【感想・ネタバレ】あひるのレビュー

あらすじ

我が家にあひるがやってきた。知人から頼まれて飼うことになったあひるの名前は「のりたま」。娘のわたしは、2階の部屋にこもって資格試験の勉強をしている。あひるが来てから、近所の子どもたちが頻繁に遊びにくるようになった。喜んだ両親は子どもたちをのりたまと遊ばせるだけでなく、客間で宿題をさせたり、お菓子をふるまったりするようになる。しかし、のりたまが体調を崩し、動物病院へ運ばれていくと子どもたちはぱったりとこなくなってしまった。2週間後、帰ってきたのりたまは、なぜか以前よりも小さくなっていて……。なにげない日常に潜む違和感と不安をユーモラスに切り取った、著者の第二作品集。

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Posted by ブクログ

今村夏子のユニークさは万人が感じ入るところであろう。

だけど、なぜユニークなのか、と問われると言い淀んでしまう。明確に示すのが難しいこともあるが、明確にしてしまうことをためらわせる仄暗い場所にその魅力が隠されている。平時では見えないふりをしている人間社会の裏側が顕現しまうことが恐ろしい。

では、「あひる」について。
愛くるしいあひるを介して育まれる一般的な家庭と近所の子どもたちとの触れ合い。和気あいあいであるべきテーマである。ハートウォーミングな展開も期待できる。だが当然、裏切られる。

語り手の不遇、家族間の不和、新興宗教の影、弟の粗暴と人間の実存に関わる問題がぽつりぽつりと現れてくる。主人公の一人であるあひるすら存在が安定しておらず、この物語の不穏さがどんどん際立ってくる。

物語のラストでは、主人公の取り巻く環境に小さくない変化が生じる。周囲を構成する要素が改変される。変化していく環境と、以前と変わらない生活が続く主人公との乖離。同じ空間で過ごしているのに違う世界に住むような違和感がある。主人公の未来や展望が期待できない、滞留している水たまりのような不衛生な暮らしが続くことを予感させる。

ネタバレ回避で観念的な感想となってしまうが、語り口の平易さと物語に通底する人間社会の不条理さを感じさせるテーマとのアンバランス。今村夏子にしか表現できない読み応えが、癖になる。

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2026年02月26日

Posted by ブクログ

TVで確か光浦靖子さんがオススメするのを観て、ずっと気になっていた本。
ものすごく好みのお話でした。
表題のあひるはもちろん、それ以外の2作品もストライク。
ちょっとゾクゾクする日常。
私もあひるかもな、とか、将来あひるを求めてしまいそうだな、とか、思ったりもしました。
ちなみに、短くて文体もかなり読みやすいので、普段本読まない人でもストレス無く読めそうです。
色んな人人に勧めたいし、この方の他の作品も読んでみたい。

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追記●すみません、紹介してたの、オードリーの若林さんでした

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2026年01月24日

Posted by ブクログ

3つのお話からなる短編集。最初の「あひる」。友人から譲り受けたあひるを飼う家族が…と、ストーリーもタイトルも可愛らしい。なんて思っていたら大間違いだ。読み進めるうちに、背筋がゾクゾクしてくる。そして最後のお話。これを読むことで「あひる」で理解できなかった部分も納得できた。静かな文章の中の狂気。正常と異常の狭間を漂っている感覚に、私の脳もふわふわくらくらした。素晴らしい小説です。

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2025年05月24日

Posted by ブクログ

今村夏子さんがすき。
不気味な、でももしかしたら身近に居そうな人たちのことを書いている気がする。
あひるの他の短編ふたつは主人公の視点が別で描かれていて、繋がっています。

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2025年02月25日

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巻末の解説や、レビューでも「怖い」「不気味」といった言葉が多く見られる。確かに、と思う。一方で、親の視点から見るとそれとは別に悲しい印象も受けた。

読後、実家の両親のことが頭に浮かんだ。うちは両親と僕と妹の4人家族で、僕と妹は大学進学を機に上京したため、現在実家では両親が2人で暮らしている。
小さい頃、ペットが欲しい、犬か猫がいいと両親にねだった。家の外で飼うのはかわいそうだから家の中で飼いたいとお願いした。両親は、家の中が汚くなるからダメだと言って、結局ペットは飼えずじまいだった。
ところが僕と妹が実家を離れてから、両親は家の中で猫を飼いだした。里親募集で貰った猫や、野良の子猫など、どんどん増えて4匹になった。猫は家具や壁を引っ掻き回すし、粗相をする子もいて、たまに帰る実家は以前より荒れている。両親はあまり気にしていないようで、一応作った家族のグループラインには可愛い猫の写真がたまに送られてくる。
年末は必ず帰っていた実家に、去年は帰らなかった。実家というのは意外とやることもなく退屈だ。だけど今年は、猫に会いに実家に帰ってみようと思う。

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2024年02月13日

匿名

購入済み

ほのぼのした悪夢

シンプルでほのぼのした文体の作品なので軽く読み進められてしまうけど、描かれていることはけしてシンプルじゃなくて悪夢のよう。気がつくとぐったり疲れている自分がいた。

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2022年06月16日

Posted by ブクログ

解説を読まないと、ゾクゾクしたまま終わる。まあ解説を読んだところで腑に落ちることは数パーセントしかないけれど(笑)

今村夏子さんの作品は現実感が強い。ファンタジーの世界だと思えないリアルな出来事が発生するので、そこから異世界に徐々に飛ばされていく気持ちいい感覚がある。そして、ふわっと終わる。な!?という気持ち。

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2025年12月16日

Posted by ブクログ

ずっと不気味な印象だった、それを解説されるわけでもないから何も明かされることがないまま、スッキリしないまま終わるそんな感覚だった。
ちょっと難しいので解説読みたい

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あひる、おばあちゃんの家、森の兄妹の三遍。

あひるで、お誕生日会の夜にやってきたのは、ただの
図々しい子どもだろうと思っていたら、翌朝主人公が
あひるに感謝していたのので驚いた!そんな純粋な思考は生まれなかった笑 両親と子どもたちの振る舞いに
もやもやしながら読んでいた。そして兄夫婦の赤ちゃんが産まれたことで、あっけなく壊されるあひる小屋。
安心や幸せな気持ちを得る為に、何かに依存するのは
普通のことなんだけど、こうして物語として淡々と
語られると、結構怖いことをしているんだなあと思う。

おばあちゃんの家では、おばあちゃんの足腰が弱いはず
なのに、そうとは思えないエピソードが出てくる。
すぐ隣に住む、血の繋がりのない息子夫婦に何か遠慮しているの?認知症かなにかで、そのストッパーが外れて自由に振る舞えるようになった?なら良かった。
話し声やおはぎの件は、森の兄妹とのお話の繋がりで多分モリオにあげていたんだろうと真相が分かって少し安心。
森の兄妹のモリオはいじめられっ子。おばあちゃんとの
交流を戸惑いつつ楽しんでいた。でも、拾った汚い手袋でマンガを読んでいるのをお母さんに見られたことで、
(多分)全巻買ってもらうことができた。それから二度と
おばあちゃんに会いに行くことはなかった。

あひるや、おばあちゃん。人はそのとき自分に、
より必要なものを選んで、それまで依存していたものを
切り捨てる。捨てるという意識すらないかも。自分も
無意識に、いろんなものを捨てて生きているんだなあ、と怖くなった。

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2026年03月15日

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あひるのお話、おばあさんのお話、兄妹のお話。
いいお話だなと油断させておいて、突如として不穏な空気が立ち込めて…。
今村夏子作品は、本当に一筋縄ではいきません。
この作品を完全に理解できた読者はどれだけいるのだろう。
未読の方は、ぜひ挑戦してもらいたい。

なお、文庫本にも関わらず文字のサイズが大きめで、とても読みやすかったのだが、もしかするとこれも、今村夏子による意図的なものか…。

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2026年02月13日

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表紙がかわいい。3篇の短編。
「あひる」以外の2編はハッキリと連作なんだけど、「あひる」の主人公は「おばあちゃんの家」のみのりだったり、モリオも学校でのりたまの噂を聞いてたんじゃないかとか。この不穏な雰囲気で、勝手にゴチャゴチャと繋がってしまう。

「あひる」
主人公もその両親も不穏。自分達には縁がなくボンヤリ諦めていた事、でも実は喉から手が出るほど欲しくて毎日祈りさえしてた事。
それが小さなきっかけで手が届きそうになったら…なんだか身につまされてくる。だいたいだんだん暴走していくのも、両者の想いの差みたいなものも切ない。唯一弟の存在が希望のような気もしますが、この先どうなるのかな。

「おばあちゃんの家」「森の兄妹」
おばあちゃんと兄妹が出会う話が両方の視点で描かれます。
家族の誰とも血が繋がっておらず離れで暮らしているおばあちゃんの、一見穏やかに見える生活と
何かを患っている母をもつ、妹想いのいいヤツ・モリオの決して明るくはない日常。
胸をざわざわさせるトリガーがこれでもかと仕込まれています。ホントに盛り盛りでもう、お腹いっぱい!

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

繊細で、視点が独特で、脆くてなんとも切ない書き方をする今村さん。
2作目なんですね

この時からきっと繊細で、見たものしか書かない人なんだろうな。

私が今村夏子さんの作品を読むのも2作目。

どんどんのめり込んでしまう本を書けるのはなんでだろう。
悲しいアヒルの話が1番のめりこんだ。

他の作品もまとめて買ったのでよんでみます

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

こちらもじわっと怖かった
あれ、夢かな自分の勘違いなのかななんでみんな普通なの?って日常でもわりとよく感じる感情

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2025年09月12日

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ネタバレ

”代替可能”がテーマの短編が3篇入った一冊。主人公も、あひるも、漫画も、おばあちゃんも、もしなくなってもその代わりの役割をするものはいくらでもある。私がいなくなっても誰も困らなないだろうと考えたことは何度もあるが、それを小説で読むと不気味で、本当は代わりなんていないのではないかという気分にもなった。

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2025年07月28日

Posted by ブクログ

納得のいく読み方が自分の中で見つからなかった。けれど、腑に落ちないからこそ漠然とした不安を感じて印象に残る3編だった。

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2025年06月17日

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どの話も主題、今村夏子さんの伝えたいことが分からないのに独特な雰囲気があり面白かった。今村さんが描く人間はどこか偏りがあって生々しく、時には愛おしくも思えるのが良い。

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2025年05月12日

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心をざわつかせる3作の短編。
「あひる」「おばあちゃんの家」「森の兄妹」
解説 今村夏子は何について書いているのか 西崎 憲

何だろう、心のささくれが取り切れないような感覚の
読後感。まだ残っている小さなささくれが、痛い。
普通の日常が不条理な日常へ進行する不安感が漂う。
違うあひるに換わる不可思議さ、夜中に来た男の子の不穏さ。
歪な親子関係。“わたし”はどうなってしまうのか。
おばあちゃんの変化は高野文子の「田辺のつる」が脳内を過る。
彼女に出会うモリオという子供の視線は、
子供時代に味わう不可思議な体験を自分の成長で
置き去りにしてしまう、一時の記憶のように感じた。

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

不穏さを味わう作品だと感じた。一見平穏な日常の中に小さな違和感がぽつりぽつりと現れて、けれども作者も主人公もそれを深く追わずそっと目を逸らす。そんな感じ。違和感があるからどうということはない、けれどどうしてかおかしなところがある。その追われることのない違和感を想像で追ってみる(考察する)のがこの本の楽しみ方なのかもしれない。
一言で言えば不思議だった。かなり好きだった。

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2025年03月14日

Posted by ブクログ

医療資格の勉強をしている「わたし」と両親が暮らす家に、知人から譲り受けた一羽のあひるがやってくる。
それをきっかけに、近所の子どもたちが集まり、静かだった家に少しずつにぎやかさが戻っていく——そんな日常を、子どもの日記のように淡々と綴った物語。

一見穏やかな日常の中に、ふとした違和感や不穏さが顔をのぞかせ、読み手の心に静かなざわめきを残す。
しかし同時に、あひるの存在にくすりと笑ってしまう可笑しさや、他者への温かなまなざし、人間の存在そのものへの愛しさや、どこか諦観めいた無常感も漂う。
どの印象も間違いではなく、それでいてどれか一つでは語りきれない——この言い尽くせなさこそが、この物語の大きな魅力である。

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2025年03月12日

Posted by ブクログ

あひるがかわいいジャケ買い本。文字も大きくすぐに読み切れた。
3編のうち2話と3話は繋がっているお話だった。相変わらず今村夏子さんの作品は不気味だ。あひるというかわいいイメージとは異なる違和感、不気味さがじわじわ迫ってくる。
後ろでおばあちゃんが見ていないか少し怖くなる。

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2025年03月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なにか子供時代を思い出すような、柔らかい内容でした。モリオが手汗を防ぐために手袋を拾って友達から借りた漫画を読む記述は、当人からすると画期的な発想かもしれませんが大人から見ると信じられない光景であるように、子どもと大人でモノの見方が違うことを感じますが、子どもの頃はもっと自由であったことを思い出しました。

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2025年03月09日

Posted by ブクログ

この本、いろいろ感じるものがあった。
読後、感じたことを記録として残したいと思ったが一言ではまとまらず、一旦思いを整理しようと記述を離れ、その時感じたことが書けなくなった。
読後、不可解な思いも残ったし、他の読者の感想を読んだが、私の捉えや感じ方と違うことが多かった。
もう一度読んだら、また新たな何かを感じることができそうだと思った。
また読み返したい作品。

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

よくわからない。というのが率直な感想。
ほのぼのとした書き口で進む作品ではあるけれど、なんだか心がざわつく。この何かわからないモヤモヤした感じがいいのか?怖いような、それとも読者としてちゃんと受け取れていないのか?

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2025年12月27日

Posted by ブクログ

今村さん作品は初めまして。
書店で手に取った時、内容まったく知らないのに表紙の絵を見て「このあひるは生きているのか死んでいるのか…」と考えてしまった。

決定的に恐ろしかったり残酷だったりする訳ではないけれど、不穏で心がざわざわした。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

また良く分からない本を読んでしまった。
一見かわいらしいタイトルと装画に騙された。
表紙の装画も良く見るとコップか花瓶のような器に花と一緒にあひるが窮屈に入れられている。この装画の意味するものはなんだろう?

 心がざわざわ、読後モヤモヤさせられる3作の短篇を収録。
どの物語も幽霊や殺人鬼が出てくるようなホラー小説ではないが読んでいて背筋が薄ら寒くなる。

〇『あひる』
一羽のあひる「のりたま」がペットとしてやってきたところから物語は始まる。
それをきっかけに近所の子供達が集まり始めるが…
一見、あたたかな絵に描いたような家族だけど
何か変?どこかおかしい?胸に何かがずっと引っ掛かっている感じだ。
所々に違和感が散りばめられていて小さな染みが気付いたら大きくなっていたようなじっとりとした感じがする。
机の中の写真は誰の写真だろう?何かこわー。

解説にもあるように「今村夏子が何について書いているのかまだ誰も知らない。」答えは読者委せ。
多くを語らないことで読み手に不気味さや不穏な空気を感じさせる筆致には感服。
『こちらあみ子』とはまた違った面白さがあった。

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

どの話も読んだ後にモヤモヤが残って、何の話?何が言いたかったんだ?…となりました。今村夏子さんらしい作品ですね。

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2025年10月18日

Posted by ブクログ

 『おばあちゃんの家』『森の兄弟』はわからないことが多くモヤモヤしたまま終わってしまったが、表題作の『あひる』はとても好みでおもしろかった。

 読後の感情を表す言葉が見つからない。不安? 不快? どれもしっくりこない気がする。不快といっても悪い意味ではない。じわじわと日常に潜む不安が増幅していって、足元が覚束なくなる感覚。
 あひるや両親、子どもたち、「わたし」までもが、なんだか異様な存在に見えてくる。

 3つのお話はどれも“代わり”について書いているのかな、と思った。気持ちはわからないでもないが、残酷というか、冷たいというか。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

今村夏子さんは、星の子、紫スカートの女に次ぐ3冊目。日常を描いているのに、そこに潜む孤独が見透ける今村ワールドに引き込まれる。

タイトル作含む短編3本。どれも奇妙で不気味な話だけど、なぜか、かつて自分も経験したことあるような気もしてきて、心をざわつかせる。かつて見た悪夢かな…?

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

全編を通して少し不安になる空気が漂っていた。物語の中の一部として生きているものがとても不安定で捉えどころがないからかもしれない。
あひるののりたまは家族の生活の一部としてとても大切な位置にいた。家族の会話のきっかけになり、明るい雰囲気を与えてくれる。
それが突然いなくなり、姿が少し変わって帰ってくる。いなくなったあとに流れる家族間の空気が不安になる。のりたまが果たしていた役割は近所の子供達に変わり、最後弟に取って代わったように見える。
家族は何かに依存することで、明るい家庭を築いていたように見えた。

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

"こういうお話"と説明出来ない物語。読み始めから常に?って感じで、読み終わりも???って感じ。文章は読めるのに物語は謎だらけ。「のりたま」という名前を忘れてしまうくらいなのに、なぜ飼い続けるのか。たまにいる、でも結構近くにいる変な人を観察しているような話だった。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

小さなもやもやが尾をひいていく__日常に潜む不安と恐怖をユーモアで切り取る短編集
私は何に恐怖を抱いているのか?何を見せられているのか?読み終えてこれだという答えがなく、漠然とした違和感だけが残る。この感覚が初めてで動揺している...なんか悔しい。感覚を研ぎ澄まして再読しないと。

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2025年04月09日

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