今村夏子のレビュー一覧
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純粋な魂のかたちはきっとこの世界には馴染まなくて、がたごとといびつな音をたててしまうのだろう。本人はただひたすらに生きているだけ。けれどそれは人間社会という複雑な仕組みの中では異物で、どうしても弾き出されてしまう。
その在り方の悲しみが前編に満ちていて読み終えた後にずっと心の底に重い悲しみが残る。
しかし、彼女たちのような存在が隣にいたとして、受け入れることが出来るだろうか。
私にはできない。
彼ら彼女らの心が素直で純粋であればあるほど、いたたまれない気持ちになって目を背けたいと思うだろうし、実際にそうして来た。
本当は(私だって好きなことだけをしたい)
本当は(私だって好きな人とだけ話 -
Posted by ブクログ
3編収録された短編集。
表題作は発達障害の女の子の物語です。
映画化されたので知ってる人も多いはず。
読む人によってはあみ子に憧れを抱くようですが、私は終始辛かったです。
きちんとした支援を受ければこんなことにはならなかったのに。
どうして大人の誰もが何もしないで放っておくのだろう。
ネグレクトじゃん…って思ってしまいました。
周りがあみ子に振り回されて不幸になっていくのも悲しいです。
誰も悪くないからこそ苦しかったです。
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第26回太宰治賞&第24回三島由紀夫賞 W受賞
読む人のたましいを揺さぶる、
芥川賞作家・今村夏子の衝撃 -
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ネタバレ語弊を恐れずに言えば、これぞ「THE・純文学」という感じ。
本当に何か特殊な超次元現象が起こるわけでもなくただ淡々と日常が進んでいく。それでも物語が退屈にならずに成立している理由は「親が信仰宗教に傾倒している」という非日常的な事態が根底にあるからである。
内容自体に人生を示唆するような名言があるわけでは無い。ひたすらに主人公のちひろの視点で描かれた心象をなぞるのだが、読者側には「本当にそれでいいの?」という奇妙な違和感を常に残し続ける。
この「宗教が日常に溶け込んだ人」と「そうでない人」のギャップが読者と主人公の間には確実にあり、その不穏さがどこまでも面白い。 -
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何年か前に映画『星の子』の完成報告イベントで、芦田愛菜さんが語った「信じること」についての言葉
『「信じる」とは、理想像に期待するのではなく、相手のすべてを受け入れること。揺れる自分や相手の様々な面を受け止めることが、本当の信じる姿ではないか。』
この言葉がずっと心に残っていて、ようやく原作を手に取ることができた。
物語は、病弱な子どものために宗教にのめり込んでいく家族の話。
元首相暗殺事件をきっかけに、宗教二世として壮絶な人生を生きる人々の存在を知った。だからこそ、「子は親を選べない」という現実が、より一層残酷に感じられた。
そう考えながら読み始めたが、そこに描かれていたのは、「愛して -
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大人は子供にとって、大きく強い。それは良くも悪くも。常に大きな影響を与えている。
親のみでなく、教師、友達の親、または全くの他人であっても。
子供はその影響から逃げることができずに、凹む、破れる、割れる。そしてまた、いびつに組み立てる。(自分の手で)
大人の善意がかえって子供を絶望させることもあるし、子どもの無垢な想いも大人の些細な虚栄に打ち砕かれることがある。
これは子供にとっては暴力だ。
幼い頃の私にとっても、大人は得体の知れないものであった。
唯一頼れる母親も、いつも違う顔をしていた。
父は一際遠くにいる人だった。
教師は決して味方では無かった。
今となれば、大人だって人であり、そ -
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ネタバレこの本はとても自分に合っていた。読みやすい文体ということもあって、心にすっと染み込んでくるように読むことができた。
ちひろはずっと狭い世界で生きている。両親がちひろを狭い世界に閉じ込めているようだった。
ちひろを取り巻く環境の中で宗教が絡み、不穏な空気が漂う瞬間がある。それがなぜか心地よかった。
騙されている両親が悪いとは言えないかもしれない。両親は娘を救うため何かを信用して頼る必要があった。みんな騙されて、みんな何かを信用して生きているのではないか。
そうして息が詰まるような狭い世界で、生きづらさを感じている。
ちひろにもいつか人生どうにもならなくなる瞬間がくるだろう。そのとき何に頼るのだろ