今村夏子のレビュー一覧
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衝撃の作家にまた出会ってしまった。
『こちらあみ子』の周りの環境から弾かれた存在の生きづらさ。個人的な問題だけでなく、周りへの影響力まで切り込んで描いてる作品である。
この浮遊感、ファンタジーを読んでるような掴めなさがあるけどまた同時に寂しさとやるせなさを現実感を帯びて胸に迫る。
不思議な作品である。言葉では言い表せないけど中毒性がある。
『ピクニック』は、ホラーである。何が怖いってルミたちの顔と本心が見えない。話が進むにつれて、こちら側の異常さが際立ってきて恐ろしくなる。何もかも気づいているのに、分かった上で掌で転がして面白おかしく享受してしまおうという冷淡さ。同時並行の晴れやかな日常。 -
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ネタバレつい笑ってしまうのに、常に不穏な空気を感じずにはいられない。今村先生ワールド全開の傑作。
むらさきのスカートの女。語り部「わたし」によって語られるその最初の姿は、街の変わり者といった様相である。次第に、むらさきのスカートの女を観察し続ける「わたし」に対して読者は少しずつ不気味な印象を抱き始める。しかし、「わたし」の語るむらさきのスカートの女のことが気になって読む手が止まらない。 中盤、「わたし」は一緒に働くことになったむらさきのスカートの女を観察したいがために、公休日なのに出勤しようとする。しかし制服を忘れたことに気づいて家に帰ったため、この日はむらさきのスカートの女の事は語られなかった。この -
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ネタバレ初めての今村夏子の作品。
どの話も読み終わると何とも言えない気持ちにさせられた。
木になった亜沙は、もう世にも奇妙な世界観が凄かった。え?そうなる?そっちにいくのかー!と進む先が驚きの連続で、先が読めないとはまさにこの事だなと痛感した。斬新なお話だった。
的になった七未。この話が1番印象的だった。
最初は可哀想な子だなと思いながら読み進めていたが、子どもが産まれてからのストーリーが切なくて。
私自信も息子がいるので、尚更自分に置き換えたら…と考えて後半涙が…。
でも最後の最後に息子と再会し、射的の弾を愛する息子から当てて貰えたのを七未は母として嬉しく思ったんだろうなあと感じた。当ててもらい -
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映画があまりにも衝撃的だったので、原作も読んでみようと思いました。
あみ子は発達障害の女の子です。自分が興味を持ったことからは目が離せなくなるのですが、逆に興味のないことは記憶にも残りません。そして、人の気持ちを推し量ることが極端に苦手なので、どうしても人間関係でトラブルを起こします。この物語の中では、大好きな男の子、そして母親との間に修復不可能な溝ができてしまいます。
先日読んだ『僕たちの青春はちょっとだけ特別』は特別支援学校のお話でした。あみ子もきちんと自分に合った支援を受けていたら……と思ってしまいます。
物語の中で唯一、あみ子に普通に接してくる男の子(あみ子の中では“坊主頭”としてしか -
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今村夏子作品2冊目の本。とにかく今村作品は、いい意味で期待を裏切ってくる。読めば読むほど、いったい何が起きたのか、起こっていたことはなんだったのかさえわからなくなる感覚に襲われる。動転するという表現が正しいのだろうか…
帯に何も起こらないのに面白いとされているが、果たして本当にそうなのだろうか?今村作品は不穏だとする書評があるが、言い得て妙であるとは思う一方私には馴染まない。
物語にはむらさきのスカートの女、それを観察する黄色いカーディガンの女が登場する。黄色いカーディガンの女の視点を通して、むらさきのスカートの女の出来事が語られている。
が、同時に、物語を読むものは黄色いカーディガンの女 -
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ネタバレハートフルストーリーではないので注意。
面白かったです!芸人さんがオススメしてたんだったかなぁ、テレビで紹介されていたので読みました。
読みやすく簡単な文章と、わかりやすい世界観なのでスラスラと読めました。タイトルのとんこつに似合わずあっさり、重い感じがなく読みやすい。(後味は悪い意味でこってり)
感想だけでネタバレになってしまいそうなので…ぜひ読んでいただきたいです。
ほっこりストーリーと思いきや、やられました。笑
とんこつQ&A→この主人公の不器用な感じわかるなぁ。→…あれ?なんかおかしいな。→ほっこりかな?→………やっぱり何かおかしいな。 といった感じで、どの話も薄気味悪いホ -
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芥川賞作家の今村夏子さんのデビュー作
『こちらあみ子』
私の人生で忘れられない一冊になりました
この本に出会えてよかった
あみ子は少し風変わりな女の子
場の空気が読めなかったり、
相手の気持ちに気付かず行動して傷つけてしまったり、
あみ子を取り巻く人たちが
良心と拒絶の葛藤に追い詰められていく様子も
すごく生々しくて胸が苦しくなった
あみ子自身にも悪気がないのでそれがまた切ない
私も子供の頃、あみ子ほどではないけれど
不器用で、人間関係に悩んでいた
うまく会話に入っていけなかったり
空気を読んでその場にふさわしい反応ができなかったり
みんなが当たり前のようにできていることが
できなくて、生