今村夏子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ〇あひる
あひるが交換されているのに主人公だけ気づく、謎の宗教に祈る親、暴力的な兄、自分の興味のままに行動する子供たち、破られる約束
子供の興味は移り、大人の興味もまた移る
〇おばあちゃんの家
穏やかで優しくニコニコとしていてやさしいおばあちゃんが、認知症を気に暴力的に、どんどん元気になっていく
閉じ込めようとする親、前はおばあちゃんが大好きだったけど大人になるにつれて離れていく主人公
血の繋がらないおばあちゃんっていうのも怖い要素だった
〇森の兄妹
母親の愛に飢えたモリオが森の中で出会ったおばあちゃんに惹かれて家族になろうとする
モリオは母親から漫画を買ってもらってからはおばあちゃんの家にいくことはなくなった
少年がいちばん欲しかったのは母親からの愛
おばあちゃんはその代わり
3作に共通する要素
要らなくなったらポイ、用済み、
なんだか怖い
-
Posted by ブクログ
権藤の常軌を逸したストーキングも、悪いことをしているという意識のない語り口からあまり怖さを感じなかった。しかし少しずつ少しずつ体を蝕むように「むらさきのスカートの女」に魅入られ、自分自身の生活が崩れていく様子が、最後の方では身震いするほどの恐怖を感じた。
帯にもあるように「なぜ執着し続けるのか」明確に語られることはなかった。でも、たぶん「むらさきのスカートの女」になりたかったんだと思う。なんで成りたかったのか。どんな形であれ人に注目されたかったのかもしれない。人に相手にされたかったのかもしれない。
誰にも相手にされない自分。誰にも印象に残らない自分。「むらさきのスカートのおんな」が羨ましかったのだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初あまりにも「わたし」がむらさきのスカートの女について詳しすぎるため、もしかして二人は同一人物で自分自身を俯瞰して見ているのかとも思ったが、読み進めて行くとそうではないことがわかる。
序盤は周囲から浮いた存在であったむらさきのスカートの女は次第に「普通の人」として受け入れられていく。
それと対照的に「わたし」、「黄色のカーディガンの女」は作中ずっと存在感がなく、むらさきのスカートの女のような存在感ある人に憧れてるのではないかと思った。そしてその憧れがエスカレートすればするほど、自分自身の異常な行動(無断欠席遅刻、家賃滞納、盗難などなど)に気づかない。むらさきスカートの女のことなら手に取るようにわかるのに、自分自身のことはなにもわかってない、客観視できてない。
最後には子供にポンっとタッチされて自分がかつてのむらさきのスカートの女と同じ立ち位置に、つまり目立った存在になるわけである。しかし、それは悪い意味での目立ちである。
今までは目立ってなかったからこそ、無銭飲食や、バザーでの備品の無断売買もむらさきのスカートの女に擦り付けることができていた。しかし、自分を客観視できていないまま、目立ってしまった今、この先起こることが良い結末になるとは思えない。
結局なにを伝えたかったのかを考えると、やはり何かに憧れると、自分自身を見失うということ。そこまでして憧れた人のようになることで本当に自分にとって良い方に向くのか、、、
盲目にならず落ち着いて生きたいな
みたいなことを思った小説だった。 -
Posted by ブクログ
変わり者で、周りから迫害されているあみ子。
しかしあみ子は終始、自分が嫌われていたりいじめられたりしている自覚がない。
中学で女学生たちにトイレで蹴られても、それは「蹴られた」という事実のみで片付けられ、あみ子の心は動かない。
自分の兄が中学校で「田中先輩」として恐れられ、それによりあみ子への虐めが一時期止むが、それでもあみ子の心は動かない。故におごらないし、なんなら「田中先輩」と言われているのが自分の兄なのかどうかすらも確信が持てない。
あみ子の中で「兄」は不良になる前の家族であり、「田中先輩」とは不良になった後のよく知らない人であるからして、あみ子の中ではイコールで結ばれることがない。
きっとそれは、あみ子には事実しか見えていないからだ。
それは素晴らしい才能でありながらも、この集団主義に重きを置く日本では生きずらい。
噂を好み、集団からはじかれないように誰かをわざと集団の外に追い出す。そんな文化のコミュニティの中であみ子が生きていきやすいはずはないのだ。
そして一番の問題はあみ子の何に問題があるかを誰も教えてはくれないことだ。
「こちらあみ子、応答せよ」
この呼びかけに対して応える者は、家族の中にも学校の中にもどこにもいない。
唯一、小学生からの同級生の坊主頭の男子だけは最後に「お前は気持ち悪いところがある」ことを教えてくれるが
それも具体的にどこが悪いかは教えてはくれなかった。
その中で、最後に一番にあみ子に向かい合ったのはのり君だったと思う。
遠巻きからあみ子を迫害する他者とは違い、のり君は「殺す」と自分の想いをストーレートに暴力と一緒に伝える。
誰からも応答されてこなかったあみ子にとって、これが一番救われた瞬間だったんじゃないだろうか。
のり君に折られた歯をそのままにしているあみ子は、のり君の真っすぐな想いを口内に孕みながら今日も生きている。