今村夏子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレあひる、おばあちゃんの家、森の兄妹の三遍。
あひるで、お誕生日会の夜にやってきたのは、ただの
図々しい子どもだろうと思っていたら、翌朝主人公が
あひるに感謝していたので驚いた!そんな純粋な思考は生まれなかった笑 両親と子どもたちの振る舞いに
もやもやしながら読んでいた。そして兄夫婦の赤ちゃんが産まれたことで、あっけなく壊されるあひる小屋。
安心や幸せな気持ちを得る為に、何かに依存するのは
普通のことなんだけど、こうして物語として淡々と
語られると、結構怖いことをしているんだなあと思う。
おばあちゃんの家では、おばあちゃんの足腰が弱いはず
なのに、そうとは思えないエピソードが出てくる。
すぐ隣に住む、血の繋がりのない息子夫婦に何か遠慮しているの?認知症かなにかで、そのストッパーが外れて自由に振る舞えるようになった?なら良かった。
話し声やおはぎの件は、森の兄妹とのお話の繋がりで多分モリオにあげていたんだろうと真相が分かって少し安心。
森の兄妹のモリオはいじめられっ子。おばあちゃんとの
交流を戸惑いつつ楽しんでいた。でも、拾った汚い手袋でマンガを読んでいるのをお母さんに見られたことで、
(多分)全巻買ってもらうことができた。それから二度と
おばあちゃんに会いに行くことはなかった。
あひるや、おばあちゃん。人はそのとき自分に、
より必要なものを選んで、それまで依存していたものを
切り捨てる。捨てるという意識すらないかも。自分も
無意識に、いろんなものを捨てて生きているんだなあ、と怖くなった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『こちらあみ子』『ピクニック』、そして『チズさん』。この短編集を読み終えた今、私は非常に不思議な感覚に包まれている。怖い話を読んでいるような、あるいはSFを読んでいるような、現実から離れた異世界に触れたような感覚。しかし、どの話も限りなく現実に近い、今村夏子ならではの剥き出しの語りだった。
中でも最も強く心を揺さぶられたのが、『ピクニック』だ。
序盤、そのタイトルから、私は主人公の七瀬とタレントの春元気との間に生じる明るい交流の物語だと思っていた。しかし、その期待は残酷に裏切られる。二人の関係は七瀬の痛々しい妄想に過ぎず、ドブ川で携帯を探し続ける狂気的な行動も、存在しない接点を繋ぎ止めるための空虚な努力だった。
ここで最も「怖い」と感じたのは、七瀬を囲む職場の先輩たちだ。当初は「いい人たち」に見えた彼女たちの態度は、実は現代にも通じる残酷な「いじり」そのものではなかったか。象徴的なのは、対岸にいる七瀬にピーナッツを投げるシーンだ。これは親愛の証などではない。得体の知れない動物を檻の外から眺め、反応を楽しむための「餌付け」だ。彼女たちは七瀬を対等な人間としてではなく、安全圏から観察して楽しむ「おもちゃ」として扱っていた。
七瀬が語る東京での架空デートも、彼女たちの「デートはしないの?」という執拗ないじりに対する、精一杯の見栄だったのだろう。周囲の嘲笑的な期待に応えるために嘘を重ねたのか、あるいはそれすらも彼女の妄想の一部なのか、その境界は判然としない。しかし、途中で明かされる「七瀬の部屋は汚い」という一行は、彼女の精神的な異質さを一気に際立たせ、読者が抱いていた「健気な善人」というフィルターを粉々に砕いてしまう。
この「噛み合わなさ」から生じる恐怖は、他の収録作にも通底している。病的なまでに素直すぎて、誰も悪くないのに周囲を壊していく『こちらあみ子』。老いという抗えない現象に付け込まれる『チズさん』。これらは決して特殊な話ではない。人生で一度は経験したことがあるような、私たちのすぐ隣で起きている現象なのだ。
人間の生きにくさをドラマチックに脚色せず、顕微鏡で覗くように淡々と切り取る今村夏子の筆致。現実から離れているようでいて、実は剥き出しの人間臭さを突きつけてくる。読み終えた後に残るこの不思議なモヤモヤこそが、映画『花束みたいな恋をした』の台詞が示した通り、この世界の「不気味さ」を敏感に感じ取ってしまった証拠なのだろう。何度も読み直して、この「理解できなさ」の正体をさらに深めていきたい。 -
Posted by ブクログ
表紙がかわいい。3篇の短編。
「あひる」以外の2編はハッキリと連作なんだけど、「あひる」の主人公は「おばあちゃんの家」のみのりだったり、モリオも学校でのりたまの噂を聞いてたんじゃないかとか。この不穏な雰囲気で、勝手にゴチャゴチャと繋がってしまう。
「あひる」
主人公もその両親も不穏。自分達には縁がなくボンヤリ諦めていた事、でも実は喉から手が出るほど欲しくて毎日祈りさえしてた事。
それが小さなきっかけで手が届きそうになったら…なんだか身につまされてくる。だいたいだんだん暴走していくのも、両者の想いの差みたいなものも切ない。唯一弟の存在が希望のような気もしますが、この先どうなるのかな。
「おばあちゃんの家」「森の兄妹」
おばあちゃんと兄妹が出会う話が両方の視点で描かれます。
家族の誰とも血が繋がっておらず離れで暮らしているおばあちゃんの、一見穏やかに見える生活と
何かを患っている母をもつ、妹想いのいいヤツ・モリオの決して明るくはない日常。
胸をざわざわさせるトリガーがこれでもかと仕込まれています。ホントに盛り盛りでもう、お腹いっぱい! -
Posted by ブクログ
今村夏子さん『むらさきのスカートの女』からの2作目!
ある出来事から宗教を信仰する主人公ちひろとその家族の話。
ちひろは実際のところ宗教を信仰しているかは分からないが、ちひろの友達や親戚の宗教に対する感じ方も書かれており、ちひろは当たり前のことをしている感覚だが、客観的に見た時に全然違うのが気味悪い。実際にちひろが公園で両親がある行動をしているところを見かけた時の気持ちは計り知れない。
読後感はスッキリするわけでは無いが、「もしかしたらこういうこと??」みたいな感じはあって怖い。
ただちひろには家族に振り回されず自分らしい人生を歩めるといいなと思った。