教育 - 中央公論新社作品一覧

  • 謎の平安前期―桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年
    3.8
    電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。 平安遷都(794年)に始まる200年は激変の時代だった。律令国家は大きな政府から小さな政府へと変わり、豊かになった。その富はどこへ行ったのか? 奈良時代宮廷を支えた女官たちはどこへ行ったのか? 新しく生まれた摂関家とはなにか? 桓武天皇・在原業平・菅原道真・藤原基経らの超個性的メンバー、斎宮女御・中宮定子・紫式部ら綺羅星の女性たちが織り成すドラマとは? 「この国のかたち」を決めた平安前期のすべてが明かされる。
  • 物語 江南の歴史 もうひとつの中国史
    4.0
    「中国」は古来、大陸に君臨した北方「中原」と経済文化を担った南方「江南」が分立、対峙してきた。湿潤温暖な長江流域で稲作が広がり、楚・呉・越の争覇から、蜀の開発、六朝の繁華、唐・宋の発展、明の興亡、革命の有為転変へと、江南は多彩な中国史を形成する。北から蔑まれた辺境は、いかにして東ユーラシア全域に冠絶した経済文化圏を築いたのか。中国五千年の歴史を江南の視座から描きなおす。
  • ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父
    4.0
    トルコ建国の父、ムスタファ・ケマル(1881~1938)。オスマン帝国が西欧列強からの脅威にさらされるなか救国の英雄として活躍し、帝国崩壊後はトルコ共和国を建国し大統領に就任する。民族主義と世俗主義を掲げて新国家の建設を進めたケマルは、議会からアタテュルク(父なるトルコ人)という姓を与えられた。今なお国民から敬愛される彼の実像を、愛する家族や、戦いを共にした同志との人間模様を交えて活写する。
  • 隋―「流星王朝」の光芒
    -
    五八一年に誕生した隋王朝。五八九年には文帝楊堅が南朝の陳を滅ぼし、長き分裂の時代に終止符を打った。草原、華北、江南に君臨する帝国の誕生である。二代目の煬帝は大運河を築き親征を行い、帝国を拡大したが、高句麗遠征に失敗して動乱を招き、六一八年には唐に滅ぼされた。南朝、高句麗、突厥といったライバルが割拠したユーラシア大陸東部の変動を視野に、北方から興隆し、流星のように消えた軌跡を描く。
  • 幕末明治人物誌
    -
    幕末維新から日清・日露戦争を経て、明治の終焉へ……。吉田松陰、坂本龍馬、西郷隆盛から乃木希典、岡倉天心まで、激動の時代を生きた人物の思想と矛盾と葛藤を描く。歴史における敗者への想像力が息づく、出色の歴史人物論集。文庫オリジナル。 解説・渡辺京二 【目次】 吉田松陰/維新前夜の男たち/西郷隆盛の革命性と反動性/ 明治的マキャベリスト/高山樗牛/乃木伝説の思想/ 岡倉天心の面影/蘆花断想/内村鑑三先生/小泉三申論/頭山満
  • エルサレムの歴史と文化 3つの宗教の聖地をめぐる
    5.0
    ユダヤ教やキリスト教、イスラム教の聖典に描かれ、史跡が数多く残る古都エルサレム。今も世界中から巡礼が訪れる。その文化は、古代イスラエル王国が興った紀元前一〇〇〇年ごろから現在まで、諸民族の激しい攻防をくぐり抜け、受け継がれてきた。本書は、貴重な現地写真など一五〇点以上の図版と共に、「聖なる都市」の唯一無二の魅力を紹介。聖地の起源を物語るエピソードを随所に交え、美術館を巡るように街を探訪する。
  • 新版 中野京子の西洋奇譚
    4.1
    誰もが知る伝承に隠された、最も恐ろしい真実とは?科学では説明できない出来事や、人々が語り継がずにいられなかった不思議な話。歴史奇譚の魅力に触れたら、あなたはもう、戻れない...。稀代の語り手中野京子が贈る、魅力たっぷりの「怖い話」。
  • 潜艦U‐511号の運命 秘録・日独伊協同作戦
    -
    著者の自序に曰く、「日米開戦前後の交渉事項や太平洋を舞台とした戦争の経過などについては、すでに多くの資料や記録が刊行されているが、枢軸側三国を結ぶ〝ベルリン〟を中心とした世界史の一章は、いまだに秘められたまま今日にいたっている」――世界史転換の動機をつくった日独伊三国の枢軸側がなぜ敗戦の運命を共にしたのか? という問いへの答えを、「当時いずれも最高の機密に属し、外部への発表を禁ぜられていた貴重な史料」に基づき、反省を込めて綴った回想記。 著者は一九四〇年から三年にわたりベルリンに駐在し、日独伊三国同盟の軍事委員として独伊との作戦調整にあたった。本国からの情報不足や、日独の戦争方針の違いといった困難に直面する様は、当事者ならではの臨場感にあふれている。ドイツからのUボート回航を担ったのち、東条内閣末期に海軍大臣、その後は海上護衛司令長官などを歴任し、終戦に向けての動きも知る存在であった。 海軍の要職を務めた人物の手記として、私家版の『自叙 八十八年の回顧』、および「サンデー毎日」に寄稿した「東條内閣崩壊の真相」を収録した史料的価値も高い貴重な一次資料である。 解説は『独ソ戦』(岩波新書)の大木毅氏。 【目次より】 『潜艦U‐511号の運命』  序文  一 的はずれになって行く三国条約の効果  二 日独伊協力戦の実相  三 日本側在独者のベルリン会談  四 潜艦U・511号とともに 「東條内閣崩壊の眞相」 『自叙 八十八年の回顧』  解説 大木毅
  • 物語 オーストラリアの歴史 新版 イギリス植民地から多民族国家への200 年
    4.2
    1788年、イギリスの植民地として出発したオーストラリア。ヨーロッパ移民が立ち上げた白豪主義の国は、資源と貿易を通じて成長し、1901年に独立。世紀20は戦争と移民政策で東アジア世界と交わり、世紀も多民族国家と21して独自の力を発揮している。本書は、英帝国やアメリカ、日本、中国と対峙しながら、ミドルパワー国家が台頭する成長物語である。旧版を全面刷新し、200年以上の海域の歴史空間を克明に描く。
  • 日本の歴史問題 改題新版 「帝国」の清算から靖国、慰安婦問題まで
    -
    靖国神社、歴史教科書、慰安婦、領土、そして「犠牲者」個人への補償。戦後七五年を超えてなお残る歴史問題。なぜ「過去」をめぐる認識は衝突し、アジア太平洋戦争の「清算」は終わらないのか。本書では、帝国の解体から東京裁判、靖国論争が始まる一九八〇年代、慰安婦や領土をめぐり周辺諸国との軋轢が増す二〇一〇年代以降の歴史問題の全容を丹念に描出。名著『国家と歴史』を改題のうえ全面改稿し、歴史和解の道筋を示す。
  • 新版 嵐の中の北欧 抵抗か中立か服従か
    -
    激動の第二次大戦中、独ソの狭間で、北欧の小国はいかに生き延びたか。大国ロシアに対し勇壮な抗戦を繰り広げたフィンランド、ドイツに屈辱的な譲歩を重ね中立を保ったスウェーデン――その地政学的重要性によって大国に翻弄され続けた北欧四国の苦闘の歴史を、『物語 北欧の歴史』の著者がドラマチックに綴る。〈解説〉岡崎久彦〈新版解説〉大木 毅
  • 古代メソポタミア全史 シュメル、バビロニアからサーサーン朝ペルシアまで
    4.4
    人類初の文明は5500年前のメソポタミアに生まれた。灌漑農業、都市、文字など、現代でも必須な文明の要素は全てこのときにシュメル人が発明した。その後、「目には目を」で名高いハンムラビ王、初の世界帝国を築いた新アッシリアのアッシュル・バニパル王、「バビロン捕囚」で悪名高いネブカドネザル二世など数々の王たちが現れ、様々な民族の王朝が抗争を繰り広げる。イスラームの登場まで、4000年の興亡を巨細に描く。
  • 大隈重信(上) 「巨人」が夢見たもの
    4.8
    1~2巻1,100~1,210円 (税込)
    政治家、言論人、早稲田大学初代総長など多面的な活動で知られる大隈重信。一八三八年、佐賀に生まれ、幕末に志士として活躍。明治維新後は、官僚として頭角を現し、木戸孝允、大久保利通、三条実美らの右腕として、参議兼大蔵卿などを務める。明治十四年の政変で失脚するも、立憲改進党を率い、藩閥政府と対峙。時流を機敏にとらえ、一八九八年には総理大臣に就任する。上巻では、若き日から念願の組閣までを描く。
  • 回想の織田信長 フロイス「日本史」より
    3.5
    厚い信任を受けたポルトガル人宣教師フロイスの見た織田信長の素顔。一五六八年の初めての謁見から安土築城、八二年の本能寺の変、直後の明智光秀の死まで。戦国日本の第一級史料「日本史」から信長に関する章を訳出し、詳解する。文庫化にあたり新たに人名索引を付す。 〈解説〉和田裕弘 (目次より) Ⅰ 回想の信長 第一章 信長の素性、およびその性格、権勢、富、ならびに彼が到達した顕位と公方様の複位について Ⅱ 信長とフロイス 第六章 ルイス・フロイス師が、信長の許で援助を求めるために美濃国に赴いた次第、ならびに彼(信長)が彼に示した寵愛について 第八章 公方様と信長の葛藤、ならびに上京焼失の際、教会に生じたこと Ⅳ 安土山にて 第一六章 信長がその富、権力、身分のために陥った大いなる慢心と狂気の沙汰について Ⅴ 本能寺の変・山崎合戦 第一七章 明智が謀叛により、信長、ならびに後継者の息子を殺害し、天下に叛起した次 第一九章 明智の不運と十一日後の死去について など
  • 高坂正堯―戦後日本と現実主義
    4.0
    日本における国際政治学の最大の巨人・高坂正堯(1934~96)。中立志向の理想主義が世を覆う60年代初頭、28歳で論壇デビューした高坂は、日米安保体制を容認、勢力均衡という現実主義から日本のあり方を説く。その後の国際政治の動向は彼の主張を裏付け、確固たる地位を築いた。本書は、高坂の主著、歴代首相のブレーンとしての活動を中心に生涯を辿り、戦後日本の知的潮流、政治とアカデミズムとの関係を明らかにする。
  • 物語 オーストリアの歴史 中欧「いにしえの大国」の千年
    5.0
    ローマ帝国の〝前線基地〟を源流とするオーストリア。神聖ローマ皇帝としてヨーロッパに君臨したハプスブルク家、モーツァルトやウィーン世紀末芸術など華やかな歴史に彩られる一方、オスマントルコの侵攻、第一次世界大戦敗北後の帝国解体、ナチスドイツによる併呑、連合国軍による分割統治といった苦難も重ねてきた。首都ウィーンだけでなく、ザルツブルク、ティロルなど魅力溢れる九つの州からたどる、一千年の物語。
  • カラー版 ふしぎな県境 歩ける、またげる、愉しめる
    3.7
    地図を詳しく見ていくと、日本各地に複雑怪奇な県境が存在する。ショッピングセンターの売り場を分断している、一つの村が丸ごと他県に囲まれている、盲腸県境が幅1メートル×長さ8キロにわたって細長く続く、実際の県境からだいぶ離れたところに「県境」バス停がある……。こんな県境が、なぜ生まれたのか? 実際に行ってみると何があるのか? 地元の人は不便ではないのか? 県境マニアが全国13ヵ所の県境を検証。
  • 編集者冥利の生活
    -
    編集者冥利とは人との出会いの冥利です――。安岡章太郎「悪い仲間」のモデル、雑誌『季刊藝術』の編集同人、そして戦争文学の最終走者として知られた芥川賞作家の自伝的エッセイ&交友録。表題作をはじめ単行本未収録作品を多数含む文庫オリジナル編集。
  • 近現代日本史と歴史学 書き替えられてきた過去
    3.5
    近代日本の始まりは、ペリー来航ではなく、かつては天保の改革とされていた。高度成長期の公害問題が起こるまで、田中正造は忘れられた存在だった―。歴史は、新史料発見・新解釈により常に書き替えられる。特に近現代史は、時々の政治・社会状況の影響を受けてきた。本書は、マルクス主義の影響下にあった社会経済史をはじめ、民衆史、社会史という三つの流れから、近現代の歴史がどのように描かれ、修正されてきたかを辿る。
  • カラー版 東京いい道、しぶい道
    4.0
    散歩をしていると、大通りから古い道が枝分かれするようなポイントに出くわすことがある。道幅はちょっと狭くて、ひなびた商店が奥の方に何軒か見える。散歩愛好家というのは気まぐれに、だいたい裏道、くねくね道に足を踏み入れてしまうものだ。ここで名づけた「いい道、しぶい道」とはそんな道。街歩きブームの先駆者が、時代の変化を独自のアンテナで捉えながら、東京に散在する、歩きがいのある道を地図と写真をまじえながらガイドする。
  • 復興亜細亜の諸問題・新亜細亜小論
    4.5
    チベット、アフガン、トルコ、ペルシャ、イラク。第一次世界大戦後、西洋支配の桎梏から抜け出そうともがくアジア諸国の状勢を鋭く分析した「復興亜細亜の諸問題」。日米開戦前後にわたって綴った論考を収めた「新亜細亜小論」。東亜の論客はアジアに何を求めたのか。〈解説〉大塚健洋
  • 獄中手記
    4.0
    「天皇陛下 何と云う御失政でありますか」「皇祖皇宗に御あやまりなされませ」。貧富の格差に憤り国家改造を目指して蹶起した二・二六事件の指導者が獄中で綴った、叫びにも似た言葉の数々は、三島由紀夫の「英霊の聲」等にも影響を与えた。未刊行の手記や書簡もあわせて収録。 〈解説〉筒井清忠
  • 安政の大獄 井伊直弼と長野主膳
    -
    ペリー来航以来、揺らぎ始めた幕府の権威を維持強化するため、大老井伊直弼が断行した安政の大獄は、吉田松陰・橋本左内ら英才俊傑のみならず、幕府内の人材も一掃することとなった。侘しい埋木舎時代の井伊直弼と国学者長野主膳との異常に親密な師弟関係・主従関係から説きおこし、大獄へと突き進む二人を描く。 〈解説〉家近良樹
  • 物語 ビルマの歴史 - 王朝時代から現代まで
    4.3
    1巻1,100円 (税込)
    民主化運動の指導者アウンサンスーチー、壮麗なパゴダ、『ビルマの竪琴』などで知られ、潜在力の高い新興市場としても注目されるビルマ(ミャンマー)。王朝時代に始まり、イギリス植民地時代、日本軍による占領期。戦後の独立後は、ビルマ式社会主義、23年間にわたる軍政期、そして2011年に民政へ移管し、改革の進む現代まで。知られざる多民族・多言語・多宗教国家の歩みをたどり、未来を展望する。
  • 昭和天皇 「理性の君主」の孤独
    4.0
    新時代の風を一身に浴び、民主的な立憲君主になろうとした昭和天皇。しかし、時代はそれを許さなかった-。本書は今まであまりふれられることのなかった青年期に至るまでの教育課程に注目し、政治的にどのような思想信念をもっていたかを実証的に探る。そしてそれは実際の天皇としての振る舞いや政治的判断にいかなる影響を与えたか、戦争責任についてどう考えていたか、さらに近代国家の君主のあり方をも考察する。
  • 物語 フランス革命 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで
    4.7
    一七八九年、市民によるバスチーユ襲撃によって始まったフランス革命は、「自由と平等」という光り輝く理想を掲げ、近代市民社会の出発点となった。しかし、希望とともに始まった革命は、やがて恐怖政治へと突入、ナポレオンを登場させ、彼の皇帝即位をもって幕を下ろす。本書は、ドラマに満ちた革命の有為転変をたどりつつ、当時を生きた人々の息づかいや社会の雰囲気を丁寧に追い、革命の時代を鮮やかに描き出す。
  • 物語 エルサレムの歴史 旧約聖書以前からパレスチナ和平まで
    4.1
    一九八〇年代、イスラエルが占領地でユダヤ人入植を推進した際、パレスチナ人がオスマン・トルコの土地台帳を根拠に所有権を主張すると、入植者たちは旧約聖書に記された神とアブラハムの契約を示したという-。ダビデら古代の王の事績から、イスラム教徒の統治と十字軍、二回の大戦とイスラエル建国、そして戦争と和平交渉が繰り返される現代まで、聖書の記述が息づく「聖地」の複雑な来歴を、エピソード豊かに綴る。
  • 「国語」の近代史 帝国日本と国語学者たち
    3.5
    明治維新後、日本は近代的な統一国家を目指し、ことばの地域差・階層差を解消するため「国語」を創始する。「国語」は国民統合の名の下に方言を抑圧し、帝国日本の膨張とともに植民地・占領地にも普及が図られていく。この「国語」を創り、国家の国語政策に深く関与したのが、国語学者であった。仮名文字化、ローマ字化、伝統重視派、普及促進派などの論争を通し、国家とともに歩んだ「国語」と国語学者たちの戦前・戦後を追う。
  • 馬賊 日中戦争史の側面
    3.7
    はてしない満蒙の曠野を百騎、二百騎と群れなして疾駆する馬賊たち。「大陸雄飛」を夢みた日本の青年たちも、その群れに身を投じた。やがて、日中戦争における日本軍の「討匪行」は、日中両民族間の悲劇をさらにふかめる。現地生活二十五年の著者が、その生々しい体験をもとにして描いた、中国民衆の「武装集団」の凄絶な苦闘、劇的な盛衰の過程を顧みることなくして、今日の中国の歴史的意味を問うことはできない。
  • 日ソ戦争 帝国日本最後の戦い
    3.0
    日ソ戦争とは、1945年8月8日から9月上旬まで満洲・朝鮮半島・南樺太・千島列島で行われた第2次世界大戦最後の全面戦争である。短期間ながら両軍の参加兵力は200万人を超え、玉音放送後に戦闘が始まる地域もあり、戦後を見据えた戦争だった。これまでソ連の中立条約破棄、非人道的な戦闘など断片的には知られてきたが、本書は新史料を駆使し、米国のソ連への参戦要請から各地での戦闘の実態、終戦までの全貌を描く。
  • 歴代天皇総覧 増補版 皇位はどう継承されたか
    4.5
    天皇は古代より連綿と代を重ねてきた。壬申の乱、承久の乱、南北朝動乱などの激動を乗り越え、その系譜は千年以上にわたって続いている。皇位継承はどのように行われ、どう変質をとげたのか。時の権力との関わりはいかなる推移をたどったのか。記紀に記される初代神武天皇から平成の天皇までの百二十五代と北朝天皇五代の生涯と事績を丹念に叙述する。皇統の危機を論じた新稿を収録し、巻末の系図・年表を更新した決定版。
  • 米の日本史 稲作伝来、軍事物資から和食文化まで
    4.0
    日本人にとって特別な食・コメ。稲はどこから日本列島にきたのか、最初の水田を作ったのは誰か、なぜ東北地方で栽培が遅れたのかなど、稲作の起源を解説。インディカ米が盛んに作られていた中世、地下水路を建設するほど水利に力を入れ、和菓子や酒づくりなど米食文化が花開いた近世の実態を紹介。さらに富国強兵を支えた近代を経て現代まで、農学や文化の視点を交えながら「米食悲願民族」の歴史を解き明かす。
  • 幕末歴史散歩 京阪神篇
    4.0
    京都・三条大橋のたもとに、御所に向かって遙拝する銅像がある。それまで忘れ去られていた天皇を「発見」し、勤王志士のさきがけとなった高山彦九郎である。彼が扉を開いた幕末は、開国の混乱、大津波、尊攘派と幕府との攻防、大政奉還を経て新時代へと突き進む。本書は、いまも関西に残る幕末維新の史跡を訪ねる「足で読む歴史」である。ウォーキング、出張、修学旅行のお供にも。巻末に『戊辰戦記絵巻』前篇を付す。
  • 河合栄治郎 戦闘的自由主義者の真実
    4.0
    人格の成長を第一と考える理想主義を提唱し、昭和期の学生必読書『学生に与う』を著した思想家・河合栄治郎。彼の生涯は闘いの連続であった。中学校でのいじめにはじまり、保身に走る官僚、派閥抗争に明け暮れる大学教授、そしてファシズムに傾斜していく軍部に対し、彼は「戦闘的自由主義者」として、自らの信念を貫き通した。新発見の史料によって生涯・思想・後世への影響を詳説。いま明かされる真実の河合栄治郎とは。
  • 物語 イスラエルの歴史 アブラハムから中東戦争まで
    3.8
    イスラエルという民族名は、紀元前十三世紀のエジプトの碑文にはじめて登場する。文明が交錯する東地中海沿岸部では、さまざまな民族が興亡してきた。そのなかで、イスラエル(ユダヤ)民族はバビロニア捕囚やローマ帝国による迫害など、民族流亡の危機を乗り越え、第二次世界大戦後に再び自らの国を持つに至った。本書は、民族の祖とされるアブラハムから中東戦争後の現在まで、コンパクトに語る通史である。
  • 皇族 天皇家の近現代史
    4.2
    古代より「天皇の血族」として存在した皇族。明治維新後、最も近親で天皇を支える階級として、軍人の義務と多くの特典を獲得し成立した。だが、自らの権威・特権を背景に、長老の皇族軍人や直宮は、天皇を脅かす存在でもあった。本書は、古代から現代の皇族を概観し、近代以降存在した十五宮家、皇族軍人たちの動向、新たな位置づけを求めた戦後の「皇室」を中心に、皇族の全貌を明らかにする。巻末に詳細な「近代皇族一覧」付。
  • 騎馬民族国家 日本古代史へのアプローチ [改版]
    3.8
    日本国家と日本民族の起源は東北アジア騎馬民族の日本征服にあるという説にたつ著者が、大陸と古代日本との比較・対照によって、その社会・政治・軍事・文化などのそれぞれの面で具体的に符合することを証明する。第1部では、騎馬民族であるスキタイ・匈奴・突厥・鮮卑・烏桓などの興亡から滅亡までの歴史とその特質を描き、第2部では日本における征服王朝をとりあげて、大陸騎馬民族との比較研究を綿密に行なう。毎日出版文化賞受賞。
  • 物語 ヴェトナムの歴史 一億人国家のダイナミズム
    3.7
    ヴェトナムは一億人の国になろうとしている。ヴェトナム戦争では大きな犠牲を払いながら独立を堅持、経済成長のダイナミズムは二十一世紀のヴェトナムの発展を約束している。このエネルギーはどこから生まれるのだろうか。ヴェトナム人のこころ、民族の象徴として親しまれている建国の王フン・ヴォン(雄王)から、独立の指導者ホ・チ・ミンに至る歴史群像を語り、あくなき抵抗と独立の戦いに勝ち抜いてきた逞しい国民性の根源を探る。
  • 自動車の世界史 T型フォードからEV、自動運転まで
    4.0
    1巻1,056円 (税込)
    19世紀末、欧州で誕生した自動車。1908年にT型フォードがアメリカで爆発的に普及したのを機に、各国による開発競争が激化する。フォルクスワーゲン、トヨタ、日産、ルノー、GM、現代、テスラ、上海汽車――トップメーカーの栄枯盛衰には、国際政治の動向が色濃く反映している。本書は、自動車産業の黎明期から、日本車の躍進、低燃費・EV・自動運転の時代における中国の台頭まで、100年の激闘を活写する。
  • 山県有朋 明治国家と権力
    4.5
    明治国家で圧倒的な政治権力を振るった山県有朋。陸軍卿・内相として徴兵制・地方自治制を導入し、体制安定に尽力。首相として民党と対峙し、時に提携し、日清戦争では第一軍司令官として、日露戦争では参謀総長として陸軍を指揮した。その間に、枢密院議長を務め、長州閥陸軍や山県系官僚閥を背景に、最有力の元老として長期にわたり日本政治を動かした。本書は、山県の生涯を通して、興隆する近代日本の光と影を描く。
  • 言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか
    4.1
    日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。なぜヒトはことばを持つのか? 子どもはいかにしてことばを覚えるのか? 巨大システムの言語の起源とは?ヒトとAIや動物の違いは? 言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。
  • 古代マヤ文明 栄華と衰亡の3000年
    4.2
    かつて中米に栄えた古代マヤ。前一〇〇〇年頃に興り、一六世紀にスペインに征服された。密林に眠る大神殿、高度に発達した天文学や暦など、かつては神秘的なイメージが強かったが、最新の研究で「謎」の多くは明かされている。解読が進んだマヤ文字は王たちの事績を語り、出土した人骨は人びとの移動や食生活、戦争の実態まで浮き彫りにする。現地での調査に長年携わった著者が、新知見をもとに、その実像を描く。
  • 教育の未来 変革の世紀を生き抜くために
    4.0
    新しい知識やスキル(技能)を学ぶ意欲を高めるにはどうすればよいのか。本書では、赤ちゃんから高齢者まで、誰もが持っている「学びの原動力」を最新の認知科学から解明。人口減少、デジタル化、中国の台頭、自然災害など、日本社会が直面するさまざまな課題を克服し、未来を拓くには――。教育改革を牽引する認知科学の第一人者が、英語力、情報活用能力から社会的関係を築く力の育み方まで、教育のあり方を提言する。
  • 新版 大化改新 「乙巳の変」の謎を解く
    3.0
    皇極四年(六四五)、中大兄皇子と中臣鎌足は蘇我蝦夷・入鹿父子を武力で排除した。この乙巳の変が国政改革「大化改新」の序幕だったという筋書きはあまりにも有名である。だが、これに関して残された史料は中大兄・鎌足中心に事件を描く極めて偏ったものだった。クーデターの真の目的は何か。その首謀者は誰だったのか。本書は、王位継承をめぐる路線対立に着目して旧版を大幅改稿し、熾烈な権力闘争の内実に迫るものである。
  • ドイツ・ナショナリズム 「普遍」対「固有」の二千年史
    4.0
    1巻1,056円 (税込)
    アメリカの世界覇権が翳りを見せるなか、欧州で主導権を握り、存在感を増すドイツ。だが英仏など周辺国からの反撥は根強い。そこには歴史的経緯や、経済をはじめとする国力の強大化への警戒感だけでなく、放漫財政を指弾し、難民引き受けや環境保護を迫るなど、西欧的=「普遍」的価値観に照らした「正しさ」を他国にも求める姿勢がある。二千年にわたる歴史を繙き、ドイツはいかにして「ドイツ」となったのかをさぐる。
  • 剣闘士 血と汗のローマ社会史
    5.0
    奴隷制、円形闘技場……ローマ史を流血で彩った剣闘士(グラディエーター)の光と影。「ローマの平和」(パクス・ローマーナ)と讃えられた地中海世界帝国において、数百年にわたり、史上唯一の公認殺人競技がなぜ続いたのか? 剣闘士競技の起源や仕組みはどうなっているのか? 民衆はなぜ流血の見世物に熱狂したのか? 膨大な財政負担にもかかわらず、為政者や富裕者は何を期待して見世物を施そうとしたのか? 剣闘士とその競技を通して、ローマ帝国の権力、社会の構造の深層をさぐり、帝国の繁栄と変容、終焉への過程を辿る。
  • 古代中国の24時間 秦漢時代の衣食住から性愛まで
    4.2
    始皇帝、項羽と劉邦、曹操ら英雄が活躍した古代の中国。二千年前の人々はどんな日常生活を送っていたのか。気鋭の中国史家が文献史料と出土資料をフル活用し、服装・食卓・住居から宴会・性愛・育児まで、古代中国の一日24時間を再現する。口臭にうるさく、女性たちはイケメンに熱狂、酒に溺れ、貪欲に性を愉しみ……。驚きに満ちながら、現代の我々ともどこか通じる古代人の姿を知れば、歴史がもっと愉しくなる。
  • 教育論の新常識 格差・学力・政策・未来
    3.8
    入試改革はどうなっているのか? 今後の鍵を握るデジタル化の功罪は? いま注目の20のキーワード(GIGAスクール、子どもの貧困、ジェンダー、九月入学等)をわかりやすく解説。編著者の松岡氏は、研究が「教育の実態を俯瞰的に捉えた数少ない正攻法」(出口治明氏)と評される、「2021年日本を動かす21人」(『文藝春秋』)のひとり。ベストセラー『「学力」の経済学』の中室牧子氏、文部科学省の官僚ら総勢22名の英知を集結。 キーワードは、SES、子どもの貧困、デジタル化、ジェンダー、日本語教育・国籍、論理国語、英語入試改革、共通テスト、大学教育、GIGAスクール、九月入学論、大学無償化、教員の働き方、教員免許更新制度改革、審議会、EBPM、全国学力テスト、埼玉県学力調査、教育DXなど。
  • 幕末維新の城 権威の象徴か、実戦の要塞か
    4.0
    長い眠りについていた城郭が、ふたたび戦場となる時が来た。外国船からの防備のために五稜郭や品川台場など、西洋式の要塞が建造される。幕長戦争から戊辰戦争にかけては、小倉城や姫路城、そして会津若松城などが砲火に晒された。さらに維新後は士族の反乱や廃城令により、萩城、熊本城などが失われてゆく。全国約40の城郭と要塞が辿った運命を描き、日本人にとって「城とは何か」を考察する。古写真多数掲載。
  • フランス現代史 英雄の時代から保革共存へ
    3.8
    パリ解放とドゴールの凱旋によって出発したフランスの戦後には疲弊した経済の立て直し、植民地解放運動への対処等課題が山積していた。とりわけアルジェリア紛争は国内分裂を招きかねない危機であった。これを乗り切ったドゴールの指導力も、五八年五月の学生反乱を契機とする変革の波には抗し切れなかった。高度産業社会は伝統的価値観も転換させたのである。英雄の時代からコアビタシオン(保革共存)へ向かうフランスの試行の足跡。
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]
    4.1
    一九三二年三月、中国東北地方に忽然と出現し、わずか一三年五ヵ月後に姿を消した国家、満洲国。今日なおその影を色濃く残す満洲国とは何だったのか。在満蒙各民族の楽土を目指すユートピアか、国民なき兵営国家なのか。本書は、満洲国の肖像をギリシア神話の怪獣キメラに譬えることによって、建国の背景、国家理念、統治機構の特色を明らかにし、近代日本の国家観、民族観、そしてアジア観を問い直す試みである。吉野作造賞受賞。
  • インカ帝国遠征記
    -
    ピサロとともにインカ帝国に遠征した複数の記録者の詳細な記録。前半はカハマルカまでの遠征の道程を、後半はインカの首都を制圧し、皇帝を捕らえる様をまざまざと描く。皇帝の人となりの描写が目を引く。

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  • 物語 ストラスブールの歴史 国家の辺境、ヨーロッパの中核
    4.0
    世界遺産にも指定された旧市街をもつストラスブールは、ケルト人の集落に端を発し、ローマ→ゲルマーニア→フランク王国と西ヨーロッパの典型的な文明を経験した。その後、ドイツ、フランスによる争奪が繰り返されるなか、ルネサンス、市民革命、ナショナリズム、世界大戦など、ヨーロッパ史を象徴する出来事をすべて体現する。寛容と自由、排他主義と戦火――もっとも壮麗にヨーロッパ史を生きた都市の歴史を鮮やかに描く。
  • 縄文人と弥生人 「日本人の起源」論争
    3.3
    1巻1,034円 (税込)
    日本人は、在来の縄文人と渡来系弥生人の混血によって生まれた。「日本人の起源」の定説である。しかし、この縄文/弥生人モデルが二〇世紀後半に定着するまで、人種交替説、固有日本人説、混血説、変形説など、様々な説が唱えられてきた。研究の進展とともに、見え隠れするのは同時代の社会からの影響だ。近年はゲノム解析により、縄文/弥生人の図式もゆらぐ。起源を訪ねた研究者たちの足跡を辿り、日本人の自画像を描きだす。
  • 田中角栄 戦後日本の悲しき自画像
    4.1
    1巻1,034円 (税込)
    「コンピュータ付きブルドーザー」と呼ばれた頭脳と行動力で、高等小学校卒から五四歳で首相の座に就いた田中角栄。「新潟三区」という雪深い地盤に“利益誘導”を行い、「日本列島改造」を掲げた角栄は、戦後政治の象徴だった。だが彼の金権政治は強い批判を浴び、政権は二年半で終わる。その後も巨大な「田中派」を背景に力を持ったが、ロッキード事件では有罪判決が下った。角栄を最期まで追い続けた番記者が語る真実。
  • 日本の先史時代 旧石器・縄文・弥生・古墳時代を読みなおす
    3.8
    日本史の教科書で最初に出てくる、旧石器・縄文・弥生・古墳時代。三万六〇〇〇年に及ぶ先史の時代区分は、明治から戦後にかけて定着していった。しかし近年、考古学の発展や新資料の発掘に伴い、それぞれの時代の捉え方は大きく塗りかえられている。本書では、各時代の「移行期」に焦点を当て、先史の実像を描き出す。人びとの定住、農耕の開始、祭祀、「都市」の出現、前方後円墳の成立――。研究の最前線を一望する決定版。
  • 鉄道と政治 政友会、自民党の利益誘導から地方の自立へ
    3.3
    かつて鉄道は、地方に近代化をもたらしてくれるものだった。「我田引鉄」と呼ばれようとも、政治家は血眼になって自らの票田に鉄道を引き込んだ。不自然な路線や駅の配置が各地に見られるのはその結果でもある。だが、鉄道を国に強請る時代は終わった。国と地方との関係が変わった今、リニア、都市交通などの整備はどうあるべきか。明治以来の政治家・政党と交通政策の変遷を概説し、これからを展望する。
  • 真珠の世界史 富と野望の五千年
    4.3
    古来、真珠は高価な宝石で、貴重な交易品だった。『魏志倭人伝』は邪馬台国の大量の真珠について記し、マルコ・ポーロやコロンブスは日本の真珠に憧れた。新大陸で新たな産地が発見されると、一大ブームが巻き起こる。そして二十世紀初め、価格を吊り上げていたカルティエやティファニーに衝撃を与えたのが、日本の養殖真珠だった。こうして真珠王国日本が誕生する。本書は誰も書かなかった交易品としての真珠史である。
  • 物語 ナイジェリアの歴史 「アフリカの巨人」の実像
    3.7
    アフリカはサハラ砂漠南縁を境に、北のアラブ主義と南のネグロ主義に分けられる。現在この両者にまたがる唯一の国がナイジェリアである。サハラ交易による繁栄、イスラームの流入、奴隷貿易、イギリスの統治などを経て、ナイジェリアは人口・経済ともにアフリカ最大の国となった。20世紀には150万人以上の犠牲者を出したビアフラ戦争を経験し、イスラーム過激派組織ボコ・ハラムを抱える「アフリカの巨人」の歴史を辿る。
  • 古代オリエントの神々 文明の興亡と宗教の起源
    4.1
    ティグリス・ユーフラテス河の間に広がるメソポタミアの平野、ナイルの恵みに育まれたエジプト。ここで人類は古代文明を築き、数多くの神をつくり出した。エジプトの豊饒神オシリス、天候を司るバアル、冥界神ギルガメシュ、都市バビロニアを守るマルドゥク、アジアからヨーロッパまで遠征したキュベレ女神、死後に復活するドゥムジ神――さまざまな文明が興り、消えゆくなか、人がいかに神々とともに生きたかを描く。
  • マリー・アントワネット フランス革命と対決した王妃
    4.6
    名門ハプスブルク家に生まれたマリー・アントワネットは、フランス王妃となり、ヴェルサイユ宮殿で華麗な日々を過ごしていた。だが、一七八九年のフランス革命勃発で運命が急変。毅然と反革命の姿勢を貫き、三十七歳の若さで断頭台の露と消えた。悪しき王妃として断罪された彼女が、後世で高い人気を得、人々の共感を集めているのはなぜか。彼女が目指した「本当の王妃」とは何だったのか。栄光と悲劇の生涯を鮮やかに描く。
  • パリの日本人
    4.0
    1巻1,034円 (税込)
    明治の元勲・西園寺公望、江戸最後の粋人・成島柳北、平民宰相・原敬、宮様総理・東久邇宮稔彦、京都出身の実業家・稲畑勝太郎、山の手作家・獅子文六……。ベル・エポックから両大戦の間、最盛期のパリで日本人が見たものとは? 文庫版用書下ろし「パリの昭和天皇」収録。
  • 華族 近代日本貴族の虚像と実像
    3.6
    明治維新後、旧公卿・大名、維新功労者などから選ばれた華族。「皇室の藩屏」として、貴族院議員選出など多くの特権を享受した彼らは、近代日本の政治、経済、生活様式をリードした「恵まれた」階級のはずだった。日清・日露戦争後、膨大な軍人や財界人を組み込み拡大を続けたが、多様な出自ゆえ基盤は脆く、敗戦とともに消滅する。本書は、七八年間に一〇一一家存在したその実像を明らかにする。巻末に詳細な「華族一覧」付き。
  • 昭和陸軍の軌跡 永田鉄山の構想とその分岐
    4.2
    1巻1,034円 (税込)
    昭和十年八月十二日、一人の軍人が執務室で斬殺された。陸軍軍務局長永田鉄山。中堅幕僚時代、陸軍は組織として政治を動かすべきだとして「一夕会」を結成した人物である。彼の抱いた政策構想は、同志であった石原莞爾、武藤章、田中新一らにどう受け継がれ、分岐していったのか。満蒙の領有をめぐる中ソとの軋轢、南洋の資源をめぐる英米との対立、また緊張する欧州情勢を背景に、満州事変から敗戦まで昭和陸軍の興亡を描く。
  • 伊藤博文 知の政治家
    4.1
    幕末維新期、若くして英国に留学、西洋文明の洗礼を受けた伊藤博文。明治維新後は、憲法を制定し、議会を開設、初代総理大臣として近代日本の骨格を創り上げた。だがその評価は、哲学なき政略家、思想なき現実主義者、また韓国併合の推進者とされ、極めて低い。しかし事実は違う。本書は、「文明」「立憲国家」「国民政治」の三つの視角から、丹念に生涯を辿り、伊藤の隠された思想・国家構想を明らかにする。
  • 大学の誕生〈上〉 帝国大学の時代
    4.0
    1~2巻1,034~1,078円 (税込)
    日本の大学はどのような経過をたどって生まれたのだろうか。本書は、その黎明期のダイナミックな展開を二巻にわたって、つぶさに描くものである。上巻では、明治一〇年の「東京大学」の設立と一九年の帝国大学誕生の成立から説き起こす。その後、帝国大学が自己変革していくさまと、帝国大学に対するかのように生まれる官立・私立の専門学校の隆盛へと物語は進んでゆく。人と組織が織りなす、手に汗握るドラマ。
  • シュメル―人類最古の文明
    3.8
    五千年前のイラクの地で、当時すでに文字やはんこ、学校、法律などを創り出していた民族がいる。それが、今までほとんどその実像が明らかにされてこなかったシュメル民族である。本書は、シュメル文明の遺物を一つ一つ紹介しながら、その歴史や文化を丹念に解説するものである。人類最古の文明にして現代社会の礎を築いた彼らの知られざる素顔とは――?多様かつ膨大な記録から、シュメルの人々の息づかいを今に伝える。
  • ヴァンダル興亡史 地中海制覇の夢
    3.8
    五世紀中頃、地中海に君臨したヴァンダル族。移動と戦いに明け暮れ、六世紀半ばに東ローマ帝国に滅ぼされるまでの足跡を、民族大移動の流れの中に活写。

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  • 御成敗式目 鎌倉武士の法と生活
    4.5
    武士社会の先例や道理に基づくとされる御成敗式目。初の武家法はどのように生まれ、どう受容され、なぜ有名になったのか。
  • 関東軍―満洲支配への独走と崩壊
    3.8
    関東軍は、一九一九年に中国・関東州と南満洲鉄道附属地の保護を目的に成立した。しかし、一九二八年の張作霖爆殺事件や三一年の満洲事変など、日本政府・陸軍中央の統制から外れて行動し、多くの謀略に関与した。「独走」の代名詞として悪名高い組織は、どのようにして生まれたのか。軍事・外交史研究の蓄積に、中国側の史料も踏まえ、組織制度、軍人たちの個人的特性、満洲の現地勢力との関係から解き明かす。
  • 帝国図書館―近代日本の「知」の物語
    -
    近代国家への道を歩み出した明治日本。国家の「知」を支えるべく政府によって帝国図書館が設立された。しかし、その道のりは多難であった。「東洋一」を目指すも、慢性的な予算不足で書庫も閲覧室も狭く、資料は溢れ、利用者は行列をなした。関東大震災では被災者の受け入れに奮闘。戦時には所蔵資料の疎開に苦しんだ。本書は、その前身の書籍館から一九四九年に国立国会図書館へ統合されるまでの八〇年の歴史を活写する。
  • 京都の山と川 「山紫水明」が伝える千年の都
    4.5
    人口150万を数える京都。街を歩けば、どこからでも山が見え、川では子どもが遊んでいる。これほど人々と山河が近い大都市は珍しい。1200年前の遷都時に桓武天皇が「山が襟のように囲んでそびえ、川が帯のようにめぐって流れる自然の要害」であると述べたように、京都の山河は常に人々と共にあった。本書は東山・北山・西山の三山、鴨川・桂川・宇治川・琵琶湖疏水、さらに市中の川を紹介、知られざる歴史を明かす。
  • 平氏―公家の盛衰、武家の興亡
    4.0
    清盛ら平家一門が権力を握り、日本史の主役を務めたのはわずか十数年。だが平氏の存在感は大きい。「源平合戦」で功績を挙げて鎌倉幕府を支えた御家人(北条氏、梶原氏、三浦氏など)の多くは平氏出身とされ、後世の織田信長も平氏の末裔を称した。本書は、平朝臣の姓を賜った天皇の子孫たちに始まり、朝廷に対して反乱を起こした平将門、公卿・実務官人として京都で活躍した堂上平氏など、公家・武家にわたる平氏の全貌を描く。
  • 物語 イスタンブールの歴史 「世界帝都」の1600年
    4.3
    1巻1,012円 (税込)
    ローマ帝国の混乱を収めたコンスタンティヌス一世が三三〇年に建設した「新ローマ」から、一九二二年のオスマン帝国滅亡まで一六〇〇年余り、「世界帝都」として繁栄したイスタンブール。本書は、ビザンツとオスマン、二つの帝国支配の舞台となったこの地の案内記である。城壁に囲まれた旧市街から、西欧化の象徴である新市街、東の玄関口アジア岸、そして近代のメガシティへ――複雑多彩な古都を愉しむ時間旅行。
  • 戦後民主主義 現代日本を創った思想と文化
    4.1
    アジア・太平洋戦争の悲惨な経験から、多くの支持を得た戦後民主主義。日本国憲法に基づく民主主義・平和主義の徹底を求める思想である。だが冷戦下、戦争放棄の主張は理想主義と、経済大国化後は「一国平和主義」と批判され、近年は改憲論の前に守勢にある。本書は戦後の制度改革、社会運動から政治家、知識人、映画などに着目し、戦後民主主義の実態を描く。日本社会にいかなる影響を残したのか、その軌跡を追う。
  • 百年戦争 中世ヨーロッパ最後の戦い
    4.0
    1巻1,012円 (税込)
    フランスを主戦場として英仏王家が攻防を繰り広げた百年戦争(一三三七~一四五三)。イングランドの大陸領をめぐる積年の対立に、フランス王位継承権争いが絡んで勃発した。当初イングランドが優勢だったが、ジャンヌ・ダルクによるオルレアン解放後、フランスが巻き返して勝利する。戦乱を経て、英仏双方で国民意識はどのように生まれたか。ヨーロッパ中世に終止符を打った戦争の全貌を描き、その歴史的意義を解明する。
  • 物語 カタルーニャの歴史 増補版 知られざる地中海帝国の興亡
    3.3
    1巻1,012円 (税込)
    バルセロナを中心にスペイン随一の繁栄を誇るカタルーニャ。かつてイタリアや遠くギリシャまで地中海全域を支配した大帝国だった。建国の父・ギフレ毛むくじゃら伯、黄金時代のジャウマ征服王や、騎士・錬金術師・怪僧らが地中海狭しと活躍する栄光の中世から、長い衰退期と混乱を経ながらも再生への努力を続ける現代へ。20世紀初頭のバルセロナの繁栄、スペイン内戦、21世紀の独立運動までを増補した決定版!
  • 贖罪のヨーロッパ 中世修道院の祈りと書物
    4.0
    中世の西ヨーロッパでは、禁欲の達成のために自らの欲望のありかを特定し、意識的に摘出する思想が生まれた。この贖罪の制度化は、社会に大きな影響を与えるとともに、修道院の生活を厳しく規定していく。絶え間ない祈りと労働のなかからは、さまざまな書体や華麗な写本も生み出された。本書は、6~12世紀までのアイルランドやフランスの社会を、修道院の制度、王侯との関係、経済、芸術等から読み解くものである。
  • 斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史
    3.5
    天皇の代替わりごとに占いで選ばれ、伊勢神宮に仕える未婚の皇女――それが斎王であり、その住まいが斎宮である。飛鳥時代から鎌倉時代まで六六〇年にわたって続いた斎宮を、あらゆる角度から紹介し、斎王一人一人の素顔に迫る。『伊勢物語』のモデルとなった斎王、皇后となり怨霊となった斎王、悲恋に泣いた斎王……彼女たちは都を離れた伊勢で何を祈り、何を思って人生を送ったのか。古代史の新たな姿が浮かびあがる。
  • 戦前日本のポピュリズム 日米戦争への道
    4.0
    現代の政治状況を表現するときに用いられる「ポピュリズム」。だが、それが劇場型大衆動員政治を意味するのであれば、日本はすでに戦前期に経験があった。日露戦争後の日比谷焼き打ち事件に始まり、怪写真事件、満洲事変、五・一五事件、天皇機関説問題、近衛文麿の登場、そして日米開戦。普通選挙と二大政党制は、なぜ政党政治の崩壊と、戦争という破滅に至ったのか。現代への教訓を歴史に学ぶ。
  • 大嘗祭―天皇制と日本文化の源流
    3.0
    1巻1,012円 (税込)
    代替わりした天皇が即位後の秋に1回だけ行う大嘗祭。「秘すべきことがはなはだ多い」とされ、謎に包まれたその儀式は、古来、豊穣祈願、聖婚儀礼など、さまざまに解釈されてきた。著者は大嘗祭が確立した天武朝、さらに古墳時代、弥生時代へとその起源を遡って考察。そのルーツが稲作儀礼にあり、原初段階の日本文化が女性原理に満ちたものであることを明らかにした。現在に至る日本的心性の基層が浮かび上がる。
  • 沖縄現代史 米国統治、本土復帰から「オール沖縄」まで
    4.2
    1巻1,012円 (税込)
    太平洋戦争中、地上戦で20万人強の犠牲者を出した沖縄。敗戦後、27年ものあいだ米国統治下に置かれ、1972年に本土復帰を果たすが、広大な基地は残された。復帰後の沖縄は保守と革新が争いながら政治を担い、「基地依存経済」の脱却を図る。  だが1995年の米兵少女暴行事件を契機に「島ぐるみ」による、2010年代には普天間基地移転・歴史認識をめぐり、保革を超えた「オール沖縄」による要求が国に行われるようになる。本書は、政治・経済・文化と、多面的に戦後沖縄の軌跡を描く。さらには中国の台頭による複雑化する沖縄の人々の基地感情も記す。
  • 文明の誕生 メソポタミア、ローマ、そして日本へ
    4.3
    道路、都市などの建造物、カレンダーや貨幣、法律にはじまる制度、そして宗教や文学のような精神世界まで、わたしたちの快適な毎日は、数多くの文明的な要素によって成り立っている。では、この文明はいつ、どこで誕生し、どのように受けつがれてきたのか。本書は、5000年前のメソポタミアに文明の起源をたずね、ギリシア、ローマや古代中国を経て、現代の日本にいたるまでを巨細に辿る壮大な「旅」である。
  • 近代日本の官僚 維新官僚から学歴エリートへ
    4.5
    明治維新後、新政府の急務は近代国家を支える官僚の確保・育成だった。当初は旧幕臣、藩閥出身者が集められたが、高等教育の確立後、全国の有能な人材が集まり、官僚は「立身出世」の一つの到達点となる。本書は、官僚の誕生から学歴エリートたちが次官に上り詰める時代まで、官僚の人材・役割・実態を明らかにする。激動の近代日本のなか、官僚たちの活躍・苦悩と制度の変遷を追うことによって、日本の統治内部を描き出す。
  • 物語 タイの歴史 微笑みの国の真実
    3.9
    一三世紀以降、現在の領域に南下し、スコータイ、アユッタヤーといった王朝を経て、一八世紀に現王制が成立したタイ。西欧列強の進出のなか、東南アジアで唯一独立を守り、第二次世界大戦では日本と同盟を組みながらも、「敗戦国」として扱われず、世渡りの上手さを見せてきた。本書は、ベトナム、ビルマなどの周辺諸国、英、仏、日本などの大国に翻弄されながらも生き残った、タイ民族二〇〇〇年の軌跡を描くものである。
  • 太平洋戦争〈上〉
    4.2
    1~2巻1,012円 (税込)
    民族の興廃を賭け、二五〇万の尊い人命を失って敗れた太平洋戦争は、日本人にとってなんであったか。単なる回想や懴悔の対象であってよいであろうか。そのために著者は、何よりも戦争をして戦争を語らせようと努めて五年の歳月を費やし、国内資料の渉猟はもちろん、アメリカへ調査に渡り、南洋諸島、東南アジア各国の旧戦場を隈なく訪ね、相戦った双方の資料を突き合わせて戦争の赤裸な姿を再現する。毎日出版文化賞受賞。
  • 新選組 「最後の武士」の実像
    3.5
    1巻1,012円 (税込)
    嘉永六年(一八五三)のペリー来航から明治二年(一八六九)の箱館五稜郭陥落までの幕末維新期、さまざまな国家構想が錯綜する中で政争や戦乱が展開された。こうした時代に生まれ、滅んだ新選組とは、どのような集団で、いかなる歴史的位置を占めていたのか。近藤勇らが幕末の京都で活躍できた政治的基盤や、近代性・合理性といった組織として先駆的性格に着目しつつ、各種史料を丹念に検証する新選組全史。
  • 足利義満 公武に君臨した室町将軍
    4.2
    電子版は本文中の写真の一部をカラー写真に差し替えて掲載。 公家社会と深く交わるなかで王朝文化に精通し、明国の皇帝には日本国王の称号を授与され、死後、朝廷から太上天皇の尊号を宣下される――。三代将軍足利義満の治世はしばしば「皇位簒奪」「屈辱外交」という悪評とともに語られる。だが、強大な権力、多様な事績に彩られた生涯の全貌は、いまだ明らかにはなっていない。本書では、新史料にも光を当て、公武に君臨した唯一無二の将軍の足跡をたどる。
  • イスラエルとパレスチナ 和平への接点をさぐる
    3.7
    イスラエル占領地ヨルダン川西岸とガザ地区で始まった大衆蜂起(インティファーダ)は、PLOに画期的な方針変更を打ち出させる状況をつくり、イスラエルには一部ながら、PLOとの対話を求める公然たる声を生み出した。 さらに、ユダヤ対アラブの構図から、当事者間の問題解決へと変わりつつある。イスラエルとパレスチナ双方で現地調査にあたった著者は、両民族の長い受難の歴史の終わりを願い、和平への接点の可能性をさぐる。
  • 中東和平の行方 続・イスラエルとパレスチナ
    -
    湾岸戦争終結後に開かれたマドリード和平会議、ノルウェー秘密交渉を通じて、パレスチナ問題、アラブ・イスラエル紛争をめぐる状況がこの数年の間に大きく変化した。 イスラエル・PLOの暫定自治合意にもとづくガザ、エリコでの先行自治、イスラエル・ヨルダンの平和条約調印と事態は進行しているが、こうした動きは本当に中東に平和をもたらすのか。 『イスラエルとパレスチナ』につづいて、中東での新展開を詳細に報告する。
  • 黒田官兵衛 「天下を狙った軍師」の実像
    3.9
    時代の趨勢を読み、織田陣営についた黒田官兵衛は、瞬く間に頭角を現した。秀吉の右腕として中国経略、九州遠征、小田原合戦など各地を転戦。官兵衛の働きなくして秀吉による全国統一もなかった。「稀代の軍師」とも呼ばれる武将の活躍の実態はいかなるものだったのか。関ヶ原合戦に際して天下を目指したとする説の真偽は――。茶の湯や連歌に優れ、キリスト教信仰を貫くなど、名将の知られざる側面にも光を当てる意欲的評伝。
  • 楼蘭王国 ロプ・ノール湖畔の四千年
    5.0
    前二世紀から五十年余り、楼蘭王国は歴史上にその姿を現した。だが、四千年前のものとされるミイラ「楼蘭の美女」が発見されたように、ロプ・ノール周辺には太古から独自の文化が花開いていた。前七七年に鄯善と名を改めた後も、「オアシスの道」に点在する諸都市を支配下に置き、繁栄を誇った。辺境の地を舞台に展開した東西文明の交流はどれほど活発なものだったのか。楼蘭の歴史をたどると、人類の壮大な営みが見えてくる。
  • 長篠合戦 鉄砲戦の虚像と実像
    4.0
    電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。 一五七五年、織田信長・徳川家康の連合軍と、武田勝頼率いる軍勢が激突した長篠合戦。足軽鉄砲隊の一斉射撃という信長の新戦法により、武田の誇る騎馬隊が潰滅した、画期的な戦いとして知られる。小説や映像で繰り返し描かれるこの鮮烈なイメージは、どのように形作られてきたのか。伝来する合戦図屏風ほか、様々な関連史料を検証し、虚飾に彩られた決戦の実像に迫る。最新研究をふまえて提示する、長篠合戦論の総決算。
  • 女の旅―幕末維新から明治期の11人
    3.4
    江戸期以前、女性が一人で旅することは難しかった。身の危険、歩きという制約、何より、男に付き従う姿こそ美徳とされたからだろう。だが、明治維新による文明開化以降、女性たちの旅は少しずつ広まっていく。本書は、日記、手記、聞き書きなどの記録から、全国漂泊、京都への出奔、遊説、米国留学、富士山越冬、蒙古行などの足取りを再現。男尊女卑の風潮が強いなか、時代に立ち向かった女性たちの人生を描く。
  • 古代遊牧帝国
    -
    六世紀の中葉モンゴル高原に出現した突厥国家も、また八世紀に台頭したウイグル国家もともに遊牧トルコ民族の一族であった。中央アジアから中国北方、南シベリアを支配した突厥の、農耕民族中国人との協調と葛藤の歴史をシルクロードの交易とともに追い、その間に活躍したソグド商人たちの、困難をものともせず物資を運び商いをする姿をも描き出す。東から西へと移動していったトルコ民族の壮大で華麗な生活を再現する。
  • 江戸城―本丸御殿と幕府政治
    4.3
    松之廊下にはどのような役割があったのか? 老中の登城から退出までを追ってみると?「奥」の側用人が「表」の老中より権力をふるえたしくみとは? 大名統制において殿中儀礼が持った意味とは? 大奥女中にはどのような仕事があったのか? 江戸城における政務は、本丸御殿の構造と密接に関係している。部屋の配置とその役割を詳しく紹介し、「表」「奥」「大奥」それぞれで展開した幕府政治のしくみを読み解く
  • 古事記誕生 「日本像」の源流を探る
    3.0
    今からちょうど千三百年前、『古事記』が誕生した。令の制定や平城京遷都など、古代日本の急速な近代化が進められるなかで、なぜこのような「時代に遅れた書」が作られたのか。縄文・弥生時代に遡る神話が、国家成立期にまで生き残ったのはなぜか。「記序」贋作説を検証しながら分析する。さらに、アメノイワヤト神話を例に、歌垣、酔っぱらい体質、銅鏡と鉄鏡の違いなど、多様な視点から新旧の層に区分けして解読する。
  • 地図バカ 地図好きの地図好きによる地図好きのための本
    3.8
    「東が上」の京都市街地図/鳥瞰図絵師・吉田初三郎/アイヌ語地名の宝庫/職人技のトーマス・クック時刻表/非常事態の地図……著者は小学校の先生が授業に持参してきてくれた国土地理院の一枚の地形図に魅せられて以降、半世紀をかけて古今東西の地図や時刻表、旅行ガイドブックなどを集めてきた。その“お宝”から約100図版を厳選。ある時は超絶技巧に感嘆し、またある時はコレクターの熱意に共感する。身近な学校「地図帳」やグーグルマップを深読みするなど、「等高線が読めない」入門者も知って楽しい、めくるめく世界。 はじめに――地図はみんなのもの 1章 余はいかにして「地図バカ」となりしか 2章 地図を愛した先人たち 3章 お宝地図コレクション 4章 西へ東へ、いざ机上旅行 5章 地名・駅名・バス停名あれこれ 6章 地図に刻まれた栄枯盛衰 7章 天災と人災 おわりに――紙の地図がなくなったら
  • 信長の天下所司代 筆頭吏僚村井貞勝
    3.6
    元亀四年に足利義昭を追放した後、信長は「天下所司代」を置き、京都支配を行った。本能寺の変までの九年間、一貫してその任にあったのは村井貞勝である。彼は信長の絶大な信頼を得て、市政から朝廷・公家との折衝までを一手に担い、ルイス=フロイスからは「尊敬すべき異教徒」と呼ばれた。武功とは無縁の吏僚でありながら有能を認められて「天下」=京都を仕切り、織田政権の要となった村井貞勝の活躍に光を当てる。
  • 〈鬼子〉たちの肖像 中国人が描いた日本人
    4.0
    古来、中国人は日本人をさまざまにイメージし、歴史書に記録し、絵画に描いてきた。そのなかには、荒唐無稽なものもあるが、驚くほど現実に近く詳細なものもある。本書では、かつて日本人が「倭」と呼ばれていた時代の歴史書や地理書から、明の時代に人々が使っていた日用の辞書、日清戦争前後に発行された絵入り新聞、現代の映画に至るまで、中国人による日本人=〈鬼子〉イメージの変遷をたどる。

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