あらすじ
中華店とんこつの一員でいるため奇怪な努力を続けるわたし。
ナゾの読後感に唖然・鳥肌ッ!! へんてこ小説の金字塔!
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常識ってなんやったっけ?と、おかしな展開になっていく。面白不気味。
――3時のヒロイン・福田麻貴
1/11放送「王様のブランチ」(TBS系毎週土曜日 あさ9時30分より生放送)
根拠の薄い不安定な強さが周囲を引きずりこみ、世界を歪ませる――
そんな危うい実体を「ほらほら」と容赦なく描きだす今村夏子、無敵。
――平松洋子(解説より)
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大将とぼっちゃんが営む町中華とんこつ。「いらっしゃいませ」もろくに言えない従業員のわたしは、接客対応マニュアル「とんこつQ&A」を自作し居場所を見つけたはずだった。あの女が新たに雇われるまでは――。表題作をはじめ、予想しえない展開に鳥肌が止まらない、ほのぼのと不穏が奇妙に交わる全4編!
「とんこつQ&A」
大将とぼっちゃんが切り盛りする中華料理店とんこつで働き始めた「わたし」。「いらっしゃいませ」を言えるようになり、居場所を見つけたはずだった。あの女が新たに雇われるまでは――
「嘘の道」
姉の同級生には、とんでもない嘘つき少年がいた。父いわく、そういう奴はそのうち消えていなくなってしまうらしいが……
「良夫婦」
いつもお腹を空かせている近所の少年・タム。彼の心を開くため、友加里は物で釣ることを考える。
「冷たい大根の煮物」
お金を借りて返さないことで有名な芝山さん。ずるずる仲良くなってしまった「わたし」は……
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読んでてめちゃめちゃ楽しかった。
表題作は、日常を装いつつも、違和感がふんだんに詰め込まれた非日常であり、ツッコミ不在のコント劇を観ているかのような面白さがあった。
また、全編を通して、「嬉しいけれど〇〇」「悲しいけれど〇〇」といった、割り切れない感情の揺らぎが感じられ、その揺らぎにこの小説の奥深さがある気がした。
Posted by ブクログ
やばい、これはめっちゃ好きだ…。
中華料理屋とんこつで働く主人公今井の不器用過ぎる対策が予期せぬ結末を迎える今作、終わり方が本当に恐ろしくて…。
今村夏子では星の子が1番好きな作品だった。
親という逃れられない存在が作る環境に違和感なく生きる主人公は生活の中で疑問に思いながらなんとか自分の居場所を探そうとする。
変なのは分かってる、でもそれが私の世界なの。そんな声が聞こえてきそうな切なさに、最後には両親が彼女を解き放つ展開がある。
親子3人がそれぞれ違う星を見ながら迎えるエンディングはとても開放感があった。
けれど今作はまさに星の子と対とも言える物語で、新たな擬似家族を作り自分の居場所を文字通り作り上げる。
でもその中には自分の意思でそこにいない人が一人いる、洗脳と戦う人が。
恐ろしくも悲しい物語。
身近な自己否定と自己愛が詰まりまくった本作、もう他人とは思えない主人公達は一歩間違ってしまった自分のようで、ちょっと堪らんかったな。
Posted by ブクログ
短編集。
いらっしゃいませ、ありがとうございましたが言えないのに接客のバイトをする女の子の解決方法。
これだけでも面白いけど、他の短編集も面白くて一番は選べない。
じわじわと来る怖さみたいなのがあってホラーっぽく感じる。
こんな面白い短編集は初めて読んだかもしれない。
Posted by ブクログ
いやぁ今村夏子ワールド!!です。
短編だが、ひとつひとつの話の内容にテーマがあって、その都度考えさせられるものだった。
【とんこつQ&A】は、どう考えても大将とぼっちゃんはおかしなことを言っているのに、それに惹き込まれていく主人公。
社会の常識ではなく、『この空間の常識』に囚われていく異空間物語。
【嘘の道】は、散々他人のことばかり悪く言う親や子どもがどうなっていくのか。
そんな話かなと思う。
恐ろしかったのは、姉が引きこもりになっているのは描写されていたが、その姉を説明する弟もまた、引きこもりなのではないかと想像させるような文章があった気がする。
そして、親の存在が一切描かれていない。
あの一家はどうなっているのか…イメージをいくらでも膨らませられるそんな内容だった。
Posted by ブクログ
四篇の小説を読み終わって
感想をと言われると
なんだかよくわからない
何かが突っかかったまま
違和感を感じている
いいとも悪いとも言えない
人々の行動
ありそうでなさそうで
日常のようで非日常のようで
それでもこの世界が
愛おしくも思える
どの人もなんだか
一生懸命に生きているから
Posted by ブクログ
表題作「とんこつQ&A」を含む
4つの掌編から成る作品。
日常からすこしずつはみ出ていく感覚と
そこから滲む現代の病理のようなものの描写がたまらない。
いちばんストレートに受け取れたのは
3作目に収録されている「良夫婦」。
日常の中に棲んでいる歪みを
ホラーのような描写で浮かび上がらせるような作品が
増えている印象がある。
Posted by ブクログ
文庫版表紙かわいいのに中身強烈!主人公たちがみんなどこかズレてて、読み進めるにつれて不安になってくる…。一体どこに連れて行かれるんだ…。怖面白かった!
何かが心にこびりつく読後感。独特。
Posted by ブクログ
あらまあ、これまたおもろいわ
うーん、今村夏子って絶対おもしろいのな
なんだろう彼女の毒に侵されるのって、みょうにクセになるってゆうか…
村田沙耶香のような強烈に頭をどつかれたような毒ではないのだけれど、遅効性でなんなら毒に侵されてるのにすら気付かぬうちに殺られてる感じというか…。
強いメッセージ性がないのが逆に良いのか
ズレてて怖いのにどこか分かりみがあるんだよなー。
これは才能だよなぁ、うん。
絶対おもしろい作家、今村夏子オススメです。
Posted by ブクログ
絶妙な人間の狂気とズレてる部分。それを持ち合わせながらそのまま社会と共存している図太さというかなんというか。
この感想をなんと表現したらよいか難しいですが、とにかく加減のバランスが最高。奇妙でこわくて、さすがで面白い!
Posted by ブクログ
え、こわこわこわこわこわ
文章がうまいからスルスル読めるんだけど、どことなくいやな予感が張り付いていて、最後はこええええってなる。
「とんこつQ&A」、全員が静かに狂ってるのがめっちゃ怖くて、私のほうがおかしいのかと思った。あれ登場人物がおかしいですよね? おかみさんって言ったあとに現実を受け入れるっつーのが意味わからな過ぎてそうはならんやろ!?!?って絶叫したけど、あの話にはまともな人がいないから私の叫びは届かない……
あと「良夫婦」もめっちゃぞわっときた。一番怖いのは旦那だよ、旦那。でもこれも究極の愛なのか?と洗脳されそうになったけど、やっぱこわいよ。最後もまた不穏な感じで終わるし~~~。このふたりに子どもがいたらまた変わったのかな?
しかし面白かった。久しぶりに一気読みした本だった。
Posted by ブクログ
なんなんだこれは、また新しい読後感で新鮮な気持ち。
背筋に嫌な汗をかくような、じんわり不穏で不快な物語ばかり。でもものすごく沈むかというとそうでもなく、あくまでも登場人物たちにとっては日常の一部分でしかなく、そのまま、何も変わらないまままた生活が続いていくような終わり方をすることになんとも言えない不思議な気持ちになりつつ、どこか安心するような、でも救いがないような……。面白かった。
生活感のある歪みというか……。善意が招く結果と、人として善であることは必ずしも一致しない。
Posted by ブクログ
どこか不思議なキャラクターたちが動いてる短編集。
表題作のとんこつQAは、読んでいくとゾッとした…
直木賞の面白さより、芥川賞を取りそうな不思議なテイスト
Posted by ブクログ
相変わらずの不穏な空気。日本人でこんな"奇妙な味"をかける方はそうそういないのでは。
ホラーよりもホラーだと思うけど、ラストの「冷たい大根の煮物」はいい話で読後感は爽やか。
短編集ばかり出版されてるイメージだけど、また「星の子」くらいのボリュームの話も読んでみたい。
Posted by ブクログ
美味しそうな表紙からは想像できないホラーな短編集だった。とんこつという名の店にバイトで採用された今川さんは挨拶も出来ないくらいの人見知りだったのに、台本のようなセリフのマニュアルを作っていくところからどんどん狂気を感じてきたからどうなるかと思った。最後の「冷たい大根の煮物」手癖の悪い人はやっぱり治らないか。
Posted by ブクログ
不思議で日常ぽいのに、どこか不穏な短編集。冷たい大根の煮物が好きだった。良夫婦は、なんだか人間として嫌なところがくっきり浮き出ていてなかなかきつめだった。人間を描くのがうますぎる。
Posted by ブクログ
平穏な毎日、何気ない日常に突如現れる違和感や不穏を描き出すのがとても自然で驚きました。表題作の「とんこつQ &A」においてある人物の登場で環境が一変していく様は恐怖すら感じる。どの章編を読んでも明と暗のバランスが絶妙で没入して読むことができました。
Posted by ブクログ
ちょっとのズレ。
人の性質も、その時の選択や判断も何もかも。
些細なズレが及ぼす周囲への影響は計り知れない。
表題の「とんこつQ&A」は、主人公やその他登場人物が、奇抜過ぎてついていけない部分があった。「嘘の道」は私達にも起こり得る、ちょっとの弾みで人生を踏み外してしまう危うさを抱いた。「良夫婦」に関しては、妻にも原因はあるが、夫の判断の方に問題を感じた。どちらも倫理観が狂っており、2度目の事件はそれを正すきっかけになったかもしれなかったのにそうならないまま元の生活に戻ったところは不気味で、でもこの奇妙で不穏な後味の悪さがまさに今村作品だなと思った。
個人的には最後の「冷たい大根の煮物」が好きだ。どんなに駄目人間であっても、人によっては、与える影響がプラスになるというポジティブな側面もあり、読後感に温かみをおぼえた。最後の一文、「冷たい大根の煮物は、あれきり一度も食べていない」に、主人公が初めてはっきりとした意思を見せたのも良かった。
Posted by ブクログ
とても不思議な感覚になる。そして最後は「なんだかなぁ…」とやるせない気持ちになる。短編集でとても読みやすく、テンポよく読むことができた。感動ものやミステリー等の合間に読むのにピッタリだった。
Posted by ブクログ
なんとなくタイトルに興味を惹かれて手に取った。
どの話もちょっと眉をしかめてしまうような不快感を感じながら読み進めた。
誰にも感情移入できない不思議な感覚。
今村夏子さん、他の本も読んでみたい。
Posted by ブクログ
お初の今村さん
ホラーとも違うゾワっとする感じ…読後もモヤッとした空気に取り残される…
あまり得意なジャンルではなかったけれど、物語が予想外の方向に展開していく面白さを感じました
Posted by ブクログ
読み始めた時と読み終わった時の気持ちが180度違ってくる。
なんともいえない不快感や不気味さが残る読後感。
さすが今村夏子さん!といった感じ。
Posted by ブクログ
3作目の今村 夏子作品。ちょっと気になるタイトルと餃子の装幀に惹かれて、手に取った作品。
以前読んだ『あひる』よりも、思ったよりゾワゾワ感が少なくてちょっと拍子抜けしてしまった感のある内容でした❗️でも今村作品を堪能することはできたので、個人的には満足しています。
好きな話しは、表題作の『とんこつQ&A』と『冷たい大根の煮物』の2編です❗️人間のちょっとしたズルさや嫌らしさを描くことに関しては、高いレベルの作家さんではないかと思っています❗️