今村夏子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ終始、語り手の存在が何処にあるのかが気になり過ぎて、真に楽しむことができなかったのでは無いかと思った。著者の文章には細部の表現や描写に、計り知れないほどの魅力があると私は考えている。本作では、その魅力を魅力であると思う暇もなく読み終えた。それがこの本を読み終えた感想にしてしまうのは勿体無い気もするが、この感想で私は褒めているから、許して欲しい。とてつもなく読みやすいということ。芥川賞らしく無い、面白いエンタメ小説のように読んでしまったから、次読む機会があればもっと細部に目を向けたい。
帯に「何も起こっていないのに面白い」と書かれてあったが、それは全くもって見当違いじゃ無いか? とだけ思った。最初から最後まで語り手がストーキングしてるんだから、常に何かは起こってるだろと思った。 -
Posted by ブクログ
なんだこれという、一言では言い表せないような読後感。読みやすい文章と短い物語で一気に読み終えただけに、不可解で謎めいた雰囲気が際立った。純粋なミステリーやホラーではないのだろうけど、それに似た不穏で背後につきまとうような怖さを感じた。書評で様々な解釈ができると言われており、自分に当てはまる解釈を探し出してすっきりさせたいという気持ちになった。後味が悪いという意味でのモヤモヤではなくて、読んだ後の解釈への興味を駆り立てるワクワクにも近くて、中毒性があるというのも少しわかる気がした。サクッと読めて変わった読書体験がしたい方にはいい小説だと思う。
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Posted by ブクログ
ネタバレ2016年芥川賞受賞作。
’黄色いカーディガンの女’の視点で話が進む。
’黄色いカーディガンの女’は’むらさきのスカートの女’と友達になりたいようで、ずっと意識して一挙手一投足を追っている。
むらさきのスカートの女を追うために、無銭飲食をしてそのことにまるで罪悪感を抱いていないかったり、その意識の仕方が異常で狂気じみている。
と、同時に自分の生活はままなっておらず、仕事先の備品を売ってお金を作っていたり、裁判所から明け渡しの催告状が届いていたり、、
色んな読み方ができる本だと思った。
・黄色いカーディガンの女は他者に意識が向きすぎて、自分の行動を顧みられていない。他者に意識が向いた分、自分を顧みるエネルギーはなくなるのではないか?(自分というか、他に注ぐエネルギー)
・むらさきのスカートの女はお話の中で他者によって印象や評価が変わっていく。社会の中で「その人自身」ということは存在するのか?
・黄色いカーディガンの女はなぜここまで、むらさきのスカートの女に執着しているのか?「友達になりたい」と出ていたが、どうして自分から話しかけたりしないのか?→自分の現実を直視できないから?
・お話の中で黄色いカーディガンの女の存在がここまで薄いのはなぜか、、、→ムラサキの女に意識が向いているので自分への他者からの視線などに気付いていない、、?
私は黄色いカーディガンの女は他者に意識が向きすぎて、自分の行動を顧みられておらず、自分がないがしろにされているように感じた。
他者に意識が向きすぎて自分のことを考えられなくなることは、自分に意識が向きすぎて周りが見えなくなることと同様に怖いことだと思った。
私は、客観的にみて、まずは自分を満たすために、自分が大切だと思えるものにエネルギーを注ぎたいと思った -
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最初の3つは自分の善意が気付かぬうちに歪んだ形に変容していく様を描いている。
「とんこつQ&A」は、自分のために行なった純粋な行為が徐々に変容していく。人のためになり、気づけば自分の理想の押し付けに。良かれと思っている行為が独善的な行為に変わっていく怖さ。
「嘘の道」は、レッテルを貼ったりラベリングをすることによる不気味さ。そして純粋な善意が事故を生んでしまう怖さ。嘘をつき巡り巡って自分に返ってくる不気味さが描かれている。
「良夫婦」は主人公の「自分の行為は相手のためを思っているだけ。悪いことはしていない」という自覚のない自己満足的な善意。個人的にはこれが1番タチ悪いと思う。
「冷たい大根の煮物」はこれまでと逆で善意を受け取る側の立場。ちょっとやるせないけど、結果主人公にとっても良い影響になってるので救われる。
4つのどれかはきっと一度は経験したことや聞いたことがあるような話。不気味だけど「自分はこんなことしたことないた」と言い切れないのが不気味さを生み出している。 -
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今村夏子作品らしい平易な言葉で書かれているおかげですぐ読み終わった。
生理的に気持ち悪くてもう読むのやめたいと思うけど、読むのがやめられない。
見せ物小屋ってこんな感じだったのかなと思った。
ボーナスエッセイも面白かった。
ボーナスエッセイっていうタイトルもいいなと思う。
作品とかエッセイなどから作者の陰性をすごく感じていたけど、日記もちゃんと陰性に溢れていてなんか安心した。
ネガティブでも暗い人間でも、世の中に上手く適合出来なくても、生きていていいのかなと思わせてくれる力が今村夏子作品にはあると思う。
マイナスの魅力を感じさせてくれる作者。
そのままでいて欲しいなと思うけど、陽性の今村夏子作品も読んでみたい気もする。 -
Posted by ブクログ
森田めぐみさんの『書店員は見た!』でオススメされていたので、手に取ってみた。
表題作の『あひる』を含む3作が収録された短編集。児童書のような優しい文体なのに、その奥に潜む不穏な空気感が印象的な作品だった。
物語自体はのどかな日常を描いているが、どこかシュールで足元が覚束ないような感覚に陥る。あひる然り、おばあちゃん然りどこかホラーめいた違和感…。結局何だったんだろう??と、あえて全てを明かさないフワッとしたオチにざわざわとさせられる。
これこそが、今村夏子ワールドの真骨頂なのだろうか。
いろいろな解釈や考察がありそうで、一筋縄ではいかない複雑な余韻を残す作品だった。 -
Posted by ブクログ
不穏さと不思議さと変な懐かしさとどういうこと?!という色んな感情があった作品でした。
小さい頃、近所に大型犬だけど穏やかな性格の犬がいてよくガレージの外から友達と見に行ってて途中から飼い主のお父さんが家にあげてくれてお菓子やジュースをくれるようになり、次第に友達とお菓子目的で遊びに行くようになり騒ぎ出すようになって娘さんに怒られて行かなくなったことを思い出しました、、
子どもの頃の移り気の早さとか遠慮のなさとか、悪気がない分自分にも思い当たる事が多くて気まずい気持ちになりました、、
私も小さい頃ニワトリを飼っていた頃があったけど、ひよこのときはぴーちゃんと呼んで可愛がってた記憶は薄っすらあるけどニワトリになってから小屋にも近づかなくなっていつの間にかいなくなって、後で聞いたら食べたみたいで、、なんか色々思い出にしてはあまり思い出したくないことを思い出した感じでした。 -
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今村夏子さんの本で一番好きなのは、むらさきのスカートの女です。
それでものすごく今村夏子さんにハマって、色んな本を買いました。そのうちの1冊がこの「木になった亜沙」。
木になった亜沙と的になった七未がわたしには印象的でした。切ないのだけど、救われる…。
でも七未の方は救われたのか?七未からしたら救われたかもしれないけれど、読んでいるわたしたちからしたらバッドエンドのような気もします。噂のメリーバッドエンドというやつかもしれません。
しかしこの不思議な世界観は今村夏子さんだからこそできる内容だと思います。本当に尊敬する…。
エッセイも普通に良かったです。だめなのが更にだめになって…なんて書いてあるのを見て「あ…こんなにすごい作家さんでもそう思うことがあるんだ…」と思いました。