【感想・ネタバレ】星の子のレビュー

あらすじ

林ちひろは中学3年生。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形をゆがめていく。野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、芥川賞作家のもうひとつの代表作。《巻末対談・小川洋子》

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Posted by ブクログ

信じるってなんだろう
信じているものが怪しくても本人たちが満足して納得して幸せなら他の人があれこれ言う権利はあるのか
信じることって悪いことなのか何を信じればいいのかそんなことを考えさせられる作品だった
淡々と物語は進むが常に信じることについて問われている気がして悶々とした

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

昨年映画を観てすごくよい作品だと思ったけれど、小説も素敵だった。映画で感じた空気感と小説だからわかる繊細な心情の動きが合わさり、より深みをもって読めた気がする。
信仰を持たずに生きていると、宗教、特に新興宗教に入信している人たちに対しては「ヤバい」という一方的な線引きを行なってしまいがち。しかし信じるものがあるということは、弱さでも奇妙さでもなく純粋さに通ずると思う。まっすぐだから信じられる。その過程には不幸もあるし、幸福もある。何を信じても、信じなくても、それは変わらないのだと思う。
映画の時には特に印象強くなかったけれど、春ちゃんの彼氏の宣誓がすごく素敵だった。

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2025年10月31日

Posted by ブクログ

物語を読み進めていくにつれてだんだん「わたし」の状況がわかってくる不思議な読書感。
私自身も大学時代バイト先の友人に誘われて集会に行ったことがある。何人かのグループに分かれて、話になって座って自分の話をした記憶がある。
全面に宗教は出てこなかったし、誘ってきた女の子も全面には宗教感は出してこなかったけど、そういう人なのだというのはなんとなく知ってた。
周りの友人も誘われて集会に参加したことがあると言っていたが、詳細については内容語りたがらなかったし、入会したという話も聞かなかった。
身近にも危険は潜んでいる、そんな事を思い出した。
子供の頃から親が熱心な人だと、それが当然のものと思って抜け出すのは難しい、与えられた環境を変えるのは困難だ。宗教が原因で婚約が破棄になった話も聞いたことがある。問題なのは、宗教親に悪気はなく、かれらもまた被害者たりうるということ、解決の糸口はどこにあるのか。

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

あらすじを読んだとき、あぁ、きっと「家族の崩壊」とか「家族愛による救出」みたいなテーマなんだろうなと思ったけど実際は全然違って、「信じる/信じない」というのが最大のテーマだと感じました。
愛する両親の信仰と世間の意見の狭間で揺れる主人公の気持ちが切ないしとても共感できて胸が苦しく余韻が残る1冊。

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2025年03月01日

Posted by ブクログ

以前、情報番組で宗教二世をフィーチャーした回を見たことがあります。その宗教は度々トラブルを起こして世間を騒がせていました。
匿名で番組に出演していたAさんは、親が信者であり、自身も生まれた時からその団体に所属しています。
客観的に見ると、怪しいしアウトでは?と思ってしまいますが、信者がいるというのもまた事実。
その団体が起こした事件を、信者はどのように思っているのか、なぜそれを受けても信じ続けるのか、ずっと疑問でした。

本作の主人公・ちひろも宗教二世です。
ちひろの属する宗教は人に迷惑こそかけないものの、かなり怪しいものです。それは、ちひろの同級生や叔父さんの反応でも描かれています。
宗教の内部にいながら、外側の感覚も合わせ持っているちひろの視点や心の動きは、Aさんに通ずるものがあると感じ、とても興味深かったです。
ちひろもAさんも、自らが属する宗教のおかしな点、ちょっとした違和感に気が付いています。

物語終盤、ちひろが「両親になかなか会えない」場面があります。同じ合宿に参加し、同じ会場にいるはずなのに、その姿を数日間見かけませんでした。
なんてことないすれ違いだったのです。大人数が参加していますし、そんなことも起こり得ます。
しかし、両親に会えない間、ちひろは言いようのない不安に駆られます。

ちひろは、宗教が原因で好きな人から変な目で見られたり、嫌な思いをたくさんしたものの、その団体に居続けることを選びます。それはちひろにとってこのコミュニティーこそがホームだからなのでしょう。
先に述べた情報番組の最後でAさんは、「自身の団体におかしな点があることは認識しているが、それでも、これからもこのコミュニティーの中にいたい」と語っていました。
小さい頃から慣れ親しみ、仲間もたくさんいるその場所で生きていきたいというのは、ごく自然なことなのです。

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2025年02月22日

Posted by ブクログ

今村夏子さん『むらさきのスカートの女』からの2作目!
ある出来事から宗教を信仰する主人公ちひろとその家族の話。
ちひろは実際のところ宗教を信仰しているかは分からないが、ちひろの友達や親戚の宗教に対する感じ方も書かれており、ちひろは当たり前のことをしている感覚だが、客観的に見た時に全然違うのが気味悪い。実際にちひろが公園で両親がある行動をしているところを見かけた時の気持ちは計り知れない。

読後感はスッキリするわけでは無いが、「もしかしたらこういうこと??」みたいな感じはあって怖い。
ただちひろには家族に振り回されず自分らしい人生を歩めるといいなと思った。


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2025年10月15日

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じわっと怖いラスト
じわじわっとくる作風 何がくるのか言語化できないけどじわじわ迫ってきてゾワっとするのがなかなかクセになる作家さん

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2025年09月12日

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いわゆる宗教2世である、中学3年のちひろの目線で
物語は進みます。
両親が宗教にのめり込んだきっかけは病弱だった自分。
なんとも言えない状況だけど、そして姉は出て行ってしまったけど、意外にもちひろは明るく過ごしている。
その明るさが切ないなぁ。
信仰って救いなんだろうけど、難しい。
ラストは私には薄ら怖かった。

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2025年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

語弊を恐れずに言えば、これぞ「THE・純文学」という感じ。
本当に何か特殊な超次元現象が起こるわけでもなくただ淡々と日常が進んでいく。それでも物語が退屈にならずに成立している理由は「親が信仰宗教に傾倒している」という非日常的な事態が根底にあるからである。

内容自体に人生を示唆するような名言があるわけでは無い。ひたすらに主人公のちひろの視点で描かれた心象をなぞるのだが、読者側には「本当にそれでいいの?」という奇妙な違和感を常に残し続ける。
この「宗教が日常に溶け込んだ人」と「そうでない人」のギャップが読者と主人公の間には確実にあり、その不穏さがどこまでも面白い。

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2025年08月08日

Posted by ブクログ

何年か前に映画『星の子』の完成報告イベントで、芦田愛菜さんが語った「信じること」についての言葉

『「信じる」とは、理想像に期待するのではなく、相手のすべてを受け入れること。揺れる自分や相手の様々な面を受け止めることが、本当の信じる姿ではないか。』

この言葉がずっと心に残っていて、ようやく原作を手に取ることができた。

物語は、病弱な子どものために宗教にのめり込んでいく家族の話。
元首相暗殺事件をきっかけに、宗教二世として壮絶な人生を生きる人々の存在を知った。だからこそ、「子は親を選べない」という現実が、より一層残酷に感じられた。
そう考えながら読み始めたが、そこに描かれていたのは、「愛している」「繋がっている」からこその痛みと残酷さ。
異様な家庭環境に育ちながらも、周囲には理解者がいて、本人も両親の異常さに気づいている。けれど、そこに悪意がないからこそ、かえって苦しさが増していく。

この物語にあるのは、現実にあり得る優しさと葛藤。
まっすぐな愛情が誰かを傷つけるように、「信じる」とは理想を抱くことではなく、揺れる心ごと相手を受け入れることなのだと気づかされる。

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

大人は子供にとって、大きく強い。それは良くも悪くも。常に大きな影響を与えている。
親のみでなく、教師、友達の親、または全くの他人であっても。
子供はその影響から逃げることができずに、凹む、破れる、割れる。そしてまた、いびつに組み立てる。(自分の手で)

大人の善意がかえって子供を絶望させることもあるし、子どもの無垢な想いも大人の些細な虚栄に打ち砕かれることがある。
これは子供にとっては暴力だ。

幼い頃の私にとっても、大人は得体の知れないものであった。
唯一頼れる母親も、いつも違う顔をしていた。
父は一際遠くにいる人だった。
教師は決して味方では無かった。

今となれば、大人だって人であり、それぞれに弱さを持つことがわかる。しかし子供には理解できない。

今村さんの他の著書「こちらあみ子」の母や、本作の教師、南の心理を子供が図るのは難しいだろう。故に子供は傷つくしかない。
今村さんはその混乱を子供視点で描いてくださる。

歳は大人になっても、私の中には、まだ子どもの私がいるのだと思う。
私は今でも大人の男性が怖い。

ならばどうしよう。
本作では「信じること」しかないと言っているように思う。それが偽りの神でも、悪意ある友でも。
人は、信じることしかできない。

「ぼくは、ぼくの好きな人が信じるものを、一緒に信じたいです」

そばにいても同じものが見えていない。
近づいてもすれ違ってしまう。
でも、だからこそ、近くにいられるときは、どんな言い訳をしても、少しでも長く、肩を寄せていたい。

一緒に月を見ていたい。ずっと。
それは私にとって、唯一の止まり木だからです。

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2025年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本はとても自分に合っていた。読みやすい文体ということもあって、心にすっと染み込んでくるように読むことができた。
ちひろはずっと狭い世界で生きている。両親がちひろを狭い世界に閉じ込めているようだった。
ちひろを取り巻く環境の中で宗教が絡み、不穏な空気が漂う瞬間がある。それがなぜか心地よかった。
されている両親が悪いとは言えないかもしれない。両親は娘を救うため何かを信用して頼る必要があった。みんな騙されて、みんな何かを信用して生きているのではないか。
そうして息が詰まるような狭い世界で、生きづらさを感じている。
ちひろにもいつか人生どうにもならなくなる瞬間がくるだろう。そのとき何に頼るのだろう。
最後、両親はあえて流れ星が見えない振りをしたように見える。そこで感じたのは、嬉しさと少しの不安と少しの恐怖で心がざわつくようなものだった。

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2025年06月16日

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宗教にはあまり足を突っ込んでは行けない、というネガティブなイメージを持っています。ですがその宗教の中で生きている人達が生きているのも事実。
新しい世界を見れました。
読み終わりは不思議な感覚で、あまりスッキリはしませんでしたが良い作品に出会えました。

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2025年04月17日

Posted by ブクログ

私にとっては他人事ではいられないストーリー。一気に読めた。

側から見たら怪しい宗教を信仰するおかしな家族。でも自分にとっては大切な家族であり、宗教だってただ日常のなかなのだ。

怪しい宗教にのめり込むようなひとは、心が弱い人?騙されやすい人?自分で問題解決できないアホな人?
そこには、その時その人にとって如何にもこうにもできない問題があって、どうにか道を開くためには藁にでも宗教にでも縋りたかった背景があるかもしれない。そして、そこには宗教で救われた事実がある。どん底から救われたものには、人は心を託して信じ続けることができるのかも。
だから、決して助けられなかった他人が笑う事はできない。

自分にとっての大切な人が信じているものだから、自分も受け入れる。
でも、人は変わる。いろんな経験や出会いを通して、価値観が生まれるのだから、いつか歪みがでるのは当たり前のことかもしれない。

大切な人と見ている方角が変わった時、それでも大切な人のそばで自分の価値観を殺して我慢し続けるのか、それとも大切な人と距離をとり自分ためだけの世界に飛び込むだろうか?

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2025年08月23日

購入済み

読みやすい

会話が多く、難しい言葉も出ない、読みやすい作品でした。

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2022年01月21日

Posted by ブクログ

幼少期、娘の病気を治癒した不思議な水を信奉することになった両親。宗教にはまった両親のもとで健気に生きる主人公の娘の姿が暗くなることなく淡々と描かれています。軽妙な文章で一気に読み切りました。

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2025年05月22日

ネタバレ 購入済み

一気に読んだ

芦田愛菜さんの映画が観たかったのですが、近くではしておらず、我慢できずに本を読みました。
たしかに「信じる」がキーワードになるのかなと思いました。ダークの話になるのかなと思いつつ、ちーちゃんのキャラによるユニークさもありました。
ご両親、ちーちゃん、お姉さん、親戚、友だち、それぞれの気持ちが伝わります。皆んな一生懸命生きてて、みんな、すごいな、と私は思いました。
先生は正義中毒?不快でした。
大人に調子を合わせない昨今の一部の子ども達の特徴もうまく表現できてると思いました。
しかし、お姉さんが俯瞰的になり、家庭へ疑問を生まれるのが、年齢的にはちょっとはやい?
とは思いましたが、まあ、勝手な私見です。

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2021年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ここで終わるのか〜〜〜。
こういう家族って現実にもけっこういるんだろうなと思うとなんだか切ない気持ちになった。世間的に見たらあきらかに両親はおかしいのに、本当に我が子を大事にしてるから故の行動だから、子供の立場からしたら揺れ動くのもわかるなと思った。最後のシーンはすごく幸せだもんね。
家を出ていく決断した姉と両親の側にいることを決断した妹の対極性が物悲しい。
なべちゃんと新村くんのおかげでほっこりしました。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すらすら読めた。ちひろの視点で物語が進んでいく。南先生の罵倒の箇所は怖かった。映画の存在を知り、岡田将生さんが南先生と知りハマり役すぎて頷く。かっこいい中に胡散臭さを出すのがうまい俳優さん。愛菜ちゃんも好きなので是非映画も観たい。
ずっと淡々とちひろの語りが続いてるので着地点はどうなるのかと思ってたがまさかの不穏な終わり方。
お姉ちゃんは不憫としかいいようがないけどちひろは本当に両親に愛されてるしらちひろも普通とは違う両親であるけど自分への愛情は感じていて両親が好きなことはちゃんと伝わってきた。この家族がどうなるのか、そこに希望はあるのか。ぞわぞわする終わり方だった。

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2025年11月22日

Posted by ブクログ

登場人物がどこか不気味で、特に主人公の両親が宗教にハマっており、言動一つ一つがおかしく感じた。両親が外で頭にタオルを乗せている描写があったが、あまりにもシュールで笑ってしまった。

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

病気がちな子供を治すためにどんどん怪しい宗教にのめり込んでく両親…
頭に濡れたタオル乗っけたり、お葬式で勝手にお祈りの言葉みたいなの大声で唱えたり…
こんな両親怖すぎる…
最後の終わり方が途中で終わった感じでモヤモヤする。
子供もこのまま親と同じように生きて自分の子供にも宗教やらせるのかなって思った
とんこつQ&Aのが面白かった。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

とても読みやすい。すらすらと2時間で読めた。
病弱だったちひろを救おうと宗教にのめり込んでいく父と母、それと家族の話。年齢を重ねて、周りの反応とも合わせて自分の家庭は少しおかしいことに気づく。でも父と母に悪意はなく、むしろ強い愛を感じる。
ラストがあっさり終わってしまった。
ちひろはこの家庭に違和感を感じながらも愛に逆らうことはできないからこれからも一緒にいるのかもしれないと読んだ。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

なんだかとても怖いと感じました。
主人公の女の子は不遇な境遇である事に気づいているのでしょうか?
お姉ちゃんはどうなったのでしょう?
最後はハッピーエンドなのでしょうか?

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

今村夏子さんの作品を読むと、いつも不思議な気分になってしまう。
はっきりと「こうだ!」という結末があるわけじゃないからだろうか。
病弱だったちひろを救うために宗教にのめり込んでいく両親。二人ともいい人だし、自分の事を思ってくれているのがわかるからこそ、何か変だなと思ってもどうしようもない。
このどうしようもなさに、こちらまでモヤモヤしてしまった。
今村さんと小川洋子さんの対談で、ラストの流れ星を探すシーンについて、「感動した」という感想が寄せられていると書かれていたけど、どのあたりが感動ポイントだったんだろう。
愛情は伝わってきたけど、噛み合わないなぁとしか思えなかった。

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

お父さんとお母さんがちひろにすごい優しくてそこが切なくなる...。
終わり方がなんか腑に落ちない感じではあった。
宗教とか洗脳って怖いけど、その中で生きてる人たちの世界を見れた気がする。あと南先生の罵倒するシーンがもう辛い。

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2025年08月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

異常な境遇で生きていることには気づき始めているが、幼い頃からのことなので気付かないし変える方法も分からない。そんな主人公の人生が高校進学を境に変わろうとしていることを暗示させるラストだと私は思いました。
彼女の中では親と寒空の下身を寄せ合って星を見たことは一生記憶に残るだろうし、そういった親との思い出が何もない私には眩しくうつりました。

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2025年08月22日

Posted by ブクログ

終わり方がすっきりしなかった。
宗教とか信じるものは人に強要しちゃいけないな。
布教活動は良いとされることなのかもしれないけど、宗教との付き合い方も人それぞれ。

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

自分の宗教像がまさにこれ。
新興宗教とかって一方的に悪だと決めつけられるけど本人達がそれでいいなら良いやん!

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2025年06月12日

Posted by ブクログ

宗教2世の少女が経験する世間とのズレとか、気持ちの変化とかを純粋な文体で描いた今村夏子先生らしい小説だった。

主人公の少女はピュア過ぎて、凄く可愛いんだけど、掴みどころがない。そこが魅力。

小川洋子との対談が載ってるんだけど、それが凄くいい

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

信仰宗教にのめり込む両親をもつ「わたし」。自身も両親と一緒に教会に通ったり団体様旅行に行ったりするが両親ほどの信仰心を持つわけではない。
そんな「わたし」の日常を描いている。
元はわたしの病気を治した「水」がきっかけで信仰するようになったせいか、わたしは両親の信仰を否定することもなく過ごしているが、姉は反抗して家出してしまう。
信仰を肯定も否定もしていないけれど、両親の奇行を恥ずかしく思ったりする「わたし」。
そんな「わたし」をもどかしく感じてしまうのは
信仰宗教をよく思わない自分がいるからかな。
考えさせられる一冊。

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2025年03月09日

Posted by ブクログ

両親がちょっと怪しい宗教にのめり込んでしまっていたら私だったらどうするだろう。
自分のためにその道に進んでしまったとしたら…
果たして止められるだろうか。
考えさせられる作品。
ちひろがあっけらかんとしているところがせめてもの救いかもしれない。

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2025年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

次女のちひろは幼少の時に病弱だったことから、両親は新興宗教にのめり込んで、怪しい水を購入し、慎ましい生活を送る。長女はそんな家を嫌がって、高校の途中で駆け落ちして行方不明となってしまう。ちひろは時々口の悪いなべちゃん以外に友達ができなかったが、毎週特に疑問も感じず、宗教の集会に行くのだった。

やたらと見るので買ってみたという一冊。新興宗教から始まって、おや、これは結構きつい話かな?と思うも、姉が家出する以外に特にこれということはなくて肩透かし。その後、厄介な人が現れたり、教団の中心で広告塔のように働く若者が怪しかったりはするものの、実は特に害はない。

親に無理やり連れて行かれる新興宗教という、有る種異常な環境にありながら、特に疑問を感じるでも、不便を感じるでもなく、あるがままを楽しむ少女の話である。

視点としては、中学生のちひろ視点ではあるが、宗教に引っ張り込まれたり、襲われそうになったりする危なっかしさに、どうしても本人ではなく、保護者的な視点で感情移入してしまう。しかし、それも適切なのかどうなのかという微妙に不安定なまま話は進み、そのまま終わってしまうのである。

解説はなく、何かの賞を取ったとか、小川洋子との対談であったりするので、純文学かなあと思ったがそういうものでもない。

最後の対談でも「最後はこれで良いのか」という内容で本人が話していたりする通り、幕切れは微妙。

結局、嫌な話ではないけれども、どこか一つ本気で嫌な話にしてもらったほうが落ち着いたかなと思う一冊だ。

しかし、本屋大賞って当てにならないもんだね。

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2025年02月28日

cnm

購入済み

宗教にはまった経緯からそのことによって起きた家庭内の変化を淡々とテンポよく書いているのでわかりやすく、ああ、こういうことありそう。と引き込まれながら最後まで一気に読んだ。しかし、セリフが多いわりにはそのほとんどがどうでもいい会話で、登場人物の感情をいまいち引き出せていないことが個人的に気になった。読後、よくある話しをただ書いたものを読まされたという感想に着地してしまい、宗教3世からすると、宗教当事者以外が小説を書くとこの辺りが限界なのかなと思ってしまった。(当事者性が必要とは思わないけれど)

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2024年09月26日

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