今村夏子のレビュー一覧
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すごくいい。
あみ子、世の中の普通じゃないところを背負ったあみ子は
堂々としていて、悲しくて、かっこいい。
痛いな、と思う、その痛さが自分に向かってきて、
あみ子になりたいというか、
自分の中にあみ子がいることに気づく。
あみ子の周りにいる人たちもそれぞれ痛くて、痛みを知っている。
とても好きな物語だった。
ピクニックの七瀬さんも痛い。
ルミたちという塊で表された一人格も痛い。
その痛みの心地よさ。
チズさんと、関係性がはっきりしないヘルパーも不思議な解放感が痛くてよかった。
いろんな感想をもったけれど、すべては町田康さんの解説に言い尽くされている。
愛のある素敵な文章。
穂村弘さんも、こ -
Posted by ブクログ
衝撃の作家にまた出会ってしまった。
『こちらあみ子』の周りの環境から弾かれた存在の生きづらさ。個人的な問題だけでなく、周りへの影響力まで切り込んで描いてる作品である。
この浮遊感、ファンタジーを読んでるような掴めなさがあるけどまた同時に寂しさとやるせなさを現実感を帯びて胸に迫る。
不思議な作品である。言葉では言い表せないけど中毒性がある。
『ピクニック』は、ホラーである。何が怖いってルミたちの顔と本心が見えない。話が進むにつれて、こちら側の異常さが際立ってきて恐ろしくなる。何もかも気づいているのに、分かった上で掌で転がして面白おかしく享受してしまおうという冷淡さ。同時並行の晴れやかな日常。 -
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ネタバレ初めての今村夏子の作品。
どの話も読み終わると何とも言えない気持ちにさせられた。
木になった亜沙は、もう世にも奇妙な世界観が凄かった。え?そうなる?そっちにいくのかー!と進む先が驚きの連続で、先が読めないとはまさにこの事だなと痛感した。斬新なお話だった。
的になった七未。この話が1番印象的だった。
最初は可哀想な子だなと思いながら読み進めていたが、子どもが産まれてからのストーリーが切なくて。
私自信も息子がいるので、尚更自分に置き換えたら…と考えて後半涙が…。
でも最後の最後に息子と再会し、射的の弾を愛する息子から当てて貰えたのを七未は母として嬉しく思ったんだろうなあと感じた。当ててもらい -
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以前、情報番組で宗教二世をフィーチャーした回を見たことがあります。その宗教は度々トラブルを起こして世間を騒がせていました。
匿名で番組に出演していたAさんは、親が信者であり、自身も生まれた時からその団体に所属しています。
客観的に見ると、怪しいしアウトでは?と思ってしまいますが、信者がいるというのもまた事実。
その団体が起こした事件を、信者はどのように思っているのか、なぜそれを受けても信じ続けるのか、ずっと疑問でした。
本作の主人公・ちひろも宗教二世です。
ちひろの属する宗教は人に迷惑こそかけないものの、かなり怪しいものです。それは、ちひろの同級生や叔父さんの反応でも描かれています。
宗教の -
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巻末の解説や、レビューでも「怖い」「不気味」といった言葉が多く見られる。確かに、と思う。一方で、親の視点から見るとそれとは別に悲しい印象も受けた。
読後、実家の両親のことが頭に浮かんだ。うちは両親と僕と妹の4人家族で、僕と妹は大学進学を機に上京したため、現在実家では両親が2人で暮らしている。
小さい頃、ペットが欲しい、犬か猫がいいと両親にねだった。家の外で飼うのはかわいそうだから家の中で飼いたいとお願いした。両親は、家の中が汚くなるからダメだと言って、結局ペットは飼えずじまいだった。
ところが僕と妹が実家を離れてから、両親は家の中で猫を飼いだした。里親募集で貰った猫や、野良の子猫など、どんど