今村夏子のレビュー一覧
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ネタバレ『こちらあみ子』『ピクニック』、そして『チズさん』。この短編集を読み終えた今、私は非常に不思議な感覚に包まれている。怖い話を読んでいるような、あるいはSFを読んでいるような、現実から離れた異世界に触れたような感覚。しかし、どの話も限りなく現実に近い、今村夏子ならではの剥き出しの語りだった。
中でも最も強く心を揺さぶられたのが、『ピクニック』だ。
序盤、そのタイトルから、私は主人公の七瀬とタレントの春元気との間に生じる明るい交流の物語だと思っていた。しかし、その期待は残酷に裏切られる。二人の関係は七瀬の痛々しい妄想に過ぎず、ドブ川で携帯を探し続ける狂気的な行動も、存在しない接点を繋ぎ止めるた -
Posted by ブクログ
ネタバレいやー全体的に人間の醜く薄情なところが凝縮された短編集だったなぁ……。
特に表題作でもある『とんこつQ&A』はタイトルはキャッチーでかわいいのに、内容は私からするとひどくおぞましいものだった。読んでいる間は顔が引きつってたのが自分でもわかる。
亡くなったお母さん(妻)が恋しいのはわかるけど、コピー人間を作ろうとするのって怖くね?しかも父子揃って悪気があるわけじゃないんだよね……余計に怖くね?段々と主人公も疑問に思わなくなってくるし、最早ホラーじゃん。
『噓の道』『良夫婦』の2作品については、
人間の記憶のいい加減さや責任感のなさに焦点を当てたものなのかなと思う。
『噓の道』では噓をついたこ -
Posted by ブクログ
「紫」の反対色は「黄」──色相環で真反対に位置し、お互いの色を目立たせる効果がある。
『むらさきのスカートの女』というタイトルが途中から『黄色いカーディガンの女』に変わる。
「むらさきのスカートの女」の観察者であった主人公が、存在感において彼女を追い越す。
肉屋のショーケースを破壊、
ホテルの備品の転売、
無銭飲食、家賃滞納…
これらを悪びれることもなく、“淡々と”語る様。これにより、当初「むらさきのスカートの女」に抱いていた気味の悪さが、主人公へと移っていく。「紫」と「黄」が交差し、入れ替わる。
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「むらさきのスカートの女」との対比により、主人公の孤独が浮 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今村夏子、7冊目が無事文庫化した。
この作家が「こちらあみ子」(2011)から「あひる」(2016)に書き継いでくれたことがありがたいし、その後単行本化の数年後に文庫化が続いていること自体、純文学の出版界隈がちゃんと機能していることの証だと思う。
この作品集に収められた4作を一概にまとめることはできないので、詳しくは読書メモに書くにとどめるが、ざっくりいえば、やっぱり人の善意と悪意の間で振り子が揺れている作者で、読者がどのタイミングでどの作品に出会うか、もまた、感じ方が変わるんだろうな。
それだけギリギリの切っ先で、血肉を削って書いているんだろうな。
こんなに平易な文章なのに。
■「とんこつ