今村夏子のレビュー一覧
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昨年映画を観てすごくよい作品だと思ったけれど、小説も素敵だった。映画で感じた空気感と小説だからわかる繊細な心情の動きが合わさり、より深みをもって読めた気がする。
信仰を持たずに生きていると、宗教、特に新興宗教に入信している人たちに対しては「ヤバい」という一方的な線引きを行なってしまいがち。しかし信じるものがあるということは、弱さでも奇妙さでもなく純粋さに通ずると思う。まっすぐだから信じられる。その過程には不幸もあるし、幸福もある。何を信じても、信じなくても、それは変わらないのだと思う。
映画の時には特に印象強くなかったけれど、春ちゃんの彼氏の宣誓がすごく素敵だった。 -
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現在の私がこの作品と出会ったタイミング・環境があまりにもドンピシャリすぎて、この上ない没入と共鳴を体験した表題作《こちらあみ子》。
本書は3つの短編が収録された作品集であるが、もうこの《あみ子》だけで星5をつけちゃうくらいに素晴らしい読書だった。久々に夢中になりすぎて電車を乗り過ごしちゃう本でした。しかも3回。ほんとに。
ただし、その他の話《ピクニック》と《チズさん》はそこまででもなかったかな。《ピクニック》はともかくとして《チズさん》は如何とも言い難い。
そもそも《チズさん》の話、最初に通読した時はもしかして2話目に登場した〈七瀬さん〉のスピンオフ的な話かな?と思って読み返したけど「全部、 -
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ネタバレ「こちらあみ子」映画版よりもあみ子の頭の中や心情がよく分かって切なくなった。引っ越した後にできた友達が映画にはいなかった存在で気になる。
「ピクニック」最初は優しい先輩たちだなと思ってしまった。虚言癖の人に付き合うのは優しさなのか悪意なのか分からなくなったが、楽しんでるのは後者だと感じる。淡々とした文章が恐ろしさを増幅していた。
「チズさん」左側に傾いてしまうチズさんというお婆さんの家に時々行って、買い物を手伝ったりしている主人公。ヘルパーさんではない。ある日チズさんの家族が家に来て、咄嗟に隠れようとするが寧ろ堂々と出て行こうかと考える主人公の一瞬の気の迷いとか、お誕生日ケーキを持ってきた自分 -
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ネタバレあみ子は、「悲しみ」「寂しさ」「怒り」などの感情があまり見られず、周りの人が当たり前のようにこなす「空気を読む」こと、「気を遣う」ことができない少女だ。発達障害だと思う。そのずれが、あみ子の意図とは関係なく、周囲との対立やすれ違いを生じさせていくところに、どうしようもない切なさを感じた。
このような子供に強い感情が生じる時、周りが押さえられないような特有の爆発性がある。心理学でも習った気がする。例えばのり君に「殺す」と言われてもなお「好きじゃ」と叫びながら伝える場面だ。「あみ子のこころは容赦なく砕けた」という文章からは、他の場面では感じられないあみ子の感情の昂りが伝わってくる。
私の周りに、特 -
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物語を読み進めていくにつれてだんだん「わたし」の状況がわかってくる不思議な読書感。
私自身も大学時代バイト先の友人に誘われて集会に行ったことがある。何人かのグループに分かれて、話になって座って自分の話をした記憶がある。
全面に宗教は出てこなかったし、誘ってきた女の子も全面には宗教感は出してこなかったけど、そういう人なのだというのはなんとなく知ってた。
周りの友人も誘われて集会に参加したことがあると言っていたが、詳細については内容語りたがらなかったし、入会したという話も聞かなかった。
身近にも危険は潜んでいる、そんな事を思い出した。
子供の頃から親が熱心な人だと、それが当然のものと思って抜け出す -
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ネタバレとにかく不気味でした。たまに現実でも存在する、何でも真似してきていつのまにかその人になろうとしている人の頭の中を覗いたような作品でした。
まるでその人の感情や行動を全て理解しているかのように、善意と好意でストーカー行為をしているのがいい意味で気持ち悪かったです。人間に全てを理解することなんて出来ないのに!
ラストの主人公がむらさきスカートの女に手を差し伸べるシーンでは、男子中学生が考えるヒーローのような登場の仕方をしていて気持ち悪さと異質さを感じました。ずっとこの会話を主人公は練習していたのかなと考えると本気すぎて滑稽にも見えますが。
ここまで一人の人間に執着できるのは楽しいだろうなと思いつつ -
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ネタバレ初めての今村夏子の作品。
どの話も読み終わると何とも言えない気持ちにさせられた。
木になった亜沙は、もう世にも奇妙な世界観が凄かった。え?そうなる?そっちにいくのかー!と進む先が驚きの連続で、先が読めないとはまさにこの事だなと痛感した。斬新なお話だった。
的になった七未。この話が1番印象的だった。
最初は可哀想な子だなと思いながら読み進めていたが、子どもが産まれてからのストーリーが切なくて。
私自信も息子がいるので、尚更自分に置き換えたら…と考えて後半涙が…。
でも最後の最後に息子と再会し、射的の弾を愛する息子から当てて貰えたのを七未は母として嬉しく思ったんだろうなあと感じた。当ててもらい -
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以前、情報番組で宗教二世をフィーチャーした回を見たことがあります。その宗教は度々トラブルを起こして世間を騒がせていました。
匿名で番組に出演していたAさんは、親が信者であり、自身も生まれた時からその団体に所属しています。
客観的に見ると、怪しいしアウトでは?と思ってしまいますが、信者がいるというのもまた事実。
その団体が起こした事件を、信者はどのように思っているのか、なぜそれを受けても信じ続けるのか、ずっと疑問でした。
本作の主人公・ちひろも宗教二世です。
ちひろの属する宗教は人に迷惑こそかけないものの、かなり怪しいもの。それは、ちひろの同級生や叔父さんの反応でも描かれている。
宗教の内部に -
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巻末の解説や、レビューでも「怖い」「不気味」といった言葉が多く見られる。確かに、と思う。一方で、親の視点から見るとそれとは別に悲しい印象も受けた。
読後、実家の両親のことが頭に浮かんだ。うちは両親と僕と妹の4人家族で、僕と妹は大学進学を機に上京したため、現在実家では両親が2人で暮らしている。
小さい頃、ペットが欲しい、犬か猫がいいと両親にねだった。家の外で飼うのはかわいそうだから家の中で飼いたいとお願いした。両親は、家の中が汚くなるからダメだと言って、結局ペットは飼えずじまいだった。
ところが僕と妹が実家を離れてから、両親は家の中で猫を飼いだした。里親募集で貰った猫や、野良の子猫など、どんど