今村夏子のレビュー一覧

  • こちらあみ子

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    「『好きじゃ』『殺す』と言ったのり君と、ほぼ同時だった。『好きじゃ』『殺す』のり君がもう一度言った。『好きじゃ』『殺す』『のり君好きじゃ』『殺す』は全然だめだった。どこにも命中しなかった。破壊力を持つのはあみ子の言葉だけだった。あみ子の言葉がのり君をうち、同じようにあみ子の言葉だけがあみ子をうった。好きじゃ、と叫ぶ度に、あみ子のこころは容赦なく砕けた。好きじゃ、好きじゃ、好きじゃすきじゃす、のり君が目玉を真っ赤に煮えたぎらせながら、こぶしで顔面を殴ってくれたとき、あみ子はようやく一息つく思いだった」

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    2025年06月13日
  • 星の子

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    自分の宗教像がまさにこれ。
    新興宗教とかって一方的に悪だと決めつけられるけど本人達がそれでいいなら良いやん!

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    2025年06月12日
  • あひる

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    "こういうお話"と説明出来ない物語。読み始めから常に?って感じで、読み終わりも???って感じ。文章は読めるのに物語は謎だらけ。「のりたま」という名前を忘れてしまうくらいなのに、なぜ飼い続けるのか。たまにいる、でも結構近くにいる変な人を観察しているような話だった。

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    2025年05月30日
  • こちらあみ子

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    こちらあみ子、読んでいて苦しくなった。
    ピクニック、途中までルミたちの悪意に気付かず読んでいて、気付いた時ゾッとした。怖い。
    チズさん、主人公が不審者すぎる。
    3編とも不思議な怖さや不穏さが良かった。(3.5)

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    2025年05月19日
  • 木になった亜沙

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    「木になった亜沙」「的になった七未」「ある夜の思い出」の短編三作が入っている
    今村先生の本はどの本を読んでもなんというか『普通』という枠に収まらない話が多いけれど、この本は特にそれが顕著だと思う
    奇妙な哀しみを主人公たちに感じる
    表題作が一番よかった!
    難しい表現はないのに、所々難解だった…
    今村先生の本はなんだか分からないのにぐいぐい読みたくなるんだよな〜文章に吸引力がある

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    2025年05月11日
  • 星の子

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    宗教2世の少女が経験する世間とのズレとか、気持ちの変化とかを純粋な文体で描いた今村夏子先生らしい小説だった。

    主人公の少女はピュア過ぎて、凄く可愛いんだけど、掴みどころがない。そこが魅力。

    小川洋子との対談が載ってるんだけど、それが凄くいい

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    2025年04月14日
  • あひる

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    小さなもやもやが尾をひいていく__日常に潜む不安と恐怖をユーモアで切り取る短編集
    私は何に恐怖を抱いているのか?何を見せられているのか?読み終えてこれだという答えがなく、漠然とした違和感だけが残る。この感覚が初めてで動揺している...なんか悔しい。感覚を研ぎ澄まして再読しないと。

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    2025年04月09日
  • 星の子

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    信仰宗教にのめり込む両親をもつ「わたし」。自身も両親と一緒に教会に通ったり団体様旅行に行ったりするが両親ほどの信仰心を持つわけではない。
    そんな「わたし」の日常を描いている。
    元はわたしの病気を治した「水」がきっかけで信仰するようになったせいか、わたしは両親の信仰を否定することもなく過ごしているが、姉は反抗して家出してしまう。
    信仰を肯定も否定もしていないけれど、両親の奇行を恥ずかしく思ったりする「わたし」。
    そんな「わたし」をもどかしく感じてしまうのは
    信仰宗教をよく思わない自分がいるからかな。
    考えさせられる一冊。

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    2025年03月09日
  • 星の子

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    両親がちょっと怪しい宗教にのめり込んでしまっていたら私だったらどうするだろう。
    自分のためにその道に進んでしまったとしたら…
    果たして止められるだろうか。
    考えさせられる作品。
    ちひろがあっけらかんとしているところがせめてもの救いかもしれない。

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    2025年03月05日
  • 星の子

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    ネタバレ

    次女のちひろは幼少の時に病弱だったことから、両親は新興宗教にのめり込んで、怪しい水を購入し、慎ましい生活を送る。長女はそんな家を嫌がって、高校の途中で駆け落ちして行方不明となってしまう。ちひろは時々口の悪いなべちゃん以外に友達ができなかったが、毎週特に疑問も感じず、宗教の集会に行くのだった。

    やたらと見るので買ってみたという一冊。新興宗教から始まって、おや、これは結構きつい話かな?と思うも、姉が家出する以外に特にこれということはなくて肩透かし。その後、厄介な人が現れたり、教団の中心で広告塔のように働く若者が怪しかったりはするものの、実は特に害はない。

    親に無理やり連れて行かれる新興宗教とい

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    2025年02月28日
  • 木になった亜沙

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    亜沙の手からは誰も食べようとしない。友達もクラスメイトも家族も金魚でさえも。思い余った亜沙は木になってその木の実を動物に食べてもらおうとする。
    不可思議な世界観の短編集。
    亜沙の悲しみが切なくて、木になり割り箸になって食べてもらえた時はなんだかホッとした。
    他に射的の的になる女性の話、四つん這いで動いて過ごした一夜の話などがある。
    不条理だけどするする読める。

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    2025年02月25日
  • 木になった亜沙

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    ネタバレ

    急に木になったかと思えば、わりばしになる工程は淡々と丁寧に、そして間髪なく出荷されるこのテンポ感。さすがですね。これは吹き出しますわ。

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    2025年02月24日
  • 父と私の桜尾通り商店街

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    タイトルから父娘の温かい家族の話かと思いきや、そうじゃないのが今村作品
    どこか危うさが滲む登場人物たちによる不穏とユーモアの世界。「白いセーター」と「モグラハウスの扉」はヒリヒリとした痛さが感じれて面白かった。

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    2025年02月24日
  • 父と私の桜尾通り商店街

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    全作品を通して、日常の中で違和感やずれを抱えているような人物が登場していて、読んでいて不思議な感覚になるのだが、「こちらあみ子」や「あひる」と違って今作は作者がちょっと無理しているようなところが透けて見える感じがしてしまった。

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    2025年02月16日
  • 父と私の桜尾通り商店街

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    今村夏子のことはたぶん苦手だ。毎回「どうしてそうなっちゃうの!?」と思う。でもよくこんな物語、表現を作れるな、と感心する。
    私は今村夏子の書く主人公に恐怖を覚えることが多いのだけれど、その理由を改めて考えてみた。彼らは悩み考え総合的な判断をするというようなことがなく、ただただ自分の一番大切なことに向けて一直線に動く。せめて逡巡する描写などがあればきっともう少し受け入れられるのだけれど、そういった内面描写がほとんどないのが大きい気がする。共感できない、得体の知れない人間に対するこわさがいつもある。
    しかもまるでなんでもなさそうな物語、登場人物、文章からそれを描き出すから、いつもドキッとさせられて

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    2025年02月10日
  • あひる

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    ネタバレ

    表題作は、読んでいて怖くて怖くて仕方なかった。ホラーの域だった。
    最初はあひるの「のりたま」を飼うことになったという、可愛くて微笑ましい滑り出しだったのに、話が進むにつれて小さな違和感がやがて大きなズレになっていく。
    名前すら覚えてない近所の子どもの誕生日パーティーを開くのも怖いし、当日誰も来なかったのも怖い。のりたまが3代目だということもみんなわかっているし、この家族は決して慕われているわけではない。
    しきたりみたいなものは家の数だけあって、その家庭では普通のことが、外から見ると異様に見える場合は往々にしてあると思う。本人たちはその異様さにまったく気づかないのだ。
    この居心地の悪さを、でも当

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    2025年02月01日
  • あひる

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    ネタバレ

    「今村夏子は何について書いているのか」
    本編を読み終わって、そのまま解説を読もう・・・と思いこの一文が目に飛び込んできて、あまりにも私が言いたいことすぎて強く共感した。そうそう、その通り!

    著者の作品、読んだことはないけど何となくクセが強そう、ひねくれた人ばかり出てきそうというイメージで、実際は思ったほどではなかったけど、最後があっさりというか、オチみたいなものがない。元からある「不穏」は何も解決されず、起承転結からまた起に戻ったような印象。
    だからこれは、主人公が成長するとか、家族の状況が少し良くなったとか、そういうお話ではない。物語の初めから最後までずっとある「不気味さ」を味わうものなの

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    2025年01月07日
  • 木になった亜沙

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    むらさきのスカートの女に続いて
    読みました。世界観が独特で唯一無二な感じ。
    こちらの精神もおかしくなってくるような気がしてきてそういう人の頭の中覗いてみた感覚に陥る。

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    2025年01月06日
  • 木になった亜沙

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    すごく好きな作家さんで、面白く読みました。でも今村さんの本当の良さ(こわさ?)は中長編の方が生きる気がします

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    2024年12月05日
  • あひる

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    子供達にとっての「のりたま」とは、のりたまと書かれたアヒル小屋にいる黄色いクチバシに白い羽根のアヒルのことで、それ以上でも何でも無い。
    疑わなければ、個々を認識しようという意識がなければ、「のりたま」に限らずみんな同じに見える。今朝ホームですれ違ったおじさんと今優先席に座ってるおじさんは、僕にとっては、ただのおじさんで、その人物が同じだろうが違かろうが、やっぱり僕にとっての認識は、同じただのおじさんだ。
    奇妙な話のようで、とても現実的で有り触れた話、有り触れた奇妙な話だと思った。

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    2024年11月08日