今村夏子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「一生懸命さが痛々しいというか見てられないです。でもそこが魅力だと思います。」
登場する不器用な人たちはほとんどが孤独だが、でも見守っている存在、著者が一人いる。
時に暴走する彼女たちをどうも憎めないのはそこに著者の柔らかな愛情があるから 解説より
白いセーター
子供っぽくて嘘つきの女の人と無口で冷静な男の人
主人公は現在独り身 著者しか分からないが…
せとのママの誕生日
本音はママの死を待ち望んでいる 献花のようにママに取り上げられた商売道具を模した食べ物がママにのせられていく
モグラの扉
主人公がみっこ先生を最後まで利用しようとしている
父と私のさくらどおり商店街
娘はずっと友達が欲しか -
Posted by ブクログ
作者さんの本は好んでよく読ませてもらっていますが、今作はあんましのめり込めなかったです。
以下、各短編の感想。
◼️白いセーター
なぜ主人公の女性は、周りからぞんざいな扱いを受けるのか。その辺りの情報は一切なく、モヤモヤしたまま終了。今村夏子っぽくて、良かった。
◼️ルルちゃん
ルルちゃんを盗んだ主人公はもとより、ルルちゃんの元の持ち主の安田さんもかなり参ってしまっている描写が随所にあるものの、それについてやはり深く触れることなく、物語が終わる。
自分たちの日常についても、きっと誰しもあるような、人には話していないことや見せていない姿をそれとなく演出していて、何が起こるのでもないけど、見 -
Posted by ブクログ
前からお見かけする作家さんでしたが、今回初めて読ませていただきました。
タイトルと表紙から父と娘のあったかいお話を想像していたのですが、大きくハズレて何とも言えない世界観の短編集でした。
7編ありましたが、どれも着地点がどこに行くのかわからないお話で、出てくる人たちも普通の感覚とはズレてる感じ。「ひょうたんの精」と「せとのママの誕生日」は思わず笑ってしまったけど、「モグラハウスの扉」のみっこ先生は怖いですね。表題作の「父と私の桜尾通り商店街」の娘がまた予想外の行動に出て、いやいやそこまでしないでしょって…。
解説の中で作家さんご自身が語っていたのでこういう作風なんだと納得しました。何か大 -
購入済み
宗教にはまった経緯からそのことによって起きた家庭内の変化を淡々とテンポよく書いているのでわかりやすく、ああ、こういうことありそう。と引き込まれながら最後まで一気に読んだ。しかし、セリフが多いわりにはそのほとんどがどうでもいい会話で、登場人物の感情をいまいち引き出せていないことが個人的に気になった。読後、よくある話しをただ書いたものを読まされたという感想に着地してしまい、宗教3世からすると、宗教当事者以外が小説を書くとこの辺りが限界なのかなと思ってしまった。(当事者性が必要とは思わないけれど)
-
Posted by ブクログ
ネタバレ今村夏子の小説には、なにかしら違和感が存在する。
一般世界では起こらないような出来事が起こったり、登場人物がおかしな行動をとったり…しかも、普通の顔で変なことしているし、おかしいことが起こっても何事もなく時が流れている。
そんな気持ち悪さがちょっと快感でもあり、普通の世界を壊すような感覚があって面白いんだと思う。
あとがきでも書かれているが、登場人物に少し痛々しさがあるのもまたいい。
恥ずかしい、かわいそうと思うような登場人物が出てくるが、意外とどの人も自分の状況にへこたれず、たくましく生きていく感じが好きだ。
(こんな読み方であってるのかわからないが)何も考えず、読んでストレス発散になる -
Posted by ブクログ
少々不器用でかなりズレた女性たちを描いた短編集。
ホラーあり、ファンタジーあり、そして不条理あり。今村夏子ワールドを堪能できる7話を収録。
* * * * *
特に気に入ったのは第3話「ひょうたんの精」。こんな話は大好きです。
それにしても、七福神ってみんな神様じゃなかったの? なんか怖いよ。
それから、ほのぼのした展開で進む6話目の「モグラハウスの扉」。珍しくハッピーエンドかと思いきや……。
みっこ先生の目には本当にモグラハウスが映っていたのか!? 気になります。
そして表題作となる最終話。
商店街組合の中で村八分の状態に置かれたパン屋父娘の話で、娘 -
Posted by ブクログ
表題のお話が1番好きだった。今村夏子さんの文体に慣れてきた感があって、ミステリーを読むときのように心で準備して読むようになってしまっていたから、時間を空けて読んでみました。
やはり少し常識はずれというか、人とはズレている人たちが毎回出てきて、そんな人たちもやっぱり同じ社会で生きていて、時に滑稽で時に悲しさや切なさを纏っている。そんなことを思った。
あと一冊で今のところ出版されている今村さんの本を読み終えてしまうので、次の本はもう少し後に読みたいなと思っている。
【読み返し追記】
「白いセーター」
双方の見方の違い。子どもとコミュ障の大人にはありがちだと思う。どちらも言葉足らずの説明不足