気が読めなかったり、
    相手の気持ちに気付かず行動して傷つけてしまったり、
    あみ子を取り巻く人たちが
    良心と拒絶の葛藤に追い詰められていく様子も
    すごく生々しくて胸が苦しくなった
    あみ子自身にも悪気がないのでそれがまた切ない

    私も子供の頃、あみ子ほどではないけれど
    不器用で、人間関係に悩んでいた
    うまく会話に入っていけなかったり
    空気を読んでその場にふさわしい反応ができなかったり
    みんなが当たり前のようにできていることが
    できなくて、生

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    2025年02月25日
  • こちらあみ子

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    少なくともあみ子自身はきっと幸せで楽しく生きているんだ、と思える事が救い。

    『ピクニック』も良かった。ロマンチックなお話かと思いきや、徐々におかしな点に気づき、最後にはいたたまれない気持ちになる。
    ルミたちが"みんなで仲良く協力して七瀬を気にかける優しい人たち"だったからこそ、最後の気持ちの良いピクニックの描写が不気味で気持ち悪い。

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    2025年02月22日