今村夏子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレどのお話も読んでいると、果たして自分は「普通」なんだろうかと不安になってきて、他人事とは全く思えずざわざわして落ち着かなくなる。
今回の収録作品では特に、自己保身にまつわる『嘘の道』と『良夫婦』の、ふとした時に思い出しそうな後味の悪さのダブルパンチが効いた。
最後の最後に急ハンドルを切った感(おかみさんは自分でなくていいんかい)のある表題作は、コミカルにも読める。ただ、最後まで新おかみさんの自我が疎かになっていて、大円団のはずがやっぱりどこか薄気味悪く感じてしまう。
読む人によって受ける印象が違いそうなので、今村作品について誰かと語らってみたい今日この頃。 -
購入済み
今村夏子さんのデビュー作で話題の一冊。昨今注目度の高い、学習や感情面での障害についての問題提起的なものも感じつつ、自分の理解できない人間に対して「気持ち悪い」と感じてしまうことについて考えさせられる。
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今村夏子さん、初めまして。
大好きです。
語られる視点が、私にとっては初めての視点で、それがとっっても新鮮で面白くて大好きでした。
信頼出来ない語り手とも言えるのかもしれないけど、それとはなんかまた感じ方が違う、本当に不思議な読書体験でした…!!
どういうことかというと、語り手が、「むらさきのスカートの女」を追う「黄色いカーディガンの女」なんですね。
その黄色いカーディガンの女から見た、むらさきのスカートの女を語ってくれるのですが、ストーカー状態なので、ほぼ作者が神の視点でむらさきのスカートの女の全ての行動を語ってるように思うんですよ…でもふとした瞬間に本当の語り手である黄色いカーディ -
Posted by ブクログ
昨年映画を観てすごくよい作品だと思ったけれど、小説も素敵だった。映画で感じた空気感と小説だからわかる繊細な心情の動きが合わさり、より深みをもって読めた気がする。
信仰を持たずに生きていると、宗教、特に新興宗教に入信している人たちに対しては「ヤバい」という一方的な線引きを行なってしまいがち。しかし信じるものがあるということは、弱さでも奇妙さでもなく純粋さに通ずると思う。まっすぐだから信じられる。その過程には不幸もあるし、幸福もある。何を信じても、信じなくても、それは変わらないのだと思う。
映画の時には特に印象強くなかったけれど、春ちゃんの彼氏の宣誓がすごく素敵だった。 -
Posted by ブクログ
物語を読み進めていくにつれてだんだん「わたし」の状況がわかってくる不思議な読書感。
私自身も大学時代バイト先の友人に誘われて集会に行ったことがある。何人かのグループに分かれて、話になって座って自分の話をした記憶がある。
全面に宗教は出てこなかったし、誘ってきた女の子も全面には宗教感は出してこなかったけど、そういう人なのだというのはなんとなく知ってた。
周りの友人も誘われて集会に参加したことがあると言っていたが、詳細については内容語りたがらなかったし、入会したという話も聞かなかった。
身近にも危険は潜んでいる、そんな事を思い出した。
子供の頃から親が熱心な人だと、それが当然のものと思って抜け出す -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めての今村夏子の作品。
どの話も読み終わると何とも言えない気持ちにさせられた。
木になった亜沙は、もう世にも奇妙な世界観が凄かった。え?そうなる?そっちにいくのかー!と進む先が驚きの連続で、先が読めないとはまさにこの事だなと痛感した。斬新なお話だった。
的になった七未。この話が1番印象的だった。
最初は可哀想な子だなと思いながら読み進めていたが、子どもが産まれてからのストーリーが切なくて。
私自信も息子がいるので、尚更自分に置き換えたら…と考えて後半涙が…。
でも最後の最後に息子と再会し、射的の弾を愛する息子から当てて貰えたのを七未は母として嬉しく思ったんだろうなあと感じた。当ててもらい