今村夏子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
心をざわつかせる3作の短編。
「あひる」「おばあちゃんの家」「森の兄妹」
解説 今村夏子は何について書いているのか 西崎 憲
何だろう、心のささくれが取り切れないような感覚の
読後感。まだ残っている小さなささくれが、痛い。
普通の日常が不条理な日常へ進行する不安感が漂う。
違うあひるに換わる不可思議さ、夜中に来た男の子の不穏さ。
歪な親子関係。“わたし”はどうなってしまうのか。
おばあちゃんの変化は高野文子の「田辺のつる」が脳内を過る。
彼女に出会うモリオという子供の視線は、
子供時代に味わう不可思議な体験を自分の成長で
置き去りにしてしまう、一時の記憶のように感じた。 -
Posted by ブクログ
医療資格の勉強をしている「わたし」と両親が暮らす家に、知人から譲り受けた一羽のあひるがやってくる。
それをきっかけに、近所の子どもたちが集まり、静かだった家に少しずつにぎやかさが戻っていく——そんな日常を、子どもの日記のように淡々と綴った物語。
一見穏やかな日常の中に、ふとした違和感や不穏さが顔をのぞかせ、読み手の心に静かなざわめきを残す。
しかし同時に、あひるの存在にくすりと笑ってしまう可笑しさや、他者への温かなまなざし、人間の存在そのものへの愛しさや、どこか諦観めいた無常感も漂う。
どの印象も間違いではなく、それでいてどれか一つでは語りきれない——この言い尽くせなさこそが、この物語の大き -
Posted by ブクログ
ネタバレ解説にもある通り、何について書かれているのか一言で言い表せない。テーマが分からない。そこが良さになっている感じがある。
あひる
おだやかな小説のふりをして違和感だらけの不気味な話。
あひるを選んだのが絶妙。今までかわいいと思ってきたけどあの造形ってよくよく見ると奇妙だよな。。。
完璧に構築されている傑作。
おばあちゃんの家
こちらも全体にただよう不気味さがよいのだが、最後はちょっと読者を置いてけぼりにして不思議な方向にいきすぎた感じがやや滑っているかな。
森の兄妹
ヘンゼルとグレーテルを思わせる、童話の雰囲気をまとった作品。兄妹から距離をおくお母さんだなと思いながら読んでいたら、最後に突