今村夏子のレビュー一覧
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ネタバレ今村夏子、7冊目が無事文庫化した。
この作家が「こちらあみ子」(2011)から「あひる」(2016)に書き継いでくれたことがありがたいし、その後単行本化の数年後に文庫化が続いていること自体、純文学の出版界隈がちゃんと機能していることの証だと思う。
この作品集に収められた4作を一概にまとめることはできないので、詳しくは読書メモに書くにとどめるが、ざっくりいえば、やっぱり人の善意と悪意の間で振り子が揺れている作者で、読者がどのタイミングでどの作品に出会うか、もまた、感じ方が変わるんだろうな。
それだけギリギリの切っ先で、血肉を削って書いているんだろうな。
こんなに平易な文章なのに。
■「とんこつ -
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表紙がかわいい。3篇の短編。
「あひる」以外の2編はハッキリと連作なんだけど、「あひる」の主人公は「おばあちゃんの家」のみのりだったり、モリオも学校でのりたまの噂を聞いてたんじゃないかとか。この不穏な雰囲気で、勝手にゴチャゴチャと繋がってしまう。
「あひる」
主人公もその両親も不穏。自分達には縁がなくボンヤリ諦めていた事、でも実は喉から手が出るほど欲しくて毎日祈りさえしてた事。
それが小さなきっかけで手が届きそうになったら…なんだか身につまされてくる。だいたいだんだん暴走していくのも、両者の想いの差みたいなものも切ない。唯一弟の存在が希望のような気もしますが、この先どうなるのかな。
「おば -
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ネタバレ「こちらあみ子」
発達障害、知的障害と思われる主人公あみ子。
両親、兄、同級生ののり君はいずれも寄り添う姿勢で接しているが、あみ子の言動に振り回され、のちに離れていく。
何が起こっているか、何が問題かも分かっていないあみ子。
何がまずかったのか教えてあげれればよかったのかな。教えてあげたら、彼女は理解できたのかな?周りのキャラクターたちには、とっくに諦められてしまっている。(諦めていない同級生もいるのだ泣。あみ子は興味なさそうだけど)
彼女は一応幸せそうに暮らしているようだから、そこは救い。
いつまでも幼い子供のように純粋で素直なあみ子に憧れる、という方も多いようであるが、私はどうしても周り -
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今村夏子さん『むらさきのスカートの女』からの2作目!
ある出来事から宗教を信仰する主人公ちひろとその家族の話。
ちひろは実際のところ宗教を信仰しているかは分からないが、ちひろの友達や親戚の宗教に対する感じ方も書かれており、ちひろは当たり前のことをしている感覚だが、客観的に見た時に全然違うのが気味悪い。実際にちひろが公園で両親がある行動をしているところを見かけた時の気持ちは計り知れない。
読後感はスッキリするわけでは無いが、「もしかしたらこういうこと??」みたいな感じはあって怖い。
ただちひろには家族に振り回されず自分らしい人生を歩めるといいなと思った。
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いわゆる普通から外れた女性たちの人生を描いた短編集。良くも悪くも彼女たちの言動は周りを巻き込み、周囲の人たちの“普通”を揺さぶる。
こんなにも読み手の感じ方で印象が変わる本は初めてかもしれない。読む人の経験や価値観によって、まるで違う物語になると思う。読んだ人同士で語り合いたくなるそんな一冊。
『こちらあみ子』
おそらく何かしらの障害があると思われる主人公・あみ子の無邪気な言動は、周囲の人たちの心に鋭く突き刺さる。壊れていく家族の中で、ただ一人、純粋なままのあみ子。あみ子の目を通した世界と、客観的な視点が交互に描かれることで、人と人との微妙な距離感や、理解し合えないもどかしさが浮かび上がっ