今村夏子のレビュー一覧

  • 星の子

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    ネタバレ

    面白かった。はじめはカルト宗教に関わった家族が歪み壊れていく暗い話かと思ったけれど、読んでいくうちにそんなことはなくて驚いた。
    確かに小説の中心に宗教はあって、そのせいで姉がいなくなったり生活が貧しくなったりとかはあるけれど、想像していたようなそれが原因で極度のいじめに合うだとかいうのはなく、かといって受入れられているわけでもない。少し遠巻きにされたりバカにされたりはあるけれど、先生に詰められた時はクラスメイト達が慰めてくれたりもする。カルト宗教というと怖い、怪しい、近寄りがたいというイメージがあったけれど、実際に二世の生活ってこんな感じなのかな?と思わせる不思議な説得力があった。もちろんあくまで一例、それも想像上の一例だろうけれど。
    両親がちひろと宗教に対してどういった優先順位でどんな心境なのかいまいち掴めなかったけれど、ラストで確かにちひろは愛されている、宗教に傾倒したのも元はちひろの為で、これからのちひろの為の選択を選ぼうとしている雰囲気が感じられて思わず泣いてしまった。巻末の対談を読むと、作者はそうと決めて書いたわけではなさそうだったけれど、私にはそう感じられたので、そういうラストだったんだと思うことにします!

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    2026年07月14日
  • こちらあみ子

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    三編とも、一瞬で壊れてしまいそうな恐怖が漂う。そんな飴細工のような世界を、同情的でなくかといって突き放すでもない語りが構築する。凄まじいバランスだ

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    2026年07月09日
  • とんこつQ&A

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    読後、面白いという意味でざらりとした不気味さが残る感覚でした。
    イヤミスに近いような、最後うわぁ…こわぁ…となる話もあれば、え、それでいいの!?とツッコミたくなるようなどこかおかしな話があったり。
    あえてすっきりと終わらない絶妙なさじ加減がすごいです笑
    でもどこか、こうゆう部分あるかも。と既視感のあるようなところもあってすごい人間観察した気分になりました笑

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    2026年07月08日
  • こちらあみ子

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    表題作と中編1つと短編1つ

    ・こちらあみ子
    映画を先に視聴済み
    原作と大体同じ

    無垢なあみ子は周囲を壊していく

    時代背景としては昭和か平成初期くらいなのだろうか?
    令和の今、もしくは田舎ではなく都会なら違った育ち方もあったのかもしれない

    安易に知的障害だとか発達障害だとか断定してはいけないのだろうけど
    「普通の子」とは違っているので、継母としてはあれこれあった上でのあの態度なのだろうなぁ

    返事の帰ってこないトランシーバーの片割れがあみ子の状況を象徴している

    寝込んでいる母を励まそうと、「弟の墓」の札をのり君に書いてもらうところ
    とても残酷なのだけど、その残酷さをあみ子は理解できない
    のり君の訝しげにしつつも書いてあげたんだよな
    まぁ、その後で親にめちゃくちゃ怒られたとあみ子に愚痴ってるけど

    村田沙耶香「コンビニ人間」を読んだ時にも思ったけど、思考に一般的な倫理観や価値観が入らない人は恐ろしい
    あみ子も悪気があってやってるわけではなく、善意でやってることでも周囲の人にとっては人の心がないように見えてしまう
    あみ子も上手く一般の人に擬態できればまだ違ってただろうけど、擬態には一般人の行動を理解してトレースする必要があって
    この家族の中でそれは難しいと思う


    小学校の頃はまだ兄が傍にいたけど
    あみ子が中学生になると、兄ではなく「田中先輩」として認識されている
    もう、かつての兄はいないという事なのだろうな


    映画を見てても恐ろしかった、保健室でのり君と二人のシーン
    のり君のブチギレ
    あみ子の「好きじゃ」に対しての「殺す」
    その場面だけ見ればのり君に否があるように見えるけど
    あみ子の「好きじゃ」は暴力だし、のり君に殴られてやっと安堵する描写のアンバランス具合が文学的なものを感じる

    もう手の施しようがないため、あみ子を手放すことにした父
    あみ子は今の母親と離婚して引っ越す事を想像するけど、実は出ていくのは自分だけという勘違い
    ここも残酷だよな

    死産したのは弟ではなく妹だったのをようやく告げる父
    そんな事すらあみ子は知らなかったわけで
    誰もあみ子に向き合ってこなかったというのが伺い知れる

    でも、最後の最後にお兄ちゃんが助けに来てくれる

    でも、兄が捨てた鳥の巣が家族崩壊を象徴しているのだろう
    昔はあみ子を窘めたり助けたりしてくれた兄
    「幽霊の音」に怯えるあみ子を助けてくれたけど、それが家族としての最後を象徴しているのが皮肉


    ところで、あみ子の実母はどうなってるのだろ?
    死別?それとも単なる離婚?

    離婚という言葉をあみ子が知ってたので、離婚だと思うのだけど

    となると、実母が別れた理由もあみ子だったりするのだろうか?
    だからこそ、兄が継母をほくろおばけではないという諭しがあったのかも


    映画を見ても辛かったし、ストーリーを知ってて小説を読むのも辛かった
    あみ子
    でも、小説だと冒頭と最後にあみ子の現在の状況が描かれていて
    のんびりといた情景に安堵を感じるとともに、それが全てではなさそうだし、さらにこの後にどうなるかを考えるとやはり不安になる



    ・ピクニック
    お笑いタレントと付き合っているという七瀬さんと、お店で働くルミ達のお話

    お笑いタレントの「春げんき」と付き合っているという七瀬さん
    彼が子供の頃に川に落としてしまった靴を川下で拾い、そのエピソードがラジオで語られた事が縁で付き合い始めたという

    何か違和感があると思いつつ読み進めて
    やはり何か可怪しいなぁと読み終わった

    映画「花束みたいな恋をした」で
    「今村夏子さんの『ピクニック』を読んでも何も感じない人」という表現が出てきたけど、一体どんな意味だろうと思って他の人の感想を読んだ

    なるほど、七瀬さんは虚言癖で、ルミ達はそれを知りつつ引くに引けない状況にして楽しんでいたと
    醜悪だなぁ……

    言われてみればなるほどと思ったけど、自分では気づかなかった
    どうやら私は「今村夏子の「ピクニック」を読んでも何も感じない人」だったわ
    いや、感じないわけではないのだけど、気づかなかった

    だって、小説は地の文や書かれてあることはとりあえず信じてしまうじゃない?

    七瀬さんの言うことはどこからどこまでが本当なのだろう?
    やはり、最初から最後まで全部嘘、なのだろうなぁ

    ルミ達が続きのシナリオを考えたり、メモを残すところが醜悪

    新人さんの方がまだマシな人に思えてくるけど
    結局は同じ側に行ったものなぁ
    その結末としての「ピクニック」
    悪意の塊だわ

    それに気付けなかった自分にショック

    多分、あみ子が周囲の理解を得られずに孤立化していった話なので
    七瀬さんもちょっと変わった人だけど、理解と応援してくれる人がいてよかったね という感情になってしまっていた

    もしそんな前提条件がなかったら気付けてた
    はず?



    ・チズさん
    近所に住むおばあちゃんのチズさん
    まっすぐ立てない歩けない
    小学生くらいの子を見かけると孫の名前を口にする

    老いとはこういうものなのでしょうね
    家族が尋ねてくるけど、その状況もまざまざと目に浮かぶ



    それにしても、今村夏子さんは「むらさきのスカートの女」でも、結局何が起こったのか説明が少ない物語だったし
    「星の子」も最後に宗教に取り込まれたのか、家族を取り戻したのか判別が難しいラストシーンだったし
    読者の想像力に色々と委ねる作家性なのだろうか?

    だとしたら、私は作者の想像する読者に達していないような気がする

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    第26回太宰治賞&第24回三島由紀夫賞 W受賞
    読む人のたましいを揺さぶる、
    芥川賞作家・今村夏子の衝撃デビュー作

    あみ子は、少し風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれる兄、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、憧れの同級生のり君。純粋なあみ子の行動が、周囲の人々を否応なしに変えていく過程を少女の無垢な視線で鮮やかに描き、独自の世界を示したデビュー作。短編「ピクニック」「チズさん」を収録。
    解説:町田康・穂村弘

    「いつか、たった一人の読者の手によって、ボロボロになるまで繰り返し読んでもらえるような物語を生み出すことができたら、どんなにか幸せだろうと思っています。そういう物語は、書く側が命懸けで臨まない限り決して生まれてこないのだと、今更ながら思い知った次第です。」── 今村夏子(太宰治賞受賞の言葉より)
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    2026年07月08日
  • とんこつQ&A

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    読み進める時、なるほどそっちに進むのね、となる。はいはい、これは面白いわ。今村夏子さん、流石です。おぉー、ここまでいくのね。んぁ?
    って感じ。一本道のように続いていくストーリーの中に、明確な分かれ道はない。決められた道を歩かされるようだけど、綺麗に舗装されていて、進みやすい。にも関わらず、進んだ先には全く見覚えのないし、見ようともしなかった景色が広がっている。どこで歩く道が変わったのかもわからないけど、今ここにいることが全てだった。
    確かに、所々ヒビのようなものが刻まれているが、歩道に関して言えば特段珍しい事ではない。でも、多分、おそらく、確信はないけど、どこかでわたしは躓いて、ここにいる。進むはずのない道を進んでしまった。でも、これを望んでいたことは否めない。素晴らしい。

    とんこつQ&A
    特に凄いのが、最後の一文の頭。
    「というわけで、」
    この一語からどこまでも広がっていく。製作者側の意見すぎるし、既に決定していることに対して、後から理由を付けた時に言うセリフすぎる。先に事実(虚像?)があって、次に裏付けのシーン(虚言?)があった。
    そう思えて仕方がない。

    良夫婦
    これが一番好きかもしれない。こんな物語が読みたかった。人間の丸裸が描かれて、その構成もまた、人間味をより強く押し出している。

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    2026年06月11日
  • こちらあみ子

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    短編?話が変わって、これ誰だろって思ってたけど別に誰でもなかった。自己解釈系は少し苦手だけど、日常として見れば面白かった

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    2026年06月10日
  • とんこつQ&A

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    今村節炸裂な短編集。個人的にはとんこつQ&Aがツボでした。

    どの作品も絶妙に掴みどころがない。日常を描いているのにどこか不気味。

    身に覚えのある小さな好奇心やいやらしさを極限まで増幅させ、それを物語の主軸にしているような気がする。主義主張を際立たせるための装飾品として使われるものが本体として語られているような。だから、知ってるのに知らないものを延々と読まされてる気分になり、なんともいえない不気味さを感じる。そしてこれが中毒になっちゃうんですよね。

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    2026年06月07日
  • とんこつQ&A

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    むらさきのスカートの女…の人か、って未読なんだけど。

    短編4集、途中まではわりとスムーズなお話なのに、だんだんと得体の知れない気持ち悪さがでてくる感じ。それぞれの作品名も、ははーん?となりいい。

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    2026年05月30日
  • 父と私の桜尾通り商店街

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    今村ワールドが炸裂している短編集ばっかりで良かった。
    最後に収録されている今村夏子へのインタビューで作中の主人公たちについて「一生懸命さが痛々しいというか、見ていられないです。でもそこが魅力だとも思います」と答えていて、その通りだなと思った。
    優秀な作家はやっぱり自分の作品を客観視出来る目を持っており、しっかりと自分の武器を分かっているのだ。

    表題作の「父と私の桜尾通り商店街」は主人公の偏り具合が群抜いて気持ち悪くて良い。
    個人的に好きな作品は「ひょうたんの精」。
    今村作品らしい気持ち悪さ、不気味さもありつつ神話的なところが好き。

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    2026年05月30日
  • こちらあみ子

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    ネタバレ

    この本を読んでずっと心がヒリヒリしていた。
    あみ子は今の時代であればわかりやすく病名のつくような発達系の障害を抱えていると思う。
    私はこの本に出会うまで、こういうハンデを持つ子どもは両親や周りからのサポートを受けて当たり前と思っていた。
    でもその理解がなく、大人達からのサポートを受けれない「変な子」とレッテルを貼られる事でまるで犯罪者のような扱いになってしまう怖さがあった。
    あみ子に翻弄されている周りの人々と、それに傷つくあみ子が見ていられなかった。
    最後は色々な想像ができる終わり方で、私はあみ子が居心地の良い場所に行けたと解釈している。
    まだまだ私の知らない事が多いことと、知っていることで見方が変わることを学んだ。
    電車で何かに怒って叫んでいる人も、自分のコントロールができず困っているのかもしれない。
    そういう所に気づいて助けられる人になりたい。

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    2026年05月11日
  • こちらあみ子

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    すごく好き。
    あみ子視点だけど、あみ子の周囲の人の気持ちのほうが透けて見えやすくて、浮き出てくる違和感がいい。
    でもどちらかというとピクニックのほうが好き。
    感情が削られて表情が見えない不穏な感じ、いいなあ。分厚いメガネをかけて見てる現実っぽい。

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    2026年05月09日
  • あひる

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    初、今村夏子作品。
    平易な文章で書かれているため読みやすく、物語の中にスッと入っていけるが、何処か居心地の悪さを感じさせる不安感が漂う。
    本当にこの物語の中に入ってよかったのか。
    直接的に人間の暗部を描いているわけじゃないのに、自分の暗いところとか隠している部分みたいなところを突かれている感じがした。
    クセになりそう。

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    2026年05月07日
  • 星の子

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    ヤバい宗教の会員の両親に育てたれている子供が主人公ですが、自分の子供の頃と重なる部分もあり、気持ちは少しだけわかりました。
    うちの両親はクリスチャンなのですが、宗教の中でもポピュラーなので、そこまで苦労はしませんでしたし、アメリカではむしろマジョリティなので、アメリカにいた頃の方が楽でしたが、日本ではやはり親の言うことと世間の反応のギャップにズレを感じていました。
    そんな感情を如実に表しているのが著書であり、創◯学会やオ◯ム真理教の会員2世の方々なんかも共感できる部分が多いのかなと思いました。
    ただ、昔から変わらず日本人の宗教に対する偏見は、世界に比べてかなり多いとう印象もずっと持っています。

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    2026年05月06日
  • 星の子

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    なぜだか夢中で読み進め、このあとどうなるんだろうと思ってページを捲ったらお話が終わってしまった。

    安易な救いも、涙を誘うような展開もないまま閉じた世界が閉じて行った。

    星を眺めるあのラストをどう解釈したらいいんだろう。幸せな家族の、そこには確かに愛情があるという描写、とも取れなくはないけれど、私は不気味さや不穏さを感じるな、と思った。

    砦の外にいる人間に危害を加えるわけではなくても、周りから見た時の宗教や信仰は奇怪で意味不明で恐ろしいものだったりする。信じるものが違う時、距離を置く以外の方法で解決しうる人間関係ってあるのかな。この本を読んでいて、私は主人公におじおばのところに逃げて欲しいなと思ったし、絶対逃げるべきとさえ思ったけど、本人の見ている世界は周りが思うほど深刻では(まだ)ない、というところが生々しかった。

    公園で見かけた、見慣れたはずの両親の姿を「はじめて見た」と思う場面が印象深い。あと、先生の似顔絵が計算用紙になる所が好き。

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    2026年05月04日
  • こちらあみ子

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    純文学というものは面白い。
    読み手によって、様々な解釈ができるというのは、文芸作品ではなかなか得難い体験だろう。
    一度読むだけでは理解が難しい作品でもあるので、何度も読み直して登場人物たちの心情に分け入ってみたい。
    表題作の「こちらあみ子」も良かったが、自分は「ピクニック」の方が好きかもしれない。

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    2026年05月03日
  • あひる

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    本作はいずれも平易な文章で構成されて読みやすいのだが、内容については不思議な
    ことに、それぞれの作品で起きた不可思議な現象が、何を意味するのかははっきりしない。しかし、そのような違和感が浮き彫りになるからこそ、記憶に刻まれる。

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    2026年05月03日
  • 星の子

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    主人公のちひろが幼少期に病気がちだったため、両親はカルト宗教にハマる。姉は出ていった。親戚はちひろを心配している。
    ちひろ自身は宗教を狂信している訳ではなく、疑ってもなく。そんな中、日常が過ぎていく。

    安直な落ちがなくてよかった。

    巻末に小川洋子さんとの対談が収録されており、著者の別作品についても語られていて興味深く読んだ。

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    2026年04月12日
  • こちらあみ子

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    読んでてずっと心が穏やかでなかった。でもなぜか読む手は止まらなかった。読み終わっても全然スッキリしなかった。なんだこれ。

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    2026年04月12日
  • あひる

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     表題作はアヒルの『のりたま』を中心とした人々の様子が、主人公の視点から淡々と語られるお話です。
     作中で一番遠くからのりたまを眺めているのが彼女なのですが、誰よりもよくのりたまを見ていたのも彼女だったかもしれません。
     資格取得を目指して試験勉強中の主人公は、のりたまを構いに来る近所の小学生達が自宅の敷地内で騒いでいても、勉強の妨げになると腹を立てるようなことはありません。
     自室(二階)から様子を窺うだけで子供達に直接干渉することもなく、家が賑やかになって喜ぶ両親を何も言わず静かに見守りながら、遊びに来る子供達が好きそうなお菓子をコッソリ買い足しておいたりなど、陰からそっと、さり気ないサポートをするようなタイプです。彼女の言動からは、物静かで冷静な人物像や、周りをよく見ていてるなぁという印象を受けます。

     物語には特に起伏もなく平坦で、終始静かなのに何故か不気味っていう、今村さんらしいお話なのですが、動物と一緒に暮らした経験のある人に刺さるような箇所がいくつかありました。主人公がのりたまの体を丁寧に清めてあげるシーンは思わずグッときてしまいました。
     もう一つ印象的だったのが、他人と家族との線引きがはっきりと描写された場面でした。誕生日会のエピソードは、その差を酷くあっさりと、情け容赦なく突き付けるもので、謎の少年が主人公の想像通りであってほしいと願わずにいられないです。

     『あひる』の他に二篇の短編も収められていまして、こちらは是非、間を開けず続けて読むことをお薦めしたいです。
     ふたつのお話はお互いにリンクしていて、内側から見たおばあちゃんと、外側から見たおばあちゃんの違いに注目して読むと面白いです。おばあちゃんの複雑な境遇を想うと、おばあちゃん子の私は非常に胸が痛みます……。それにしても、おばあちゃんに訪れた本当の変化点は一体どこだったんでしょう……??

     そして三作品通して、作中に登場する子供たちの解像度がとにかく素晴らしいです。
     小説の中でこんなにも生き生きとしたガキンチョ共を描く作家さんに出会った事がなかったので、とても新鮮で驚きました。本当に目に浮かぶようです……!

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    2026年04月12日
  • あひる

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    4.0

    少し奇妙で不気味な日常。大事件が起こるわけでもないのにどうして面白いんだろう?
    翻訳小説はだいたい半月かけて読むのだけど、
    これは一日で読み終わってしまったことに驚いている。

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    2026年04月05日