今村夏子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ次女のちひろは幼少の時に病弱だったことから、両親は新興宗教にのめり込んで、怪しい水を購入し、慎ましい生活を送る。長女はそんな家を嫌がって、高校の途中で駆け落ちして行方不明となってしまう。ちひろは時々口の悪いなべちゃん以外に友達ができなかったが、毎週特に疑問も感じず、宗教の集会に行くのだった。
やたらと見るので買ってみたという一冊。新興宗教から始まって、おや、これは結構きつい話かな?と思うも、姉が家出する以外に特にこれということはなくて肩透かし。その後、厄介な人が現れたり、教団の中心で広告塔のように働く若者が怪しかったりはするものの、実は特に害はない。
親に無理やり連れて行かれる新興宗教とい -
Posted by ブクログ
今村夏子のことはたぶん苦手だ。毎回「どうしてそうなっちゃうの!?」と思う。でもよくこんな物語、表現を作れるな、と感心する。
私は今村夏子の書く主人公に恐怖を覚えることが多いのだけれど、その理由を改めて考えてみた。彼らは悩み考え総合的な判断をするというようなことがなく、ただただ自分の一番大切なことに向けて一直線に動く。せめて逡巡する描写などがあればきっともう少し受け入れられるのだけれど、そういった内面描写がほとんどないのが大きい気がする。共感できない、得体の知れない人間に対するこわさがいつもある。
しかもまるでなんでもなさそうな物語、登場人物、文章からそれを描き出すから、いつもドキッとさせられて -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題作は、読んでいて怖くて怖くて仕方なかった。ホラーの域だった。
最初はあひるの「のりたま」を飼うことになったという、可愛くて微笑ましい滑り出しだったのに、話が進むにつれて小さな違和感がやがて大きなズレになっていく。
名前すら覚えてない近所の子どもの誕生日パーティーを開くのも怖いし、当日誰も来なかったのも怖い。のりたまが3代目だということもみんなわかっているし、この家族は決して慕われているわけではない。
しきたりみたいなものは家の数だけあって、その家庭では普通のことが、外から見ると異様に見える場合は往々にしてあると思う。本人たちはその異様さにまったく気づかないのだ。
この居心地の悪さを、でも当 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「今村夏子は何について書いているのか」
本編を読み終わって、そのまま解説を読もう・・・と思いこの一文が目に飛び込んできて、あまりにも私が言いたいことすぎて強く共感した。そうそう、その通り!
著者の作品、読んだことはないけど何となくクセが強そう、ひねくれた人ばかり出てきそうというイメージで、実際は思ったほどではなかったけど、最後があっさりというか、オチみたいなものがない。元からある「不穏」は何も解決されず、起承転結からまた起に戻ったような印象。
だからこれは、主人公が成長するとか、家族の状況が少し良くなったとか、そういうお話ではない。物語の初めから最後までずっとある「不気味さ」を味わうものなの