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Posted by ブクログ
「なぜ、あのオレンジ色の街頭が、オレンジ色とわかるのだろう」
「「知る」とこよりも、「感じる」ことのほうが大切なのではないか」
「素晴らしすぎるからといって、それが本当でないとということはない」
深い、洞察を感じる一冊でした。
著書が出た当時、今の自分より若い歳で、こんなにも情緒豊かな生き方をしてる。
人は、考えることで、ここまで知性豊かになれるんだなー。
「この世界は、死んでいった可能性で満ち溢れている。」
今あるもの、より、選ばれなかったもの、に光を。
深い深い、愛と哀を感じました。
最後に、
「あれだけ私を悩ませながら、本人はけろりと忘れている。」
こうやって本書は締めくくられる。
近くで見ると悲劇、遠くから見ると喜劇。
ほんとうにユーモアに溢れ、いい時間になりました!
Posted by ブクログ
脳科学者茂木健一郎氏が33歳の時に書いたエッセイであるが、とても読みやすくて親しみの持てる良本である。物理学や哲学は自分たちが普段考えていることと大きく乖離しているため、読み辛いものが多いのだが、この本は違う。自分たちと同じ高さの目線で描いてくれているのがとてもいい。1998年に出版された本なので、30年も前の本なのだが、人間の心の根源的な問題を取り扱っているので、今読んでも全く古臭くない。しかもこの著者は、宗教の問題を宗教についてよくわかっていない私たちに教えてくれる。
遠藤周作の「沈黙」という小説で「神はどうして沈黙しているのか」という問題を取り扱っているが、「神が沈黙し続けても、なお信仰を続ける人間の強さはいったいどこから来るのか?」という疑問に科学者の立場で考えてくれる。「信じるものは救われる」ってことも、「救済」と「癒し」を区別して考えれば理解できる。そんな本であった。
Posted by ブクログ
死生観について自分の考えを持っておきたいと思い、信頼を寄せる著名人である茂木さんのエッセイ(結構知育とか脳科学の本ばっかりのイメージだったので興味が湧いた)を読んでみた。
いくつか印象に残った話があった
・母と仏壇:死んだ後墓に入ろうが入るまいが、そんなに気にならんとおかんに話したらギャン泣きされた話(後日おかんはこの話を忘れているというエピソードがある from あとがき)
・人間が幸福であるための条件:PCがハイスペックであれば処理が早い、とかそう言う単純なピースの組み合わせで人間の幸福は定義できない。特に文学や芸術は、人間がただただ幸せになる過程を見せるより、むしろ破滅的な期間や、その間に生まれる感情を掬い取り、不思議な味わいを生み出している
・今:「今」という概念はあらゆる学問の中でとても重要であり、しかしながら人類が知を持ってからの認識が一切変わっていないものであるほど難しいものだということ。
・生と死と時間の不可逆性:死ぬことの恐怖について、死と痛みの関係について恐怖するより、死んだ後に自分が生きていた(=もう自分が生きてない)世界が平然と続くことの方が怖いだろうと言う話
・ウサギ:実験でうさぎを殺す時、確実に命にとって取り返しのつかないポイントがあり、その境界をまたぐことは恐ろしいこと。死刑制度では境界をまたぐのは判決を下す人間ではなく、現場の人間であるという矛盾についての指摘をしていて、まさにそうだよなと思った。
・宗教的天才:今日ではスタンダード化されたようなフォーマットを生み出した芸術家や発明家はたくさんいるが、母数的には宗教的天才の方が一番生まれづらい。
この本はもともとは臨死体験や脳科学をテーマに連載をしていたものを本にまとめると言う企画から始まったらしく、読んでいて妙にまとまった文章もあれば、当時の茂木さんが即時的に書いたであろうみずみずしい文章もあり、少し忙しい印象があった。
本人も当時にしか書けなかったような等身大の文章を綴ったと語っており、エッセイというのはやはりこういう実際性ゆえのみずみずしさに溢れているから読んでいて楽しいのだなあ、と思った。
自分の存在を強く認識しているほど、時間の流れを遅く感じる、という一行が妙に忘れられない。
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