今村夏子のレビュー一覧

  • 星の子

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    ネタバレ

    語弊を恐れずに言えば、これぞ「THE・純文学」という感じ。
    本当に何か特殊な超次元現象が起こるわけでもなくただ淡々と日常が進んでいく。それでも物語が退屈にならずに成立している理由は「親が信仰宗教に傾倒している」という非日常的な事態が根底にあるからである。

    内容自体に人生を示唆するような名言があるわけでは無い。ひたすらに主人公のちひろの視点で描かれた心象をなぞるのだが、読者側には「本当にそれでいいの?」という奇妙な違和感を常に残し続ける。
    この「宗教が日常に溶け込んだ人」と「そうでない人」のギャップが読者と主人公の間には確実にあり、その不穏さがどこまでも面白い。

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    2025年08月08日
  • 星の子

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    何年か前に映画『星の子』の完成報告イベントで、芦田愛菜さんが語った「信じること」についての言葉

    『「信じる」とは、理想像に期待するのではなく、相手のすべてを受け入れること。揺れる自分や相手の様々な面を受け止めることが、本当の信じる姿ではないか。』

    この言葉がずっと心に残っていて、ようやく原作を手に取ることができた。

    物語は、病弱な子どものために宗教にのめり込んでいく家族の話。
    元首相暗殺事件をきっかけに、宗教二世として壮絶な人生を生きる人々の存在を知った。だからこそ、「子は親を選べない」という現実が、より一層残酷に感じられた。
    そう考えながら読み始めたが、そこに描かれていたのは、「愛して

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    2025年08月07日
  • 星の子

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    大人は子供にとって、大きく強い。それは良くも悪くも。常に大きな影響を与えている。
    親のみでなく、教師、友達の親、または全くの他人であっても。
    子供はその影響から逃げることができずに、凹む、破れる、割れる。そしてまた、いびつに組み立てる。(自分の手で)

    大人の善意がかえって子供を絶望させることもあるし、子どもの無垢な想いも大人の些細な虚栄に打ち砕かれることがある。
    これは子供にとっては暴力だ。

    幼い頃の私にとっても、大人は得体の知れないものであった。
    唯一頼れる母親も、いつも違う顔をしていた。
    父は一際遠くにいる人だった。
    教師は決して味方では無かった。

    今となれば、大人だって人であり、そ

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    2025年07月31日
  • あひる

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    ネタバレ

    ”代替可能”がテーマの短編が3篇入った一冊。主人公も、あひるも、漫画も、おばあちゃんも、もしなくなってもその代わりの役割をするものはいくらでもある。私がいなくなっても誰も困らなないだろうと考えたことは何度もあるが、それを小説で読むと不気味で、本当は代わりなんていないのではないかという気分にもなった。

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    2025年07月28日
  • あひる

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    納得のいく読み方が自分の中で見つからなかった。けれど、腑に落ちないからこそ漠然とした不安を感じて印象に残る3編だった。

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    2025年06月17日
  • 星の子

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    ネタバレ

    この本はとても自分に合っていた。読みやすい文体ということもあって、心にすっと染み込んでくるように読むことができた。
    ちひろはずっと狭い世界で生きている。両親がちひろを狭い世界に閉じ込めているようだった。
    ちひろを取り巻く環境の中で宗教が絡み、不穏な空気が漂う瞬間がある。それがなぜか心地よかった。
    騙されている両親が悪いとは言えないかもしれない。両親は娘を救うため何かを信用して頼る必要があった。みんな騙されて、みんな何かを信用して生きているのではないか。
    そうして息が詰まるような狭い世界で、生きづらさを感じている。
    ちひろにもいつか人生どうにもならなくなる瞬間がくるだろう。そのとき何に頼るのだろ

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    2025年06月16日
  • 木になった亜沙

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    表題作ももちろんおもしろかったのだけど、個人的に印象が強いのは「ある夜の思い出」の方だった。
    地面を這い回って生活する様子は、カフカの「変身」と同じイメージで頭の中で再生されて、まるで映像を観たような強烈な印象が残った。
    非日常的な生活と運命的な出会いとアクシデントで最後は日常に戻って、「ある夜の思い出」として回顧される。
    ある夜の思い出で済む話かよ…と思いながら笑いが込み上げて、今村さんは天才だなと思った。

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    2025年05月25日
  • あひる

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    どの話も主題、今村夏子さんの伝えたいことが分からないのに独特な雰囲気があり面白かった。今村さんが描く人間はどこか偏りがあって生々しく、時には愛おしくも思えるのが良い。

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    2025年05月12日
  • あひる

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    心をざわつかせる3作の短編。
    「あひる」「おばあちゃんの家」「森の兄妹」
    解説 今村夏子は何について書いているのか 西崎 憲

    何だろう、心のささくれが取り切れないような感覚の
    読後感。まだ残っている小さなささくれが、痛い。
    普通の日常が不条理な日常へ進行する不安感が漂う。
    違うあひるに換わる不可思議さ、夜中に来た男の子の不穏さ。
    歪な親子関係。“わたし”はどうなってしまうのか。
    おばあちゃんの変化は高野文子の「田辺のつる」が脳内を過る。
    彼女に出会うモリオという子供の視線は、
    子供時代に味わう不可思議な体験を自分の成長で
    置き去りにしてしまう、一時の記憶のように感じた。

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    2025年05月10日
  • 木になった亜沙

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    どうやったら思いつくのか分からない、独特で不気味な話だった。途中で止めるのが何か不安で、読む手が止まらなくなってしまう、不思議な感覚だった。
    ところどころギャグ要素もあるが、それがちゃんと笑えつつも、不気味な世界観を全く壊していないのもすごいと思った。

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    2025年04月06日
  • 木になった亜沙

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    彼女たちの切実な願いは純粋で、生きていくうちに変形し、歪になっていった__
    今村さんの作品はいつも私を新しい世界に触れさせようとする。なんか気味悪い、でも読みたいと気持ちが浮遊するから面白い。
    ボーナスエッセイと村田沙耶香さんの解説がまた良かったのです。

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    2025年03月18日
  • あひる

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    不穏さを味わう作品だと感じた。一見平穏な日常の中に小さな違和感がぽつりぽつりと現れて、けれども作者も主人公もそれを深く追わずそっと目を逸らす。そんな感じ。違和感があるからどうということはない、けれどどうしてかおかしなところがある。その追われることのない違和感を想像で追ってみる(考察する)のがこの本の楽しみ方なのかもしれない。
    一言で言えば不思議だった。かなり好きだった。

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    2025年03月14日
  • あひる

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    医療資格の勉強をしている「わたし」と両親が暮らす家に、知人から譲り受けた一羽のあひるがやってくる。
    それをきっかけに、近所の子どもたちが集まり、静かだった家に少しずつにぎやかさが戻っていく——そんな日常を、子どもの日記のように淡々と綴った物語。

    一見穏やかな日常の中に、ふとした違和感や不穏さが顔をのぞかせ、読み手の心に静かなざわめきを残す。
    しかし同時に、あひるの存在にくすりと笑ってしまう可笑しさや、他者への温かなまなざし、人間の存在そのものへの愛しさや、どこか諦観めいた無常感も漂う。
    どの印象も間違いではなく、それでいてどれか一つでは語りきれない——この言い尽くせなさこそが、この物語の大き

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    2025年03月12日
  • あひる

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    あひるがかわいいジャケ買い本。文字も大きくすぐに読み切れた。
    3編のうち2話と3話は繋がっているお話だった。相変わらず今村夏子さんの作品は不気味だ。あひるというかわいいイメージとは異なる違和感、不気味さがじわじわ迫ってくる。
    後ろでおばあちゃんが見ていないか少し怖くなる。

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    2025年03月11日
  • あひる

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    ネタバレ

    なにか子供時代を思い出すような、柔らかい内容でした。モリオが手汗を防ぐために手袋を拾って友達から借りた漫画を読む記述は、当人からすると画期的な発想かもしれませんが大人から見ると信じられない光景であるように、子どもと大人でモノの見方が違うことを感じますが、子どもの頃はもっと自由であったことを思い出しました。

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    2025年03月09日
  • あひる

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    ネタバレ

    解説にもある通り、何について書かれているのか一言で言い表せない。テーマが分からない。そこが良さになっている感じがある。

    あひる
    おだやかな小説のふりをして違和感だらけの不気味な話。
    あひるを選んだのが絶妙。今までかわいいと思ってきたけどあの造形ってよくよく見ると奇妙だよな。。。
    完璧に構築されている傑作。

    おばあちゃんの家
    こちらも全体にただよう不気味さがよいのだが、最後はちょっと読者を置いてけぼりにして不思議な方向にいきすぎた感じがやや滑っているかな。

    森の兄妹
    ヘンゼルとグレーテルを思わせる、童話の雰囲気をまとった作品。兄妹から距離をおくお母さんだなと思いながら読んでいたら、最後に突

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    2025年01月28日
  • あひる

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    この本、いろいろ感じるものがあった。
    読後、感じたことを記録として残したいと思ったが一言ではまとまらず、一旦思いを整理しようと記述を離れ、その時感じたことが書けなくなった。
    読後、不可解な思いも残ったし、他の読者の感想を読んだが、私の捉えや感じ方と違うことが多かった。
    もう一度読んだら、また新たな何かを感じることができそうだと思った。
    また読み返したい作品。

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    2025年02月08日
  • 父と私の桜尾通り商店街

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    紫のスカートの女が面白かったので手にした
    今村さんらしさが溢れる短編集
    なんかよくわからないけど、なんかいい

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    2025年01月18日
  • 木になった亜沙

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    すごーく独特の世界観を満喫できました。不気味過ぎるのですが、なぜか引き込まれて一気読みでした。
    「むらさきスカートの女」に引き続き2作目に読んだ今村夏子さん作品。楽しめました。

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    2024年12月07日
  • 父と私の桜尾通り商店街

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    『白いセーター』がお気に入り。
    家に帰って1人になった時に「あぁー……」ってなる日がある。何か嫌なことがあって、それがどうして嫌なのかとか、本当はそんな自分が一番嫌なんだ、とかそんなことを思う日がある。そういう日の何とも言えない沈んだ気持ちになった。

    今村さんは"どこか変な人"を描くのが上手い。ちょっと不気味だったり違和感を感じる人がよく出てくる。でもそれが普通の人間なのかもしれない。
    一つ一つの行動にいちいち理由や根拠があるとは限らない。どんな人間にも善の心と悪の心の両方があってどちらかのサイドにのみ属している人はいないのだと思う。

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    2024年12月01日