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Posted by ブクログ
ちょうどこの瞬間、バイデン大統領と菅首相と日米首脳会談が行われています。なぜアメリカ新大統領の最初の会談相手が日本なのか?それは中国の専制政治に対する民主主義の国家の連携強化というアメリカの戦略により実現したとの解説を聞きました。今や世界の中で民主主義が根付いている国の代表として日本が選ばれている、ということでしょう。その我が国の民主主義が1945年の敗戦以降に「戦後民主主義」としてどのように育まれどのように論ぜられどのように疎まれていったかを一望する意欲的な新書です。なにしろ最終章のひとつ手前の章が「限界から忘却へ 一九九二〜二〇二◯」と来て最後が「戦後民主主義は潰えたか」ですから。ではアメリカに民主国家として選ばれている日本の民主主義は「戦後民主主義」でなければ、どんな民主主義なんだろうと考え込んでしまいました。著者は一般的な民主主義の議論はさておき「戦後民主主義」の特徴として3点挙げています。第一に、戦争体験と結びついた平和主義。第二に、直接民主主義への志向性。第三に平等主義、です。そして著者は「戦後民主主義という言葉が論壇やジャーナリズムで積極的に使われたのは、一九五〇年代半ばから二〇〇〇年代初頭までの約五〇年間に過ぎない。」とも言っています。社会に戦争体験が残存する時代の民主主義、ということなのでしょうか?太平洋戦争を実体験として持つ世代の退場が日本の在り方を大きく変えると常々思っていたので、もう始まっているポスト「戦後民主主義」時代の民主主義についてのもっと深い考察がなされなくちゃならないと改めて思いました。加えて本書が意欲的なのは論壇のみならず文学、マンガ、映画、アニメという広い裾野に目が行き届いていることです。まさに自分が吸って来た時代の空気が蘇り、自分がなぜ、今のような考え方をするのか、も、ちょっとわかったような気がします。そして、このCOVID19時代、民主主義自体が激しく揺れています。日本に外から民主主義を持ち込んだアメリカが民主主義の代表国として日本をフューチャーする事自体に民主主義脆弱時代を感じます。香港、台湾、タイ、ミャンマーの問題だけではなく日本の民主主義を参考するための踏み台としてこの新書は貴重だと思いました。
Posted by ブクログ
何となく題名に惹かれたという程度で済まないような、濃密な読書時間を本書と共に過ごすことになったような気がする。非常に読み応えが在る労作であるように思う。
漠然と思うのは「戦後」というように言う場合、「1945年8月」の以前と少し「切り離されている?」ということと、「既に数十年経つ中、漠然と一括りのように?」というようなことだ。今や「戦後」と呼ばれる「1945年8月」の後だけでも75年も経った。これは「明治元年から昭和20年」という期間の年月と既に大差が無い。だから所謂「戦後」にも既に様々な経過、変遷というモノが在るということになる。
本書は、「“戦後民主主義”という、時々聞く用語は一体何なのか?」ということを底辺の軸に据えながら、1945年から極々近年に至るまでの長い期間に亘る、社会の様子を伝える思潮、映画や文芸作品、話題になった論、政治の動き、注目された事象等々を拾い上げて、「“戦後”と呼ばれている期間の日本国という社会の変遷」を織り上げているような労作であると思う。
本書に取上げられている出来事等に関しては、「XX歳位であった頃か…」と自身の記憶の隅に引っ掛かっているような事柄を論じている例が多い。更に少し注目された論を展開したという人達に関する言及を視れば、自身が学生であったような頃に「〇〇で有名だった人」と紹介され、色々と発言しているのを何かで見聞したような記憶が在る人物が沢山在る。
本書を読むと「半ば以上、自身の人生と重なっている、または歩んだ時間を“歴史”として見詰める」というような、些か不思議な経験をすることになるような気がする。
「好い」と思うモノを護ろうとするばかりでも「好くない」は残る。「好くない」を正そうとするばかりでも「好い」を捨てざるを得なくなってしまうかもしれない。既に「戦後」と括り得る時期が「明治・大正から昭和20年頃へ」という程度の期間になってしまっている中、知り、考えるべきことも多くなっている。
本書は“現代社会史”というようなことで、若い人達が学ぶ場合の格好の材料になりそうだ。自身も「若い人達が…」等と綴ってしまうような年代になってしまったと苦笑も漏れるのだが、当然ながら自身の世代にとっても興味深い一冊である。
本書は広く御薦めしたい労作だ!!
Posted by ブクログ
戦後80年の日本政治を通観した本。55年体制→制度改革→ネオ55年体制という一つのストーリーによってわかりやすくまとめている。大量の史実がある中で一つのストーリーを描き重要な転換点を抽出するのは大変な作業だと思う。
自民党の誰がどの派閥に属していてその派閥がどのような思想を持っているのかがよくわからず、特に説明がなかったのでそこは読むのに苦労した。
また、政党を覚えられず苦労した。索引があれば良かったと思う。
改憲か護憲かの保革論争により、一大保守政党とまとまらない少数の革新政党が対立する55年体制が生まれた。90年代の政治改革(小選挙区比例代表並立制と首相権限強化)により初めて政権交代が行われたが、2010年代には再度改憲が争点となり、筆者が「ネオ55年体制」と呼ぶ構図が生まれた。
Posted by ブクログ
終章に「罰則をともなう規制ではなく、自粛要請を採ったのは、強い規制が基本的人権や自由を制限しかねないからだろう。そこに、ドイツと同様、戦後民主主義の残滓を読み取ることも不可能ではない。国や自治体の意図は措くとして、自粛要請という出来事は「自由で民主的な主体」とは何かを問いかけていたのだと理解できる。他者への配慮による自粛と、同調圧力とが混ざり合いながら、基本的には憲法の精神を大きく損なうことなく、多くの人びとが緊急事態宣言下を過ごした。」、とある。確かに事の善し悪しは別としても、(2回目の)緊急事態宣言下の現状が日本の戦後民主主義の1つの到達点だと思う。
ロックダウンするでもなく、かといって野放図である訳でもない何とも半端な現状ともとれるが、一人一人がもう一歩正しく恐れ自律的に動ければまんざらでもない結果をもたらす事が出来るのではないか?いつか歴史が戦後民主主義の総決算を開示してくれる。
谷島屋書店本店にて購入。
Posted by ブクログ
20210126-20210214
アジア・太平洋戦争の悲惨な体験から、多くの支持を集めた「戦後民主主義」日本国憲法に基づく民主主義・平和主義の徹底を求める思想だが、冷戦下のにおいて9条(と憲法前文)に基づく戦争放棄の主張は理想主義と、経済大国となってからは「一国平和主義」と批判され、近年は、コロナ禍にやや下火になっているとはいえ改憲論の前では守勢にある。本書は戦後の制度改革、社会運動から政治家、知識人、映画などに着目し、戦後民主主義の実態を描いている。
著者は1984年生まれとまだ若い研究者。彼にとっては久米宏も小林よしのりもかなり上の世代という認識なのだろうな、と思った。もう少し個々の時代の戦後民主主義のとらえ方を深堀してほしいな、と思ったがそれはこれからの著作に期待したい。本書は新書だから紙幅に限界があっただろうし。
戦後の論壇事情を出版界からとらえているのが興味深かった。何となく感じていた雑誌のカラーをよく整理している。これからはSNSやネットに論壇が移るのだろうか?
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